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2章 関西統一編

      関西集結せり2

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オオサカCN拠点 演習場

 かつて、武道会を起こした所で人が多く密集し、集まっていた。
兵士達以外にも市民も見物に来るのか、もはや混乱状態だ。
あの武具大会をも上回る勢いがそこにある。
アイザックとも合流し、再び人々を見入る。

「ここはほんっとに野次馬ばっかりだ」
「なんだ、自分のヘアースタイルをアピールするチャンスでもあるぜ?」
「んなモン、別に気にしちゃいない。
 ところで、なんで同盟すると分かったんだ?」
「虫の知らせってやつだ」
「相変わらず意味分かんねーよ」
「まあ、一種の勘だ。
 お、やっとお偉いさんらが舞台挨拶するな」
「そろそろ始まるか」

全ての司令官も集まり、委員会の準備も済んだようだ。
兵士、観客が頭台に注目し始める。
これより4つの地方が結びつき、また大きな組織を形成する。



近畿、中国、四国、九州
         同盟



各司令官達の挨拶、祝辞を述べていく。
関西に集うCNの数は多い分、話も長くなり居眠りする兵士まで出てしまう。
早く終わらせろなど言えるはずがなく生温なまぬるい言葉が続いて、
最後の1人まで迫った時だ。

ドンドン ドドドン

「!?」

リズムにのった棒で樽状たるじょうの表面を叩く音が鳴りだし、
何故か太鼓を叩く演出と同時にキンイチ司令が登場した。
トリを務めるポジションで本人の趣向なのか定かではないが、
拡張器で太く大きく言葉を発した。

「ワシらはただ使われとるだけの者やない」
「?」
「国は人や、組織を動かすのは空のモンやない。
 あるのは己の意志。自分の意志で戦い、
 生きる強さを天に見せつける。
 地に住むワシらの塊が、ここ関西の意志や!」
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

一丸、今の形を言葉に表すならばこれがふさわしい。
その一声で式は終了し、各CNの兵士達は歩み寄っていく。
が、そんな片隅でとてもではなく交われぬ空気があった。

「お前らは今日からワシが面倒みたるわ!」
「お前らの舎弟しゃていになった覚えはねえぞ!」
「こないだの件は一旦置いといてやる。
 二度と俺らに立てつくんじゃねえぞ」
「・・・・・・」

リキがトットリ、ヤマグチ兵に絡んで兄貴肌を見せつける。
行動を先走る組同士が一箇所で因縁をつけ合っている。
一触即発寸前で暴動が起こりそうな時、野太い声が聞こえてきた。


「おい」
「!?」
「ここがどういう場か分かっとんのか?」
「ど、同盟式会場です・・・」
「色々気に食わん事もある、戦争で失ったモンも。
 その上で納めんとする式や、そうやろ?
 ここで、近江の格見せんでどうする?」
「は、はい!」
「おい、行くぞ」

ギンジがリキ達へ場の様を教え直す。
血気な中つ国兵達は立ち去っていった。
同盟といっても全ての人が納得しているわけではなく、
無くした痛みはお互いの上で耐えさせてゆくのだ。
鎮静化など無機質な言い方などでつくろえるわけがない。
禍根かこんを解くのもまだまだ時間がかかる事もあるだろう。


「ふっ、少しはマシになったか」

離れてそれを観ていたキンイチ。
以前に言った言葉は弟に少しでも伝わった手ごたえに
硬い笑みがこぼれていた。


「あの人はもしかして」

一方、九州兵達も会場にやって来ていた。
犬兵団のマサキとミキは四国のスイレンの姿を見つける。

「あ、マサキ君だ!」
長寿ちょうじゅのお姉さんか」
「はい、その修飾語を外しなさいねー」
「す、すいませんでした」
「馬鹿」

ミキに突っ込まれるマサキ、近くに中国兵達もいる。
そうして歩き回っている内に、犬を連れた一群を見つけた。
よく見ると、あの戦時中に遭遇した者だった。
ケイが犬兵団を見て声かけ。

「あ、あんたはあの時の!?」

マサキとミキがいた。
鉢合わせというにはややズレた視界の内側にいたが、
それでも無視するわけにはいかない。
犬兵団に挨拶をしに向かった。

「君は中つ国の?」
「ああ、そうだよ」

ここで改めて出身を確かめ、今一度ケイに声をかける。

「そこの君」
「?」
「犬をロストしなくてありがとう」

ミキはそう感謝の言葉を告げた。
お礼を言われるのも久し振りに感じる。

「ももももちろんだ、当然だよ」

人の動向次第で後の縁やきっかけもこうして繋がるのかもしれない。
ほんのわずかな手段が結び目を切らさずに温厚さを生み出した。


「やっと着いたか、長旅だったぜ」
「距離からして1644kmくらいか、確かに長く感じるわね」

オキナワ兵達も遅れてようやく到着したようだ。
変わった外風なデザインをしているCNに目を配る。
ヒサシがミキにこうした共通点があるのではと語った。

「微かにデザインが俺達オキナワのと似ているようだ。
 昔は何かと接点があったのかもな」
「そうですねヒサシさん」

“元は1つの国”、それを暗示するかの言葉を述べるヒサシに
メンバー達は感心する。外見の話だけで、由来をたどる彼の
感性は良い着眼点なのかもしれない。
アイザック、シーナ、ケイ、ライリー、クローバー、ヒロ、マサキ、
タカ、スイレン、エイミー、センの順に集いの言葉も交じる。

「おーっ、こりゃまた可愛いお姉ちゃんがいるな」
「あたしの前でナンパか?」
「シ、シーナ!」
「テメー、出し抜いたら殴るかんな!」
「最近の若者は見た目だけで選んでるな」
「イヌか、懐かしいな」
「オルンっていうんだ、発動機だけどね」
「昔は四国にも犬はいっぱいいたんだ」
「いたいた、ウチの隣の家にも2匹飼ってたし」
「もうこれ以上人の都合だけで失わせたくないですね」
「まあ、確かにな・・・」

人の数だけ熱帯も高くなる。集うだけ無数の理由もあるのだ。
西の空もようやくあかくなっていく。
よいが訪れてアルコールの入った物を飲み始め、
酔いに喜ぶ者達も増え始めてくる。
それから時が経っても、人影がしばらく消える事はなかった。




















エヒメ、コウチ司令官の2人がお互い通信している。

「会議により、私達は司令任務継続との事です」
「正直に打ち明けたのは正解でした。
 結果的に同盟にまで良好な流れになれましたね」
「悪事は身の為にならず、それを秘密裏に行っても
 いずれは暴かれてしまうのです」
「やはり、身内に隠し事するのは良くないですな。
 今回の件を糧として、精進致します」
「それはそうと、巧な潜入法を拝見できました。
 いつの間にかヒロシマCNにも介入していたとは驚きですな」
「いえ、私は指示しておりませんが?」
「え?」
「私達が回収したのはナガサキの物のみです。
 てっきり、あなたのCNで行った作戦かと思っていましたよ」
「一体どうなっているのか・・・?」



――――――――――――――――――――――――――――――――――
どさくさ紛れというのは、同じ行為の中に模倣して行う寸法です。
戦闘で手に入れる事が全てではなく、
うねりの中で起こす手口もまたあり得るでしょう。
小さな澱みが残る中、西編は終了します。
では次回へ続きます。
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