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第23話 光陰晶の如し
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「結果は?」
「「黒でした。
ACは所持しておりませんでしたが、
能力発動時の音声を流していた形跡からして
サブリミナル効果を狙ったかと思われます」」
警視庁最上階の応接室に2人の関係者達がいる。
高橋増尾がマーガレットとTV局の件について
電話で報告を聞き、結晶の様を確認していた。
アクアマリンは所持していなかったものの、
英津玄米の能力音を公開した事で逮捕に踏み込んだ。
きっかけは男の机にかけてあったブラシ。
あれは研磨用で、硬い物を磨くために
使用するものであった。
手口は単純ながら放送の音波をACに力で流すのみで、
プロデューサーの動機はただ、視聴率を稼ぎたかっただけ。
しかし、どこから入手したのかまでは言わなかった。
「犯行声明の形を変えたメッセージか。
星の入手先はまだ判明できないのか?」
「「容疑者は拾ったとしか供述しておりません。
利用目的はあくまでも運営のためだけのようで、
オリハルコンオーダーズとの接点は不明です」」
「星とACとの適性を考慮しても偶然の範囲か?
偶然の拾い物で、職業と重なる能力を
発揮できたわけではあるまい」
「「都庁による流出元を見当していましたが、
地上で回収してきた物と同類のタイプは
未だに発見されてなく、結論は出ておりません」」
「第3者から直に譲り受けたと推測するべきか。
芸能人も薬物のようにACの影響が現れた」
「「個人的見解ですが、武力行使以外の方法でなら
広告、宣伝的な手口もありえるでしょう。
オリハルコンオーダーズがメディアを利用して
賛同者を集めようとする可能性もあります」」
「まるで宗教だな。
強引な追及は気取られる・・・出戻りだな」
主任の考察に、自分も勢力がけしかけそうな手段の一手に
納得できると可能性の範囲に収める。
本当に拾っただけなのかもしれないが、
安易な見解を出すことはできなかった。
「御手洗の件は一度寝かせておく。
こちらは引き続き、メディアの身辺調査を。
主任はルーキーのサポートも同様に続行するように」
「「了解しました」」
高橋増尾は各交番に厳重にするよう指示。
晃京外周と都庁は自衛隊が取り締まり、
警察は遊軍の様に公共施設や路上に目を光らせ、
悪魔の出現位置をなるべく洗い出すよう下した。
側にいる1人の部下が気遣うように増尾へ休憩を促した。
「警視総監?」
「分かっている、一息つかせてもらおう」
話の内容も聞かずに了解。
阿吽の呼吸で近くのテーブルに座る。
部下は内心、顔をぶらせないようにしながら思う。
53歳で警察の長の顔触れでは比較的に若く、
元自衛隊で他のキャリアを押しのけて
就いたくらいだけあり、人事管理の慣例も
実践の成績を当てにするもんだと感慨深くなる。
そんな彼も、悪魔の対処など慣れない仕事を家にも帰らず
成さなくてはならないので、普通なら眩暈を起こすもの。
疲れの苦しさを小突いて憤慨されないように
慎重に言葉を選び、心境を聞き出した。
「状況は打破できそうでしょうか?」
「何だね?」
「い、いえ。
悪魔というよりは人との関わりの方が」
「悪魔討伐は自衛隊や高校生の彼らが携わる。
対する我々は事件を未然に防ぐ役割をもつべきだ。
ただ1つ、統治者としては決断する事も要因だが、
単に見て回るという実働部隊だ。
伊達に“お巡りさん”と通称をもっていないだろう」
「監視・・・のようなものですか?」
「そうだ、目を見張る事。
事前に察知できる能力が求められるのは
どこの組織も同じだが、外見の変わらぬ人に対して。
取り締まりをこなすのはここしかない」
そう発言するのはもちろん、過去の経験による。
人間の悪魔と直に眼に焼き付けてきたからこそ、
身成りに囚われない意思を保ち続けた。
自分は眼鏡をかけ直して当時の様子を語り、
素直に当時の状況を話し始めた。
「私のいた部隊は230人。
命の再結束のためにいたようなものだった」
縦浜区の街を防衛していた私の部隊は重要区画で
他よりも多くの兵を待機させていた。
テロリストが直に攻めてきた海岸側の交戦で
他の部隊が50、80人と失い、
2部隊が大きな打撃を受けてしまい、
救援にと70、50人をそれぞれ分けて送った。
残る110人で態勢を整えていたが、
送ったタンク設置方から10人帰還。
居住区には大きな損害もなく、120人生存で終わった。
「ただ、リソースの分配を誤ってしまった。
あれは完全な私のミス。
応援の少ない方面を突かれて狙われてしまったんだ」
ただ、功績としては称えられたものの、
自衛隊の素質は自身に見込みなしと悟り、
武田に任せて警察官僚に異動。
そして、今になって再び脅威がやってきた。
自分は結晶の構造にも違和感をもっている。
都庁全体を覆うわけでなく、上層階のみ固めたのも
理由があると推測した。
「悪魔達は都庁が国の重要施設と知っていた?
そして何故、結晶なのか?
仮に本当に異世界から来たにしても、不審点もある」
「同感です、悪魔を放出しながらも
晃京を全て破壊するような素振りもなく、
都民が平然と歩き回る現状で奴らが侵略する
引き金とは限らないというわけでしょうか?」
「おそらく、単なる侵略行為ではないだろう。
あの結晶は国の支配だけなく、
私怨的な何かがあの中に込められている。
蒔村都知事は何をしているのだろうか。
寄せ付けない硬き殻の中で。
根拠は不明ながら、私はそう考えている」
警視総監としての見解だと思うが、
本人ならではの経験則が混じるような内容。
部下は増尾の顔をさり気なく見ると、
都庁への視線が向けられたままだった。
「「黒でした。
ACは所持しておりませんでしたが、
能力発動時の音声を流していた形跡からして
サブリミナル効果を狙ったかと思われます」」
警視庁最上階の応接室に2人の関係者達がいる。
高橋増尾がマーガレットとTV局の件について
電話で報告を聞き、結晶の様を確認していた。
アクアマリンは所持していなかったものの、
英津玄米の能力音を公開した事で逮捕に踏み込んだ。
きっかけは男の机にかけてあったブラシ。
あれは研磨用で、硬い物を磨くために
使用するものであった。
手口は単純ながら放送の音波をACに力で流すのみで、
プロデューサーの動機はただ、視聴率を稼ぎたかっただけ。
しかし、どこから入手したのかまでは言わなかった。
「犯行声明の形を変えたメッセージか。
星の入手先はまだ判明できないのか?」
「「容疑者は拾ったとしか供述しておりません。
利用目的はあくまでも運営のためだけのようで、
オリハルコンオーダーズとの接点は不明です」」
「星とACとの適性を考慮しても偶然の範囲か?
偶然の拾い物で、職業と重なる能力を
発揮できたわけではあるまい」
「「都庁による流出元を見当していましたが、
地上で回収してきた物と同類のタイプは
未だに発見されてなく、結論は出ておりません」」
「第3者から直に譲り受けたと推測するべきか。
芸能人も薬物のようにACの影響が現れた」
「「個人的見解ですが、武力行使以外の方法でなら
広告、宣伝的な手口もありえるでしょう。
オリハルコンオーダーズがメディアを利用して
賛同者を集めようとする可能性もあります」」
「まるで宗教だな。
強引な追及は気取られる・・・出戻りだな」
主任の考察に、自分も勢力がけしかけそうな手段の一手に
納得できると可能性の範囲に収める。
本当に拾っただけなのかもしれないが、
安易な見解を出すことはできなかった。
「御手洗の件は一度寝かせておく。
こちらは引き続き、メディアの身辺調査を。
主任はルーキーのサポートも同様に続行するように」
「「了解しました」」
高橋増尾は各交番に厳重にするよう指示。
晃京外周と都庁は自衛隊が取り締まり、
警察は遊軍の様に公共施設や路上に目を光らせ、
悪魔の出現位置をなるべく洗い出すよう下した。
側にいる1人の部下が気遣うように増尾へ休憩を促した。
「警視総監?」
「分かっている、一息つかせてもらおう」
話の内容も聞かずに了解。
阿吽の呼吸で近くのテーブルに座る。
部下は内心、顔をぶらせないようにしながら思う。
53歳で警察の長の顔触れでは比較的に若く、
元自衛隊で他のキャリアを押しのけて
就いたくらいだけあり、人事管理の慣例も
実践の成績を当てにするもんだと感慨深くなる。
そんな彼も、悪魔の対処など慣れない仕事を家にも帰らず
成さなくてはならないので、普通なら眩暈を起こすもの。
疲れの苦しさを小突いて憤慨されないように
慎重に言葉を選び、心境を聞き出した。
「状況は打破できそうでしょうか?」
「何だね?」
「い、いえ。
悪魔というよりは人との関わりの方が」
「悪魔討伐は自衛隊や高校生の彼らが携わる。
対する我々は事件を未然に防ぐ役割をもつべきだ。
ただ1つ、統治者としては決断する事も要因だが、
単に見て回るという実働部隊だ。
伊達に“お巡りさん”と通称をもっていないだろう」
「監視・・・のようなものですか?」
「そうだ、目を見張る事。
事前に察知できる能力が求められるのは
どこの組織も同じだが、外見の変わらぬ人に対して。
取り締まりをこなすのはここしかない」
そう発言するのはもちろん、過去の経験による。
人間の悪魔と直に眼に焼き付けてきたからこそ、
身成りに囚われない意思を保ち続けた。
自分は眼鏡をかけ直して当時の様子を語り、
素直に当時の状況を話し始めた。
「私のいた部隊は230人。
命の再結束のためにいたようなものだった」
縦浜区の街を防衛していた私の部隊は重要区画で
他よりも多くの兵を待機させていた。
テロリストが直に攻めてきた海岸側の交戦で
他の部隊が50、80人と失い、
2部隊が大きな打撃を受けてしまい、
救援にと70、50人をそれぞれ分けて送った。
残る110人で態勢を整えていたが、
送ったタンク設置方から10人帰還。
居住区には大きな損害もなく、120人生存で終わった。
「ただ、リソースの分配を誤ってしまった。
あれは完全な私のミス。
応援の少ない方面を突かれて狙われてしまったんだ」
ただ、功績としては称えられたものの、
自衛隊の素質は自身に見込みなしと悟り、
武田に任せて警察官僚に異動。
そして、今になって再び脅威がやってきた。
自分は結晶の構造にも違和感をもっている。
都庁全体を覆うわけでなく、上層階のみ固めたのも
理由があると推測した。
「悪魔達は都庁が国の重要施設と知っていた?
そして何故、結晶なのか?
仮に本当に異世界から来たにしても、不審点もある」
「同感です、悪魔を放出しながらも
晃京を全て破壊するような素振りもなく、
都民が平然と歩き回る現状で奴らが侵略する
引き金とは限らないというわけでしょうか?」
「おそらく、単なる侵略行為ではないだろう。
あの結晶は国の支配だけなく、
私怨的な何かがあの中に込められている。
蒔村都知事は何をしているのだろうか。
寄せ付けない硬き殻の中で。
根拠は不明ながら、私はそう考えている」
警視総監としての見解だと思うが、
本人ならではの経験則が混じるような内容。
部下は増尾の顔をさり気なく見ると、
都庁への視線が向けられたままだった。
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