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2章 関東統一編
第20話 東の共同体
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1日前 イワテCN拠点
「「同盟・・・承認しました。
これにて、チバCNはイバラギCNとの司令官ロスト時併合。
及び東北と関東の該当CNによる結成を許可します」」
記号で表示される天主殻の管理者は許可をした。
Mの言葉より、列島の東部は先の情勢をまとめて収束。
共に歩む同盟という喜びとは裏にクリーズは重い表情をした目で
モニター画面を観ている。
「認証、心より感謝する。
しかし、私は未だにCN法の理由が理解しえない。
衝突と結合の両極端なシステムに従属する根本が」
「「理解しきれなくとも結構です。
あなた方人に国の法が課せられている以上は
ただ、既存のルールに従っていただくのみです」」
「やはり、あなた方にとっては1:1の原理という
バランスが然るべきなのか?」
「「必然です、生物における発展と浪費は共に差がなく
等しく成り立つべき必要十分条件なのです。
引き続きCNの下に従事して下さい」」
プツン
「・・・・・・」
サラとレイチェルも閉口。
側にいる2人の司令官も黙ってそれを観ているだけだった。
この世界における支配者の規律は例外なく絶対であり、
国の中にある自由という文字が有るはずもないのだ。
チバCN 拠点
あれからトウキョウ兵は撤退し、以上の追撃はなかった。
クリフがアブダクトされてからパッタリと手が止み、
まるで始めからあいつを目標としていたかの様に
根こそぎ壊滅させられずに事は済む。
圧倒的な関東最高勢力にチバは敗北以上に無力感を味わわされ、
生き残った者同士励まし合ってCNの立て直しを図ってきた。
「この辺りもひどい有り様だったけど、少しは良くなった」
「なんとか背中を押し合って、再建し直してます。
東北の人達がやってきて援助してもらってます。
あの人は僕達を受け入れてくれたんですね」
「東北の件だけは本当に良かった。
あのまま抗争が続いて同盟ができなかったら、
ここは本当に窮地に追い込まれていたからな」
レッドはトオルと現状を改めて話し合う。
ちなみに、ナガノの人質の件はすでに解決していた。
東北の司令官達は同盟に応じてくれたようだ。
なけなしの資源、物資も与えてもらい、
つい先まで戦った相手とは思えない程である。
戦争とは何なのか、改めて思い返される今の立場に不遇さを感じる。
これよりチバでは部隊の再編成を行う。
アレンの弔いが済み、生き残った各分隊の結成も整いかけようとした。
「隊長、おおまか終わりました」
「ありがとう、後で確認しにいくわ。
レッドの方はどう?」
「こっちの収集もだいたい終了したぞ。
もう残骸はほとんど・・・・・・ん、今隊長って?」
「クリフがいない今、あたしがチバの第1部隊長をやってるの。
さっきから各エリアと話をしていたわ、ただの序列だけど」
次の経験者で、かつ人望もあるカオリが隊長を務める事になっていた。
トオルやアルフィーは“柄じゃない”とアッサリ拒否。
まとめやすい人付き合いの多い彼女に任せたという。
それでも、“あいつが戻ってくるまで”という期間限定のようで、
彼女も長く務める気もないらしい。
敗戦の名残りが漂う間、見たくれだけでも綺麗にしておきたかった。
トウキョウCNの奇襲により、チバCNは打撃を受けてしまった。
司令も失ってしまい、指導者候補は他の同盟CNにバトンタッチするのが
この世界では常識だ。
「確か司令がいなくなったら他のCNと併合だったか?」
「ええ、あたしが司令代わりなんてできないし。
ナミキさんから色々と指示がくるでしょうね。
認証も終わったし、しばらくはイバラギの傘下に入るって」
「・・・そうか」
チバ司令官を失った今はトチギ司令官もいない都合で、ルール上
ナミキ司令がいるイバラギCNがまとめる形となった。
指令室にいるオペレーターが通信で通達を受け取り、実行。
場合によって他から同盟兵が来て手伝いなど行う。
どんなタイミングか、ワタルが来て様子を見にきていた。
「こっちは災難だったな」
「ワタル・・・」
いつもの口調も控えめに自分達を励ましていた。
そんな関東取りまとめ役のこいつが他の同盟CNの様子を話す。
「同盟に関しては特に問題はなさそうだ。
向こうも向こうでなにやらあったらしいしな」
「俺達から東北へ侵攻した様な形だったのに、
手を組む善相を見せてくれるなんてな・・・」
「色々回ってみたが、東北も中部も同盟に反対する連中なんて
ほとんどいないみたいだ。ま、戦闘狂ばっかりならとっくに終わってるか。
結果良ければってわけで良いんじゃねーのかね」
辺りのCNに関する状況を語る。
大打撃を受けたのはチバだけで、あえて分かっていながら
気遣ってこいつは語っているのだろう。
こちらの都合はそうもいかないが、いらぬ心配もそうなので
余計なグチはこぼさないようにする。
「不安か?」
「いや、何の事だ?」
「トウキョウの思惑は相変わらず知らんが、
クリフを助けにいくにゃ周りの力が必要だ。
まあ、組めるとことは組んでおいた方が良いぜ」
「ああ・・・前向きにいく。
止まっていても、何かが変わらないのもそうだ」
「やっぱ勇者はそうでなきゃな。
それはそうと話は変わるが、さっき聞いたけど
グンマの嬢ちゃんがとてつもない逸材を確保したって言ってたな」
「なんだそれは!?」
知らぬ間にグンマも歩を進めているようだ。
他でも独自に色々と施工を行っていて前進する中、
自分だけ下ばかり向いてられない。
1人で無理なら、周りをあてにすれば良いんじゃないか。
そう思いつつある。
「ワタル」
「ん?」
「しばらくの間、ここを頼んだぞ」
「当ったり前だ、俺を誰だと思ってるんだ?
そうそう、同盟式はイワテでやるってよ。
トウキョウ周辺は危ないから、アッチでやるらしい」
「そうか」
曲がりなりにもこいつの交渉術には見込みがある。
戦闘以外に長けたスキルをもつワタルや他の兵士達の活躍を
期待するのも良いだろう。ワタルの言う不安がない事もない。
それ以上に増す前向きな感じが後押しする。
今日をもって再び新たなCNが共に加わるのだ。
3日後 イワテCN拠点
「着いたわよ!」
「またここか」
カオリが運転するビークルから降りた自分は再び東北に足を着ける。
チバ兵の複数の分隊がイワテCNに到着した。
関東東北の重鎮達が集い、今自分もその中にいる1人だ。
これより、東列島は人材や物資を交えた上に身が固まってゆく。
地域の気候と反する熱気は密集する中、同盟式は前回よりも
はるかに上回る規模で始まった。
アオモリ、アキタ、イバラギ、
イワテ、グンマ、チバ、トチギ、
トヤマ、ナガノ、ホッカイドウ、
ミヤギ、ヤマガタ
同盟
「「それでは皆さん、新たなる門出を祝いましょう。
多いなる個を収束し、輝く光陣の和に変えるべく
喜びと悲しみを分かち合い共に歩みだしましょう」」
「オオオオオオオオオオオオオオオウ!」
メインアナウンスのレイチェルの訓示に注目する兵士達。
1つ1つと大きくなるCN達。共同はより高まっていく。
多少の恐れ、緊張感をもつ者もいるが、ここで暴動を起こす気配もなく、
以下の会話もイバラギ、ヤマガタ、ナガノ、ミヤギ、トヤマ、アキタ、
チバ、ホッカイドウ、グンマ、アオモリ、トチギ兵の順に並ぶ。
「よろしくな、東北のみなさん!」
「よろしく、あんたら強いからやばかったよ。
関東もあんなに色んな規格を立ててたんだな」
「東北のライオットギアは青色っぽくて速いんだな。
よほど軽量化された装甲を使っているのか」
「ホッカイドウのは白いけどな、まあ、端材を用いたのばかりで
こっちのは最近改良したばっかりなんだよ」
「各地方で独特に進化を遂げているんだな・・・」
「この間の戦法なかなかだったぜ!
なんか細い糸で跳んでたり、面白い装具だな」
「白い兵士がホッカイドウ兵か、すごく寒いんだって?」
「氷結弾並みだ」
「おっほほおおおおおう!」
「わがさアオモリシーエヌさ。
かんとうはさすねえ、なんぼほんずねぇな」
「え?」
見渡す限りに、多方面の兵士達が埋め尽くされる程だ。
異なる兵装の色彩は、まるで1つの大きな自然を表現して
いるような感じがする。名兵達もお互いに接してそれぞれの
会話というアプローチを始めていた。
こんな内容でコミュニケーションがとれているのか、モブ兵と同様に
ロビン、アルフィー、ヨゼフィーネ、ワタル、レッド、トオルと
これまた多く入り交じって話す。
「ほう、お前らが噂の東の兵か・・・」
「先日、生まれ変わったばかりの画期的な衛生兵だ、
これからよろしく頼む」
「あたしはヨゼフィーネ、ナガノ兵だ。よろしくな!」
「ありゃ、こんな小っこい子もラボリにでるのか。
CN法に抵触してないのか?」
「こう見えても、あたしは突撃兵だッ!
なんなら、1発喰らってみるか!?」
「「これはまた意外なのもいるな」」
(あの体型で突撃兵・・・ううっ、真似できない)
ますます拡大していくCNの連合に目を見張る。
今まで身を削り合ってきた彼らの気持ちは不安と安堵が
まだまだ混じり合うのだろう。
一種の連結、共感は確実に強くなる感覚がそこにある。
白服の兵士、ホッカイドウCNの兵、いや、メンバー達と言っておく。
彼らの姿もあり、会場端には座り込んでいて1人だけ座っている者。
ホワイトベルーガの搭乗者の彼女もいた。
今度こそきちんと挨拶しに行ってみよう。
「や、やあ、前の時はどうも。
もう敵として会わずに済んだな、よろしく頼む」
「・・・・・・」
ツン
返事はなく、そのまま立ち去ってしまった。
相変わらずのダンマリ屋だ、まったく相手をしてくれない。
こんな世界じゃ、赤と白は交われないものなのか。
そんな彼女でも、もう立派な関東の同盟者だ。
いつかきっと自分達の役に立ってくれるだろう。
またまたロック、ロビン、メイソン、カレン、カオリ、ミロン、ヨハン、
イザベル、ヘルマン、エリーと一斉の会話で満たされてゆく。
「なんつうか、チームは広がっていくが
あんま悪い気がしねえよな。あんたも近接強そうだし」
「それでも油断は禁物だぞ、
あのトウキョウの強大さ、脅威は変わっていない」
「トウキョウCNって、特に強力な勢力と聞いたけど、
もし敵としてやってきたらどうなっていたか」
「このまま集まっていけば、あいつらにだって勝てるんじゃない?
あの時のあんたの張り手でパパッとやってけば、こっちは楽なのにねー」
「全部、こっちに任せないで手伝いなさいよ!
あら、ずいぶんと可愛いのもいるじゃない。
身なりからして、東北の子?」
「ううっ、またこのパターン・・・」
「ハハハ、お前は敵意喪失させるのに特化してるな」
「ふふふ、本当に無事で良かったですね」
(まったく、吞気なもんだ)
(け、計画通り・・・かな)
緊張気味の兵士も何人かいる。あれだけ命の取り合いをしたんだ。
ぎこちない関係の収束はまだまだ時間がかかりそうだが、
こうする道を選んで進んでいくのが最善の策だろう。
(あいつがこんな光景を見たら、なんて言うかな)
レッドがそう思いかける。
誰よりも躍起になって戦っていたアイツがこんなに多くの同盟を
果たしている現状に文句を言うかもしれない。
「隊長なら、こんなときグダグダ言うかもね。納得いかねーって♪」
「カオリ・・・」
カオリに自分が思っていた事を言われた。
口に出していなくとも視線で気づかれたかの様な言い方だ。
彼女の言う通り、併合にはイザコザや問題も新たに生まれるだろう。
でも、全てが無駄になるロストには代えられない。
ここまで来たからにはCNという入れ物に戻してやりたい。
ただ1人、この場にいないかつての隊長を必ず迎えるために。
「そうだな、俺が連れ戻して説得しに行ってやる」
「俺達・・・でしょ?」
「現隊長の言う通りだ」
1人で、ましてや関東だけでトウキョウCNにかなうはずがない。
だが、こんな面子ならいつしかやれそうな気がする。
人という塊は衝突も起こすけど集まりもする。
片方が大きければ小さい方は弾かれるのは当然か。
だから見逃さずに多くの仲間と共に助けに向かう。
アブダクトされたあいつを助けるための立派な戦友として。
これから始まる大きな波にのり、生き残りをかけた戦いに
身も精も全力で出し尽くしていくんだ。
(待っていろよ、クリフ)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2章東編はこれで終わりです。
当然、西編もあるのでそちらもどうぞ。
「「同盟・・・承認しました。
これにて、チバCNはイバラギCNとの司令官ロスト時併合。
及び東北と関東の該当CNによる結成を許可します」」
記号で表示される天主殻の管理者は許可をした。
Mの言葉より、列島の東部は先の情勢をまとめて収束。
共に歩む同盟という喜びとは裏にクリーズは重い表情をした目で
モニター画面を観ている。
「認証、心より感謝する。
しかし、私は未だにCN法の理由が理解しえない。
衝突と結合の両極端なシステムに従属する根本が」
「「理解しきれなくとも結構です。
あなた方人に国の法が課せられている以上は
ただ、既存のルールに従っていただくのみです」」
「やはり、あなた方にとっては1:1の原理という
バランスが然るべきなのか?」
「「必然です、生物における発展と浪費は共に差がなく
等しく成り立つべき必要十分条件なのです。
引き続きCNの下に従事して下さい」」
プツン
「・・・・・・」
サラとレイチェルも閉口。
側にいる2人の司令官も黙ってそれを観ているだけだった。
この世界における支配者の規律は例外なく絶対であり、
国の中にある自由という文字が有るはずもないのだ。
チバCN 拠点
あれからトウキョウ兵は撤退し、以上の追撃はなかった。
クリフがアブダクトされてからパッタリと手が止み、
まるで始めからあいつを目標としていたかの様に
根こそぎ壊滅させられずに事は済む。
圧倒的な関東最高勢力にチバは敗北以上に無力感を味わわされ、
生き残った者同士励まし合ってCNの立て直しを図ってきた。
「この辺りもひどい有り様だったけど、少しは良くなった」
「なんとか背中を押し合って、再建し直してます。
東北の人達がやってきて援助してもらってます。
あの人は僕達を受け入れてくれたんですね」
「東北の件だけは本当に良かった。
あのまま抗争が続いて同盟ができなかったら、
ここは本当に窮地に追い込まれていたからな」
レッドはトオルと現状を改めて話し合う。
ちなみに、ナガノの人質の件はすでに解決していた。
東北の司令官達は同盟に応じてくれたようだ。
なけなしの資源、物資も与えてもらい、
つい先まで戦った相手とは思えない程である。
戦争とは何なのか、改めて思い返される今の立場に不遇さを感じる。
これよりチバでは部隊の再編成を行う。
アレンの弔いが済み、生き残った各分隊の結成も整いかけようとした。
「隊長、おおまか終わりました」
「ありがとう、後で確認しにいくわ。
レッドの方はどう?」
「こっちの収集もだいたい終了したぞ。
もう残骸はほとんど・・・・・・ん、今隊長って?」
「クリフがいない今、あたしがチバの第1部隊長をやってるの。
さっきから各エリアと話をしていたわ、ただの序列だけど」
次の経験者で、かつ人望もあるカオリが隊長を務める事になっていた。
トオルやアルフィーは“柄じゃない”とアッサリ拒否。
まとめやすい人付き合いの多い彼女に任せたという。
それでも、“あいつが戻ってくるまで”という期間限定のようで、
彼女も長く務める気もないらしい。
敗戦の名残りが漂う間、見たくれだけでも綺麗にしておきたかった。
トウキョウCNの奇襲により、チバCNは打撃を受けてしまった。
司令も失ってしまい、指導者候補は他の同盟CNにバトンタッチするのが
この世界では常識だ。
「確か司令がいなくなったら他のCNと併合だったか?」
「ええ、あたしが司令代わりなんてできないし。
ナミキさんから色々と指示がくるでしょうね。
認証も終わったし、しばらくはイバラギの傘下に入るって」
「・・・そうか」
チバ司令官を失った今はトチギ司令官もいない都合で、ルール上
ナミキ司令がいるイバラギCNがまとめる形となった。
指令室にいるオペレーターが通信で通達を受け取り、実行。
場合によって他から同盟兵が来て手伝いなど行う。
どんなタイミングか、ワタルが来て様子を見にきていた。
「こっちは災難だったな」
「ワタル・・・」
いつもの口調も控えめに自分達を励ましていた。
そんな関東取りまとめ役のこいつが他の同盟CNの様子を話す。
「同盟に関しては特に問題はなさそうだ。
向こうも向こうでなにやらあったらしいしな」
「俺達から東北へ侵攻した様な形だったのに、
手を組む善相を見せてくれるなんてな・・・」
「色々回ってみたが、東北も中部も同盟に反対する連中なんて
ほとんどいないみたいだ。ま、戦闘狂ばっかりならとっくに終わってるか。
結果良ければってわけで良いんじゃねーのかね」
辺りのCNに関する状況を語る。
大打撃を受けたのはチバだけで、あえて分かっていながら
気遣ってこいつは語っているのだろう。
こちらの都合はそうもいかないが、いらぬ心配もそうなので
余計なグチはこぼさないようにする。
「不安か?」
「いや、何の事だ?」
「トウキョウの思惑は相変わらず知らんが、
クリフを助けにいくにゃ周りの力が必要だ。
まあ、組めるとことは組んでおいた方が良いぜ」
「ああ・・・前向きにいく。
止まっていても、何かが変わらないのもそうだ」
「やっぱ勇者はそうでなきゃな。
それはそうと話は変わるが、さっき聞いたけど
グンマの嬢ちゃんがとてつもない逸材を確保したって言ってたな」
「なんだそれは!?」
知らぬ間にグンマも歩を進めているようだ。
他でも独自に色々と施工を行っていて前進する中、
自分だけ下ばかり向いてられない。
1人で無理なら、周りをあてにすれば良いんじゃないか。
そう思いつつある。
「ワタル」
「ん?」
「しばらくの間、ここを頼んだぞ」
「当ったり前だ、俺を誰だと思ってるんだ?
そうそう、同盟式はイワテでやるってよ。
トウキョウ周辺は危ないから、アッチでやるらしい」
「そうか」
曲がりなりにもこいつの交渉術には見込みがある。
戦闘以外に長けたスキルをもつワタルや他の兵士達の活躍を
期待するのも良いだろう。ワタルの言う不安がない事もない。
それ以上に増す前向きな感じが後押しする。
今日をもって再び新たなCNが共に加わるのだ。
3日後 イワテCN拠点
「着いたわよ!」
「またここか」
カオリが運転するビークルから降りた自分は再び東北に足を着ける。
チバ兵の複数の分隊がイワテCNに到着した。
関東東北の重鎮達が集い、今自分もその中にいる1人だ。
これより、東列島は人材や物資を交えた上に身が固まってゆく。
地域の気候と反する熱気は密集する中、同盟式は前回よりも
はるかに上回る規模で始まった。
アオモリ、アキタ、イバラギ、
イワテ、グンマ、チバ、トチギ、
トヤマ、ナガノ、ホッカイドウ、
ミヤギ、ヤマガタ
同盟
「「それでは皆さん、新たなる門出を祝いましょう。
多いなる個を収束し、輝く光陣の和に変えるべく
喜びと悲しみを分かち合い共に歩みだしましょう」」
「オオオオオオオオオオオオオオオウ!」
メインアナウンスのレイチェルの訓示に注目する兵士達。
1つ1つと大きくなるCN達。共同はより高まっていく。
多少の恐れ、緊張感をもつ者もいるが、ここで暴動を起こす気配もなく、
以下の会話もイバラギ、ヤマガタ、ナガノ、ミヤギ、トヤマ、アキタ、
チバ、ホッカイドウ、グンマ、アオモリ、トチギ兵の順に並ぶ。
「よろしくな、東北のみなさん!」
「よろしく、あんたら強いからやばかったよ。
関東もあんなに色んな規格を立ててたんだな」
「東北のライオットギアは青色っぽくて速いんだな。
よほど軽量化された装甲を使っているのか」
「ホッカイドウのは白いけどな、まあ、端材を用いたのばかりで
こっちのは最近改良したばっかりなんだよ」
「各地方で独特に進化を遂げているんだな・・・」
「この間の戦法なかなかだったぜ!
なんか細い糸で跳んでたり、面白い装具だな」
「白い兵士がホッカイドウ兵か、すごく寒いんだって?」
「氷結弾並みだ」
「おっほほおおおおおう!」
「わがさアオモリシーエヌさ。
かんとうはさすねえ、なんぼほんずねぇな」
「え?」
見渡す限りに、多方面の兵士達が埋め尽くされる程だ。
異なる兵装の色彩は、まるで1つの大きな自然を表現して
いるような感じがする。名兵達もお互いに接してそれぞれの
会話というアプローチを始めていた。
こんな内容でコミュニケーションがとれているのか、モブ兵と同様に
ロビン、アルフィー、ヨゼフィーネ、ワタル、レッド、トオルと
これまた多く入り交じって話す。
「ほう、お前らが噂の東の兵か・・・」
「先日、生まれ変わったばかりの画期的な衛生兵だ、
これからよろしく頼む」
「あたしはヨゼフィーネ、ナガノ兵だ。よろしくな!」
「ありゃ、こんな小っこい子もラボリにでるのか。
CN法に抵触してないのか?」
「こう見えても、あたしは突撃兵だッ!
なんなら、1発喰らってみるか!?」
「「これはまた意外なのもいるな」」
(あの体型で突撃兵・・・ううっ、真似できない)
ますます拡大していくCNの連合に目を見張る。
今まで身を削り合ってきた彼らの気持ちは不安と安堵が
まだまだ混じり合うのだろう。
一種の連結、共感は確実に強くなる感覚がそこにある。
白服の兵士、ホッカイドウCNの兵、いや、メンバー達と言っておく。
彼らの姿もあり、会場端には座り込んでいて1人だけ座っている者。
ホワイトベルーガの搭乗者の彼女もいた。
今度こそきちんと挨拶しに行ってみよう。
「や、やあ、前の時はどうも。
もう敵として会わずに済んだな、よろしく頼む」
「・・・・・・」
ツン
返事はなく、そのまま立ち去ってしまった。
相変わらずのダンマリ屋だ、まったく相手をしてくれない。
こんな世界じゃ、赤と白は交われないものなのか。
そんな彼女でも、もう立派な関東の同盟者だ。
いつかきっと自分達の役に立ってくれるだろう。
またまたロック、ロビン、メイソン、カレン、カオリ、ミロン、ヨハン、
イザベル、ヘルマン、エリーと一斉の会話で満たされてゆく。
「なんつうか、チームは広がっていくが
あんま悪い気がしねえよな。あんたも近接強そうだし」
「それでも油断は禁物だぞ、
あのトウキョウの強大さ、脅威は変わっていない」
「トウキョウCNって、特に強力な勢力と聞いたけど、
もし敵としてやってきたらどうなっていたか」
「このまま集まっていけば、あいつらにだって勝てるんじゃない?
あの時のあんたの張り手でパパッとやってけば、こっちは楽なのにねー」
「全部、こっちに任せないで手伝いなさいよ!
あら、ずいぶんと可愛いのもいるじゃない。
身なりからして、東北の子?」
「ううっ、またこのパターン・・・」
「ハハハ、お前は敵意喪失させるのに特化してるな」
「ふふふ、本当に無事で良かったですね」
(まったく、吞気なもんだ)
(け、計画通り・・・かな)
緊張気味の兵士も何人かいる。あれだけ命の取り合いをしたんだ。
ぎこちない関係の収束はまだまだ時間がかかりそうだが、
こうする道を選んで進んでいくのが最善の策だろう。
(あいつがこんな光景を見たら、なんて言うかな)
レッドがそう思いかける。
誰よりも躍起になって戦っていたアイツがこんなに多くの同盟を
果たしている現状に文句を言うかもしれない。
「隊長なら、こんなときグダグダ言うかもね。納得いかねーって♪」
「カオリ・・・」
カオリに自分が思っていた事を言われた。
口に出していなくとも視線で気づかれたかの様な言い方だ。
彼女の言う通り、併合にはイザコザや問題も新たに生まれるだろう。
でも、全てが無駄になるロストには代えられない。
ここまで来たからにはCNという入れ物に戻してやりたい。
ただ1人、この場にいないかつての隊長を必ず迎えるために。
「そうだな、俺が連れ戻して説得しに行ってやる」
「俺達・・・でしょ?」
「現隊長の言う通りだ」
1人で、ましてや関東だけでトウキョウCNにかなうはずがない。
だが、こんな面子ならいつしかやれそうな気がする。
人という塊は衝突も起こすけど集まりもする。
片方が大きければ小さい方は弾かれるのは当然か。
だから見逃さずに多くの仲間と共に助けに向かう。
アブダクトされたあいつを助けるための立派な戦友として。
これから始まる大きな波にのり、生き残りをかけた戦いに
身も精も全力で出し尽くしていくんだ。
(待っていろよ、クリフ)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2章東編はこれで終わりです。
当然、西編もあるのでそちらもどうぞ。
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