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第29話 エイマル・カラコル1
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2012年2月7日
都内にある古宿区の繁華街。
2人の女性がホストクラブの掲示板を観て
キャンキャン声をあげて悦に浸っていた。
前から目当ての男を品定めするように、
日頃の憂さ晴らしを目的の店でしようという。
「あの○○君って人も素敵じゃない?」
「××君も良いじゃん、控えめなカンジで」
「ま~た、目立たない男モチアゲ?
あんた、男のツボを突くのがうまいしねー。
マジでダマシも巧いしー」
「学園でもセイソ通してるから。
うっさく言われないし、男ウケしやすいから。
時代よ、ジダイ」
応接してくれる男探しに躍起。
そこの店は個室での接待を利用した会員制で、
邪魔の入らない空間を売りにする評判されている店だ。
人気のある男程、指名するのに時間がかかるものの、
順番待ちの末に運よく予約に成功。
予定時間に合わせて2人は当店に赴いた。
「チョーキンチョーしちゃうわ!
あ、ドアが濡れてるわね、手入れしてんの?」
「んなもん気にすんなっての!
パラダイスはもう目前よ、これまでの苦労がやっと。
時間すぎちゃう、彼らはもう待ってるわ」
「こんばんはー、○○く――!?」
出迎えの言葉がない。
当人達はソファーに座っているのだが、無反応。
最初は何かのパフォーマンスと思っていたが、
ドアの側から観ていても変化はない。
少し人という形がおかしいのに気付いて正面に回ると、
そこにいたのは頭部が無くなった男達の姿だった。
「ギャアアアァァ!?」
1時間後、警察及び鑑識課が部屋を調べる。
同行していたのは若きエージェント、カロリーナ。
猟奇殺人として傍らに悪魔の線を疑い、
特殊捜索係でやって来た。
「ずいぶんと丁寧に持っていったもんだわ。
店員全員の指紋は取らせたの?」
「はい、ですが現場には清掃後で指紋もなく、
従業員以外出入りした形跡がありませんでした」
今回犠牲となったのは2人のホストクラブ定員。
綺麗に切り取られた首は金属物による線を
切り離すようなものとは異なる見識であった。
レーザーで切断したと思わせるくらいに精密なメスに
思わせるが、詳しい道具が何かまでは判明できず。
ACの力を借りて起こした犯行なのはすぐに目星がつく。
通常の鑑識では手に負えないものはすぐさま
専門家にお呼びがかかるまで時間をかけなかった。
「目撃者は?」
「すでに署の方で聞き取りされています。
現場に長居したくないと、場所を移しました」
「そう、あたしも現場検証を先にする。
この遺体、普通の切り方じゃないわね」
「切断面が溶解した様な状態で、工具の可能性が低く。
ナイフやノコギリの類ではないと断定できます」
(男ばかり狙い、頭だけを持ちさってゆく。どんな動機で?)
自分は明らかに通常の事件ではないと察知。
実はこの事件、以前から同じ手口の犯行がすでに発生。
各地の店でホストクラブの従業員ばかりを狙った
首取り事件が相次いで起きていた。
今まで見てきたからもはや常識、可能性として
部屋内で襲われた事だけは理解できたのだが。
「ドアに何か付着していた形跡だけはあります」
「なに、この液体?」
溶液の類だと推測されるが、詳細は不明。
薬品を用いた犯行にしては用途が分からずに
手掛かりが困難な状況を表していた。
刑事も答えを明かせられる者はいない。
人の介入できそうな要素はあまり見受けられなかった。
自分がここに来たからには、
悪魔の仕業と判断した上での参上。
最も喧騒な場に対する都心部で静かに発生。
眠らない街で発生したあまりにも異質な事件は
あっという間に歓楽街に知れ渡り、
風営法に響く者達へ恐怖を伝わらせてゆく。
一方で科警研にいるマーガレットも検証し、
呼び出した聖夜と共に事件の詳細に書類で目を通していた。
見れば見るほど事件性の解明から遠ざかるような感じだ。
というのは“襲われた感”のなさ。
不審点は争った形跡がほとんどないという。
「被害者の抵抗感もないように切断ね・・・
首以外に傷がまったくなく、」
「脚をかけながらソファーに座った状態で発見、
客人を待っていた様な状態で首だけが消えた」
と、報告書に書かれている。
周囲にも解体でありがちな血は飛び散っていなかった。
あたかも居眠りした最中にスパッと持っていかれた
状況としか思えずに遺体は置かれたままだ。
「店の周囲も都民が多く歩いていたけど、
個室制度で、店員と客だけが一室内で邪魔もなく
楽しむように設計されていた。
中に入っていった者は被害者のルーム入室以前は
掃除を施してドアにも手を付けていなかった」
「つまり、見つかるまで被害者や客以外に
誰も部屋に入っていかなかったというわけですか?
目に見えない相手なんて、どうすれば?」
俗にいう密室殺人。
普段なら刑事事件もので警察が担当する分野のはずが、
カロリーナも自身、立件しなければならないと言った。
少しでも物理的性質に違和感が生じれば出張。
ならば、囮捜査をすれば良いと、
怪しげに自分も同行するよう指示する。
「聖夜、アンタも来なさい。
ちょっとやってもらう事あるから」
「え、俺が?」
悪魔の姿もないのに、もう仕事だと腕を引っ張っていく。
警察の脇役である探偵っ子は枠から外れた立場ゆえに、
独自路線の行動をとる事にした。
ちゃっかりと公権は利用して、
店の責任者に話を通して何か企てをしようとする。
しかし、事はそう上手く進められる状態ではなかった。
「オレはヤダ、やりたくなひよおぉぉ!」
連れてこられた気弱なホストクラブの従業員が
泣き叫んで中に入ろうとしない。
同業者が次々と殺害されてすっかりと逃げ腰になり、
捜査協力を拒んだ。
「犯人はホストクラブの店員を狙う傾向がある。
だから、待ち伏せ役として協力して!」
「絶対やらない、ムリ、ムダ、ムカンショオウオ!」
泣きわめいて手伝う素振りも気も見せず。
しまいにはダッシュ逃げ、返事もなく部屋から逃走。
彼の役降りでホスト役は全ていなくなった。
「まったく、プロのクセに・・・」
「「普通、こうなるよな」」
同情できる。
みすみす首を取られるために来る者などいるわけがない。
当てがなくなった今、相応しい代行を呼ぼうにも
候補がいなくなってしまう。
顎に手を当ててカロリーナが何かを言いながら
こっちを見ている。
「代わり、う~ん、代わりになりそうなホストね」
チラッ
「?」
カロリーナは自分をジッと見ている。
この視線の意味は考える間もなく、すぐに判明した。
「俺がホストの代わりに!?」
自分が代行になれという。
犯人をおびき寄せようと自分をホスト代わりに
仕立てて部屋に招き入れる算段を立てるらしい。
学生がこんな仕事をしてて良いのか。
いや、実の仕事じゃないにしろ風営に携わるなんて
学園も姉も許さないはず。
「できるわけないだろ!
家の店だってあるのに、姉が許すはずが――!」
「本当に働けなんて言ってないでしょ!
振りよ、フリ!
星が来るまでアンブッシュしてれば良いの!」
ついでに、本名も変えろと言う。
顔も化粧を施してパッと見、聖夜とすぐに気付かないよう
業界人風のたしなみをして設定。
この世界で個人情報露呈は後々響くらしいと変えさせた。
「源氏名?」
「ここだけ本名変えておくわ。
そうね~、名は・・・白夜!」
「びゃくやぁ!?」
髪や肌が白いから、まんまその名前にしたと言う。
いかにも日の沈まなそうな街だからといって、
自分までそんな命名で過ごせなんて荒唐無稽。
また何かの役をやらされるのかと、気が滅入る。
マーガレット主任に話して内偵させる事が決定した。
という訳で客が来るはずもないのに、店員のフリをして
人なのか悪魔なのか分からない相手を待ち伏せする。
この件はまだ姉にも連絡していないけど、
すぐに終わるだろうと伝えるのを止めた。
いつも不思議に思っていたが、男女を表現する仕事は
どうして社会的に認可されるのか。
淫らとは言わないが、異性間を煽って
お金を出させるやり口は本能からくる感じで、
弱みを突かれる様に単純かつ盲目的に思える。
まるで内側に巣食われた生物がいると聞いた事がある様に、
自身の意思が深層から超えて突き動かさせるだろう。
そういった事件もニュースなど色々とあった。
いざという場合の責任とか対応できるのか、
衝動買いの反動がいつもほったらかしになっている。
都合の良い時だけ自己責任という言葉で壁を作られる。
自分は学生、あくまで分かったつもりになってるだけだが。
それはそうと、ただ座ってるのも退屈なので、
冷蔵庫内にあるココアを飲んで良い許可ももらった。
個人的に冷えている方が好き。
関係ないけど、味については自分はすぐ理解できる。
やる気のなさを甘い物で補給しつつ黒星を待ち続けた。
都内にある古宿区の繁華街。
2人の女性がホストクラブの掲示板を観て
キャンキャン声をあげて悦に浸っていた。
前から目当ての男を品定めするように、
日頃の憂さ晴らしを目的の店でしようという。
「あの○○君って人も素敵じゃない?」
「××君も良いじゃん、控えめなカンジで」
「ま~た、目立たない男モチアゲ?
あんた、男のツボを突くのがうまいしねー。
マジでダマシも巧いしー」
「学園でもセイソ通してるから。
うっさく言われないし、男ウケしやすいから。
時代よ、ジダイ」
応接してくれる男探しに躍起。
そこの店は個室での接待を利用した会員制で、
邪魔の入らない空間を売りにする評判されている店だ。
人気のある男程、指名するのに時間がかかるものの、
順番待ちの末に運よく予約に成功。
予定時間に合わせて2人は当店に赴いた。
「チョーキンチョーしちゃうわ!
あ、ドアが濡れてるわね、手入れしてんの?」
「んなもん気にすんなっての!
パラダイスはもう目前よ、これまでの苦労がやっと。
時間すぎちゃう、彼らはもう待ってるわ」
「こんばんはー、○○く――!?」
出迎えの言葉がない。
当人達はソファーに座っているのだが、無反応。
最初は何かのパフォーマンスと思っていたが、
ドアの側から観ていても変化はない。
少し人という形がおかしいのに気付いて正面に回ると、
そこにいたのは頭部が無くなった男達の姿だった。
「ギャアアアァァ!?」
1時間後、警察及び鑑識課が部屋を調べる。
同行していたのは若きエージェント、カロリーナ。
猟奇殺人として傍らに悪魔の線を疑い、
特殊捜索係でやって来た。
「ずいぶんと丁寧に持っていったもんだわ。
店員全員の指紋は取らせたの?」
「はい、ですが現場には清掃後で指紋もなく、
従業員以外出入りした形跡がありませんでした」
今回犠牲となったのは2人のホストクラブ定員。
綺麗に切り取られた首は金属物による線を
切り離すようなものとは異なる見識であった。
レーザーで切断したと思わせるくらいに精密なメスに
思わせるが、詳しい道具が何かまでは判明できず。
ACの力を借りて起こした犯行なのはすぐに目星がつく。
通常の鑑識では手に負えないものはすぐさま
専門家にお呼びがかかるまで時間をかけなかった。
「目撃者は?」
「すでに署の方で聞き取りされています。
現場に長居したくないと、場所を移しました」
「そう、あたしも現場検証を先にする。
この遺体、普通の切り方じゃないわね」
「切断面が溶解した様な状態で、工具の可能性が低く。
ナイフやノコギリの類ではないと断定できます」
(男ばかり狙い、頭だけを持ちさってゆく。どんな動機で?)
自分は明らかに通常の事件ではないと察知。
実はこの事件、以前から同じ手口の犯行がすでに発生。
各地の店でホストクラブの従業員ばかりを狙った
首取り事件が相次いで起きていた。
今まで見てきたからもはや常識、可能性として
部屋内で襲われた事だけは理解できたのだが。
「ドアに何か付着していた形跡だけはあります」
「なに、この液体?」
溶液の類だと推測されるが、詳細は不明。
薬品を用いた犯行にしては用途が分からずに
手掛かりが困難な状況を表していた。
刑事も答えを明かせられる者はいない。
人の介入できそうな要素はあまり見受けられなかった。
自分がここに来たからには、
悪魔の仕業と判断した上での参上。
最も喧騒な場に対する都心部で静かに発生。
眠らない街で発生したあまりにも異質な事件は
あっという間に歓楽街に知れ渡り、
風営法に響く者達へ恐怖を伝わらせてゆく。
一方で科警研にいるマーガレットも検証し、
呼び出した聖夜と共に事件の詳細に書類で目を通していた。
見れば見るほど事件性の解明から遠ざかるような感じだ。
というのは“襲われた感”のなさ。
不審点は争った形跡がほとんどないという。
「被害者の抵抗感もないように切断ね・・・
首以外に傷がまったくなく、」
「脚をかけながらソファーに座った状態で発見、
客人を待っていた様な状態で首だけが消えた」
と、報告書に書かれている。
周囲にも解体でありがちな血は飛び散っていなかった。
あたかも居眠りした最中にスパッと持っていかれた
状況としか思えずに遺体は置かれたままだ。
「店の周囲も都民が多く歩いていたけど、
個室制度で、店員と客だけが一室内で邪魔もなく
楽しむように設計されていた。
中に入っていった者は被害者のルーム入室以前は
掃除を施してドアにも手を付けていなかった」
「つまり、見つかるまで被害者や客以外に
誰も部屋に入っていかなかったというわけですか?
目に見えない相手なんて、どうすれば?」
俗にいう密室殺人。
普段なら刑事事件もので警察が担当する分野のはずが、
カロリーナも自身、立件しなければならないと言った。
少しでも物理的性質に違和感が生じれば出張。
ならば、囮捜査をすれば良いと、
怪しげに自分も同行するよう指示する。
「聖夜、アンタも来なさい。
ちょっとやってもらう事あるから」
「え、俺が?」
悪魔の姿もないのに、もう仕事だと腕を引っ張っていく。
警察の脇役である探偵っ子は枠から外れた立場ゆえに、
独自路線の行動をとる事にした。
ちゃっかりと公権は利用して、
店の責任者に話を通して何か企てをしようとする。
しかし、事はそう上手く進められる状態ではなかった。
「オレはヤダ、やりたくなひよおぉぉ!」
連れてこられた気弱なホストクラブの従業員が
泣き叫んで中に入ろうとしない。
同業者が次々と殺害されてすっかりと逃げ腰になり、
捜査協力を拒んだ。
「犯人はホストクラブの店員を狙う傾向がある。
だから、待ち伏せ役として協力して!」
「絶対やらない、ムリ、ムダ、ムカンショオウオ!」
泣きわめいて手伝う素振りも気も見せず。
しまいにはダッシュ逃げ、返事もなく部屋から逃走。
彼の役降りでホスト役は全ていなくなった。
「まったく、プロのクセに・・・」
「「普通、こうなるよな」」
同情できる。
みすみす首を取られるために来る者などいるわけがない。
当てがなくなった今、相応しい代行を呼ぼうにも
候補がいなくなってしまう。
顎に手を当ててカロリーナが何かを言いながら
こっちを見ている。
「代わり、う~ん、代わりになりそうなホストね」
チラッ
「?」
カロリーナは自分をジッと見ている。
この視線の意味は考える間もなく、すぐに判明した。
「俺がホストの代わりに!?」
自分が代行になれという。
犯人をおびき寄せようと自分をホスト代わりに
仕立てて部屋に招き入れる算段を立てるらしい。
学生がこんな仕事をしてて良いのか。
いや、実の仕事じゃないにしろ風営に携わるなんて
学園も姉も許さないはず。
「できるわけないだろ!
家の店だってあるのに、姉が許すはずが――!」
「本当に働けなんて言ってないでしょ!
振りよ、フリ!
星が来るまでアンブッシュしてれば良いの!」
ついでに、本名も変えろと言う。
顔も化粧を施してパッと見、聖夜とすぐに気付かないよう
業界人風のたしなみをして設定。
この世界で個人情報露呈は後々響くらしいと変えさせた。
「源氏名?」
「ここだけ本名変えておくわ。
そうね~、名は・・・白夜!」
「びゃくやぁ!?」
髪や肌が白いから、まんまその名前にしたと言う。
いかにも日の沈まなそうな街だからといって、
自分までそんな命名で過ごせなんて荒唐無稽。
また何かの役をやらされるのかと、気が滅入る。
マーガレット主任に話して内偵させる事が決定した。
という訳で客が来るはずもないのに、店員のフリをして
人なのか悪魔なのか分からない相手を待ち伏せする。
この件はまだ姉にも連絡していないけど、
すぐに終わるだろうと伝えるのを止めた。
いつも不思議に思っていたが、男女を表現する仕事は
どうして社会的に認可されるのか。
淫らとは言わないが、異性間を煽って
お金を出させるやり口は本能からくる感じで、
弱みを突かれる様に単純かつ盲目的に思える。
まるで内側に巣食われた生物がいると聞いた事がある様に、
自身の意思が深層から超えて突き動かさせるだろう。
そういった事件もニュースなど色々とあった。
いざという場合の責任とか対応できるのか、
衝動買いの反動がいつもほったらかしになっている。
都合の良い時だけ自己責任という言葉で壁を作られる。
自分は学生、あくまで分かったつもりになってるだけだが。
それはそうと、ただ座ってるのも退屈なので、
冷蔵庫内にあるココアを飲んで良い許可ももらった。
個人的に冷えている方が好き。
関係ないけど、味については自分はすぐ理解できる。
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