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3章 東西都市国家大戦編
第32話 荒ぶる漢のローレライ
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アキタCN熊代エリア 沿岸部
「おい、手薄なとこ見っけたぞ!」
「しめた、こっちに来て正解だ!」
カゴシマ兵がアキタCNの西側から人気のなさそうな入江から
コッソリと踏み入れる。九州地方からはるばる侵攻で来た者達は
反対に位置するイワテCNの沿岸は入り組んだ地形で、
待ち伏せの恐れが大きかったため、安全そうなこちらを選んだ。
「隊員の配置ですが、一部ここで待機します?」
「全員行くぞ、チャンスは今しかない!」
カゴシマ兵は全員アキタCNの内地へ向かう方向に出るつもりだ。
敵影反応は驚くほど薄く、侵入も容易そうだった。
とはいえ、見つかるとリスクも跳ね上がるので
一度森林地帯へ移動しようと進路を曲げて東部へ向かっていった。
しばらく彼らが上陸場から離れた後、船から異質な物音がする。
2つに分けた音が密かに鳴っていた。
ガスッ ブウゥゥン ゴスッ ブウゥゥン
何かの共鳴と打撃の音がするものの、カゴシマ兵達は誰も気付いていない。
爆発音とは異なり、遠くまで響いていないのだ。
「・・・音?」
「どうした?」
「・・・なんでもない、気のせいだ」
そう言いつつ、彼らはそのまま内地に向かってしまう。
空耳とばかり敵地の緊張感のせいだと進んでいった。
打撃音を発生させた張本人はロック。
カゴシマ戦闘艦の底部を、あのエアーナックルで破壊して帰れなくしていた。
ブクブク
泡を出して船が沈み、もう乗る事もできないだろう。
カレンが無線通信して様子を聞きにくる。
「「そっちはうまくいった?」」
「ああ、船を沈めてやった。俺が来ている事すら気付いてねえ。
これで、奴らはもう袋のネズミだ!」
「「ありがと、ガス田のとこに沈めてないわね?
後はこっちに来た敵はこっちがやっておくわ」」
「ああ、頼んだ」
敵を先に内地におびき寄せ、帰りの道や供給を絶とうという
一種の挟み撃ち作戦をとっていたのだ。
あれから俺は機械破壊役として東北一帯を回り、奇妙な音を出していた。
アキタCNは交渉で敵をできるだけ捕縛していくという方針で、
トーマスの言葉が効いているのを実感する。
(こんな役目も悪くはないな)
今回、東北の部隊は同じ分隊でも能力に応じて別行動をとると
レイチェルによって決められていた。
俺が接近戦に特化しているのを見定められたのか、
視界の悪い海岸の防衛を任されて解体作業に勤しんでいる。
今まで殴れたのは人だけだったが、トウキョウ技術者のおかげで
活路を見出せてきた。
一方でカレンはメンバーの通信連携役として拠点で待機していたが、
いよいよ順番が回って出番がきたようだ。
現在のアキタには敵侵入があっても大した数じゃなく、外地の人達だけで
十分対処できる。あたかも順番待ちみたいな感じもするけど、
余裕をもって仕事に当たれるのは良い状況だと思う。
サラ司令から意外な出撃命令が下る。
「「ホッカイドウCNから援護の要請がきたわ。
至急、向かってちょうだい!」」
「ホッカイドウ!? 分かりました!」
メンバー達が各地で展開するにおいて技能を発揮してゆく中、
ホッカイドウも独自行動で他地方へ行ったようだ。
地形の都合、SRを持っていく必要もあって現地入りする。
今回の戦闘規模は今までにないくらいに大きい。
認めるのもなんだけど確かな東北の一スナイパーとして、
私も足手まといになるわけにはいかない。
(あれだけ近くで撃ち合ってたのに、今度はもっと外側に向かって
撃つ事になるなんて・・・どうして武器を捨てられないのかな)
今となって世の中の仕組みをふと考えてしまう。
どれだけ多くのCNと手を組んでもやっている事は変わっていない。
話では1:1法なんているルールがあるらしい。
どうして味方と敵なんて分けなければならないのか、理解に悩む。
霜が積もる間に火薬が澄んだ空気でより鼻に入りつつ、
そうした世界の中で私は寒空の下、長いバレルを抱えて生きる。
たとえ女であっても与えられた武器で現場に臨まなければならないのだ。
スナイパーといえば、アキラの腕前も同じ。
狙撃なら彼に負けない実力はあったが、張れる機会を失う。
もう少し健全なやり方があれば良いのに、命にまで及ぼす。
でも、そんな事まで考えてもどうにもならないので、
ホッカイドウへ向かう準備を始めた。
ミヤギCN 鉄道路線
ミヤギCNの列車にデイビッドが現地の兵達と同行している。
彼も元鉄道兵団で経験者の功か、こうして再びここで作戦展開を
任されていた。旧友でもあるミヤギ兵と会話。
懐かしさを交えて近況を語り合っていた。
「こうして、またお前と行動できるとはな。
こんな情勢とはいえ、共同ラボリに光栄だ」
「ミヤギはリソースの6割を列車区域に変えたようだ。
まあ、俺はここで期待に応えられなかったがな」
「そうでもないぞ、鉄道兵団時代に色々残しただろう?
たとえどこへ異動しようと、功績は残り続ける」
「功績か、結果としてはそうかもしれん。
でも、人を守りきれずにそんなものばかり残ってもな。
鉱石の様にはいかない」
車両から降りて一般兵に異動しても、またラボリで戻ってくる。
腕前はそうやすやすと失わずに、レイチェル総司令も皮肉な采配を
選択してくれたものだ。しかし、現隊長は振り払わずにこう話す。
「相変わらずそこを引きずってるのか、らしくないぞ。
結果は結果だが、お前はもっと大きなものを残している」
「もっと大きな?」
「そうだ、信頼という大きなものだ。
お前はよく自ら後方支援を買って出て行ってたろう?
そうした伝説がまた人を呼び寄せて組織となる。
部下なんか、“あのデイブが来たぞー”って話題にしてたくらいだしな」
「俺はそれ程の事なんてした覚えが――」
「敵襲!」
2人の話を切って部下が後方の異変に気が付いて警告する。
関西軍の一端であるカゴシマ兵の襲来だ。
「列車を奪取しろ!」
列車の制圧に来たようで、数台のビークルで追いかけてきた。
後部車両に設置したEEEEを始めとして、他メンバーはSRを用いて
状況を見た隊長が狙撃で対処する作戦を指示する。
「大型の機体は確認なし、4Eを5.56mmに装填!
その後は一定間隔で砲撃しろ!」
「・・・・・・」
このCNの中でも特に相対速度の読みに優れるデイビッドだが、
列車上では卒なくできる保証はない。
普段との戦地が異なり勘も取り戻せていない中、自分と相手の
射線を重ねるタイミングを正確に合わせなければならない。
また、相手も標準を定めて狙ってくるので、線路軌道も視野に
如何に素早く撃てるかが決め手だ。
(山の端入口に入った時、敵もそこに集中する。
同様に狙われるリスクも生じるが、決着への賭けでもあるな)
風が身を横切り、足場も動いて安定しにくい箇所の射撃は慣れている。
ただ、ブランクだけが結果への差や壁となるが。
スパァン
「ピギョオオォ!?」
ヒットしたカゴシマ兵はビークルから転げ落ちる。
目論見通りに展開が動いていき、次の環境を見計らって射線を見直した。
(川、鉄橋入口にも敵は集中する)
ミスを無くすための狭地で撃退、広域で相手をしなかったのは
ホットゾーンの収束を狙っていたのだ。
相手を見定めていたが、カゴシマ兵は予想外の行動をとる。
「入って来ない・・・」
「流石に学習されたか」
狭境の地域で狙撃してくるのを読み取った九州兵が進行を止めた。
何度も同じ手が通用するわけがない、向こうも一網打尽を回避しようと
一線から離脱していったようだ。
「次の警戒区域は仏台平野、広地に気をつけるんだ!」
一方で、カゴシマ兵達は土地勘もなくこのエリア周辺に
放り出された感じに苦労していた。黒兵関連を洗おうとして鉄道を発見し、
工房がそこにあるのではと疑って追跡を試みる。
しかし、列車を追いかけるのに目を追いすぎて、
今いる場所がどこか居場所も見失ってしまったようだ。
「現在地は不明、これまで17人がロスト。
隊長、人員の補給が必要です!」
「・・・どうした? 何故、援軍を送ってこない!?」
「「艦内からの応答がありません。西側で到着した船からまったくなく、
通信連携システムに異常が発生した可能性が」」
「な・に・い!?」
途絶により供給元を次々と断たれているので、
管制元へ連絡が届かないのだ。カゴシマ兵はアキタCNに到着したはずの
別働隊に呼びかけたがツーカー音すら聴こえずに電源がまるごと切れている。
当然、ここから九州までとどかないので孤立化してしまう。
これが続くと九州の艦が続いてやって来る時間が大幅に遅れていくが、
部下は1つだけ近くの分隊から返信を受けた。
「しかし、一隊だけ要請に応じました。
あの部隊がここに来られるそうです」
「・・・解体班か。
クコココアァ、それは良い報告だな。奴らと合流してから再起だぁ」
幸運にもこちらにはまだ別動隊がいたのである。
しかも、他にはない特殊な部隊が加勢にきてラボリが続けられる。
隊長の顔が不気味に引きつりながらも笑みを浮かべて言う。
ここにやって来る小隊と共に、カゴシマ兵の追跡は再び始まろうとした。
数十分後
それからというもの、列車は通常通りに運転を続けている。
どうにかカゴシマの攻略を阻止した鉄道兵団。
しばらくの小休憩、ミヤギ兵達も腰を据えて景色を眺めていた。
「さすがに今回は相手が多すぎだぜ、なんでこんなに突っ込んできたんだか」
「黒兵の襲撃が関西きたって知らせから一気にこうなって始まって。
で、どういうわけか向こうからもドバッと来たよな」
「んで、ターミナルで聞いた話なんだけど、
CNが仲違いしたせいでこうなったらしいな。
数はよく知らんがどっかで通信がきてタレコミで発覚したんだと」
「それで、なんで向こうの仕業って気付いたんだ?」
「分からんが貿易関係で指令室かどこかで誤作動が起きて
敵と間違えて修正した間で流れてきたって聞いたな。
そこのCNは・・・確か・・・ほら・・・あそこの」
「何? じゃあ、MUFで遅れたっていうのはあっちの――」
「ほい、交代時間だ。最後部頼んだぞ」
「はいよ」
会話の途中で見張り番が交代。
林を通り終える寸前の列車から次第に平地が広がり、また平野と変わる。
1人の兵が何かの音を聴いて、背後の木々を見渡してみると。
「ん、今何か音が・・・?」
ズパァン
「・・・・がおっ!?」
空気を切った弾を受けて倒れる、
音を聴いてミヤギ兵が一斉に警戒すると、列車の底部から人が姿を現した。
ガシッ
フェンスを手でつかむわずかな音の後に次々と影が降りてくる。
カゴシマ兵が直に列車後部から乗り込んで来た。
「もう・・・容赦せんぞぉ・・・全員始末ふふぅ」
「最初の車両だけクリア、このまま全車両制圧ゥ!」
「残弾無し、直に接近に持ち込みますうううう!」
列車の真後ろに張り付いて追いかけてきていた。
十数人の兵達が甲板沿いに渡って乗り掛かり、
前方のエンジン部に向かって制圧を試みようとしている。
まさに無謀な作戦と思わしい行動で数人が攻めてきたが、
彼らだけでなく紛れて1人異質な兵士の姿も見かけた。
ドスン ブイイイィィィィィン
カゴシマ兵Z「ブルォオオオオオオ!!」
2枚の鎖刃が接続されたセパレイトチェインを両手で持つ大男が
共に荒ぶる声で乗り込んで来た。
身長2m以上、1m以上あるエンジン音の兵装を抱えて現れた
突然の異常者にミヤギ兵達は立ちすくんでしまう。
EEEEも車両内部へエイムできないので残りの武器だけで対抗。
「いひいっ、くるなくるなあああ!」
ビシュッ キキキィン
SRもものともせずに接近。
異様な姿に恐れてながら射撃で応戦するが、目標に当たらない。
「でかい奴だけ向かってくる・・・どうすれば?」
防弾チョッキのような何かを全身にまとい、遠距離射撃を防ぐ。
さらに鉄すら切り裂く兵器を所有して、ライオットギアの様な
人型の機械と思いたくなる人が前方車両まで迫ってくる。
事態に気付いた2人も、一目見て尋常そうな敵には思えなかった。
「1人常識外なのがいるようだ」
「あんなのに斬られたらたまったもんじゃない。
各隊員、一度先頭車両へ退避しろ!」
全身装甲をまとい、SRが効きそうになく事態を重くみたデイビッド達は
ミヤギ兵を全員内側に呼び寄せる。
後部を放棄させようと指示するのだが、モブ敵兵の侵入も数人来ていて
このままでは相手が全員ここに辿り着いてしまう。
「ホホホ、ホホホオオォ!!」
ブイイイィィィィィン バリバリバリ
相当斬り崩せる鎖刃で扉をこじ開けてくる。
ぐるぐる巻きの黒帯を頭に破片が飛び散って当たっても、
おかまいなしに突き進む。
その次の車両は資源置き場で中から通れないため、
迂回するカゴシマ兵が再び甲板に出始めた。
「「あんなのに斬られたらイヤだぁぁぁぁ!!」」
「「撃たれるより、もっとムゴイぞ・・・」」
分断機を握りしめた彼はすでに正気を保っていない様で、
そんな鬼気迫る目をした相手がやって来たにも拘わらず、
俺は冷静沈着にメンバーと対策の話をする。
「リフトを使うぞ、対策は銃が全てじゃない」
「なるほど、場を利用するのか」
最前車両より1つ前の車両に荷物引き下ろし台がある。
この場はあくまでも敵を引き離す事が重要で、ロストする必要がなく
戦闘を終わらせれば良いだけだ。
「今だ!」
「フンッ!」
グイッ ガタン ツルッ
「うおっ!?」
「ブルッ!?」
レバーを引くと、足場のプレートが斜めに傾いて上昇。
さらに線路沿いは急カーブで、列車のスピードを落ちて
鉄道の軌道が慣性で曲がり、バランスを乱して足が揺らいだ
カゴシマ兵の重心が崩れて思わず外側に寄り掛かる。そして。
「ああああぁぁぁ!?」
「ウオオオォォォン!!」
ザブーン
2人は川へ落下する。その車両は“流し場”とよばれる資材を
落とす場所であり、敵を物資の様に振り落とした。
わざわざ前車両まで誘き寄せる機会を待っていたからだ。
わずかに残った者は捕縛、または大人しく投降する者で対処して、
全てのカゴシマ兵から防衛させる事に成功した鉄道兵団。
その後は列車の音だけしか聴こえず、一戦をこなした反動で
涼しい向かい風が熱くなっていた顔を冷やしていく。
「「た、助かったのか・・・」」
「デイビッド、やっぱりあんたはこっちに戻るべきだ!」
メンバー達も涙目で感謝を表す。
さすがにこんな状況は初だが、これもまた機転の一種で生還。
功績の1つがこうしてたまたま出ただけで生き延びるのに構っていられない。
「こうやって乗り込んで来た敵を揺さぶって落とすなんて、
今回で初めてだったな」
「まさに、場の持ちようだな。戦場は応用を利かせてこそ超えられる。
実績なんてものは教えられるより自ら切り拓くものなんだ」
熟考するやり方ではなく機転を利かせた2人による作戦。
既存の兵器だけに頼らない方法は時に役に立つもの。
現場ならではの知恵で、無駄な命を消費させない工夫だけでなく
要らぬ悲惨な景色を減らすのも、また先人達の任務なのだ。
「おい、手薄なとこ見っけたぞ!」
「しめた、こっちに来て正解だ!」
カゴシマ兵がアキタCNの西側から人気のなさそうな入江から
コッソリと踏み入れる。九州地方からはるばる侵攻で来た者達は
反対に位置するイワテCNの沿岸は入り組んだ地形で、
待ち伏せの恐れが大きかったため、安全そうなこちらを選んだ。
「隊員の配置ですが、一部ここで待機します?」
「全員行くぞ、チャンスは今しかない!」
カゴシマ兵は全員アキタCNの内地へ向かう方向に出るつもりだ。
敵影反応は驚くほど薄く、侵入も容易そうだった。
とはいえ、見つかるとリスクも跳ね上がるので
一度森林地帯へ移動しようと進路を曲げて東部へ向かっていった。
しばらく彼らが上陸場から離れた後、船から異質な物音がする。
2つに分けた音が密かに鳴っていた。
ガスッ ブウゥゥン ゴスッ ブウゥゥン
何かの共鳴と打撃の音がするものの、カゴシマ兵達は誰も気付いていない。
爆発音とは異なり、遠くまで響いていないのだ。
「・・・音?」
「どうした?」
「・・・なんでもない、気のせいだ」
そう言いつつ、彼らはそのまま内地に向かってしまう。
空耳とばかり敵地の緊張感のせいだと進んでいった。
打撃音を発生させた張本人はロック。
カゴシマ戦闘艦の底部を、あのエアーナックルで破壊して帰れなくしていた。
ブクブク
泡を出して船が沈み、もう乗る事もできないだろう。
カレンが無線通信して様子を聞きにくる。
「「そっちはうまくいった?」」
「ああ、船を沈めてやった。俺が来ている事すら気付いてねえ。
これで、奴らはもう袋のネズミだ!」
「「ありがと、ガス田のとこに沈めてないわね?
後はこっちに来た敵はこっちがやっておくわ」」
「ああ、頼んだ」
敵を先に内地におびき寄せ、帰りの道や供給を絶とうという
一種の挟み撃ち作戦をとっていたのだ。
あれから俺は機械破壊役として東北一帯を回り、奇妙な音を出していた。
アキタCNは交渉で敵をできるだけ捕縛していくという方針で、
トーマスの言葉が効いているのを実感する。
(こんな役目も悪くはないな)
今回、東北の部隊は同じ分隊でも能力に応じて別行動をとると
レイチェルによって決められていた。
俺が接近戦に特化しているのを見定められたのか、
視界の悪い海岸の防衛を任されて解体作業に勤しんでいる。
今まで殴れたのは人だけだったが、トウキョウ技術者のおかげで
活路を見出せてきた。
一方でカレンはメンバーの通信連携役として拠点で待機していたが、
いよいよ順番が回って出番がきたようだ。
現在のアキタには敵侵入があっても大した数じゃなく、外地の人達だけで
十分対処できる。あたかも順番待ちみたいな感じもするけど、
余裕をもって仕事に当たれるのは良い状況だと思う。
サラ司令から意外な出撃命令が下る。
「「ホッカイドウCNから援護の要請がきたわ。
至急、向かってちょうだい!」」
「ホッカイドウ!? 分かりました!」
メンバー達が各地で展開するにおいて技能を発揮してゆく中、
ホッカイドウも独自行動で他地方へ行ったようだ。
地形の都合、SRを持っていく必要もあって現地入りする。
今回の戦闘規模は今までにないくらいに大きい。
認めるのもなんだけど確かな東北の一スナイパーとして、
私も足手まといになるわけにはいかない。
(あれだけ近くで撃ち合ってたのに、今度はもっと外側に向かって
撃つ事になるなんて・・・どうして武器を捨てられないのかな)
今となって世の中の仕組みをふと考えてしまう。
どれだけ多くのCNと手を組んでもやっている事は変わっていない。
話では1:1法なんているルールがあるらしい。
どうして味方と敵なんて分けなければならないのか、理解に悩む。
霜が積もる間に火薬が澄んだ空気でより鼻に入りつつ、
そうした世界の中で私は寒空の下、長いバレルを抱えて生きる。
たとえ女であっても与えられた武器で現場に臨まなければならないのだ。
スナイパーといえば、アキラの腕前も同じ。
狙撃なら彼に負けない実力はあったが、張れる機会を失う。
もう少し健全なやり方があれば良いのに、命にまで及ぼす。
でも、そんな事まで考えてもどうにもならないので、
ホッカイドウへ向かう準備を始めた。
ミヤギCN 鉄道路線
ミヤギCNの列車にデイビッドが現地の兵達と同行している。
彼も元鉄道兵団で経験者の功か、こうして再びここで作戦展開を
任されていた。旧友でもあるミヤギ兵と会話。
懐かしさを交えて近況を語り合っていた。
「こうして、またお前と行動できるとはな。
こんな情勢とはいえ、共同ラボリに光栄だ」
「ミヤギはリソースの6割を列車区域に変えたようだ。
まあ、俺はここで期待に応えられなかったがな」
「そうでもないぞ、鉄道兵団時代に色々残しただろう?
たとえどこへ異動しようと、功績は残り続ける」
「功績か、結果としてはそうかもしれん。
でも、人を守りきれずにそんなものばかり残ってもな。
鉱石の様にはいかない」
車両から降りて一般兵に異動しても、またラボリで戻ってくる。
腕前はそうやすやすと失わずに、レイチェル総司令も皮肉な采配を
選択してくれたものだ。しかし、現隊長は振り払わずにこう話す。
「相変わらずそこを引きずってるのか、らしくないぞ。
結果は結果だが、お前はもっと大きなものを残している」
「もっと大きな?」
「そうだ、信頼という大きなものだ。
お前はよく自ら後方支援を買って出て行ってたろう?
そうした伝説がまた人を呼び寄せて組織となる。
部下なんか、“あのデイブが来たぞー”って話題にしてたくらいだしな」
「俺はそれ程の事なんてした覚えが――」
「敵襲!」
2人の話を切って部下が後方の異変に気が付いて警告する。
関西軍の一端であるカゴシマ兵の襲来だ。
「列車を奪取しろ!」
列車の制圧に来たようで、数台のビークルで追いかけてきた。
後部車両に設置したEEEEを始めとして、他メンバーはSRを用いて
状況を見た隊長が狙撃で対処する作戦を指示する。
「大型の機体は確認なし、4Eを5.56mmに装填!
その後は一定間隔で砲撃しろ!」
「・・・・・・」
このCNの中でも特に相対速度の読みに優れるデイビッドだが、
列車上では卒なくできる保証はない。
普段との戦地が異なり勘も取り戻せていない中、自分と相手の
射線を重ねるタイミングを正確に合わせなければならない。
また、相手も標準を定めて狙ってくるので、線路軌道も視野に
如何に素早く撃てるかが決め手だ。
(山の端入口に入った時、敵もそこに集中する。
同様に狙われるリスクも生じるが、決着への賭けでもあるな)
風が身を横切り、足場も動いて安定しにくい箇所の射撃は慣れている。
ただ、ブランクだけが結果への差や壁となるが。
スパァン
「ピギョオオォ!?」
ヒットしたカゴシマ兵はビークルから転げ落ちる。
目論見通りに展開が動いていき、次の環境を見計らって射線を見直した。
(川、鉄橋入口にも敵は集中する)
ミスを無くすための狭地で撃退、広域で相手をしなかったのは
ホットゾーンの収束を狙っていたのだ。
相手を見定めていたが、カゴシマ兵は予想外の行動をとる。
「入って来ない・・・」
「流石に学習されたか」
狭境の地域で狙撃してくるのを読み取った九州兵が進行を止めた。
何度も同じ手が通用するわけがない、向こうも一網打尽を回避しようと
一線から離脱していったようだ。
「次の警戒区域は仏台平野、広地に気をつけるんだ!」
一方で、カゴシマ兵達は土地勘もなくこのエリア周辺に
放り出された感じに苦労していた。黒兵関連を洗おうとして鉄道を発見し、
工房がそこにあるのではと疑って追跡を試みる。
しかし、列車を追いかけるのに目を追いすぎて、
今いる場所がどこか居場所も見失ってしまったようだ。
「現在地は不明、これまで17人がロスト。
隊長、人員の補給が必要です!」
「・・・どうした? 何故、援軍を送ってこない!?」
「「艦内からの応答がありません。西側で到着した船からまったくなく、
通信連携システムに異常が発生した可能性が」」
「な・に・い!?」
途絶により供給元を次々と断たれているので、
管制元へ連絡が届かないのだ。カゴシマ兵はアキタCNに到着したはずの
別働隊に呼びかけたがツーカー音すら聴こえずに電源がまるごと切れている。
当然、ここから九州までとどかないので孤立化してしまう。
これが続くと九州の艦が続いてやって来る時間が大幅に遅れていくが、
部下は1つだけ近くの分隊から返信を受けた。
「しかし、一隊だけ要請に応じました。
あの部隊がここに来られるそうです」
「・・・解体班か。
クコココアァ、それは良い報告だな。奴らと合流してから再起だぁ」
幸運にもこちらにはまだ別動隊がいたのである。
しかも、他にはない特殊な部隊が加勢にきてラボリが続けられる。
隊長の顔が不気味に引きつりながらも笑みを浮かべて言う。
ここにやって来る小隊と共に、カゴシマ兵の追跡は再び始まろうとした。
数十分後
それからというもの、列車は通常通りに運転を続けている。
どうにかカゴシマの攻略を阻止した鉄道兵団。
しばらくの小休憩、ミヤギ兵達も腰を据えて景色を眺めていた。
「さすがに今回は相手が多すぎだぜ、なんでこんなに突っ込んできたんだか」
「黒兵の襲撃が関西きたって知らせから一気にこうなって始まって。
で、どういうわけか向こうからもドバッと来たよな」
「んで、ターミナルで聞いた話なんだけど、
CNが仲違いしたせいでこうなったらしいな。
数はよく知らんがどっかで通信がきてタレコミで発覚したんだと」
「それで、なんで向こうの仕業って気付いたんだ?」
「分からんが貿易関係で指令室かどこかで誤作動が起きて
敵と間違えて修正した間で流れてきたって聞いたな。
そこのCNは・・・確か・・・ほら・・・あそこの」
「何? じゃあ、MUFで遅れたっていうのはあっちの――」
「ほい、交代時間だ。最後部頼んだぞ」
「はいよ」
会話の途中で見張り番が交代。
林を通り終える寸前の列車から次第に平地が広がり、また平野と変わる。
1人の兵が何かの音を聴いて、背後の木々を見渡してみると。
「ん、今何か音が・・・?」
ズパァン
「・・・・がおっ!?」
空気を切った弾を受けて倒れる、
音を聴いてミヤギ兵が一斉に警戒すると、列車の底部から人が姿を現した。
ガシッ
フェンスを手でつかむわずかな音の後に次々と影が降りてくる。
カゴシマ兵が直に列車後部から乗り込んで来た。
「もう・・・容赦せんぞぉ・・・全員始末ふふぅ」
「最初の車両だけクリア、このまま全車両制圧ゥ!」
「残弾無し、直に接近に持ち込みますうううう!」
列車の真後ろに張り付いて追いかけてきていた。
十数人の兵達が甲板沿いに渡って乗り掛かり、
前方のエンジン部に向かって制圧を試みようとしている。
まさに無謀な作戦と思わしい行動で数人が攻めてきたが、
彼らだけでなく紛れて1人異質な兵士の姿も見かけた。
ドスン ブイイイィィィィィン
カゴシマ兵Z「ブルォオオオオオオ!!」
2枚の鎖刃が接続されたセパレイトチェインを両手で持つ大男が
共に荒ぶる声で乗り込んで来た。
身長2m以上、1m以上あるエンジン音の兵装を抱えて現れた
突然の異常者にミヤギ兵達は立ちすくんでしまう。
EEEEも車両内部へエイムできないので残りの武器だけで対抗。
「いひいっ、くるなくるなあああ!」
ビシュッ キキキィン
SRもものともせずに接近。
異様な姿に恐れてながら射撃で応戦するが、目標に当たらない。
「でかい奴だけ向かってくる・・・どうすれば?」
防弾チョッキのような何かを全身にまとい、遠距離射撃を防ぐ。
さらに鉄すら切り裂く兵器を所有して、ライオットギアの様な
人型の機械と思いたくなる人が前方車両まで迫ってくる。
事態に気付いた2人も、一目見て尋常そうな敵には思えなかった。
「1人常識外なのがいるようだ」
「あんなのに斬られたらたまったもんじゃない。
各隊員、一度先頭車両へ退避しろ!」
全身装甲をまとい、SRが効きそうになく事態を重くみたデイビッド達は
ミヤギ兵を全員内側に呼び寄せる。
後部を放棄させようと指示するのだが、モブ敵兵の侵入も数人来ていて
このままでは相手が全員ここに辿り着いてしまう。
「ホホホ、ホホホオオォ!!」
ブイイイィィィィィン バリバリバリ
相当斬り崩せる鎖刃で扉をこじ開けてくる。
ぐるぐる巻きの黒帯を頭に破片が飛び散って当たっても、
おかまいなしに突き進む。
その次の車両は資源置き場で中から通れないため、
迂回するカゴシマ兵が再び甲板に出始めた。
「「あんなのに斬られたらイヤだぁぁぁぁ!!」」
「「撃たれるより、もっとムゴイぞ・・・」」
分断機を握りしめた彼はすでに正気を保っていない様で、
そんな鬼気迫る目をした相手がやって来たにも拘わらず、
俺は冷静沈着にメンバーと対策の話をする。
「リフトを使うぞ、対策は銃が全てじゃない」
「なるほど、場を利用するのか」
最前車両より1つ前の車両に荷物引き下ろし台がある。
この場はあくまでも敵を引き離す事が重要で、ロストする必要がなく
戦闘を終わらせれば良いだけだ。
「今だ!」
「フンッ!」
グイッ ガタン ツルッ
「うおっ!?」
「ブルッ!?」
レバーを引くと、足場のプレートが斜めに傾いて上昇。
さらに線路沿いは急カーブで、列車のスピードを落ちて
鉄道の軌道が慣性で曲がり、バランスを乱して足が揺らいだ
カゴシマ兵の重心が崩れて思わず外側に寄り掛かる。そして。
「ああああぁぁぁ!?」
「ウオオオォォォン!!」
ザブーン
2人は川へ落下する。その車両は“流し場”とよばれる資材を
落とす場所であり、敵を物資の様に振り落とした。
わざわざ前車両まで誘き寄せる機会を待っていたからだ。
わずかに残った者は捕縛、または大人しく投降する者で対処して、
全てのカゴシマ兵から防衛させる事に成功した鉄道兵団。
その後は列車の音だけしか聴こえず、一戦をこなした反動で
涼しい向かい風が熱くなっていた顔を冷やしていく。
「「た、助かったのか・・・」」
「デイビッド、やっぱりあんたはこっちに戻るべきだ!」
メンバー達も涙目で感謝を表す。
さすがにこんな状況は初だが、これもまた機転の一種で生還。
功績の1つがこうしてたまたま出ただけで生き延びるのに構っていられない。
「こうやって乗り込んで来た敵を揺さぶって落とすなんて、
今回で初めてだったな」
「まさに、場の持ちようだな。戦場は応用を利かせてこそ超えられる。
実績なんてものは教えられるより自ら切り拓くものなんだ」
熟考するやり方ではなく機転を利かせた2人による作戦。
既存の兵器だけに頼らない方法は時に役に立つもの。
現場ならではの知恵で、無駄な命を消費させない工夫だけでなく
要らぬ悲惨な景色を減らすのも、また先人達の任務なのだ。
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