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3章 東西都市国家大戦編

      トウキョウ最終防衛機甲隊、ドミニオン2

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 いたのは関西兵、紺色の装甲を身にまとうそれはトウキョウ内で
一度も遭遇していなかった者達と遭遇。
これも予想外の1つか、すでにここまで来ていた者達もいた。
人を覆う装甲が数十人姿を見せて銃身を向けてくる。
味方を含めても勝てる数でなく、終わりを覚悟していた時。


「・・・いや、いい。トウキョウを優先する」
「!?」

トチギモブ兵の目線が揺らぐ。
だが、一瞬ディサルトを構えて身をこわばらせたものの、
彼らはこちらを攻撃するつもりがないようだ。
正直、勝ち目なんてあるわけもなく、命拾いできて安心した。

対するクロムはまたもや交戦する意思を止める。
向こうもタートルの装甲を見て銃が効かなそうだと思っているだろう。
弾数も今後へ備えて無駄撃ちするのを止めた。

「「やらなくて良いの?」」
「良いだろ、相手が攻撃しなければほっといてもかまわない」

クロムはイリーナの推しも押しのけて放置を決める。
カメは先んじて動けないもの。
ある意味、トウキョウ兵の目を少しでも拡散できれば越したことなく、
余計な恨みも減らすよう含めて世界解放を優先させようとした。
ここまでのルートを見直すとかなり中心付近にまで入れたようだ。
四国もずいぶんと的外れな爆撃をしていて、回るにも手間。
巻き添えを受けないよう速やかに移動し始めた途端。

「「敵侵入、排除する」」

だが、情など理解できない動体がいるだろう。
合成音声を放つ人型が30体やってくる。
今しがた相手をするのはこれらのようだ。


関東側も無駄な削減を抑えるべきと、関西兵への攻撃を止めさせる。
敵対関係のはずだが、余計な敵意とリソースを消費するのは不適切で、
カオリもナミキ司令から相手をするなと言われた。

「司令・・・」
「「彼らは一度放置してもかまわない、同様にトウキョウを先に
  どうにか事を進めるんだ」」

ナミキ司令も余計な相手を増やさない方向へ指示。
目的はあくまでもトウキョウ攻略と共に、世界の源を阻止するため。
ここは一時期、共闘して対処にあたろうと決める。
関東と関西が協力してトウキョウライオットギアへ挑もうとした。


 一方で上空を旋回していたスイレンも地上の速射砲が破壊されてゆく
様を観て隙が空いているのを察知。でも、様子がおかしいところもあって
過去と違って武装の状態がなにやらおかしい事も不審に思う。

(あの大きな飛行船がまったく出てこない、造ってなかったの?)

散々四国の戦闘機を落としてきた巨大戦艦も現れずに、
先程から上空の静けさに不思議がる。
当たり前に上空防衛も欠かさないはずのここで、拍子抜けしかけた。
速射砲も高所で何かが跳んでいてほとんど壊れている事が分かり、
関東軍の働きも意外で風通しを良くしてもらえる。
東部に青白い機体が2つ飛び上がって去っていったのも見かけたけど、
敵かどうかも確認できなかった。
上からセンサーで観ても、トウキョウ兵はまだ外周にはとても多い。
ただ、目標地点だけはやたら少なく思える。

「こちらS-001、目標への攻撃は!?」
「「待ってくれ、付近に俺達がいる。端末機器を発見するまで撃つな」」

クロム君からダメ出しがくる、そういえばCNの証拠物を見つけないと
ここまで来た意味がない。トウキョウの殲滅ではなく、世界を知るため。
関東側にもう対処されたのか、潜り込めるチャンスとばかり
タワー側にいる敵性を攻撃する方へ切り替えた。

「こちらスイレン、爆撃します!」

レーダーを観ると中型機体が細かな動きをしているのを発見。
変わったトウキョウライオットギアらしい物が関東兵と戦闘している。
義理はなくてもCN解放のためにも助力してあげたい。

ドゴォン

「速っ、避けられちゃってる!」

定点爆撃で相手を狙うも、ヒットしていない。
巻き添えさせないよう意識しても返って当たり判定が厳しくなる。
砲撃は避けられて地上へ直撃、一部は建造物に当たって効かなかった。


 ちょうどそこにいたタツキは四国の指標に気付かず立ち往生。
突然、上から爆破音が聴こえて足を止めた。

ドゴォン  ガラガラガラ

「うわっ!?」

天井が崩れてしまう。
とっさに避けたものの、拍子で位置を細かく見ていなかった。
着ていたタートルだけが瓦礫がれきに挟まってしまい、仕方なく脱いで脱出。
だが、上部が開けた事で望まれないものがのぞんでくる。

「日光・・・しまっ!?」

上空の光、俺にとって当たってはならないものが先に身を照らす。
肌の焼き付きが再び表面から感じてきた。
すぐに影の所に体を転がして火傷から防ぐ。
だが、20mの塊は銃身をこちらに向けていた。

キュルル  ヴァガガガガガガガガガガガガガガガガ

タツキへの弾丸が逸れてゆく。
他の者達より軌道が弱まり、そのまま外側へ飛んでいった。

(なんだ・・・弾が、俺を避けている?)

ここでまた金属性だろう物が自身の横へ去っている。
相手は人の目じゃなく機械の目。
人間とみなされていない者はこうして“いない”と認識されている。
前から何度も起きていた光景、やっぱり普通と違った体なんだと悟る。
今、ここで反撃したくても敵機は日光の直下。


「・・・・・・」

キュルルル  ヴァガガガガガガガガガガガガガガガガ

だが、相手は再びタツキをエイムし続ける。
システムがロストと判断していないのか、まだターゲットにされていて
この場から動けない。

トウキョウCN 古宿エリア 軍事執行局管制室

「ドミニオンの挙動がおかしい」
「先程から一定方向ばかり攻撃している!?」

 トウキョウ兵も機体に異変が生じていた事に気付く。
突然、姿勢が定まったまま同じ行動を続けている事に不審。
プログラム上では最も付近の敵から最適な兵器で攻撃するように
構成されているはずが、何かにはまってしまった様に変化を失う。
我々は常にオートモードで動かしていたので、
アルゴリズムを把握できずに機械任せのまま追っていた。
とはいえ、PDに近いAIを搭載しているはずで簡単にバグが生じる
危険性が低いはず。対象を表示すると、敵兵が1人だけいた。

「原因解析中、映像から敵兵が1人前方に留まっている。
 外見より関西兵と断定・・・しかし、ロストできない模様」
「赤外線チェイサー、無効化しています。
 よって、弾道計算が固定化されたまま発射を繰り返しているようです」
「何故だ、ただの人間がどうしてそんな!?」

規格を改めて見直してもバグや故障箇所がない。
ドミニオンは何かを捉えてそういった行動をとっている節なものの、
混迷さは少なくとも誰にも明かせられる者はいないだろう。
現場は明るく、蛍光灯を視認できる者はそこに誰もいない。
もちろん、発現させている当人すらやらかしている自覚もなく、
腰を下ろして不可解な現象を淡くにじませるだけだった。


 別枠でそんな光景に驚くのは関東兵も同じ。
まったく動かなくなった敵機を不思議がり、チャンスとばかり再開して
迷いかけた手で意識する前にドラゴンフライを握る。
そこへまたグンマ兵Pが頭部に張り付いて溶断を試みる。

ガシッ ビリリリィ

「ぴぃひひぽぽぽんみぴぴむぴぴぴぃ!?」

また感電されて地上落下、相変わらず学習しきれていない。
引っ付かれた時だけはしっかりと判定されてこの様。
出落ちにめげず、他のメンバーもこぞって攻撃を続けた。

ピシイッ   パカッ

頭部の装甲が割れた。
くさびが多少入れられたようで先の攻撃はまったく無駄ではなく、
一部の基盤があらわになったようだ。


同じタイミングで東北兵も高所を一部クリアリング確保。
カレンはロックの身を案じつつ、関東兵を助力するために行動を起こす。
トモキはすでに疲れて廊下で休憩中。
デイビッドに護衛されている中、私が対処するチャンスとばかり
建物外部で戦闘している場所へ目を向けた。

「外ではまだ戦闘が起きている、遠距離攻撃も使用しているから
 エイムされないよう気を付けてくれ」
「分かったわ!」

異様な形をしている機体に驚くものの、かなり損傷部位も目立って
窓からトウキョウライオットギアへ狙撃態勢をとる。

「隙間を狙うは女の得意分野、見てなさいアキラ!」
「あたしが先よ、母さんだけじゃなくあたしだって!」

特にこれといった理由もないが、腕の競い合い。
それぞれの信念を重ねているく、SRを握りトリガーを引く。

ズドォン ズドォン

カオリとカレンが同時に撃ち抜いて機体の動きが止まる。
グンマ兵に40m屋上まで持ち上げられてから狙撃ポジションを
うかがい続けていた。頭部はたいてい無人型は行動関連を決める部分。
思考制御装置が正常に動かなくなり、こちらを狙いに来なくなる。
後はいつもと同じでそこいらの型と変わらない。

「もういっちょ、発射ァ!」

ドゴオオォォン           フュウウウウン

「敵機、機能停止!」
「おっしゃああああああああああああああぁぁぁぁぁ!」
「やったぞおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!」

強固な装甲も一度剥がれれば中身は精密ゆえに脆弱ぜいじゃく
基盤の破壊であっけなく幾何学きかがくに優れた物は止まった。


「「タツキ、戻ってこい!」」
「あ、ああ」

アイチ兵も引き続き中枢部と思われる施設を捜索するという。
俺もタートルを着直してアイチ分隊へ向かっていった。


同じく残る関東兵もトウキョウの攻勢がまだ十分ある点を警戒して
改めて周囲を見渡す。金属や有機物の塊が散乱する灰色の背景の中、
次をどう動くかディサルトを構えながら話し合う。

「イバラギ、カナガワと隣接するエリアもまだ多いらしい」
「渦巻き戦法のおかげか、ここが一番食い込めたんだな。
 この辺りは大丈夫だろう、俺達もレッドの後に――!」

敵の攻撃も少なくなって中心部はもう占拠できたと推測、
そう思いかけて隊長が入った後を追おうとしていた時。










ガシャン

「「ねえ・・・アレ」」
「「・・・マジかよ」」

この場にいる誰もが、すんなりと納得できない光景が映る。
重要機体らしい物の討伐で決着が着いたと思っていた中、
再び同じ型の機体がやってきたのだった。
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