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1章 中部編

番外編第1話  ナガノの桐祖陣1

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地名とは古くより歴史の有権者達が命名し、亡き後もそこに残り続け
時代の経過でもそれぞれ呼ばれるもの。
由来は名付けた者やそこにある物事から引用されているだろうが、
一度意味付けられた事はそう簡単に変わるなどしない。
例えば、人が築いた物が地域外から定着したならば?
動乱のずれ、ひずみにより何かしらの形で留まる事もある。
今回はナガノにある地域での話となる。


ナガノCN拠点 広場

「今日はこれまで!」

 ロビンがヨゼフィーネや部下達に訓練終了の号令をかける。
突撃兵によるナガノさながら打撃訓練をしていた。
汗だくで数人の兵達がミット打ちを止めて解放感を味わう。
いつものホワイトキャラバン達の光景を見届けていた。

「連打30分間はやっぱこたえるわ~」
「まだまだ甘いぞ、俺の時代は1時間スパーもやっていた。
 戦闘力統計は数十年前より下がっていると思え」
「うひぃ~」

ナガノ筆頭、歴戦勇姿が直々に指導。
中部の古株による熱烈は部下へ伝わらせる。
練習用のKDDYも熱が入って少しへこむ。
パンチ力も前より上がってきたようで、身も引き締まる。
運搬ラボリや戦闘以外ではこうした日課を送る。
人戦に限らずとも役目は一応に行なわなければならないが、
毎日戦うわけじゃないので他は運び屋などで生活し続けていた。
時刻も15:00を迎えて薄暗くなり始め、
今日の訓練を終えて訓練場を後にしてしようと思ったら、
ナガノ司令官に声をかけられる。

「ロビン君、ちょっといいかね?」
「どうした?」

居住区で急用のラボリがあると要請される。
今日中に運んでほしい物があると言われ、
ホワイトキャラバンを出動する事になった。
行き先は実によく知る場所で調べるまでもなくけ負い。
側にいたヨゼフィーネも気付いて、今日の宿泊は拠点ではないと言われた。

「フィーネ、地元に一度帰るぞ」
「ヤマガタに?」

そこは地元へ物資を運ぶ内容。
東北のCNではなく、ナガノCN内にあるヤマガタエリアで
名前かぶりの居住区がある。
人も100未満といえる少なさの村、まさに農村のそれで
危険な区域とかこれといった問題もない場所だ。
まあ、隣はすぐにグンマがあって1年に2~3回は入ってくるけど、
襲撃されたケースはほとんど聞かない。
ノーバディなら30分で行けるので、あまり時間をかけない。
ただ、物資が少量で内地だから他のメンバーを連れて行く必要なく
あたしが寝るケースも欲しいから親子2人だけで向かう。


ナガノCN 上空

フィイイイイィィィン

 山々を下に場を早々移して飛ぶ。
ロビンが運転するかたわら、後部ケージに乗っ転がる。
いつもならここに物資を載せるけど、今は少ないから寝放題。
このビークルはとても静かで、上空は空気が澄んでるから良い。
とはいっても高度1000mまでしか飛べないらしいけど。

「あたしも早く運転したい」
「18になってからだ、操縦資格を得るまでの辛抱だ」
「15も18も変わんないだろ、す~こ~し~だ~け~!」
「ダメだ、車の運転とは勝手が違う。交代したら即ラボリ失敗するぞ」
「ビークルに限っては資格が要るのか。
 ホント、CNって分かんない。
 18歳以上って言っときながら未成年も働かせてさ」
「成人枠は戦闘を優先するから、その次が先詰めするのだろう。
 お前はそれでも特別な立場なんだぞ」
「人手不足という言葉で籠手こて返してるみたいだ。
 なんていうか殴り合いで負けるつもりはないけど、
 内地を活かして回るための運搬なのがホワイトキャラバンなんでしょ?」
「そうだ、俺達のエリアはこれといった産業がない。
 その分、こうして運び屋をするのが微力ながら必要だ」

ホワイトキャラバン、中部の内陸CNを中心とした輸送隊。
戦闘以外は資源運びをメインに活動している。
ナガノは自生産する物は食料系くらいで、軍事物特有のものはない。
このノーバディも同盟CN各地からパーツを集めて造られたという。
ライオットギアの管轄は主にアイチで戦闘用以外のビークルとかは
他CNでも普通にあるが、産業資源の運び屋として回るのも
地方にとって重要な役割を果たす。

「ああそうか、ただ体動かせばいいってもんじゃないんだ。
 ノーバディなかったら、あたしら相当骨が折れてたし」
「俺が生まれた頃はまだこれが無かったからな。
 当時は地上間だけで行き来していた。
 有権者の誰かがヤマガタを通して関わってたらしいが」
「そういえば、なんでナガノにヤマガタの名があるんだ?」
「分からん、俺も生まれる前からその名が付いていた」

天主殻、ヒストペディアでも由来は一切表記していない。
名前が一緒になったとしても違法とかじゃなく大した問題はないものの、
そういった変わった地域名の中で自分達は生まれてきた。
ついでに、シズオカから東への飛行は危険なので禁止となっていた。
いくら自由に飛べても速射砲みたいな物で撃ち落とされるらしく、
世の中はそう上手くいかないようにできている。
こんな高い所に吸い寄る連中がいなくても文明の力の前には無力。
会話もなくなってほんの少しばかり静かになる。


 こうして自分達はヤマガタエリアに到着。
着陸場もヘリポートでもない、ただの農村広場。
すでに前もって来る連絡をしていたから邪魔にはならないはず。
自分達はここの出身でもあるから、迷惑がられない。
最近もちょうそくせいさいばいの手伝いなどするくらいで、
ちょくちょく来ていたが最近は帰る機会もなく、拠点回りばかりだ。
印象は単純に言って田舎。他に例えようがない。

「今帰ったぞ!」
「ロビンちゃん、急に発注してすまないねえ。
 フィーネちゃんもご苦労様」
「おばちゃん、あいつら、来てない? グンマの奴らが?」
                      シュシュシュ
「いや、来ていないよ。お隣さんが間違ってこぼしちゃって、
 いつもよりたくさん使っちゃってね」

依頼理由はただの浪費。
超促成栽培に使う油を職場で転んでぶちまけてしまったらしい。
グンマ兵の侵入ではなかったようで、単なる材料の不足補正だった。
ヨゼフィーネのシャドーも肩透かし。畑もあって市民も常駐して
農村と語るから畑の土が手放せずに時代を越えても留まっていた。
普通ならば国境付近は非常に危険地帯のはずだが、
ここ数十年から東の連中もほとんど来なくなり、変な声を上げながら
イタズラ半分でうろつき回るくらいだ。
とにかく、今日のラボリは終了。
実家に戻ろうとすると、おばちゃんがある出来事を話し始めた。

「そういえばあそこにあるオドウだけど、中に入れたよ!」
「本当か?」

オドウはこの村にある一軒家の建物で、
古くから誰にも使われていない所があった。
実は鍵もなく、所有者も不明でずっとそのままにしておいた。
呼び名は昔から伝統で名付けられていたらしく、
理由は43年生きてきた今ですらよく知らない。

「おおっ、長年謎とされてきたあの家がついに開かれたのか!?
 あたしも昔から何が入ってたのか気になってたんだ!」
「そう急かすな、ただの一軒家の1つが開いただけだろう」
「とんでもなくスゴイ兵器とかあるかもしれないじゃないか!?
 ロビンがロマンなくてどうすんの!?」
「つまらんぞ!」
「子どもにとっては秘密の隠れ家とかが好きなものだよ。
 時間があるなら寄ってみるかい?」
「行く行くぅ!!」

そんな開かずの間が取り壊されずにやっと開いたという。
大事でもないが、気になるといえば気になる。
そうならば帰る前に一度観に行こうと思い、ちょっと向かう事にした。
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