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1章 トウキョウ編
ロールシャッハ2
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トーマス主任から教えてもらった暗号文によって人の意思疎通を
監視者から目を付けられずにやりとりする事ができた。
既存の字や数をさもオリジナルのように変換して身近な者だけに通じる
方法はあたかも切り離された世界で構築されたもの。
始まりの祖先とばかり、まるで意識のカゴから放たれた感じに思えた。
ホントに言葉というものは不思議だ。
表示、表現1つ変えるだけで解釈とか意味を読み取られずに
すり抜けて目的の相手に対してだけ伝えてゆく。
(プログラミングコードとかもそうだけど、
何かの羅列って限定を連続させたものなんだね)
伝わらせるのは文字に限ったわけじゃないけど、行動原理を細かく
複数に分けて選択、分別できるもんだからAIみたいに筋道を立てて
ある界隈をまとめる様に形成されていると思う。
言葉で表しにくいけど、何かを内側に入れて何かを外側に出したりして
必要な物事だけを通そうとする。そして、相手も選んでスッと意味を
伸ばせていくから脳どうしの伝達はまさに回路と同等だろう。
100年前までは画数のやたら多い文字もあったくらいだから、
昔の人も相当想像力があったのかもしれない。
削られて3種類だけシンプルになった理由はよく分からないけど。
ある意味、神の術と言っても良いかもしれない。
上手くいけば芋ヅル式に引用できて上層部に入ってから新規格の暗号とか
AUROなどに組み込んで作れば認められるかもしれない。
是非とも身内だけで浸透させて個人的ネットワークとして築いていこう。
こうして、ボクは他のメンバー達にメールで伝えていく。
もちろん口頭で教えるわけにはいかないから電子世界より伝授、
新言語を駆使した会話で人事異動をさり気なく書いてみた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
ヒデキング:という訳で、ボクは遠き理想郷へ行く事になった
諸君、後は任せたぞ
アッカンベータ:草不可避
アルンアルファ:具体的な内容を示してくれたまえ
ヒデキング:大いなる無機物の創造をしなくてはならなくなった
だから、ここから去るかもしれない
デカビンタC:いつものヒデキング節
ピンクロボチャン:大いなるって、まるでライオットギアしか
思い浮かばないね
ヒデキング:そのライオットギアもこれから改良して
いかないとダメらしいんだ
これも栄えあるトウキョウのため
デカビンタC:ギアも良いけど、部署の男女比考えてくれ
機械に携わる女が少ないんだよ
アルンアルファ:基本的に女性は農業へ行くのが大半だからね
中層から割合的に少なくなる傾向
でも、上層部にそんな方がいるね
ヒデキング:個人的、アメリア副司令官も中々美人だと思うよ
中層~上層の部署でもTOPクラスだと思う
アッカンベータ:男の会話よね、ギアの話に戻してよ
ピンクロボチャン:ははは
デカビンタC:聞いた話だけど、またトウキョウに新型
配置するんだってよ
アッカンベータ:古宿エリア要所に置くって軍事執行局の知り合いが
言ってた、ハイエンドモデルらしいって
アルンアルファ:僕もAUROの大型に少し懸念している
もし、機械が巨大化したら
コストパフォーマンスに影響がでるかも
ヒデキング:ダメだね、大きすぎるからエンジン部が
フレーム内に収まらなくなるよ、ブサイクすぎる
ピンクロボチャン:もうこれから第4世代に移るんだね
ヒデキングもそこの担当かな?
ヒデキング:まあ、そうかもね
――――――――――――――――――――――――――――――――――
※新言語訳文
念のため、安全理事局に行くと書かないでおく。
バレる恐れはないと思うけど、わずかな語ですぐに察知されるのも
中層階でありえる推理レベルの高い人達ばかりだから。
返事は中々の好意的な文章ばかりで、嫌みな文やネチネチした
戯言シリーズはほとんど書かれていなかった。
(ボクは恵まれていたんだなー)
ホッとした、てっきり悪口を言われるかと思った。
この世界は狭く人口も多い分、出世を妬んでいる連中もいる。
といっても、相変わらず自身でもよくこんな恥ずかしい文を書けるもんだと
思うけど、モニター画面越しだと素をさらしてしまう大胆さとか
本性をさらしやすい側面をもっているかもしれない。
人って安全圏をもつとこうやってやらかすのか・・・いや、ボクはまともだ。
トーマスチームに所属できた事をつくづく感謝する。
(ごめん、そしてありがとう・・・みんな)
正直、皆から反対されるかと思っていた。
だけど、これで心置きなくアメリアチームに参加する気ができた。
アルビノの子達も内心気掛かりになってきたし、道のりは不透明だけど
巨人プロジェクトを成功させる意志は徐々に固くなりつつ強くなっていく。
「もう決定だ、栄光なる我が出世のために頑張るぞ!」
この時はまだ、浅はかで軽率な判断だと思い知らされるとは。
そして、PDの視線が数字の羅列を見続けている事に、
ボクはまだ気付いてもいなかった。
監視者から目を付けられずにやりとりする事ができた。
既存の字や数をさもオリジナルのように変換して身近な者だけに通じる
方法はあたかも切り離された世界で構築されたもの。
始まりの祖先とばかり、まるで意識のカゴから放たれた感じに思えた。
ホントに言葉というものは不思議だ。
表示、表現1つ変えるだけで解釈とか意味を読み取られずに
すり抜けて目的の相手に対してだけ伝えてゆく。
(プログラミングコードとかもそうだけど、
何かの羅列って限定を連続させたものなんだね)
伝わらせるのは文字に限ったわけじゃないけど、行動原理を細かく
複数に分けて選択、分別できるもんだからAIみたいに筋道を立てて
ある界隈をまとめる様に形成されていると思う。
言葉で表しにくいけど、何かを内側に入れて何かを外側に出したりして
必要な物事だけを通そうとする。そして、相手も選んでスッと意味を
伸ばせていくから脳どうしの伝達はまさに回路と同等だろう。
100年前までは画数のやたら多い文字もあったくらいだから、
昔の人も相当想像力があったのかもしれない。
削られて3種類だけシンプルになった理由はよく分からないけど。
ある意味、神の術と言っても良いかもしれない。
上手くいけば芋ヅル式に引用できて上層部に入ってから新規格の暗号とか
AUROなどに組み込んで作れば認められるかもしれない。
是非とも身内だけで浸透させて個人的ネットワークとして築いていこう。
こうして、ボクは他のメンバー達にメールで伝えていく。
もちろん口頭で教えるわけにはいかないから電子世界より伝授、
新言語を駆使した会話で人事異動をさり気なく書いてみた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
ヒデキング:という訳で、ボクは遠き理想郷へ行く事になった
諸君、後は任せたぞ
アッカンベータ:草不可避
アルンアルファ:具体的な内容を示してくれたまえ
ヒデキング:大いなる無機物の創造をしなくてはならなくなった
だから、ここから去るかもしれない
デカビンタC:いつものヒデキング節
ピンクロボチャン:大いなるって、まるでライオットギアしか
思い浮かばないね
ヒデキング:そのライオットギアもこれから改良して
いかないとダメらしいんだ
これも栄えあるトウキョウのため
デカビンタC:ギアも良いけど、部署の男女比考えてくれ
機械に携わる女が少ないんだよ
アルンアルファ:基本的に女性は農業へ行くのが大半だからね
中層から割合的に少なくなる傾向
でも、上層部にそんな方がいるね
ヒデキング:個人的、アメリア副司令官も中々美人だと思うよ
中層~上層の部署でもTOPクラスだと思う
アッカンベータ:男の会話よね、ギアの話に戻してよ
ピンクロボチャン:ははは
デカビンタC:聞いた話だけど、またトウキョウに新型
配置するんだってよ
アッカンベータ:古宿エリア要所に置くって軍事執行局の知り合いが
言ってた、ハイエンドモデルらしいって
アルンアルファ:僕もAUROの大型に少し懸念している
もし、機械が巨大化したら
コストパフォーマンスに影響がでるかも
ヒデキング:ダメだね、大きすぎるからエンジン部が
フレーム内に収まらなくなるよ、ブサイクすぎる
ピンクロボチャン:もうこれから第4世代に移るんだね
ヒデキングもそこの担当かな?
ヒデキング:まあ、そうかもね
――――――――――――――――――――――――――――――――――
※新言語訳文
念のため、安全理事局に行くと書かないでおく。
バレる恐れはないと思うけど、わずかな語ですぐに察知されるのも
中層階でありえる推理レベルの高い人達ばかりだから。
返事は中々の好意的な文章ばかりで、嫌みな文やネチネチした
戯言シリーズはほとんど書かれていなかった。
(ボクは恵まれていたんだなー)
ホッとした、てっきり悪口を言われるかと思った。
この世界は狭く人口も多い分、出世を妬んでいる連中もいる。
といっても、相変わらず自身でもよくこんな恥ずかしい文を書けるもんだと
思うけど、モニター画面越しだと素をさらしてしまう大胆さとか
本性をさらしやすい側面をもっているかもしれない。
人って安全圏をもつとこうやってやらかすのか・・・いや、ボクはまともだ。
トーマスチームに所属できた事をつくづく感謝する。
(ごめん、そしてありがとう・・・みんな)
正直、皆から反対されるかと思っていた。
だけど、これで心置きなくアメリアチームに参加する気ができた。
アルビノの子達も内心気掛かりになってきたし、道のりは不透明だけど
巨人プロジェクトを成功させる意志は徐々に固くなりつつ強くなっていく。
「もう決定だ、栄光なる我が出世のために頑張るぞ!」
この時はまだ、浅はかで軽率な判断だと思い知らされるとは。
そして、PDの視線が数字の羅列を見続けている事に、
ボクはまだ気付いてもいなかった。
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