58 / 99
第38話 空間の窓1
しおりを挟む
2012年3月12日
場は晃京都庁の一角。
自衛隊は目を細く銃器を抱えながら監視を続けていた。
太陽光によって綺麗に反射する七色の色彩は
内部の来訪者に対比するかのように都民の目を惹く。
彼らを中に入れないよう自衛隊達が昼夜交代で
常に簡易式フェンスを設置しながら監視していた。
隣り合わせで立っていた2人の隊員が会話する。
「いつになったら、あの塊を駆除できるんだ?」
「上がまだ決定打を見つけられないようだ。
ランチャーでも壊せないあんなもの、
今できるのは見張るくらいだろ」
「現代兵器ですら破壊できないって・・・。
一体、どんな仕組みだよ?」
都庁解体の話も出たが、再建築や費用の考慮で
賛成を得られずに今の形状を保つしかなかった。
昼間は相変わらず悪魔が出現しないので、
この時間の担当者は安泰としているものの、
まったくといって良い程の変わり映えがない事もない。
その都庁にも少しだけ変化が見られ始めていた。
「いつの間にか変なパネルが浮いてるな。
光化学スモッグか?」
「バカ言え、そりゃあ4月からだろ?
煙や霧の反射には見えないぞ」
「だったら、なんでモニターが浮いてんだ?
しかも、映ってるのはTV番組じゃないか?」
「だとしたら、どうやって放送している?
液晶もプラズマ基盤もないのに、宙に浮いてるなんて。
こんな技術、今の科学でもできやしないぞ」
「じゃあ・・・あれは、何なんだ?」
彼らの目には空中に複数のフレームが見にくい枠、
画面、ディスプレイの類が映し出されていた。
近日より現れたのは悪魔の実害ではなく、
人間が構築した様な現象が垣間見えていたのである。
場所は変わり、都内にあるTV局。
気温も少しだけ上がり、体を動かす余韻も得られて
都民達の足取りも軽くなり始めた。
イベントを講じる者がやってくる事も晃京だが、
過ごしやすければ過ごしやすいだけ活発に動き回るのが
人間というものなのである。
「TV局は偏向報道をやめろーっ!」
「やめろーっ!」
一般都民と国の役員が行進している。
率いるは議員の山田陰子。
デモの代表格としてメガホンを手に先陣を位置して、
TV局にまとわりつく様に徘徊を始める。
グループ名、キャッツ・アンド・ドッグス。
どうやって呼び集めたのか、約200人の応募者と共に
ビルの周辺をグルグルと闊歩して叫び声をあげた。
「TV局は、過激な表現を、やめろおおおおおゥ!」
「やめろーっ!」
ストライキとして番組演出の何かを訴え出る。
主張の内容の割にはニヤケ顔で、
TV局周囲をウロウロしながらデモを繰り出す。
特にこれといった深い理由はない。
相手も応じる気配がなく、自分勝手に取り巻きの如く
発声を発生させて満たすのみ。
「TV局は、偏向報道を、やめろうおおフォオゥ!」
「やめろーっ!」
表現の自由を敵視し、正規とばかり規制を図る。
ただ、その後の保証や仮サポートなど配慮しない。
女性さながらの引け目で叫びたかっただけだ。
(はふーっ、はふーっ、私の主張を推してやる。
残りの人生を喉に込め、期待に応えて
世間に分からせてやる。
もっともっとモットオオオォォ)
我こそ主張、主張こそ我と行列を先導して声を上げ、
自分の様を大勢にみせる。
晃京のクレオパトラとして君臨する如く、
率先して周囲に目立つようにアピールを欠かさない。
というのは、首相官邸でもちかけられた
正倉院大臣によるメディア規制で日本に少しばかり
自粛するよう提案された件について、
声を掲げる自己主張の船に乗り掛かった。
議員としての立場もあるが、性と利権を
惜しみなく念を押し通して今が最高潮とばかり、
自己意識の確立を何が何でも保ちたかったのだ。
言葉、声だけで分からせる。
お構いなしに叫ぶのは事情があった。
自分は幼少から学問のみを歩み、
健全な男女交流を経験できぬまま人生を送ってきた。
いつか、自らの価値を分からせたい。
努力は実って政治家になり、社会的地位は手に入れた。
ただ、どんな立場に成ろうとも、心の内に隙間が生じる。
“本当にやりがいを感じているのか?”。
そこを誤魔化すように美的な女性物を批判し続けた。
しかし、いつも空を貫くように実りを味わえずに終始。
気持ちが世間に通用する実感が薄く、自分の行いが
本当に必要とされているのか焦心にさまよう中、
贈り物によって気持ちを再起させる。
自室に送られてきた指輪で理念はさらに奮起した。
まだ自分は一女性として認識されている。
少しでも女の自覚、意識をもたせたい。
今まで行った行動は無意味ではなく、
さらに向上して訴えたくなった。
複数の警察と共に連動。
彼らが時々耳をふさぐ姿勢もなんのそのと、
行進を続けている時、声をかけてくる者がいた。
「ちょっとお話、よろしいでしょうか?」
「何?」
自分に声をかけてきたのは女子高生だ。
マナの目線に変わって、灰色の宝石を指摘する。
「あなたは指輪を付けていますね。
とても美しそうなものですが、
どこで入手したのですか?」
「そんなのどうだっていいじゃない!
ストライキの邪魔をしないでちょうだいな!」
「「お言葉ですが、それは通常の物と同じ
宝石ではありませんよね?」」
「!?」
後列の参加者達を先に進めさせて道路脇で
2人は対面、会話を続けた。
しかし、陰子は何の事かと否定。
片手の指で触りながら白を切る。
「何の事かしら?
これはただの指輪、普通の宝石よ」
「いいえ、特殊な性質をもつ物です。
直にあなたの声に現れています」
「何を言うかと思ったら、声ですって?
私はただ、大声で張り上げているだけよ?
根拠を述べなさい。」
「発している声は拡張器とは異なるからです。
声、波長が人のそれとは思えません」
「これは新品なんだから、そう聴こえるだけよ。
指輪のせいなら、外してしゃべろうかしら」
陰子は指輪を外して声を出した。
しかし、音声は変化していない。
「ほら、変わらないでしょ?
ただ、人生経験の実りで美しく響いてるだけよ」
(ACを握っている・・・)
「仮に何かの効果があったとしても、法には触れてない。
決して人に迷惑をかけてないわ」
「何故、TV局に抗議をしているのでしょうか?」
「ただのメディア表現について訴えているだけよ。
言うに事を欠いて宝石のせいだなんて。
それとも何?
あんたは大切な人からもらった贈り物を否定するの?」
「それは・・・」
「できないでしょ?
私の主張はTV局に対する貴重なメッセージなの。
私に大きな否があるなら容認するけど?
でなければ下がりなさい。
名誉棄損で訴えるわよ?
その年でまだ灰色の人生を歩みたくないでしょ?」
「・・・・・・」
巧みな言い訳で回避する。
だからといっても、公の前でACを奮うのは無理。
熟年層の論理には叶わずに抗議は治まらず、
どこ吹く風でまったく応じるつもりもなく、
そのままストライキを続けて歩いて行ってしまった。
場は変わり、科警研。
聖夜はいつものようにマーガレット主任から講義を受け、
対策的行動を教えてもらうところだったが、
今回は剣を振るう機会はなさそうだと言われる。
「悪魔じゃない?」
「ええ、れっきとした人間による仕業よ」
空中の画面に、物理的暴力性を感じられなかった。
夜間以外は放送的な表現は残るものの、
数日より監視を続けても悪魔の姿もない。
時間帯も昼間でおどろおどろしい者の牙もなく、
問題は戦闘に関わる事象ではないという。
ただ、出現の根拠は都庁からとは思えずに、
そこから生成されたACを迂回するように利用して
人の手で仕掛けている可能性が大きいと推測。
主任はディスプレイに映るカラーバーを見せた。
「この画面をよくみてごらんなさい」
「これは!?」
テストパターン画面の色の配列が変化。
空中に浮くモニター内で時折表示される映像で、
放送コードを改造したとされるものが見つかる。
これはTV画面で放送しない時に映す画面で、
通常とは異なる仕様でプログラミングされていた。
知識をもった悪魔の仕業なんて発想が飛び過ぎている。
0.1秒内に仕込まれて人の心象を操作しようとばかりに、
放送業界のコードを操作できる者に限る。
よって、文明に準えたこちらの世界の媒体者。
意図的に仕込められるのは当然“業界関係者”となる。
「サブリミナル効果を狙って何かを伝える計画を
企てようとしている」
「そして、ACの性能に頼りながら機械を使っている。
という事は・・・」
「よって、星は関係者内に確定。
TV局にま~だ懲りてない奴がいるわね」
「あの人か!?」
自分と主任は心中お察しを通り越した懸念を当てる。
星とはすでに覚えのある人物であった。
場は晃京都庁の一角。
自衛隊は目を細く銃器を抱えながら監視を続けていた。
太陽光によって綺麗に反射する七色の色彩は
内部の来訪者に対比するかのように都民の目を惹く。
彼らを中に入れないよう自衛隊達が昼夜交代で
常に簡易式フェンスを設置しながら監視していた。
隣り合わせで立っていた2人の隊員が会話する。
「いつになったら、あの塊を駆除できるんだ?」
「上がまだ決定打を見つけられないようだ。
ランチャーでも壊せないあんなもの、
今できるのは見張るくらいだろ」
「現代兵器ですら破壊できないって・・・。
一体、どんな仕組みだよ?」
都庁解体の話も出たが、再建築や費用の考慮で
賛成を得られずに今の形状を保つしかなかった。
昼間は相変わらず悪魔が出現しないので、
この時間の担当者は安泰としているものの、
まったくといって良い程の変わり映えがない事もない。
その都庁にも少しだけ変化が見られ始めていた。
「いつの間にか変なパネルが浮いてるな。
光化学スモッグか?」
「バカ言え、そりゃあ4月からだろ?
煙や霧の反射には見えないぞ」
「だったら、なんでモニターが浮いてんだ?
しかも、映ってるのはTV番組じゃないか?」
「だとしたら、どうやって放送している?
液晶もプラズマ基盤もないのに、宙に浮いてるなんて。
こんな技術、今の科学でもできやしないぞ」
「じゃあ・・・あれは、何なんだ?」
彼らの目には空中に複数のフレームが見にくい枠、
画面、ディスプレイの類が映し出されていた。
近日より現れたのは悪魔の実害ではなく、
人間が構築した様な現象が垣間見えていたのである。
場所は変わり、都内にあるTV局。
気温も少しだけ上がり、体を動かす余韻も得られて
都民達の足取りも軽くなり始めた。
イベントを講じる者がやってくる事も晃京だが、
過ごしやすければ過ごしやすいだけ活発に動き回るのが
人間というものなのである。
「TV局は偏向報道をやめろーっ!」
「やめろーっ!」
一般都民と国の役員が行進している。
率いるは議員の山田陰子。
デモの代表格としてメガホンを手に先陣を位置して、
TV局にまとわりつく様に徘徊を始める。
グループ名、キャッツ・アンド・ドッグス。
どうやって呼び集めたのか、約200人の応募者と共に
ビルの周辺をグルグルと闊歩して叫び声をあげた。
「TV局は、過激な表現を、やめろおおおおおゥ!」
「やめろーっ!」
ストライキとして番組演出の何かを訴え出る。
主張の内容の割にはニヤケ顔で、
TV局周囲をウロウロしながらデモを繰り出す。
特にこれといった深い理由はない。
相手も応じる気配がなく、自分勝手に取り巻きの如く
発声を発生させて満たすのみ。
「TV局は、偏向報道を、やめろうおおフォオゥ!」
「やめろーっ!」
表現の自由を敵視し、正規とばかり規制を図る。
ただ、その後の保証や仮サポートなど配慮しない。
女性さながらの引け目で叫びたかっただけだ。
(はふーっ、はふーっ、私の主張を推してやる。
残りの人生を喉に込め、期待に応えて
世間に分からせてやる。
もっともっとモットオオオォォ)
我こそ主張、主張こそ我と行列を先導して声を上げ、
自分の様を大勢にみせる。
晃京のクレオパトラとして君臨する如く、
率先して周囲に目立つようにアピールを欠かさない。
というのは、首相官邸でもちかけられた
正倉院大臣によるメディア規制で日本に少しばかり
自粛するよう提案された件について、
声を掲げる自己主張の船に乗り掛かった。
議員としての立場もあるが、性と利権を
惜しみなく念を押し通して今が最高潮とばかり、
自己意識の確立を何が何でも保ちたかったのだ。
言葉、声だけで分からせる。
お構いなしに叫ぶのは事情があった。
自分は幼少から学問のみを歩み、
健全な男女交流を経験できぬまま人生を送ってきた。
いつか、自らの価値を分からせたい。
努力は実って政治家になり、社会的地位は手に入れた。
ただ、どんな立場に成ろうとも、心の内に隙間が生じる。
“本当にやりがいを感じているのか?”。
そこを誤魔化すように美的な女性物を批判し続けた。
しかし、いつも空を貫くように実りを味わえずに終始。
気持ちが世間に通用する実感が薄く、自分の行いが
本当に必要とされているのか焦心にさまよう中、
贈り物によって気持ちを再起させる。
自室に送られてきた指輪で理念はさらに奮起した。
まだ自分は一女性として認識されている。
少しでも女の自覚、意識をもたせたい。
今まで行った行動は無意味ではなく、
さらに向上して訴えたくなった。
複数の警察と共に連動。
彼らが時々耳をふさぐ姿勢もなんのそのと、
行進を続けている時、声をかけてくる者がいた。
「ちょっとお話、よろしいでしょうか?」
「何?」
自分に声をかけてきたのは女子高生だ。
マナの目線に変わって、灰色の宝石を指摘する。
「あなたは指輪を付けていますね。
とても美しそうなものですが、
どこで入手したのですか?」
「そんなのどうだっていいじゃない!
ストライキの邪魔をしないでちょうだいな!」
「「お言葉ですが、それは通常の物と同じ
宝石ではありませんよね?」」
「!?」
後列の参加者達を先に進めさせて道路脇で
2人は対面、会話を続けた。
しかし、陰子は何の事かと否定。
片手の指で触りながら白を切る。
「何の事かしら?
これはただの指輪、普通の宝石よ」
「いいえ、特殊な性質をもつ物です。
直にあなたの声に現れています」
「何を言うかと思ったら、声ですって?
私はただ、大声で張り上げているだけよ?
根拠を述べなさい。」
「発している声は拡張器とは異なるからです。
声、波長が人のそれとは思えません」
「これは新品なんだから、そう聴こえるだけよ。
指輪のせいなら、外してしゃべろうかしら」
陰子は指輪を外して声を出した。
しかし、音声は変化していない。
「ほら、変わらないでしょ?
ただ、人生経験の実りで美しく響いてるだけよ」
(ACを握っている・・・)
「仮に何かの効果があったとしても、法には触れてない。
決して人に迷惑をかけてないわ」
「何故、TV局に抗議をしているのでしょうか?」
「ただのメディア表現について訴えているだけよ。
言うに事を欠いて宝石のせいだなんて。
それとも何?
あんたは大切な人からもらった贈り物を否定するの?」
「それは・・・」
「できないでしょ?
私の主張はTV局に対する貴重なメッセージなの。
私に大きな否があるなら容認するけど?
でなければ下がりなさい。
名誉棄損で訴えるわよ?
その年でまだ灰色の人生を歩みたくないでしょ?」
「・・・・・・」
巧みな言い訳で回避する。
だからといっても、公の前でACを奮うのは無理。
熟年層の論理には叶わずに抗議は治まらず、
どこ吹く風でまったく応じるつもりもなく、
そのままストライキを続けて歩いて行ってしまった。
場は変わり、科警研。
聖夜はいつものようにマーガレット主任から講義を受け、
対策的行動を教えてもらうところだったが、
今回は剣を振るう機会はなさそうだと言われる。
「悪魔じゃない?」
「ええ、れっきとした人間による仕業よ」
空中の画面に、物理的暴力性を感じられなかった。
夜間以外は放送的な表現は残るものの、
数日より監視を続けても悪魔の姿もない。
時間帯も昼間でおどろおどろしい者の牙もなく、
問題は戦闘に関わる事象ではないという。
ただ、出現の根拠は都庁からとは思えずに、
そこから生成されたACを迂回するように利用して
人の手で仕掛けている可能性が大きいと推測。
主任はディスプレイに映るカラーバーを見せた。
「この画面をよくみてごらんなさい」
「これは!?」
テストパターン画面の色の配列が変化。
空中に浮くモニター内で時折表示される映像で、
放送コードを改造したとされるものが見つかる。
これはTV画面で放送しない時に映す画面で、
通常とは異なる仕様でプログラミングされていた。
知識をもった悪魔の仕業なんて発想が飛び過ぎている。
0.1秒内に仕込まれて人の心象を操作しようとばかりに、
放送業界のコードを操作できる者に限る。
よって、文明に準えたこちらの世界の媒体者。
意図的に仕込められるのは当然“業界関係者”となる。
「サブリミナル効果を狙って何かを伝える計画を
企てようとしている」
「そして、ACの性能に頼りながら機械を使っている。
という事は・・・」
「よって、星は関係者内に確定。
TV局にま~だ懲りてない奴がいるわね」
「あの人か!?」
自分と主任は心中お察しを通り越した懸念を当てる。
星とはすでに覚えのある人物であった。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説


異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
常世の守り主 ―異説冥界神話談―
双子烏丸
ファンタジー
かつて大切な人を失った青年――。
全てはそれを取り戻すために、全てを捨てて放浪の旅へ。
長い、長い旅で心も体も擦り減らし、もはやかつてとは別人のように成り果ててもなお、自らの願いのためにその身を捧げた。
そして、もはやその旅路が終わりに差し掛かった、その時。……青年が決断する事とは。
——
本編最終話には創音さんから頂いた、イラストを掲載しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる