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第11話 蝕みの剣
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タコ型悪魔を討伐し、無事に目的のACを手に入れた。
今回は人から変化したのではなく、
ACから直に出現したようで抵抗感なく対処できた。
見た感じだと変な色の動物と戦ったイメージ。
トラだったりタコだったりと地球にいるような
生物と似ていて、馴染みのある感も否定できない。
「こいつらって、どこから来たんだ?」
「別世界から、と言うしかないわ。
地球にはいないんだから、他のどこかからでしょ」
ACは何かを通して媒介する役割だと聞いた。
そして、沫刃も怪物に変身した。
悪魔は人体すらも覆う力をもつ。
過去の有権者達は侵略、支配、野心をもちながら
常識を超えた異物を扱ってきたのだと。
時代を経ても、取り入れるのを止めようとしない。
今度は晃京から。
自分も異界との出会い、1つの交わりを経験した。
騒ぎが公になる前に公園を後にする。
科警研に戻った。
仕事を達成して目的のACをわたす。
いつも“持ち帰ってこい”という指示は受けているが、
現に何に利用するのかまで聞いていない。
自分は結晶を手に入れて、あの都庁に挑むための
能力を備える必要があるというが。
「主任、このACは何の利用を?」
「剣」
「え?」
「鋭利な刃をもつ長剣よ!
ACを別の形に変えて扱うの。
悪魔にダメージを与える方法は似た性質のもので
何よりここの都合を考えて決めているから」
なんと、直接的な武器に変えると言う。
悪魔討伐に使うのが目的なのだろうが、
刃物というストレートな装備なのも、また実直だ。
ところが、警察関係者が扱うとは言っていない。
ここの都合の意味がどこの事か、周囲は不在。
とりあえず使用者はここにいる男だけとなる。
「警察はこんなモノ扱えないわよ。
公用でこんなの振り回せば、大クレームだわ」
「公用じゃない・・・て事はまさか――!?」
「そのまさか、使うのはあんた。
フェンシングやってた経歴もあったから、
体感で損なわないよう造ってあげたのよ」
「俺の武器の作成のために行かせてたのか!?」
自分がフェンシングをやっていた理由で剣状にしたと言う。
主任の言う通り、鋭い物の扱いは得意とする。
少年の部では全国大会に出場した経験もあるから、
手前でのやりとりは多少の覚えがあった。
まさか、自分の事で回収作業をさせていたとは
予想できないけど。
「そうよ、あたしは剣道が好きなの。
武士道を装備に活かせないか思考してるのよ」
「武士道って・・・」
主任は個人的な事情でも剣を製造した。
理由はサムライが好きだから。
自身の趣向を仕事に混ぜて自分に任せているとは。
そんな代物を学生なんかに持たせて良いのか。
確かに銃とは違って他人に当たりにくいし、
こっそり忍ばせておけば怪しまれないだろう。
近接戦闘として担当する事になるようだ。
剣は金属性。結晶という近い質からまた何かの効果を
付与して悪魔という特別な存在に影響をもたらすのか。
廊下の長椅子に座り続け、しばらく時を待ち続けた。
「一丁あがりいいぃ!」
2時間後、主任の完成言語が聴こえる。
剣って、こんなに早く出来上がるとは思えないけど、
今までが現実離れしてるので、もう考えないでおく。
科警研の一主任にしてはノリノリだ。
普通なら銃刀法違反で即御用になる得物を
自分に造ってくれるなんてありえない。
「名は毒剣クラーレ。
無粋なる神経を省みる剣。
特別に帯刀を許可してあげる、どう?」
「あ、ありがとうございます・・・」
すごい代物だ。
タコの模様、深緑色の理由はそれだった。
逸物だが、立場のある者から直々にもらうのだから
断る道理、権利はない。
差し出してきたものを手にした。
(俺の・・・新しい武器)
刃渡りは約80cm。
ACの名はファルマカンシダラァト。
毒鉄鉱とよばれる鉱石が怪物を召喚したらしい。
深緑のロングソードを手にして人のいない所で振る。
銀ナイフよりも長く、リーチもあるがそれだけでない。
毒の効果をもち、悪魔といえど肉体をもつモノなら
神経的ダメージを与えられる。
柄を握ってみると金属らしき硬さをもち、
どことなく軽くて持ちやすい雰囲気もある。
意外にもフィットするような感覚で、
最初の銀ナイフより使い勝手が良さそうだ。
「確かに、とても良く出来ています」
「私も少し試してみたけど、手に持つ感覚は同じね。
毒効果は発現できなかったけど、あんたに宿る
適性で追加効果が生じるはずよ」
ミッチリと染み込んだ毒々しい緑は目で見ても
刃の表面を光が反射しにくい様に塞いでゆく。
これが自分の得物。
第1の剣を与えられた結晶という刃で悪魔に斬りかかる。
「まだ詳しく胸に入れないけど、
俺はこういった物で退治していけば良いんですね」
「ただ、責任も重くなる。
銃刀法に接触する界隈にいるんだから、
覚悟をもってちょうだい」
「・・・・・・はい」
もちろん制約付きとしての帯刀だった。
やはり、主任の言葉は現実的に返る。
力は管理として籠目に抑えられ、
無保証に自由を与えないのが警察なのである。
今回は人から変化したのではなく、
ACから直に出現したようで抵抗感なく対処できた。
見た感じだと変な色の動物と戦ったイメージ。
トラだったりタコだったりと地球にいるような
生物と似ていて、馴染みのある感も否定できない。
「こいつらって、どこから来たんだ?」
「別世界から、と言うしかないわ。
地球にはいないんだから、他のどこかからでしょ」
ACは何かを通して媒介する役割だと聞いた。
そして、沫刃も怪物に変身した。
悪魔は人体すらも覆う力をもつ。
過去の有権者達は侵略、支配、野心をもちながら
常識を超えた異物を扱ってきたのだと。
時代を経ても、取り入れるのを止めようとしない。
今度は晃京から。
自分も異界との出会い、1つの交わりを経験した。
騒ぎが公になる前に公園を後にする。
科警研に戻った。
仕事を達成して目的のACをわたす。
いつも“持ち帰ってこい”という指示は受けているが、
現に何に利用するのかまで聞いていない。
自分は結晶を手に入れて、あの都庁に挑むための
能力を備える必要があるというが。
「主任、このACは何の利用を?」
「剣」
「え?」
「鋭利な刃をもつ長剣よ!
ACを別の形に変えて扱うの。
悪魔にダメージを与える方法は似た性質のもので
何よりここの都合を考えて決めているから」
なんと、直接的な武器に変えると言う。
悪魔討伐に使うのが目的なのだろうが、
刃物というストレートな装備なのも、また実直だ。
ところが、警察関係者が扱うとは言っていない。
ここの都合の意味がどこの事か、周囲は不在。
とりあえず使用者はここにいる男だけとなる。
「警察はこんなモノ扱えないわよ。
公用でこんなの振り回せば、大クレームだわ」
「公用じゃない・・・て事はまさか――!?」
「そのまさか、使うのはあんた。
フェンシングやってた経歴もあったから、
体感で損なわないよう造ってあげたのよ」
「俺の武器の作成のために行かせてたのか!?」
自分がフェンシングをやっていた理由で剣状にしたと言う。
主任の言う通り、鋭い物の扱いは得意とする。
少年の部では全国大会に出場した経験もあるから、
手前でのやりとりは多少の覚えがあった。
まさか、自分の事で回収作業をさせていたとは
予想できないけど。
「そうよ、あたしは剣道が好きなの。
武士道を装備に活かせないか思考してるのよ」
「武士道って・・・」
主任は個人的な事情でも剣を製造した。
理由はサムライが好きだから。
自身の趣向を仕事に混ぜて自分に任せているとは。
そんな代物を学生なんかに持たせて良いのか。
確かに銃とは違って他人に当たりにくいし、
こっそり忍ばせておけば怪しまれないだろう。
近接戦闘として担当する事になるようだ。
剣は金属性。結晶という近い質からまた何かの効果を
付与して悪魔という特別な存在に影響をもたらすのか。
廊下の長椅子に座り続け、しばらく時を待ち続けた。
「一丁あがりいいぃ!」
2時間後、主任の完成言語が聴こえる。
剣って、こんなに早く出来上がるとは思えないけど、
今までが現実離れしてるので、もう考えないでおく。
科警研の一主任にしてはノリノリだ。
普通なら銃刀法違反で即御用になる得物を
自分に造ってくれるなんてありえない。
「名は毒剣クラーレ。
無粋なる神経を省みる剣。
特別に帯刀を許可してあげる、どう?」
「あ、ありがとうございます・・・」
すごい代物だ。
タコの模様、深緑色の理由はそれだった。
逸物だが、立場のある者から直々にもらうのだから
断る道理、権利はない。
差し出してきたものを手にした。
(俺の・・・新しい武器)
刃渡りは約80cm。
ACの名はファルマカンシダラァト。
毒鉄鉱とよばれる鉱石が怪物を召喚したらしい。
深緑のロングソードを手にして人のいない所で振る。
銀ナイフよりも長く、リーチもあるがそれだけでない。
毒の効果をもち、悪魔といえど肉体をもつモノなら
神経的ダメージを与えられる。
柄を握ってみると金属らしき硬さをもち、
どことなく軽くて持ちやすい雰囲気もある。
意外にもフィットするような感覚で、
最初の銀ナイフより使い勝手が良さそうだ。
「確かに、とても良く出来ています」
「私も少し試してみたけど、手に持つ感覚は同じね。
毒効果は発現できなかったけど、あんたに宿る
適性で追加効果が生じるはずよ」
ミッチリと染み込んだ毒々しい緑は目で見ても
刃の表面を光が反射しにくい様に塞いでゆく。
これが自分の得物。
第1の剣を与えられた結晶という刃で悪魔に斬りかかる。
「まだ詳しく胸に入れないけど、
俺はこういった物で退治していけば良いんですね」
「ただ、責任も重くなる。
銃刀法に接触する界隈にいるんだから、
覚悟をもってちょうだい」
「・・・・・・はい」
もちろん制約付きとしての帯刀だった。
やはり、主任の言葉は現実的に返る。
力は管理として籠目に抑えられ、
無保証に自由を与えないのが警察なのである。
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