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1章 中つ国編
色染め試合2
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曄園と黒薔薇による低いレベルでありつつも、
試合が始まる。ルールはチームデスマッチ、
ラッセルとソウマ率いるチームはエイジとアイたちの
ハンドガン型どうしで対戦。
キャンプでマリが見守る中、5:5の小試合。
ちなみに、おたがいの配置はこうなっている。
――――――――――――――――――――――――――
■ ■ ■ ■
曄園 ■ ■ ■ ■ ■ ■■■ 黒薔薇
■ ■
――――――――――――――――――――――――――
何だこの配置? と思うかもしれないけど、
両方の学校がそれ系だからこうなった。
物を置くにもセンスが必要なのだろう。
とにかく中央はクッションが3つのみ並んで、
両わきは空いているのでおいそれと進めない。
「最初はみんなカバーして、敵がいるクッション後ろや
横にマーキングしていこう」
「おおっ!」
あまり大きくない意気ごみでコートに出る。
元からどちらも強くないチームで、パッと出チームな
感じがふんいきから見えている。
「がんばってきなさい、男子ッ!」
「うん」
マリにせなかをおされて一度落ち着く。
展示会とはまたちがう運動評価はこうやって始まるかと
別世界の様子を味わう。
「では、試合開始します!」
ピーッ
合図と同時にそれぞれ一番手前のクッションにカバー。
自分とソウマはカラーマジュで色付けをねらう。
プシュッ ピトッ
まずは敵がいないかしょにグリーンを付ける。
緑は安全地帯で味方に“そっちに行ってもOK”という
信号をしゅん時に伝える。
わずか2~3秒、口で言うよりもはるかに早い。
そう、信号は早めに伝えるのが大切で足のおそさを補う。
「「でも、ホントに色がすぐ落ちちゃうね」」
「「確認する順番はクッション→周り。
動く前にそうやっていって」」
もちろん、油断はダメ。
しかも熱射で蒸発も早く、少しでも見逃せば知らずに
動いて不意をつかれることもあるからだ。
ソウマが相手のせなかが見えているのに気付く。
(左に1人いる!)
プシュッ ピトッ
(赤、そこにいるんだな!)
ラッセルは色を見て判断、クッション横に回る。
正面からでは勝てる実力がない。
後ろからできるだけヘッドショットして打った。
プシュッ プシュッ プシュッ
「ふふぉっ!?」
2発ヒットさせたが、ビートできずに逃げられた。
やはりハンドガン型は即効性に欠ける。
打ちこむ手段だけは相変わらずゆっくりなので、
しゅんかん決着がつけられない。
「フレーッ、フレーッ、よ・う・え・んッ!」
マリの応援でせめてもの場を盛り上げる。
アクロバットな選手が観たら笑うだろうそこは
まさに素人の試合であった。
対するエイジたち黒薔薇はラッセルたちの戦法の意味に
考えながら目をこらしている。
クッションに何か水を付けていることは気付いたけど、
それ以上のこともなく疑問。
すぐとなりにいたアイが言う。
「「クッションに何か細工をしてるわね、
今のところ2色みたいだけど」」
「「当然、それ自体でビートさせるわけじゃない。
あれがカラーリング戦法なのか?」」
それらがどんな意味なのかまでは分からない。
おたがいに何か伝えているのか、
ただの色がカバーポイントに付いている他になく、
目的が何なのか不思議に思うだけだった。
一方、曄園のモブ選手3人は着色している場所を
すべて確認しきれずにいる。すべてクッションにまで
目を回せられずに、逆に回りそうだった。
「「あそこ、さっきまでグリーンだったよね?」」
「「5秒前はレッドだったよ、今はもう消えてるし」」
「「どこに行けば良いの?」」
といった様に、判断に迷って次の動作がにぶっている。
こんな時はお約束のごとく遠回しにエイムのえじきに。
ププシュッ ププシュッ
「あ、あれ!?」「い、いや、なんで!?」
端から相手が上下に重なりながら2段打ち。
映画でよくある逃げおくれ組がやられるシーンとばかり、
2人のライフを減らされてビートされてしまった。
「「いひひぃん、モブA~Bがああ」」
「「一度に2人も・・・」」
きちんと見ているつもりでも、時間差で整理できずに
反射神経が追いついていけないのだ。
だからといってもまったく効果がないわけでもない。
グリーンが付いた場所を確保できる時点で次点への
敵の居場所を特定しやすくなるから。
色の意味はまだ知られていない、だからわずかな利点で
立ち回りを有利ししていくだけ。
プシュッ
「黒薔薇モブB、ビート!」
さっきの逃れた相手をたおす。
赤や付いてない場所だけ気を付けていればムダも省けて
次の行動がとりやすいのも実感できた。
Bの様子を見ていたエイジはジックリと一部始終を確認。
着色地点と人の間より、タイミングを見計らう仕草で
移動していることが分かった。
(・・・まさか、そういったねらいか)
完全、とまでにはいかないものの色の意味が理解できて、
1つ対策しようと、そこからうかいし始めた。
ラッセルは向かい左、トの字の場所でかくれている
相手を1人見かける。先でけんせいされて体力が60まで
減らされてどうにか逃れた。
プシュッ ププシュッ
「うふっ!?」
胴体に数発当てて黒薔薇モブCをビートさせた。
やはり1人だけでこなすのは難しく、一極集中による
形で動くしかない。
「「もうぼくら単独でやるのはムリだよぉ~!」」
「「ここいらであのカラーはどうだ、ラッセル!」」
「「・・・そうだな、あの色でいく」」
曄園モブCにもせかされる中、総動員して行うべく
攻撃的な作戦を始めようと決める。
ここで中央のクッションに向かってブルーを打つ。
3人でいっせいに攻める手段に転じた。
(真ん中に並ぶ3つのクッションのすき間を回って
みんなでいっせいにやれば、なんとか)
実際に素早くビートできないので、いっしょに行動。
ラチがあかないので一気に動くしかなかった、だが。
「おそいっ!」
「えっ?」
ダンッ
エイジが三角とびでクッションをける。
地上からとつぜん上部に消えた様で目が追い付けず。
体のきどうが見切られずにエイムがブレてしまう。
「ラッセル、上に――!?」
「下にもいるわよ!」
プシュッ プシュッ
「ぴひぃん!?」「ごっふぉぉ!?」
ソウマとCがアイたちに打たれてビート。
グリーンが付いていたはずの後ろからとつぜん現れた
ひょうしで油断してしまい、自分もカバーしたまま
エイムができる状態ではない。
エイジがそこにいる、この時点で戦略がくずされた。
プシュッ
「ラッセル君、ビート!」
ピーッ
そして、頭に数発の水玉がはじけて小さく散る、
自分のライフは0となった。
「試合終了です!
0:3で黒薔薇小学校の勝利となります!」
試合時間、わずか4分。
時の感覚もつかみきれないまま負けてしまった。
相手3人と余力をのこしたまま、
戦略をはっきできずにことは終わる。
「あ~あ、やっぱりおれたちのやってることって
意味なかったのかなぁ」
「・・・・・・」
チームのれんけいがグダグダできちんとしたプレイが
思うようにいかず、色があっても体がついていかないので
エイムからショットするタイミングすらおぼつかなかった。
曄園のみんなも気分が底に着きかける。
エイジとアイがまたここに来る。
「今日はどうもな!」
「あんたらのカラーリング、見せてもらったわ。
最初は何やってるのかと思ってたけど」
「こっちもちょっと上手くいかなかったよ。
対応おそいし、色付け役もバラバラすぎた」
「いや、そうでもない。
今回大きな可能性を見つけたからな」
「かのうせいだって?」
「今回は単に練習不足がたたっていただけだろう。
でも、戦略底上げできる大きな線もあった。
おれの思った通りだ・・・決まりだな、アイ」
「そうね」
「?」
エイジが何かを思いついたことを言いかける。
決まったという意味がのみこめずに理由を聞くと、
今後について話を始める。
「まあ、おれたちの学校単体じゃ大したことはできない。
これは・・・地方全体となって効果をはっきできる
要素だからな」
「え?」
「県大会でまた会おう。
ここ中つ国をビジョンタクティカルアーツにする。
ラッセル、お前の編み出した戦法で全国の連中に
今までにないスポーツアートモノを言わせていくぞ!」
試合が始まる。ルールはチームデスマッチ、
ラッセルとソウマ率いるチームはエイジとアイたちの
ハンドガン型どうしで対戦。
キャンプでマリが見守る中、5:5の小試合。
ちなみに、おたがいの配置はこうなっている。
――――――――――――――――――――――――――
■ ■ ■ ■
曄園 ■ ■ ■ ■ ■ ■■■ 黒薔薇
■ ■
――――――――――――――――――――――――――
何だこの配置? と思うかもしれないけど、
両方の学校がそれ系だからこうなった。
物を置くにもセンスが必要なのだろう。
とにかく中央はクッションが3つのみ並んで、
両わきは空いているのでおいそれと進めない。
「最初はみんなカバーして、敵がいるクッション後ろや
横にマーキングしていこう」
「おおっ!」
あまり大きくない意気ごみでコートに出る。
元からどちらも強くないチームで、パッと出チームな
感じがふんいきから見えている。
「がんばってきなさい、男子ッ!」
「うん」
マリにせなかをおされて一度落ち着く。
展示会とはまたちがう運動評価はこうやって始まるかと
別世界の様子を味わう。
「では、試合開始します!」
ピーッ
合図と同時にそれぞれ一番手前のクッションにカバー。
自分とソウマはカラーマジュで色付けをねらう。
プシュッ ピトッ
まずは敵がいないかしょにグリーンを付ける。
緑は安全地帯で味方に“そっちに行ってもOK”という
信号をしゅん時に伝える。
わずか2~3秒、口で言うよりもはるかに早い。
そう、信号は早めに伝えるのが大切で足のおそさを補う。
「「でも、ホントに色がすぐ落ちちゃうね」」
「「確認する順番はクッション→周り。
動く前にそうやっていって」」
もちろん、油断はダメ。
しかも熱射で蒸発も早く、少しでも見逃せば知らずに
動いて不意をつかれることもあるからだ。
ソウマが相手のせなかが見えているのに気付く。
(左に1人いる!)
プシュッ ピトッ
(赤、そこにいるんだな!)
ラッセルは色を見て判断、クッション横に回る。
正面からでは勝てる実力がない。
後ろからできるだけヘッドショットして打った。
プシュッ プシュッ プシュッ
「ふふぉっ!?」
2発ヒットさせたが、ビートできずに逃げられた。
やはりハンドガン型は即効性に欠ける。
打ちこむ手段だけは相変わらずゆっくりなので、
しゅんかん決着がつけられない。
「フレーッ、フレーッ、よ・う・え・んッ!」
マリの応援でせめてもの場を盛り上げる。
アクロバットな選手が観たら笑うだろうそこは
まさに素人の試合であった。
対するエイジたち黒薔薇はラッセルたちの戦法の意味に
考えながら目をこらしている。
クッションに何か水を付けていることは気付いたけど、
それ以上のこともなく疑問。
すぐとなりにいたアイが言う。
「「クッションに何か細工をしてるわね、
今のところ2色みたいだけど」」
「「当然、それ自体でビートさせるわけじゃない。
あれがカラーリング戦法なのか?」」
それらがどんな意味なのかまでは分からない。
おたがいに何か伝えているのか、
ただの色がカバーポイントに付いている他になく、
目的が何なのか不思議に思うだけだった。
一方、曄園のモブ選手3人は着色している場所を
すべて確認しきれずにいる。すべてクッションにまで
目を回せられずに、逆に回りそうだった。
「「あそこ、さっきまでグリーンだったよね?」」
「「5秒前はレッドだったよ、今はもう消えてるし」」
「「どこに行けば良いの?」」
といった様に、判断に迷って次の動作がにぶっている。
こんな時はお約束のごとく遠回しにエイムのえじきに。
ププシュッ ププシュッ
「あ、あれ!?」「い、いや、なんで!?」
端から相手が上下に重なりながら2段打ち。
映画でよくある逃げおくれ組がやられるシーンとばかり、
2人のライフを減らされてビートされてしまった。
「「いひひぃん、モブA~Bがああ」」
「「一度に2人も・・・」」
きちんと見ているつもりでも、時間差で整理できずに
反射神経が追いついていけないのだ。
だからといってもまったく効果がないわけでもない。
グリーンが付いた場所を確保できる時点で次点への
敵の居場所を特定しやすくなるから。
色の意味はまだ知られていない、だからわずかな利点で
立ち回りを有利ししていくだけ。
プシュッ
「黒薔薇モブB、ビート!」
さっきの逃れた相手をたおす。
赤や付いてない場所だけ気を付けていればムダも省けて
次の行動がとりやすいのも実感できた。
Bの様子を見ていたエイジはジックリと一部始終を確認。
着色地点と人の間より、タイミングを見計らう仕草で
移動していることが分かった。
(・・・まさか、そういったねらいか)
完全、とまでにはいかないものの色の意味が理解できて、
1つ対策しようと、そこからうかいし始めた。
ラッセルは向かい左、トの字の場所でかくれている
相手を1人見かける。先でけんせいされて体力が60まで
減らされてどうにか逃れた。
プシュッ ププシュッ
「うふっ!?」
胴体に数発当てて黒薔薇モブCをビートさせた。
やはり1人だけでこなすのは難しく、一極集中による
形で動くしかない。
「「もうぼくら単独でやるのはムリだよぉ~!」」
「「ここいらであのカラーはどうだ、ラッセル!」」
「「・・・そうだな、あの色でいく」」
曄園モブCにもせかされる中、総動員して行うべく
攻撃的な作戦を始めようと決める。
ここで中央のクッションに向かってブルーを打つ。
3人でいっせいに攻める手段に転じた。
(真ん中に並ぶ3つのクッションのすき間を回って
みんなでいっせいにやれば、なんとか)
実際に素早くビートできないので、いっしょに行動。
ラチがあかないので一気に動くしかなかった、だが。
「おそいっ!」
「えっ?」
ダンッ
エイジが三角とびでクッションをける。
地上からとつぜん上部に消えた様で目が追い付けず。
体のきどうが見切られずにエイムがブレてしまう。
「ラッセル、上に――!?」
「下にもいるわよ!」
プシュッ プシュッ
「ぴひぃん!?」「ごっふぉぉ!?」
ソウマとCがアイたちに打たれてビート。
グリーンが付いていたはずの後ろからとつぜん現れた
ひょうしで油断してしまい、自分もカバーしたまま
エイムができる状態ではない。
エイジがそこにいる、この時点で戦略がくずされた。
プシュッ
「ラッセル君、ビート!」
ピーッ
そして、頭に数発の水玉がはじけて小さく散る、
自分のライフは0となった。
「試合終了です!
0:3で黒薔薇小学校の勝利となります!」
試合時間、わずか4分。
時の感覚もつかみきれないまま負けてしまった。
相手3人と余力をのこしたまま、
戦略をはっきできずにことは終わる。
「あ~あ、やっぱりおれたちのやってることって
意味なかったのかなぁ」
「・・・・・・」
チームのれんけいがグダグダできちんとしたプレイが
思うようにいかず、色があっても体がついていかないので
エイムからショットするタイミングすらおぼつかなかった。
曄園のみんなも気分が底に着きかける。
エイジとアイがまたここに来る。
「今日はどうもな!」
「あんたらのカラーリング、見せてもらったわ。
最初は何やってるのかと思ってたけど」
「こっちもちょっと上手くいかなかったよ。
対応おそいし、色付け役もバラバラすぎた」
「いや、そうでもない。
今回大きな可能性を見つけたからな」
「かのうせいだって?」
「今回は単に練習不足がたたっていただけだろう。
でも、戦略底上げできる大きな線もあった。
おれの思った通りだ・・・決まりだな、アイ」
「そうね」
「?」
エイジが何かを思いついたことを言いかける。
決まったという意味がのみこめずに理由を聞くと、
今後について話を始める。
「まあ、おれたちの学校単体じゃ大したことはできない。
これは・・・地方全体となって効果をはっきできる
要素だからな」
「え?」
「県大会でまた会おう。
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