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4章 ブレイントラスト編
第16話 球状の罪
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Mは拒否もせず、情報を飲み込んでいく。
生物を機械化させた結果は予想を超えた中心核と成り果てる
事実に胸が躍るくらいだ。今までこんな思いをした事がない。
ただ、自分が犯した生物機械化という代償だが、致し方ない。
これから人類を我々が管理していくのだ。
所長の導き通り、後ろを向かずに前を歩き続けなくてはならない。
その目安、管理コードも政策していく必要がある。
次の段階に移行するべく、新たな法律を下界に課さなければならないが、
今より1から築き上げるのも遅い。
既存の法を織り込みつつ、こちらの都合に合わせたものを
制定するために何か良い方法がないか、
見回して六法全書を眺めていた時だ。
「人間の生きる罪・・・」
そんなワードが頭に浮かぶ。
罪というキーワードを改めて見直そうと思うようになった。
モニター画面に表示しているものが目に留まる。
生物型ライオットギアを見て人の生業を重ね合わせた。
人類はこれほどまでに動物を死に追いやってきた件について
その代償を取り扱うのはどうだろうか。
記載されていたその数値を観て、ある事に気がつく。
数値、数といえば懲役年数システムをふと思い出した。
罪を犯した数値について、自分は肝心な部分を忘れている。
人間の生きる罪、その具体性を国に提示するための管理コードを
政策しなければならないのではないか。
その名は指標代換コード、行動の数値化を表すもの。
管理はあくまでも統計、データ解析で収める必要がある。
それを素早く確認、判断するための数値化である。
しかし、突拍子で思い浮かんだ話でれっきとした具体性もなく、
流石に詳細は自分1人でどうにかできそうにない。
重要な課題の1つとなろうテーマを決めるために
明日、メンバー達に相談しようと決めた。
翌日 研究室
「人類管理における指標代換コード?」
「はい、人間の生きる罪という懲役システムを採用する案を提唱します」
代換コードをどの様に決めるべきか話し合う。
指標とは人間の自由を制限する、言わば足枷共に生きるための活動
を与えるルールだ。
「あたし達の国でいうミッション形式的なもの?」
「そうだ、指標を与えて貢献活動をコードで管理する政策をしたい」
「“よく頑張りましたポイント”ですね」
「砕けた言い方ではそうだ」
例えばだ、戦争を起こさずとも“死刑”という法律で人が人を
ロストさせる件に関してはどうなのか。戦争で人を攻撃した場合は
国を守るという名目で許される。
それはどちらも国が許可していた場合に限る。
そう思ったのは理由があった。
この国は完全自給自足で成り立っている国で、他国の協力を無視
して力を借りず、個人だけは呼び出してのうのうと吸いだす様に
上の世界がそうして築いてきたからだ。
原因は上と下の摩擦、不一致。
個人の脳が全てである単独行動主義の成れの果ては共喰いと化す。
そして、下の世界では獣が連携して喰いにかかる。
それら2つの現象をうまく合わせられればと思った。
もしも、自分の犯した行為を国民に課したら。
飴と鞭を与える事で傍若無人な横暴を無理矢理抑えるのではなく
スムーズに促そうとするシステムだ。
あらかじめ人に罪の数値を与え、生存するミッションを行う。
そのための懲役年数で、貢献で指標を満たして軽減させていく
完全足る数値をどうにかして作成したいのだが、
既存の法律からたどると、ギャップのある話し合いがでてくる。
「ロスト罪は懲役10年くらいですよね?」
「さらにその内容で年数も変化しますね。
私達の国は加算式でした」
「今調べてみたら全ての1.5倍じゃない。
で、その懲役年数をどう変えていくつもり?
この国通りの刑法でいくの?」
「君の言う通り、確かに総刑の1.5倍だ。
だが、既存の法律で推進するのかね?」
一同「・・・・・・」
議論はすぐに行き詰まる。よくよく思えば、司法の仕組みが
自国と異なっているので、辻褄がかみ合っていない。
コウシ所長ですら、法律の全てを把握していない。
かつて弁護士から受けた言葉通りの内容。
改めて司法を見直してみるが、それほど法に詳しくない我々が
一から始めていくには至難の業だ。
「これ以上議論してもラチがあかん、一度解散しよう」
残る自分は六法全書を再び手に取って読んでみる。
この国の法律によると、重罪であるロスト、放火の懲役は10数年。
その回数や内容によって数値が変化する仕組みだ。
ページの周囲を見回しても話し合いの時と変わらず、
それ以上の答えが見つけられない。
再び頭が唸りそうな膨大な量の文を読み漁る中、
後ろから声をかけられた。
「お悩みのようですね」
「アイザック君」
「ちょっと提案があるんですけど、こんなのどうです?
人ってそれぞれの地域に住んでいる生物じゃないですか。
で、ここと俺らの国は法が違うのは当然なので、
数値にこだわらなくても別の線を敷くのも有りじゃないですかね?」
「確かにそうだが、数値で調整しなければ立ち位置も混乱する
恐れも生じるだろう?」
「そうなんですが、俺らの法はあくまでも基本は軍事行為ですよね?
懲役ばかり考慮して兵役の分野も視野を広げてみてはどうかと。
少し形を変えてみてはどうですかね?」
形という意味は組織を日常の中でどのように行動させるかという事。
既成のシステムもところどころ採用して民より引き入れる必要もある。
突撃兵、工作兵、偵察兵、衛生兵の4種から成る構成も義務化して
人ごとの能力、取り柄も柔軟に分配させるべきだと述べた。
彼の言うように、服役囚ばかりを考えて組織体制も含める必要もある。
「それら4つの兵科も確かに従来の仕様ですぐに応用の利く、
採用するのは構わんが」
「どんな奴がいようと生活基盤がないと元もあったモンじゃないですし、
ただ取り締まる以外の立場とか組み立てた方が良いですよ。
アメリアとレイチェルの2人も今、混乱しかけています。
男の仕事ばかりをあたしらがやるのかって言ってたりして」
「そうだな、彼女達の不得意分野ばかり続いていた。
理解した、すぐに検討しよう」
クロノス自室
それから、一度自室に戻って個人のPCで作業を続ける。
法と軍事の接点の構築を見直してMへの設定にもう少しまとまりある
内容を書き続けてデスクを前に沈黙が続く。
一歩手前に所長へのレポート提出で時間がかかってしまい、
気がついたら午前1:00をまわっていた。
就寝は欠かせないとすぐに入浴、自室の湯船につかりつつ
懲役システムを考える間にうとうとしてきた。眠くなってしまう。
いや、これは眠気というよりは失神だ。
「・・・・・・」
ついに目が閉じて音以外何も感じなくなっていく。
風呂場の空調がざわめき声に聴こえてくる。
その声は次第に複数の種類に区別されてきた、すると。
(・・・・・・草原?)
見回してみると無数の動物が辺りを歩いている。
哺乳類、爬虫類、鳥類、魚類、昆虫類。
ありとあらゆる生物がそこらじゅうにいた。
しかも、空を見上げてみると天の色が瞬く間に変化して
太陽の動きが異常なまでに速いのだ。
(昼と夜が一瞬で変わっていく・・・)
時の変化が自分を揺り動かす。
1日、24時間、1440分、86400秒を体感する余裕もなく
暦が感覚を忘れさせるようで、覚えさせる。
(時が・・・ループするのか)
日が沈み、また昇る。
軌道だけは一定を保ち続け、何度も何度も日を繰り返す世界。
隔たる偏光により空間が目まぐるしく移ろうとも、
動物達は変わらず時を過ごして生きている。
体感時間は人と異なるのか、それぞれの生息範囲としてなのか、
ただそこにいるから生活しているだけだ。
この差異はどこからくるだろう、今は深く考えられない。
生きるべくして生きる彼らに存在理由の意味などあるのだろうか。
そう思いつつ悠々と地上を闊歩するそれらを観ている内、
1匹の生物がこちらに歩いてきた。
(レオ? いや、違う)
レオではないが、同種のライオンだ。
横向きで歩いていたら1m手前で止まり、ジッと自分の目を見続ける。
襲われるのではないかと息をのむが、いつまでもその姿勢を
保ったままで、そのライオンはそれよりピクリとも動かない。
まるで静止画像に観えるその次に摩訶が現れた。
ビリッ
「!?」
ビリビリビリ
「うんぐぅす!?」
ビチャッ シュワアアアア ジュルジュル
■ ■ ■ ■ ■ ■
Recidivism weighting ■ ■ ■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■ ■ ■ Legal mitigation
Annexation weight ■ ■ ■ ■ ■ ■
Weight reduction
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「んおああああああああぁ!」
Mammifero Rettile Anfibi Uccelli Pesci Insetti
Weighted
チュチュチュ シュウウウウウウウウウウッ
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
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□ □ □ □ □ □ □ □
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□ □ □ □ □ □
□ □ □ □ □
□ □ □ □
□ □ □
□ □
□
(・・・・・・)
まったく自然の風景と関係のない光景が突然自分の前に現れた。
それらは広がるようにノイズの背景から字の羅列を成して
さも混沌でありつつも泡の様に消化されてゆく。
理由も事情も分からずに不可思議ながらも、視線を離せない。
星も再び動き始めた。光と闇が重なり合い、
円と時のループがイメージできない程にグチャグチャに曲がり、
液体の様に混ざっていく。
次の瞬間。
「くっ、がぼぼ!?」
溺れかける。頭が湯の中にまでつかってしまっていた。
「ゲホッ!」
夢を観ていたようだ。結局、のぼせて自分は失神してしまった。
実に危険すぎで、後少し目覚めていなかったら溺死していただろう。
湯船から這い上がり、タオルで体を拭く。
(何だったんだ、あの夢は・・・?)
ほんのわずかな記憶だけしか残っていなかったが、
ライオンの光景だけは鮮明に覚えていた。
たったそれだけの事にもかかわらずにどうしようもなく、
訴えている顔付きより何かを調べろと言われた感じになる。
課題、内容の具体性すら教えられていない。しかし、生物についてのみ
印象から拾い上げて適当ながらどこか閲覧してみたくなった。
気になって動物のサイトを開き、数を調べてみようとする。
(175万種・・・そのうち哺乳類は)
生物管理所の項目はまだ残っている。
コウシ所長のためにヒストペディアに残しておこうと保存しておいた
データを観てあてもなく分類をまたぐように指でスライド。
それらのどこか、無意識ながらさりげなく哺乳類に関するページを開き、
5513種類もの数が生息していた事を確認する。
その内の1696種類は絶滅、人間に追われて死に絶えた数だ。
「「彼らも・・・共に生きていた・・・あああ、そうだな。
人も、生物も、界隈がある・・・縄張りは自然の・・・無意識」」
画像を観て涙が止まらずに溢れていく。
悲しい、嗚咽が止まらない。
こんなに優しい目をしている動物達があっさりと死滅している。
存在そのものを世界から抹消されてしまったのだ。
集団という範囲の圧制で居場所すらも奪われていく。
それでも日は繰り返す。
何もなかったかのようにのうのうと生きながらえる。
この数値を懲役システムの糧とした何かを組み込んで
人に枷を与えられないだろうか。
星の周期とする暦と競争間による生物種の命の証。
漠然と2つの事象が結びつき、強く1つの案を生み出す
意思を突き動かせていた。
翌日 指令室
「所長、3Rについて詳しくお聞きしたい事があります」
「どうしたのかね?」
私はコウシ所長にある相談をもちかける。
以前に生物管理所でレオを救出した時に発言した事について知るべく、
生物学と関与するワードについて詳細を聞こうとした。
「私は・・・無意識の内にレオから人類の発展を問われて
実験について気掛かりな点を不意に思い始めました。
あなたが以前おっしゃっていた3Rについておうかがいしたく」
「ふむ、そうか・・・」
端的に夢の中で観た光景をヒントにしたなどと言うのは不適切。
言えば過去の内容から編み出したと伝える方が相応しいと思った。
動物実験等に関する理念、倫理の基とした心得の頭文字の事。
所長は実験といった苦痛を伴う生物への模範的配慮の扱いだと言う。
「3R、まさに生物への命の問いかけに関する事。
実験は発展と同時に犠牲も伴う行為であり、目も逸らせぬ事実。
それら3つとは以下の事だ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
Refinement
(科学上の利用に必要な限度において、できる限り動物に
苦痛を与えない方法によってしなければならない)
Replacement
(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、
できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用する)
Reduction
(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、
できる限りその利用に供される動物の数を少なくする)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
流し目で見てもいたわりのある表現。
極力配慮するような内容で書かれたものだった。
「頭文字を3つそろえて3Rとしている。
理由は全て動物達に対する負担をかけさせない訓示。
別に私の管轄に限らず獣医などの生物を取り扱っている
理化学研究所ではこれらを教訓の一部に教えられているはずだ」
「なるほど」
「無論、私もそこに大きく賛同し、欠かさず従事して携わってきた。
ここセレファイスも当然生物優遇の理念は変わっていない。
君は実験に関する内容を知りたいと?」
「今までにおいて法とはあくまでも人間の都合のみ適用されたものでした。
しかし、人は人、生物は生物と異なる存在どうしに規制を用いるには
どうしても限界があると壁に障ってしまいます。
プラチナレプリカントと結びつつ、かつ全人類に通じる理のために
それはどこまでも我々人間に関わり、生活圏と法律どちらも
繋ぐ意味でなければならない事だと思います。
私は・・・全てに浸透させる何かを敷きたい。
生物型を下界に体罰的措置だけでなく、正当たる示しの何かを」
あまりにも抽象的な概念にきちんとした示しが思い浮かんでこない。
元はコウシ所長から始まった規格と企画、生物を応用した社会を
造り直せと言うのだから試行錯誤も当然生じてしまう。
もう少しで良い案が浮かびつつある、あの夢の光景より
全てを包み込めそうな理想を描ける共生が実現できる何かを。
そこへ、所長はある例を挙げた。
「そうだな、厳密に言えば人間と他生物は異なる。
多種多様の存在をまとめられる法を作りたいわけだ。
言い分として知性をもつ人間において他生物の確立と意義を
違和感なく示し、かつ主権の正当性を表せるものをか」
「ええ」
「ふむ、これは一例だが、集団生活の共通点ならこれが当てはまるな。
私なりの観点から例えを言わせてもらう。
人であれ、生物であれ、同類ならではの現象は自然界より一定に成す。
それを超個体という、群れを成して共同生活する生物が多々いるだろう?
共生圏をあたかも1つの塊とみなす意味で呼称された言葉だ」
「群れを成す生物、存在という数を・・・」
超個体、複数のグループを成して別世界への影響を及ぼす1つの存在で
自然と法律の融合に適応できそうな例を述べた。
超の意味は不明だが、集まりによって環境や社会に何かしら影響をもたらし、
発展なり浸食なり何事かの出来事が生じる理由で名付けられたそうだ。
アリやハチ、昆虫に限らず様々な種類でも等しい習性をもつが、
最低限のルールや役割分担をもって活動しているのは共通。
類似した様な兆候はすでに東京内でもあったという。
「その1つというキーワードが融合への導となれるかもしれんな。
国家とは数、何かしらの集合体を成してこの世界に身を置く。
どんな輩がいようとその場におけるルールもあるはず。
私達上層階に居た者にとって気付きにくい事であるが、
下層階程そういった現象がより多くみられていただろう?」
「ええ、優秀な者は少なく、無能な者程下に多く溜まる。
確かに連中はほとんど単独で行動しているのは少ない、
元から集まらなければ何も築けない能力ですから」
「指標代換コードにどう活動させるか自然界を基に、
従来の生活圏の中において必要不要を分別させつつ、
空いたエリアに生物型を少しずつ再配置させて取り戻すなど施策。
あくまでも一例だ、一部の質量により重力で形成される星の様に
自然体に知識者たる介入を差し伸べて進めるのはどうかね?
決断、制定においては君が成してほしい」
「あっ!?」
「ん?」
つい声を上げてしまった。
失礼に思い、すぐに口を閉ざして姿勢を戻す。
これらの供述に私は思わず反射を起こしてしまう、エリアと再配置。
地権の在り方を聞いてある可能性を浮上されかけた。
意味は全て把握できた、これで新法の根幹を組み込んで
下界に向けてMに知らしめさせる事が可能となる。
まさに方法、限りなく自然と主権に近づくそれは互いに共存を成す
星の生成の様にヒト科を削減しながら生物生存圏を再起。
バランスを意識しつつ均等配置を行ってゆけば良いと理解し始めた。
「なるほど、生物に起こしてきた事を人間に・・・。
思えば人も居住区増設のために自然を荒らしてきた。
超個体は他生物においても同様、法の中に自然学を採用する事で
人に適用を通しつつ生物型の介入をエリアに取り込む。
理解できました、御教授感謝致します」
「ふふふ、君も思いがけないところで素が出るのだな。
ところで話は変わるが、私はまだ所長を名乗っていても良いのかね?」
「突然、どうなされました?」
どういうつもりか、ここで何故か所長の肩書きを聞かれた。
別に法とは何も関係はないものの、個人について気にしていたようだ。
突然の問いに私も返答に困る、かつての権威は人知れず終焉を迎えて
セレファイスでの役職を決めてこなかったのだ。
「別に今においても変更する必要がないのでは?
どこまで組織形態を変えても私達にとっては所長ですので」
「そ、そうか・・・いやな、ブレイントラストはもう形骸化したのに
まだ名乗れるのかと最近そう思うようになってな」
「おっしゃられれば確かに、私達も新企画や新事業を起こすとなれば
誰であろうとアマチュアから。熟成なくプロフェッショナルなど
なれるはずもありませんからね」
変革に犠牲が伴うのは実験と同様、組織精査の必要と不要すら
事細かく調査をして変えてゆくのだろう。
国家をまるごと変えて生物バランスを調整、所長の思想1つから
始まった星内部より生じる原点回帰の一種なわけだから。
それはともかくとして、下界への組織構成が一部のみ固まる。
人はあまりにも増え過ぎた、生命のバランスも全て均等に分担を起こし、
生物が世界に介入干渉できる何かがまとまってゆく。
集いが全生物であろうと理にかなう習性より法律内に吸収できそうに
真の意味で自然形態をも含めた政治と遂げてゆけるだろう。
(償いとは数珠の如し。
生物の集い、集合より生成される存在の組織化)
また脳内で不思議なワードが浮いてくる。
代償への別形成を案じて備える。
私も私で無数の事象がどうしてこうも形成されてゆけるのか?
脳も本当に不思議で無関係な物事を瞬時に結び付けて結合できる。
ニューロンもシナプスによる結合体、結局は有機物も無機物も同位体で、
この国の装飾品の数珠を見て思うようになる。
国造りは物作り、自然体から知識を活かしてきたのだから逆も然り。
そこも科学者どうしといった繋がりで新たに生じているかもしれず、
所長の教授で脳内から次第にイメージが形成されつつあった。
生物を機械化させた結果は予想を超えた中心核と成り果てる
事実に胸が躍るくらいだ。今までこんな思いをした事がない。
ただ、自分が犯した生物機械化という代償だが、致し方ない。
これから人類を我々が管理していくのだ。
所長の導き通り、後ろを向かずに前を歩き続けなくてはならない。
その目安、管理コードも政策していく必要がある。
次の段階に移行するべく、新たな法律を下界に課さなければならないが、
今より1から築き上げるのも遅い。
既存の法を織り込みつつ、こちらの都合に合わせたものを
制定するために何か良い方法がないか、
見回して六法全書を眺めていた時だ。
「人間の生きる罪・・・」
そんなワードが頭に浮かぶ。
罪というキーワードを改めて見直そうと思うようになった。
モニター画面に表示しているものが目に留まる。
生物型ライオットギアを見て人の生業を重ね合わせた。
人類はこれほどまでに動物を死に追いやってきた件について
その代償を取り扱うのはどうだろうか。
記載されていたその数値を観て、ある事に気がつく。
数値、数といえば懲役年数システムをふと思い出した。
罪を犯した数値について、自分は肝心な部分を忘れている。
人間の生きる罪、その具体性を国に提示するための管理コードを
政策しなければならないのではないか。
その名は指標代換コード、行動の数値化を表すもの。
管理はあくまでも統計、データ解析で収める必要がある。
それを素早く確認、判断するための数値化である。
しかし、突拍子で思い浮かんだ話でれっきとした具体性もなく、
流石に詳細は自分1人でどうにかできそうにない。
重要な課題の1つとなろうテーマを決めるために
明日、メンバー達に相談しようと決めた。
翌日 研究室
「人類管理における指標代換コード?」
「はい、人間の生きる罪という懲役システムを採用する案を提唱します」
代換コードをどの様に決めるべきか話し合う。
指標とは人間の自由を制限する、言わば足枷共に生きるための活動
を与えるルールだ。
「あたし達の国でいうミッション形式的なもの?」
「そうだ、指標を与えて貢献活動をコードで管理する政策をしたい」
「“よく頑張りましたポイント”ですね」
「砕けた言い方ではそうだ」
例えばだ、戦争を起こさずとも“死刑”という法律で人が人を
ロストさせる件に関してはどうなのか。戦争で人を攻撃した場合は
国を守るという名目で許される。
それはどちらも国が許可していた場合に限る。
そう思ったのは理由があった。
この国は完全自給自足で成り立っている国で、他国の協力を無視
して力を借りず、個人だけは呼び出してのうのうと吸いだす様に
上の世界がそうして築いてきたからだ。
原因は上と下の摩擦、不一致。
個人の脳が全てである単独行動主義の成れの果ては共喰いと化す。
そして、下の世界では獣が連携して喰いにかかる。
それら2つの現象をうまく合わせられればと思った。
もしも、自分の犯した行為を国民に課したら。
飴と鞭を与える事で傍若無人な横暴を無理矢理抑えるのではなく
スムーズに促そうとするシステムだ。
あらかじめ人に罪の数値を与え、生存するミッションを行う。
そのための懲役年数で、貢献で指標を満たして軽減させていく
完全足る数値をどうにかして作成したいのだが、
既存の法律からたどると、ギャップのある話し合いがでてくる。
「ロスト罪は懲役10年くらいですよね?」
「さらにその内容で年数も変化しますね。
私達の国は加算式でした」
「今調べてみたら全ての1.5倍じゃない。
で、その懲役年数をどう変えていくつもり?
この国通りの刑法でいくの?」
「君の言う通り、確かに総刑の1.5倍だ。
だが、既存の法律で推進するのかね?」
一同「・・・・・・」
議論はすぐに行き詰まる。よくよく思えば、司法の仕組みが
自国と異なっているので、辻褄がかみ合っていない。
コウシ所長ですら、法律の全てを把握していない。
かつて弁護士から受けた言葉通りの内容。
改めて司法を見直してみるが、それほど法に詳しくない我々が
一から始めていくには至難の業だ。
「これ以上議論してもラチがあかん、一度解散しよう」
残る自分は六法全書を再び手に取って読んでみる。
この国の法律によると、重罪であるロスト、放火の懲役は10数年。
その回数や内容によって数値が変化する仕組みだ。
ページの周囲を見回しても話し合いの時と変わらず、
それ以上の答えが見つけられない。
再び頭が唸りそうな膨大な量の文を読み漁る中、
後ろから声をかけられた。
「お悩みのようですね」
「アイザック君」
「ちょっと提案があるんですけど、こんなのどうです?
人ってそれぞれの地域に住んでいる生物じゃないですか。
で、ここと俺らの国は法が違うのは当然なので、
数値にこだわらなくても別の線を敷くのも有りじゃないですかね?」
「確かにそうだが、数値で調整しなければ立ち位置も混乱する
恐れも生じるだろう?」
「そうなんですが、俺らの法はあくまでも基本は軍事行為ですよね?
懲役ばかり考慮して兵役の分野も視野を広げてみてはどうかと。
少し形を変えてみてはどうですかね?」
形という意味は組織を日常の中でどのように行動させるかという事。
既成のシステムもところどころ採用して民より引き入れる必要もある。
突撃兵、工作兵、偵察兵、衛生兵の4種から成る構成も義務化して
人ごとの能力、取り柄も柔軟に分配させるべきだと述べた。
彼の言うように、服役囚ばかりを考えて組織体制も含める必要もある。
「それら4つの兵科も確かに従来の仕様ですぐに応用の利く、
採用するのは構わんが」
「どんな奴がいようと生活基盤がないと元もあったモンじゃないですし、
ただ取り締まる以外の立場とか組み立てた方が良いですよ。
アメリアとレイチェルの2人も今、混乱しかけています。
男の仕事ばかりをあたしらがやるのかって言ってたりして」
「そうだな、彼女達の不得意分野ばかり続いていた。
理解した、すぐに検討しよう」
クロノス自室
それから、一度自室に戻って個人のPCで作業を続ける。
法と軍事の接点の構築を見直してMへの設定にもう少しまとまりある
内容を書き続けてデスクを前に沈黙が続く。
一歩手前に所長へのレポート提出で時間がかかってしまい、
気がついたら午前1:00をまわっていた。
就寝は欠かせないとすぐに入浴、自室の湯船につかりつつ
懲役システムを考える間にうとうとしてきた。眠くなってしまう。
いや、これは眠気というよりは失神だ。
「・・・・・・」
ついに目が閉じて音以外何も感じなくなっていく。
風呂場の空調がざわめき声に聴こえてくる。
その声は次第に複数の種類に区別されてきた、すると。
(・・・・・・草原?)
見回してみると無数の動物が辺りを歩いている。
哺乳類、爬虫類、鳥類、魚類、昆虫類。
ありとあらゆる生物がそこらじゅうにいた。
しかも、空を見上げてみると天の色が瞬く間に変化して
太陽の動きが異常なまでに速いのだ。
(昼と夜が一瞬で変わっていく・・・)
時の変化が自分を揺り動かす。
1日、24時間、1440分、86400秒を体感する余裕もなく
暦が感覚を忘れさせるようで、覚えさせる。
(時が・・・ループするのか)
日が沈み、また昇る。
軌道だけは一定を保ち続け、何度も何度も日を繰り返す世界。
隔たる偏光により空間が目まぐるしく移ろうとも、
動物達は変わらず時を過ごして生きている。
体感時間は人と異なるのか、それぞれの生息範囲としてなのか、
ただそこにいるから生活しているだけだ。
この差異はどこからくるだろう、今は深く考えられない。
生きるべくして生きる彼らに存在理由の意味などあるのだろうか。
そう思いつつ悠々と地上を闊歩するそれらを観ている内、
1匹の生物がこちらに歩いてきた。
(レオ? いや、違う)
レオではないが、同種のライオンだ。
横向きで歩いていたら1m手前で止まり、ジッと自分の目を見続ける。
襲われるのではないかと息をのむが、いつまでもその姿勢を
保ったままで、そのライオンはそれよりピクリとも動かない。
まるで静止画像に観えるその次に摩訶が現れた。
ビリッ
「!?」
ビリビリビリ
「うんぐぅす!?」
ビチャッ シュワアアアア ジュルジュル
■ ■ ■ ■ ■ ■
Recidivism weighting ■ ■ ■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■ ■ ■ Legal mitigation
Annexation weight ■ ■ ■ ■ ■ ■
Weight reduction
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「んおああああああああぁ!」
Mammifero Rettile Anfibi Uccelli Pesci Insetti
Weighted
チュチュチュ シュウウウウウウウウウウッ
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(・・・・・・)
まったく自然の風景と関係のない光景が突然自分の前に現れた。
それらは広がるようにノイズの背景から字の羅列を成して
さも混沌でありつつも泡の様に消化されてゆく。
理由も事情も分からずに不可思議ながらも、視線を離せない。
星も再び動き始めた。光と闇が重なり合い、
円と時のループがイメージできない程にグチャグチャに曲がり、
液体の様に混ざっていく。
次の瞬間。
「くっ、がぼぼ!?」
溺れかける。頭が湯の中にまでつかってしまっていた。
「ゲホッ!」
夢を観ていたようだ。結局、のぼせて自分は失神してしまった。
実に危険すぎで、後少し目覚めていなかったら溺死していただろう。
湯船から這い上がり、タオルで体を拭く。
(何だったんだ、あの夢は・・・?)
ほんのわずかな記憶だけしか残っていなかったが、
ライオンの光景だけは鮮明に覚えていた。
たったそれだけの事にもかかわらずにどうしようもなく、
訴えている顔付きより何かを調べろと言われた感じになる。
課題、内容の具体性すら教えられていない。しかし、生物についてのみ
印象から拾い上げて適当ながらどこか閲覧してみたくなった。
気になって動物のサイトを開き、数を調べてみようとする。
(175万種・・・そのうち哺乳類は)
生物管理所の項目はまだ残っている。
コウシ所長のためにヒストペディアに残しておこうと保存しておいた
データを観てあてもなく分類をまたぐように指でスライド。
それらのどこか、無意識ながらさりげなく哺乳類に関するページを開き、
5513種類もの数が生息していた事を確認する。
その内の1696種類は絶滅、人間に追われて死に絶えた数だ。
「「彼らも・・・共に生きていた・・・あああ、そうだな。
人も、生物も、界隈がある・・・縄張りは自然の・・・無意識」」
画像を観て涙が止まらずに溢れていく。
悲しい、嗚咽が止まらない。
こんなに優しい目をしている動物達があっさりと死滅している。
存在そのものを世界から抹消されてしまったのだ。
集団という範囲の圧制で居場所すらも奪われていく。
それでも日は繰り返す。
何もなかったかのようにのうのうと生きながらえる。
この数値を懲役システムの糧とした何かを組み込んで
人に枷を与えられないだろうか。
星の周期とする暦と競争間による生物種の命の証。
漠然と2つの事象が結びつき、強く1つの案を生み出す
意思を突き動かせていた。
翌日 指令室
「所長、3Rについて詳しくお聞きしたい事があります」
「どうしたのかね?」
私はコウシ所長にある相談をもちかける。
以前に生物管理所でレオを救出した時に発言した事について知るべく、
生物学と関与するワードについて詳細を聞こうとした。
「私は・・・無意識の内にレオから人類の発展を問われて
実験について気掛かりな点を不意に思い始めました。
あなたが以前おっしゃっていた3Rについておうかがいしたく」
「ふむ、そうか・・・」
端的に夢の中で観た光景をヒントにしたなどと言うのは不適切。
言えば過去の内容から編み出したと伝える方が相応しいと思った。
動物実験等に関する理念、倫理の基とした心得の頭文字の事。
所長は実験といった苦痛を伴う生物への模範的配慮の扱いだと言う。
「3R、まさに生物への命の問いかけに関する事。
実験は発展と同時に犠牲も伴う行為であり、目も逸らせぬ事実。
それら3つとは以下の事だ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
Refinement
(科学上の利用に必要な限度において、できる限り動物に
苦痛を与えない方法によってしなければならない)
Replacement
(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、
できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用する)
Reduction
(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、
できる限りその利用に供される動物の数を少なくする)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
流し目で見てもいたわりのある表現。
極力配慮するような内容で書かれたものだった。
「頭文字を3つそろえて3Rとしている。
理由は全て動物達に対する負担をかけさせない訓示。
別に私の管轄に限らず獣医などの生物を取り扱っている
理化学研究所ではこれらを教訓の一部に教えられているはずだ」
「なるほど」
「無論、私もそこに大きく賛同し、欠かさず従事して携わってきた。
ここセレファイスも当然生物優遇の理念は変わっていない。
君は実験に関する内容を知りたいと?」
「今までにおいて法とはあくまでも人間の都合のみ適用されたものでした。
しかし、人は人、生物は生物と異なる存在どうしに規制を用いるには
どうしても限界があると壁に障ってしまいます。
プラチナレプリカントと結びつつ、かつ全人類に通じる理のために
それはどこまでも我々人間に関わり、生活圏と法律どちらも
繋ぐ意味でなければならない事だと思います。
私は・・・全てに浸透させる何かを敷きたい。
生物型を下界に体罰的措置だけでなく、正当たる示しの何かを」
あまりにも抽象的な概念にきちんとした示しが思い浮かんでこない。
元はコウシ所長から始まった規格と企画、生物を応用した社会を
造り直せと言うのだから試行錯誤も当然生じてしまう。
もう少しで良い案が浮かびつつある、あの夢の光景より
全てを包み込めそうな理想を描ける共生が実現できる何かを。
そこへ、所長はある例を挙げた。
「そうだな、厳密に言えば人間と他生物は異なる。
多種多様の存在をまとめられる法を作りたいわけだ。
言い分として知性をもつ人間において他生物の確立と意義を
違和感なく示し、かつ主権の正当性を表せるものをか」
「ええ」
「ふむ、これは一例だが、集団生活の共通点ならこれが当てはまるな。
私なりの観点から例えを言わせてもらう。
人であれ、生物であれ、同類ならではの現象は自然界より一定に成す。
それを超個体という、群れを成して共同生活する生物が多々いるだろう?
共生圏をあたかも1つの塊とみなす意味で呼称された言葉だ」
「群れを成す生物、存在という数を・・・」
超個体、複数のグループを成して別世界への影響を及ぼす1つの存在で
自然と法律の融合に適応できそうな例を述べた。
超の意味は不明だが、集まりによって環境や社会に何かしら影響をもたらし、
発展なり浸食なり何事かの出来事が生じる理由で名付けられたそうだ。
アリやハチ、昆虫に限らず様々な種類でも等しい習性をもつが、
最低限のルールや役割分担をもって活動しているのは共通。
類似した様な兆候はすでに東京内でもあったという。
「その1つというキーワードが融合への導となれるかもしれんな。
国家とは数、何かしらの集合体を成してこの世界に身を置く。
どんな輩がいようとその場におけるルールもあるはず。
私達上層階に居た者にとって気付きにくい事であるが、
下層階程そういった現象がより多くみられていただろう?」
「ええ、優秀な者は少なく、無能な者程下に多く溜まる。
確かに連中はほとんど単独で行動しているのは少ない、
元から集まらなければ何も築けない能力ですから」
「指標代換コードにどう活動させるか自然界を基に、
従来の生活圏の中において必要不要を分別させつつ、
空いたエリアに生物型を少しずつ再配置させて取り戻すなど施策。
あくまでも一例だ、一部の質量により重力で形成される星の様に
自然体に知識者たる介入を差し伸べて進めるのはどうかね?
決断、制定においては君が成してほしい」
「あっ!?」
「ん?」
つい声を上げてしまった。
失礼に思い、すぐに口を閉ざして姿勢を戻す。
これらの供述に私は思わず反射を起こしてしまう、エリアと再配置。
地権の在り方を聞いてある可能性を浮上されかけた。
意味は全て把握できた、これで新法の根幹を組み込んで
下界に向けてMに知らしめさせる事が可能となる。
まさに方法、限りなく自然と主権に近づくそれは互いに共存を成す
星の生成の様にヒト科を削減しながら生物生存圏を再起。
バランスを意識しつつ均等配置を行ってゆけば良いと理解し始めた。
「なるほど、生物に起こしてきた事を人間に・・・。
思えば人も居住区増設のために自然を荒らしてきた。
超個体は他生物においても同様、法の中に自然学を採用する事で
人に適用を通しつつ生物型の介入をエリアに取り込む。
理解できました、御教授感謝致します」
「ふふふ、君も思いがけないところで素が出るのだな。
ところで話は変わるが、私はまだ所長を名乗っていても良いのかね?」
「突然、どうなされました?」
どういうつもりか、ここで何故か所長の肩書きを聞かれた。
別に法とは何も関係はないものの、個人について気にしていたようだ。
突然の問いに私も返答に困る、かつての権威は人知れず終焉を迎えて
セレファイスでの役職を決めてこなかったのだ。
「別に今においても変更する必要がないのでは?
どこまで組織形態を変えても私達にとっては所長ですので」
「そ、そうか・・・いやな、ブレイントラストはもう形骸化したのに
まだ名乗れるのかと最近そう思うようになってな」
「おっしゃられれば確かに、私達も新企画や新事業を起こすとなれば
誰であろうとアマチュアから。熟成なくプロフェッショナルなど
なれるはずもありませんからね」
変革に犠牲が伴うのは実験と同様、組織精査の必要と不要すら
事細かく調査をして変えてゆくのだろう。
国家をまるごと変えて生物バランスを調整、所長の思想1つから
始まった星内部より生じる原点回帰の一種なわけだから。
それはともかくとして、下界への組織構成が一部のみ固まる。
人はあまりにも増え過ぎた、生命のバランスも全て均等に分担を起こし、
生物が世界に介入干渉できる何かがまとまってゆく。
集いが全生物であろうと理にかなう習性より法律内に吸収できそうに
真の意味で自然形態をも含めた政治と遂げてゆけるだろう。
(償いとは数珠の如し。
生物の集い、集合より生成される存在の組織化)
また脳内で不思議なワードが浮いてくる。
代償への別形成を案じて備える。
私も私で無数の事象がどうしてこうも形成されてゆけるのか?
脳も本当に不思議で無関係な物事を瞬時に結び付けて結合できる。
ニューロンもシナプスによる結合体、結局は有機物も無機物も同位体で、
この国の装飾品の数珠を見て思うようになる。
国造りは物作り、自然体から知識を活かしてきたのだから逆も然り。
そこも科学者どうしといった繋がりで新たに生じているかもしれず、
所長の教授で脳内から次第にイメージが形成されつつあった。
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