Crystal of Latir

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     結晶の従者3

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 厘香の家の事項はある程度に収め終えた。
まさか、警察まで自分と加担するとは思わなかったが、
話はまだ小さくないと思い知らされる。
最後はカロリーナの家でミーティング。
家、というよりは施設。
街の真っただ中にある医療関係の場所だった。

「というか、なんで病院?」
「「あたしの組織の関係者がそこだから。
  それにあんまり大声で言えないけど、
  ACに詳しい人がいるわ」」
「病院でも魔法を使っているのか」

聖オルガニック病院。
都内にある大きな病院の1つが関係するという。
彼女の方面は医学関係なのか、
ACは医者が管理する組織に身を置いていると言った。
入口に入り、人が多く混雑している間を抜けて
受付をスルーして近くにいる女性の医者に声をかけた。


「リリア先生!」
「カロリーナちゃん?」

 主治医の1人であるリリアという女医師と会う。
黒髪ロングで若い割には高ポジションの立場で、
よっぽど才能ありそうな人だ。
この人がカロリーナの面倒見をする役で、
自分に指示役するようだ。
病院という“いやし”がAC、結晶と
何の関わりがあるか分からないけど、悪魔とは
付かず離れずな取り扱いもやってるようだ。
やはり職業らしい発言から始まる。

「そうだ、あなたも献血してみない?
 今は、AB型が足りなくって」
「いえ、私は今ちょっと・・・」

厘香に献血を進めてきたが断る。
ここに来たのはカロリーナとACについてだから、
あんまり余計な事をしている場合ではない。
そして、肝心の話をしなければならないので
ロビーから一室へ移り、ミーティングを始めた。

「だから、お前はヨーロッパから越してきたんだな」
「そう、あたしは日本生まれじゃない。
 ACの件でこっちに来た」
「ここオルガニックはACの研究に携わっているけど、
 医者という立場でただでさえ忙しいから、
 カロリーナちゃんに手伝ってもらってるの」

医療もそこかしこにACが用いられていた。
リリア先生にとっては献血もそうだが、
結晶の扱いについては重病者などへの手当て、治療で
利用しているらしい。
医学とは関係のない自分の役割は何かと聞く。
話によると、一部のACが必要だという。

「水分を含む性質の鉱石ですか?」
「そのACもちょっと条件があるの。
 赤と青系のタイプを回収してくれないかしら?」
「色付き、ですか?」

こちらはずいぶんと変わった要求だった。
さらに色付き限定といった要求もあってややこしい。
理由はよく飲み込めないが、とにかく要るという。
今まではカロリーナだけで動いていたけど、
協力するのがここの組織の頼みだ。
しかし、悪魔が発生したばかりでそれ程多くの
ACが見つかるのか不可解なところもある。

「悪魔がACから出てきたのは分かったけど、
 そんなにたくさんあるものなのか?
 宝石って貴重だから少ないと思うけど」
「晃京に散らばった総数はまだ不明だけど、
 元手は最低でも10000を超えるらしいわ。
 で、あたしが病院外にも回って調査してたってわけ。
 アンタは手分けしてくれれば良いだけ」
「そりゃ大変だ。
 得体の知れない化け物が万を超えるって事だから。
 輸血も足らないらしいですが?」
「都心は他県から輸入に頼っているのが現状で。
 そんな矢先に悪魔が現れてしまったの。
 怪我人が多くなっちゃって・・・
 それで効率よく都内から求人募集もしてるの」
「なるほど、食料だけでなく医療品も減ったら
 都民にとって大打撃を受けるから」

患者をうるおわせるためのAC、
赤と青のACを優先して探せ。
それがオルガニックから出された要望だった。
もちろん、どこに何があるのかまでは不明。
これからマナや厘香と共に調べなければならず、
専門的機関にも立ち寄らなければならない。
学生の集まりだけでどうこうこなせる
問題ではなかった。
カロリーナはどこかと通信している。

「たった今入った情報によると、自衛隊と警察が
 宝石、貴金属の没収に回るんだって。
 本格的なガサ入れが始まるわ」
「ACが混ざってないか調べるためか」
「エドワード先生もヨーロッパより来日するって。
 晃京もしばらくがなくなるんじゃない?」
「またそんな冗談を・・・」

院長を務めるエドワード・エルジェーベト先生も
来るらしい。彼もACに覚えがある人のようで、
到着してからサポートしてくれるらしい。
警察、自衛隊、病院と、悪魔対策の組織は
表と裏で活動するのであった。

「と、まあこんな感じよ。
 あたし達の事、分かった?」
「なんというか、幅の広い展開になってきたな」

3人それぞれの事情も、決して低くないハードルを
都会の陰で密かに持ち続ける。
4人目となる自分が参加して効率を上げさせようとした。
次第に大きくなる規模に萎縮いしゅくしがちだ。

「けっこう、大きな話でしょ?
 一度宿した適性は絶対に外す事なんてできない。
 人と結晶は無関係で離れてなく、接し続けているわ。
 だから、アンタは使命をもってやんなきゃならないの」
「晃京は今、何かが底でうごめいている。
 どうしても聖夜君の力が必要なの」
「でも、心配しないで。解決の道は1人だけじゃない。
 私達が付いてあげるから・・・」
「あ、ああ」

案内の案内を兼ねていく内に、
すっかりと取り込まれる様な雰囲気を覚えた。
以上をもって、3人の打ち合わせは終了。
自分にできるのは各地を回って取りに行く。
銀ナイフもまだ借りたまま。
まだ実感の内にも入れない色探しに、胸が治まれずにいた。
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