69 / 131
1章 中つ国編
第3話 理科と美術
しおりを挟む
ラッセルの自宅
時は午後6:00。
学校から帰った自分はつかれをいやそうとお風呂に入る。
基本、いつも先に入ってから食事をした方が
美味しく感じるので、日常生活から得るのも
芸術感性を高める術の1つだ。
センスというものはやみくもにひらめいた事を
そのまま描くだけではない。
きちんとした手順を元に加工しつつ、
伝えるという外観を向上するのが美的だから。
たまに“なんとなく思いついた”事を想像と
みなす人もいるが、それはナンセンス。
この場合は日常生活という基本手順から
身体を整えて味を加工。
骨格を始めて周りに水の様な肉付きをするのが理想的だ。
というわけで、だれかが聞いているわけもない中で
入浴も終えて上がって台所に行くと母がいた。
「お風呂に入った?
後、もう少しでできるから待ってなさい」
「今日はあんまりお腹が空いてないから大丈夫。
そういえば、今度理科で水彩画を描くんだけど、
色が付きそうな材料で何か良いのがない?」
「自分で全て持ってきてって言われたの?」
「市販の絵の具はダメらしいんだ。
色の種類は何でも良いから、液体に変えられる素材を
自分でちょうたつしてきてくれって」
話は学校がふだんの絵の具以外を使う授業を行うといって、
き製品の色さいにたよらない表現という制限を付けてきた。
複数用意する条件はなく、
一色だけでもちがう素材を使えという。
自分的に不得意ではないから描くだけなら問題ないものの、
いざ用意しろとなれば少し困る。
この時代にはクロミック分子で自由に色を変える
具も販売しているが、ごていねいに禁止されている。
先の感性で加工した材料について良さそうな物が何か
母と相談するが、これといった物はまだ決めていなかった。
父が台所に来る。
「やみくもに混ぜるだけでは良い色は出せない。
素材よりテーマを結び付けてボード[描く所]へ
着色を成すものだぞ」
「光の反射だけの色を表現してはいけない、でしょ?
無機質の描写はナンセンスだから」
「そうだ、上手というのは個性として描き手に表れる。
なぜなら、評価するのは人間。
フレーム、カラー、ディティールを
1つに合わせて無意識にまでとどかせなければ、
精密に描いても意味がない」
「「人に近しい色・・・」」
意味は人間と同調するばかりの表現をしろという。
赤だからといって、そのままベタぬりの色をだすなという
見せ所を否定する様な意味だ。
自分の家はアーティスト家で、父が画家。
いたる所にオブジェを置いて近所からも
めずらしそうに見られるほど有名な人だ。
フレームという骨組み、カラーという見分け、
ディティールというおく深さであたかも本当にある様に
どれだけ納得させられるかがカギ。
生まれてから自然にここで目に入れていた自分も時々、
学校以外で描いていた。
前ぶれもなくとつぜん課題を出してくる学校も
意地がひねていると思うが。
「植物性の色を試すのはどうかしら?
ソウマ君のところはどう?」
「そうしようと思ったけど、植物を材料にすると
向こうの人に何か言われるかも。
勝手に解体すると不満を買いそうだから」
友人から材料を求める案を言われた。
花といえば、ソウマの家も花屋を営んでいて
彼からいくらかもらう手もある。
しかし、花をバラにするのを
いやがられるかもしれない。
仮にソウマがその手を使うとしても、
ほとんど同じ色がでて個性がうすれるだろう。
できるだけ個人で良い色を見つけたいけど、
父の言う通りにだれも見つけていない様な物から
具を選びたい。
まだ時間はあるので今日やらなくても良いけど。
これといった答えがでないまま食事をする。
モグモグ
メニューの1つであるグリエにフォークを当てて
数秒見てから食べてみた。
母の得意料理の1つで、シェフ顔負けのもの。
あみめもようの肉は今回初めて食べたわけじゃないけど、
こうして想像しているとちがった印象が浮かんでくる。
ひし形 茶色 歯でかむ
人の体内に入る ソースの液体
やわらかい 細かくなる 材料が混ざる
ゆうごうなき変化
(シュシュウ、ウチュチュ)
料理が口に入るたびにそれぞれ独立していた要素が
複数の感覚として混ざり合う。
しかし、のどから胃へせまい所に集められるので
人体の仕組みで加工されてゆく。
そして吸収。栄養として動力の源へ変わる。
理科的にいうならその通り。
五感を全てくしして感じる自分にとっては
“たくさんあるものがまとまってまたひろがってゆく”
感じで、目で確認しているわけでもないのに、
歯ごたえと味だけで思い浮かべてゆく。
「美味しい?」
「うん、いつも通り」
言葉ではそうありきたりに言うだけ。
ただ、頭の中は味をこえた何かを印象にとどめつつ
だまって食べ続けてゆくのみ。
これはだれに言っても聞いても話し合いとして
成り立つものではないから、
あくまで脳内で言葉のつぶを混ぜて
創造として使うじゅんびをする。
いつ使うのかまでは分からないけど、
これらの集まりがいつか反動を起こして
木から枝をのばすようにひらめいたりするのだ。
他のメニューも食べて色々としこうさくごしながら
飲みこみ、行動じたいに問題はなく食事が終わる。
全てを中に収めた後、いつもの言葉を発した。
「ごちそうさま」
時は午後6:00。
学校から帰った自分はつかれをいやそうとお風呂に入る。
基本、いつも先に入ってから食事をした方が
美味しく感じるので、日常生活から得るのも
芸術感性を高める術の1つだ。
センスというものはやみくもにひらめいた事を
そのまま描くだけではない。
きちんとした手順を元に加工しつつ、
伝えるという外観を向上するのが美的だから。
たまに“なんとなく思いついた”事を想像と
みなす人もいるが、それはナンセンス。
この場合は日常生活という基本手順から
身体を整えて味を加工。
骨格を始めて周りに水の様な肉付きをするのが理想的だ。
というわけで、だれかが聞いているわけもない中で
入浴も終えて上がって台所に行くと母がいた。
「お風呂に入った?
後、もう少しでできるから待ってなさい」
「今日はあんまりお腹が空いてないから大丈夫。
そういえば、今度理科で水彩画を描くんだけど、
色が付きそうな材料で何か良いのがない?」
「自分で全て持ってきてって言われたの?」
「市販の絵の具はダメらしいんだ。
色の種類は何でも良いから、液体に変えられる素材を
自分でちょうたつしてきてくれって」
話は学校がふだんの絵の具以外を使う授業を行うといって、
き製品の色さいにたよらない表現という制限を付けてきた。
複数用意する条件はなく、
一色だけでもちがう素材を使えという。
自分的に不得意ではないから描くだけなら問題ないものの、
いざ用意しろとなれば少し困る。
この時代にはクロミック分子で自由に色を変える
具も販売しているが、ごていねいに禁止されている。
先の感性で加工した材料について良さそうな物が何か
母と相談するが、これといった物はまだ決めていなかった。
父が台所に来る。
「やみくもに混ぜるだけでは良い色は出せない。
素材よりテーマを結び付けてボード[描く所]へ
着色を成すものだぞ」
「光の反射だけの色を表現してはいけない、でしょ?
無機質の描写はナンセンスだから」
「そうだ、上手というのは個性として描き手に表れる。
なぜなら、評価するのは人間。
フレーム、カラー、ディティールを
1つに合わせて無意識にまでとどかせなければ、
精密に描いても意味がない」
「「人に近しい色・・・」」
意味は人間と同調するばかりの表現をしろという。
赤だからといって、そのままベタぬりの色をだすなという
見せ所を否定する様な意味だ。
自分の家はアーティスト家で、父が画家。
いたる所にオブジェを置いて近所からも
めずらしそうに見られるほど有名な人だ。
フレームという骨組み、カラーという見分け、
ディティールというおく深さであたかも本当にある様に
どれだけ納得させられるかがカギ。
生まれてから自然にここで目に入れていた自分も時々、
学校以外で描いていた。
前ぶれもなくとつぜん課題を出してくる学校も
意地がひねていると思うが。
「植物性の色を試すのはどうかしら?
ソウマ君のところはどう?」
「そうしようと思ったけど、植物を材料にすると
向こうの人に何か言われるかも。
勝手に解体すると不満を買いそうだから」
友人から材料を求める案を言われた。
花といえば、ソウマの家も花屋を営んでいて
彼からいくらかもらう手もある。
しかし、花をバラにするのを
いやがられるかもしれない。
仮にソウマがその手を使うとしても、
ほとんど同じ色がでて個性がうすれるだろう。
できるだけ個人で良い色を見つけたいけど、
父の言う通りにだれも見つけていない様な物から
具を選びたい。
まだ時間はあるので今日やらなくても良いけど。
これといった答えがでないまま食事をする。
モグモグ
メニューの1つであるグリエにフォークを当てて
数秒見てから食べてみた。
母の得意料理の1つで、シェフ顔負けのもの。
あみめもようの肉は今回初めて食べたわけじゃないけど、
こうして想像しているとちがった印象が浮かんでくる。
ひし形 茶色 歯でかむ
人の体内に入る ソースの液体
やわらかい 細かくなる 材料が混ざる
ゆうごうなき変化
(シュシュウ、ウチュチュ)
料理が口に入るたびにそれぞれ独立していた要素が
複数の感覚として混ざり合う。
しかし、のどから胃へせまい所に集められるので
人体の仕組みで加工されてゆく。
そして吸収。栄養として動力の源へ変わる。
理科的にいうならその通り。
五感を全てくしして感じる自分にとっては
“たくさんあるものがまとまってまたひろがってゆく”
感じで、目で確認しているわけでもないのに、
歯ごたえと味だけで思い浮かべてゆく。
「美味しい?」
「うん、いつも通り」
言葉ではそうありきたりに言うだけ。
ただ、頭の中は味をこえた何かを印象にとどめつつ
だまって食べ続けてゆくのみ。
これはだれに言っても聞いても話し合いとして
成り立つものではないから、
あくまで脳内で言葉のつぶを混ぜて
創造として使うじゅんびをする。
いつ使うのかまでは分からないけど、
これらの集まりがいつか反動を起こして
木から枝をのばすようにひらめいたりするのだ。
他のメニューも食べて色々としこうさくごしながら
飲みこみ、行動じたいに問題はなく食事が終わる。
全てを中に収めた後、いつもの言葉を発した。
「ごちそうさま」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
Condense Nation
鳳
SF
西暦XXXX年、突如としてこの国は天から舞い降りた勢力によって制圧され、
正体不明の蓋世に自衛隊の抵抗も及ばずに封鎖されてしまう。
海外逃亡すら叶わぬ中で資源、優秀な人材を巡り、内戦へ勃発。
軍事行動を中心とした攻防戦が繰り広げられていった。
生存のためならルールも手段も決していとわず。
凌ぎを削って各地方の者達は独自の術をもって命を繋いでゆくが、
決して平坦な道もなくそれぞれの明日を願いゆく。
五感の界隈すら全て内側の央へ。
サイバーとスチームの間を目指して
登場する人物・団体・名称等は架空であり、
実在のものとは関係ありません。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
鋼殻牙龍ドラグリヲ
南蛮蜥蜴
ファンタジー
歪なる怪物「害獣」の侵攻によって緩やかに滅びゆく世界にて、「アーマメントビースト」と呼ばれる兵器を操り、相棒のアンドロイド「カルマ」と共に戦いに明け暮れる主人公「真継雪兎」
ある日、彼はとある任務中に害獣に寄生され、身体を根本から造り替えられてしまう。 乗っ取られる危険を意識しつつも生きることを選んだ雪兎だったが、それが苦難の道のりの始まりだった。
次々と出現する凶悪な害獣達相手に、無双の機械龍「ドラグリヲ」が咆哮と共に牙を剥く。
延々と繰り返される殺戮と喪失の果てに、勇敢で臆病な青年を待ち受けるのは絶対的な破滅か、それともささやかな希望か。
※小説になろう、カクヨム、ノベプラでも掲載中です。
※挿絵は雨川真優(アメカワマユ)様@zgmf_x11dより頂きました。利用許可済です。
もうダメだ。俺の人生詰んでいる。
静馬⭐︎GTR
SF
『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。
(アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)
日本国転生
北乃大空
SF
女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。
或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。
ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。
その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。
ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。
その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる