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2章 関西統一編
山陽と山陰の境2
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突如、部屋の中に飛び出してきたマナミが俺の父親を刺した。
星団員であるはずの彼女が統括者とされるカズキを何故か奇襲。
まったく予測もできない間、訳も分からず倒れた父の側に着いて叫ぶ。
「父さん、父さん!?」
「「ケイ・・・これを・・・」」
「これは・・・?」
カズキの側にあった1機の発動機があり、ケイの方に向かって
ゆっくりと移動した。
「「これは・・・お前の・・・力に・・・なる」」
「これは・・・星団が使用していた」
それは碧の星団の技術で造られた30cmの円盤型発動機だった。
中つ国で配置されている既存の物とは別物といえる程だ。
そんな事よりも、父を助けなければならない。
無線ですぐに救援要請を送り、運ぶ必要があった。
カズキは最後の声でケイに忠告する。
「待ってて、すぐに救援を・・・」
「「当然の・・・報復だ。次は・・・お前が
マナミを・・・止めて・・・やってくれ」」
父親の目はゆっくりと閉じていく。
1機の機械を差し出したきり、一言も交わさずに息絶えた。
カズキ ロスト
「とうさん・・・父さん!!!」
3日後
「「これからどうしよう・・・」」
あれからマナミは市民街をさまよい続けていた。
帰るあてもなく、シャワーも浴びれず、下半身も帯下でベトベト。
浮浪者になりかけの状態だ。
訳が分からずに気が付けば突発的にやってしまう。
まさか、星団総司令官がケイ、エイジの父だなんて思ってもいなかった。
「やっと見つけた、ここにいたか」
「アキヒコ司令!?」
上層部の1人に見つかってしまった。
観念するマナミであったが、司令は捕縛する荒々しさを見せず、
彼に連れて行かれた所は意外な場所だった。
アキヒコ邸
「今、上層部は大変な事態だ。必死でお前を探し回っている。
上も下も躍起になっているだろう」
カズキ総司令官がロストした情報はすでに広まっていた。
気が緩んだのか、彼女の目からまた涙が溢れ出た。
「「司令・・・あたし・・・ケイのお父さんを」」
「今はなにも言わなくて良い、安静するんだ。
部屋を用意している、しばらく休んでいろ」
司令に案内されて言われるまま待機する事にした。
体だけは洗ってベッドでうずくまる、あれから食べていないが食欲はない。
しばらく外にも出られない、兵に捕まってしまう。
仕方がない、もうここしか居場所がないのだから。
ぼんやりと思い出が脳裏に浮かんでくる。
いつ頃から自分は変わってしまったのだろうか。
両親はいつも従軍で忙しく、あたしの相手をする暇もなかった。
でも、シェルターには遊び相手はたくさんいたから寂しくもない。
同じように子どもを預ける親はたくさんいたから。
そんな中で、一番仲が良かったのはケイやシンジだった。
男同士の馬鹿っぽさに次第に憧れて、ついあの子達とばかり
遊んでいた。女の連帯無視かと裏目に見る子もいたけど。
「またあの子、男の子とばかり遊んでる」
「ホ~ンと、ぶりっ子ぶっちゃって」
「・・・・・・」
自宅の隣には母親の姉が住んでいた。
両親は帰宅も遅く、家の家事はその人がやってくれた。
だけど、変な印象をもつ人でもあった。
よく、話の内容が南部に変わり、事あるごとにこう言っていた。
「ちなみに山陽は悪魔の巣窟だ、決して関わっちゃいけないよ」
「?」
その時は意味がよく分からなかった。
てっきり怖い動物がいるのかと思っていたから。
そして家に帰る度に、母姉はあたしにそういった類の妙な言葉を語り続けた。
年をとって18歳になる頃には武術の腕もみるみる上がっていった。
実力でそこらの隊長でも負けない程で隊長候補だったが、
部隊長はケイに任せようと身を引く。
馬鹿でもつくづく前を向いている男についていく気持ちは
今も変わっていなかったから。
あんな出来事が起こらなければ。
故郷のトットリで事件が起きた。
パパが従事していた反重力エンジンが敵性CNに横流しされたらしい。
犯人は結局分からなかったが、両親達は濡れ衣を着せられ、
責任を追及されて最後は辞任されてしまった。
余波は家族だからという理由だけで自分のところにも来た。
市民街の住人は執拗にあたしを攻め始めた。
多数の女連中に引きずられなぶられて、女ならではの仕打ちに
とてもケイ達に話せなかった。
不遇が重なって後、四国CNがやって来て両親は帰らぬ人に。
正規のCN軍では自由に探し回るのも無理だ。
そこで、声をかけてきたのがエイジ隊長で、
私は犯人を探す為に星団に入る事を決意した。
その標的がまさか、こんなに身近にいたなんて予想もできなかった。
怒りと混濁で我を忘れてしまって、真っ先に小剣を握り
ケイの目の前であんなことをしてしまった。
彼はあたしの憧れの人でありながら、彼の父親を。
一心不乱で逃げてしまった。
怖くて、他に思いつく事がなく脚を動かすだけだった。
司令に泊めてもらい、かくまってくれたのは幸運だが、
寝るたびに山陰の積年の呪言が私を縛り付ける。
でも、その悪い部分がどこからくるのかが分からない。
それが安らげるのは敵兵を殺戮するときくらいだ。
「「もう・・・お願いだから・・・黙って」」
寝るのが怖い、体を止めると必ず頭のどこかが動きだす。
疲れ切った体とは対称に、忌々しい動意識は布団の中の自分を
往復する様に行き来していた。眠りにつくときは大抵それが
不意にパタッと切れるときくらいだ。
星団員であるはずの彼女が統括者とされるカズキを何故か奇襲。
まったく予測もできない間、訳も分からず倒れた父の側に着いて叫ぶ。
「父さん、父さん!?」
「「ケイ・・・これを・・・」」
「これは・・・?」
カズキの側にあった1機の発動機があり、ケイの方に向かって
ゆっくりと移動した。
「「これは・・・お前の・・・力に・・・なる」」
「これは・・・星団が使用していた」
それは碧の星団の技術で造られた30cmの円盤型発動機だった。
中つ国で配置されている既存の物とは別物といえる程だ。
そんな事よりも、父を助けなければならない。
無線ですぐに救援要請を送り、運ぶ必要があった。
カズキは最後の声でケイに忠告する。
「待ってて、すぐに救援を・・・」
「「当然の・・・報復だ。次は・・・お前が
マナミを・・・止めて・・・やってくれ」」
父親の目はゆっくりと閉じていく。
1機の機械を差し出したきり、一言も交わさずに息絶えた。
カズキ ロスト
「とうさん・・・父さん!!!」
3日後
「「これからどうしよう・・・」」
あれからマナミは市民街をさまよい続けていた。
帰るあてもなく、シャワーも浴びれず、下半身も帯下でベトベト。
浮浪者になりかけの状態だ。
訳が分からずに気が付けば突発的にやってしまう。
まさか、星団総司令官がケイ、エイジの父だなんて思ってもいなかった。
「やっと見つけた、ここにいたか」
「アキヒコ司令!?」
上層部の1人に見つかってしまった。
観念するマナミであったが、司令は捕縛する荒々しさを見せず、
彼に連れて行かれた所は意外な場所だった。
アキヒコ邸
「今、上層部は大変な事態だ。必死でお前を探し回っている。
上も下も躍起になっているだろう」
カズキ総司令官がロストした情報はすでに広まっていた。
気が緩んだのか、彼女の目からまた涙が溢れ出た。
「「司令・・・あたし・・・ケイのお父さんを」」
「今はなにも言わなくて良い、安静するんだ。
部屋を用意している、しばらく休んでいろ」
司令に案内されて言われるまま待機する事にした。
体だけは洗ってベッドでうずくまる、あれから食べていないが食欲はない。
しばらく外にも出られない、兵に捕まってしまう。
仕方がない、もうここしか居場所がないのだから。
ぼんやりと思い出が脳裏に浮かんでくる。
いつ頃から自分は変わってしまったのだろうか。
両親はいつも従軍で忙しく、あたしの相手をする暇もなかった。
でも、シェルターには遊び相手はたくさんいたから寂しくもない。
同じように子どもを預ける親はたくさんいたから。
そんな中で、一番仲が良かったのはケイやシンジだった。
男同士の馬鹿っぽさに次第に憧れて、ついあの子達とばかり
遊んでいた。女の連帯無視かと裏目に見る子もいたけど。
「またあの子、男の子とばかり遊んでる」
「ホ~ンと、ぶりっ子ぶっちゃって」
「・・・・・・」
自宅の隣には母親の姉が住んでいた。
両親は帰宅も遅く、家の家事はその人がやってくれた。
だけど、変な印象をもつ人でもあった。
よく、話の内容が南部に変わり、事あるごとにこう言っていた。
「ちなみに山陽は悪魔の巣窟だ、決して関わっちゃいけないよ」
「?」
その時は意味がよく分からなかった。
てっきり怖い動物がいるのかと思っていたから。
そして家に帰る度に、母姉はあたしにそういった類の妙な言葉を語り続けた。
年をとって18歳になる頃には武術の腕もみるみる上がっていった。
実力でそこらの隊長でも負けない程で隊長候補だったが、
部隊長はケイに任せようと身を引く。
馬鹿でもつくづく前を向いている男についていく気持ちは
今も変わっていなかったから。
あんな出来事が起こらなければ。
故郷のトットリで事件が起きた。
パパが従事していた反重力エンジンが敵性CNに横流しされたらしい。
犯人は結局分からなかったが、両親達は濡れ衣を着せられ、
責任を追及されて最後は辞任されてしまった。
余波は家族だからという理由だけで自分のところにも来た。
市民街の住人は執拗にあたしを攻め始めた。
多数の女連中に引きずられなぶられて、女ならではの仕打ちに
とてもケイ達に話せなかった。
不遇が重なって後、四国CNがやって来て両親は帰らぬ人に。
正規のCN軍では自由に探し回るのも無理だ。
そこで、声をかけてきたのがエイジ隊長で、
私は犯人を探す為に星団に入る事を決意した。
その標的がまさか、こんなに身近にいたなんて予想もできなかった。
怒りと混濁で我を忘れてしまって、真っ先に小剣を握り
ケイの目の前であんなことをしてしまった。
彼はあたしの憧れの人でありながら、彼の父親を。
一心不乱で逃げてしまった。
怖くて、他に思いつく事がなく脚を動かすだけだった。
司令に泊めてもらい、かくまってくれたのは幸運だが、
寝るたびに山陰の積年の呪言が私を縛り付ける。
でも、その悪い部分がどこからくるのかが分からない。
それが安らげるのは敵兵を殺戮するときくらいだ。
「「もう・・・お願いだから・・・黙って」」
寝るのが怖い、体を止めると必ず頭のどこかが動きだす。
疲れ切った体とは対称に、忌々しい動意識は布団の中の自分を
往復する様に行き来していた。眠りにつくときは大抵それが
不意にパタッと切れるときくらいだ。
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