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1章 近畿編
番外編 第1話 近畿の雅
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仕様とは一種類に留まるものとは限らず。
人の歴史により、常により良く扱うべく手慣れのために
選択、加工、そして地域の独自観念をもちつつ求められてきた。
戦争という生命の存続に関わるものこそ如実に表れ、
環境や場合を考慮して生まれる事もある。
その様な形態はここ、近畿でも見られる。
今回は女兵が所持する武器と心得の話である。
オオサカCN拠点 演習場(女専用)
ヒュンッ パシィン
「ド、真ん中」
「まぐれ」
「は? 実力だし」
ヤエとメンバー達の女兵5人が練習をしている。
順番ずつ矢を放ち、円状の中心黒点に目掛けて狙い、
持ち武器の弓矢、飛燕を100m先の的へ打つ。
オオサカ兵の女性が唯一扱う事が許される武器、飛燕。
ここでは飛燕以外の武器は認められていない。
腕前の散漫を防ぐのが最もな理由だけど、女らしく立ち回れと
蝶の様に舞い、蜂の様に刺すのが女兵のあるべき姿だと教えられている。
そんな姿がここで観えるかどうかはともかく、とにかく弓矢を撃つべしと
時折訓練していた。
「あ、ストック切れた。追加おねがーい!」
「そういえば、実戦用の矢は届いた?
ヒョウゴからもう仕入れきたっけ?」
「本部の話じゃ、ちょっと待っとけって。
今回、加工を改良したから数日入荷遅れるんだって」
「練習に使ってるのは木だから別に良いけど、早めに届けてほしいわ。
敵もいつ来るのか分かんないんだし。
前の中部との交戦危なかったわね」
「あんた、99部隊の子に肩入れしてるんだってー?」
「変なウワサ広めないでよ!
あたしはただ、ヒトミさんに借りがあるだけだから」
「へー、元ショウソウインお抱え選手のためで」
「ま、ここも周りのCNにかかりっきりなとこもあるし。
ヒョウゴがなかったら、あたしらも違う事やってたかもね」
ついでに、矢は銀を用いてヒョウゴCNからの輸入で賄う。
鉄などは男の武器で使うので、軽量化のためも添えて
あくまでも女御用達と決められていた。
先にちらっと話をしたが、軽量化の試験運用で遅れたらしく、
メンバーの1人がすでにもらってきた模様。
「あたし、1本先に借りてもらってきた。コレ」
「ん? お? なんか、ちょっと軽くなったわね?」
「マジかいな、ちょっと触らせて! うおー、軽い!
前よりずっと軽すぎてマジ矢場い!」
「ヒトミ師匠が使ってたのよりずっと軽い!
あたしらの代で改良したなんて運が良いわ」
「マジ勘弁、これより重いの撃ってたなんて信じられないし」
「昔でもできる人はいたんだって。
え~と、たしか・・・リカ御前みたいに」
「おもいっきり歴代の弓道者じゃん。
あたしらと比べんなっての。
月とカミツキガメくらいの差があるじゃない?」
「どこにいるカメなんだしー」
私のジョークもどこから思いついたか適当。
リカ・ショウソウイン、A.D50年の大戦で活躍した女兵。
飛燕で800m先を射貫く実力を誇る人で、
行方不明になってしまったが、勇姿は今でも語られている。
女でいうなら暇つぶしな話題と言えば良いか、
とにかくその人を目標に鍛錬を積んできた。
が、どうしてもそんな距離から当てられず。
800どころか200いけるかどうかの実力に悩まされてきた。
私達は実質弓道歴5年、そんな大物と比べるのもおこがましいけど。
「もう、手しびれてきた・・・交代してよぉ」
「やっててもどうしたって当たんないし~。
ホントに800からだったの?」
「記録されてるから数値でてんでしょーよ!」
という体たらくばかりの練習で、男の部とは勝手が違う。
そこで、自分は戦法を考え直してみた。
長距離が上達できないなら中距離連射を選ぶという方法を案じて
ちょっと改良した物をメンバー達に見せつける。
そんな堅苦しいオオサカで器用にできたのは訳があった。
それができた理由は飛燕の規格改定が近年から叫ばれて(?)、
旧来の仕様を変えさせろと女部隊が訴え出た事による。
基本、弓矢の形状が昔からまっったく変わってなく、
弦が長すぎ、張りすぎで撃ちやすくしろと主張。
もろもろに言いまくって形を変える事が許された。
長さ、形も自由に変えられ、男から不満に思われる間から
考えた私は連射式の型で挑んでみたくなった。
もちろん、ここら辺で簡単に改造できる人なんていない。
女連中もやりやすいように色々触れ回っているから、
私も負けていられなかった。
シュパパッ
「この圧倒感!」
一気に3連射して1つだけ的に当てた。
1つずつ撃ったって外れたら時間のムダだから、まとめてやった方が良い。
残り2つも近くの敵にたまたま当たるかもしれないし、
我ながらホレボレ。
今のところ似た性能を持つ女兵はいないけど、これといった評価もなし。
そこをモブ兵が文句。
「なんか適当すぎ、一撃必中こそ飛燕じゃない?」
「そんなの誰が決めた? アンタ?
1発ずつ構えてたんじゃ、敵さん待ってるわけないじゃない」
「飛距離下がってる気がするけど?
弓1本でまとめて撃つから負担かかってるんじゃない?」
「じゃあ、何のための規制緩和よ?」
お互いに譲る気もない。
今に始まった事じゃないが、重箱の隅をつつくような
ダメ出しばかりで口論してばかりだ。
そんな時、他の女メンバーが慌てて告げにくる。
ワカヤマ司令官オオモリがここに来た。
「励まれているかしら?」
「た、たいへんはげんでおりますっ!」
いきなり一列に並んで頑張ってますと主張。
近江の女帝が来たとなるや、態度をコロッと変えてこうなる。
もしかして、飛燕を改造しまくって説教しにきたのか?
ところが、話が変な方向にゆく。
最近、女兵の動向が微妙に良くないようで、
自己主張が強くなり、男の陣形に近づきすぎているという。
敵を倒したいのか男にアピールしたいのか勝手極まる動きばかり
見て取れると言われた。
「わ、わたくし達に非が!?」
「そうね、全員という訳ではないけど。
動きが共通しているかもしれないわ」
「例えばどういった動きでしょうか?」
「少々確認したい部分があって・・・あなた、前に出なさい」
さっそく、お約束の如く私にやってみろと指名される。
さっきからやってたのに、またやるのか。
1.5mの飛燕を握り、司令の目線を気にかける。
ところが、司令は並列3か所から移動打ちしろと言う。
「今回は移動射撃の場合を想定してやってみなさい」
「はい」
ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ
打っては移動、打っては移動と順番に矢を放つ。
一応、矢は全て的に当たっている。黒点から外しているものの、
きちんとした打ち方を欠かさずにやっている。
「・・・・・・」
司令は何も言わずに観ているだけ。
どこに問題があるというのか、私はひたすら的に向けているのみ。
ヒュンッ ヒュンッ ズヒュンッ
(どこがダメなのよぉ・・・どこが?)
次第に当たりが黒点から離れてきた。
ひょっとしてスタミナについて観たかったのか。
ちょっとムキになりかけた時。
「くのォ!」
「そこまで」
「!?」
司令はここで止めさせる。
問題点が分かったのか、私を含めたメンバー達にも何かを示した。
「やはり、ここが昔と近年との違いだったか・・・」
「で、ではこの訓練の意味は――?」
「足元を見てみなさい」
「!?」
私は指摘された所を見て驚く。
無意識に右足が前に飛び出て接近していた。
反動で少しずつ位置がズレ、線から越えて的に近づいてしまう。
「「あたし・・・いつの間にか」」
「私が気になったのは許容の後について。
移動撃ちの場合から立ち回りの余りが多めに見られたわ」
「余りですか?」
「不動の時はそう易々と足が出る事がない。
弓道は元から静止より始まったもの、戦法改定から懸念していたわ。
動いて良いと自由を得れば、
女はこういう状況で本性を出してしまうもの」
「・・・・・・」
「性とは異なって初めて役割を分担できる。
常に男が先、女は三歩下がりなさい。
性質が同化したならば、差も失う。
終わりには一網打尽として敵性の思う壺になるのだから」
オオモリ司令は始めから的先への腕前を観ていなかった。
観ていたのは足元、立ち位置の方で、視線が目標に集中する方向よりも
脚の乱れが目立ち始めたと指摘。
前線より後方から援護するのが女弓道。
男にはない性質によって立ち戻れと言いたかったのだろう。
(これが経験の差か・・・)
先程のうるささ、にぎやかさが一転して静かとなる。
なぜ、飛燕と名付けられたのか今更理解しつつある。
チョウではないが、鳥類も空を飛ぶ。
地上とは異なり常に離れた所より隙を伺い、
突っつく牙をもつ生き物なのだから。
人の歴史により、常により良く扱うべく手慣れのために
選択、加工、そして地域の独自観念をもちつつ求められてきた。
戦争という生命の存続に関わるものこそ如実に表れ、
環境や場合を考慮して生まれる事もある。
その様な形態はここ、近畿でも見られる。
今回は女兵が所持する武器と心得の話である。
オオサカCN拠点 演習場(女専用)
ヒュンッ パシィン
「ド、真ん中」
「まぐれ」
「は? 実力だし」
ヤエとメンバー達の女兵5人が練習をしている。
順番ずつ矢を放ち、円状の中心黒点に目掛けて狙い、
持ち武器の弓矢、飛燕を100m先の的へ打つ。
オオサカ兵の女性が唯一扱う事が許される武器、飛燕。
ここでは飛燕以外の武器は認められていない。
腕前の散漫を防ぐのが最もな理由だけど、女らしく立ち回れと
蝶の様に舞い、蜂の様に刺すのが女兵のあるべき姿だと教えられている。
そんな姿がここで観えるかどうかはともかく、とにかく弓矢を撃つべしと
時折訓練していた。
「あ、ストック切れた。追加おねがーい!」
「そういえば、実戦用の矢は届いた?
ヒョウゴからもう仕入れきたっけ?」
「本部の話じゃ、ちょっと待っとけって。
今回、加工を改良したから数日入荷遅れるんだって」
「練習に使ってるのは木だから別に良いけど、早めに届けてほしいわ。
敵もいつ来るのか分かんないんだし。
前の中部との交戦危なかったわね」
「あんた、99部隊の子に肩入れしてるんだってー?」
「変なウワサ広めないでよ!
あたしはただ、ヒトミさんに借りがあるだけだから」
「へー、元ショウソウインお抱え選手のためで」
「ま、ここも周りのCNにかかりっきりなとこもあるし。
ヒョウゴがなかったら、あたしらも違う事やってたかもね」
ついでに、矢は銀を用いてヒョウゴCNからの輸入で賄う。
鉄などは男の武器で使うので、軽量化のためも添えて
あくまでも女御用達と決められていた。
先にちらっと話をしたが、軽量化の試験運用で遅れたらしく、
メンバーの1人がすでにもらってきた模様。
「あたし、1本先に借りてもらってきた。コレ」
「ん? お? なんか、ちょっと軽くなったわね?」
「マジかいな、ちょっと触らせて! うおー、軽い!
前よりずっと軽すぎてマジ矢場い!」
「ヒトミ師匠が使ってたのよりずっと軽い!
あたしらの代で改良したなんて運が良いわ」
「マジ勘弁、これより重いの撃ってたなんて信じられないし」
「昔でもできる人はいたんだって。
え~と、たしか・・・リカ御前みたいに」
「おもいっきり歴代の弓道者じゃん。
あたしらと比べんなっての。
月とカミツキガメくらいの差があるじゃない?」
「どこにいるカメなんだしー」
私のジョークもどこから思いついたか適当。
リカ・ショウソウイン、A.D50年の大戦で活躍した女兵。
飛燕で800m先を射貫く実力を誇る人で、
行方不明になってしまったが、勇姿は今でも語られている。
女でいうなら暇つぶしな話題と言えば良いか、
とにかくその人を目標に鍛錬を積んできた。
が、どうしてもそんな距離から当てられず。
800どころか200いけるかどうかの実力に悩まされてきた。
私達は実質弓道歴5年、そんな大物と比べるのもおこがましいけど。
「もう、手しびれてきた・・・交代してよぉ」
「やっててもどうしたって当たんないし~。
ホントに800からだったの?」
「記録されてるから数値でてんでしょーよ!」
という体たらくばかりの練習で、男の部とは勝手が違う。
そこで、自分は戦法を考え直してみた。
長距離が上達できないなら中距離連射を選ぶという方法を案じて
ちょっと改良した物をメンバー達に見せつける。
そんな堅苦しいオオサカで器用にできたのは訳があった。
それができた理由は飛燕の規格改定が近年から叫ばれて(?)、
旧来の仕様を変えさせろと女部隊が訴え出た事による。
基本、弓矢の形状が昔からまっったく変わってなく、
弦が長すぎ、張りすぎで撃ちやすくしろと主張。
もろもろに言いまくって形を変える事が許された。
長さ、形も自由に変えられ、男から不満に思われる間から
考えた私は連射式の型で挑んでみたくなった。
もちろん、ここら辺で簡単に改造できる人なんていない。
女連中もやりやすいように色々触れ回っているから、
私も負けていられなかった。
シュパパッ
「この圧倒感!」
一気に3連射して1つだけ的に当てた。
1つずつ撃ったって外れたら時間のムダだから、まとめてやった方が良い。
残り2つも近くの敵にたまたま当たるかもしれないし、
我ながらホレボレ。
今のところ似た性能を持つ女兵はいないけど、これといった評価もなし。
そこをモブ兵が文句。
「なんか適当すぎ、一撃必中こそ飛燕じゃない?」
「そんなの誰が決めた? アンタ?
1発ずつ構えてたんじゃ、敵さん待ってるわけないじゃない」
「飛距離下がってる気がするけど?
弓1本でまとめて撃つから負担かかってるんじゃない?」
「じゃあ、何のための規制緩和よ?」
お互いに譲る気もない。
今に始まった事じゃないが、重箱の隅をつつくような
ダメ出しばかりで口論してばかりだ。
そんな時、他の女メンバーが慌てて告げにくる。
ワカヤマ司令官オオモリがここに来た。
「励まれているかしら?」
「た、たいへんはげんでおりますっ!」
いきなり一列に並んで頑張ってますと主張。
近江の女帝が来たとなるや、態度をコロッと変えてこうなる。
もしかして、飛燕を改造しまくって説教しにきたのか?
ところが、話が変な方向にゆく。
最近、女兵の動向が微妙に良くないようで、
自己主張が強くなり、男の陣形に近づきすぎているという。
敵を倒したいのか男にアピールしたいのか勝手極まる動きばかり
見て取れると言われた。
「わ、わたくし達に非が!?」
「そうね、全員という訳ではないけど。
動きが共通しているかもしれないわ」
「例えばどういった動きでしょうか?」
「少々確認したい部分があって・・・あなた、前に出なさい」
さっそく、お約束の如く私にやってみろと指名される。
さっきからやってたのに、またやるのか。
1.5mの飛燕を握り、司令の目線を気にかける。
ところが、司令は並列3か所から移動打ちしろと言う。
「今回は移動射撃の場合を想定してやってみなさい」
「はい」
ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ
打っては移動、打っては移動と順番に矢を放つ。
一応、矢は全て的に当たっている。黒点から外しているものの、
きちんとした打ち方を欠かさずにやっている。
「・・・・・・」
司令は何も言わずに観ているだけ。
どこに問題があるというのか、私はひたすら的に向けているのみ。
ヒュンッ ヒュンッ ズヒュンッ
(どこがダメなのよぉ・・・どこが?)
次第に当たりが黒点から離れてきた。
ひょっとしてスタミナについて観たかったのか。
ちょっとムキになりかけた時。
「くのォ!」
「そこまで」
「!?」
司令はここで止めさせる。
問題点が分かったのか、私を含めたメンバー達にも何かを示した。
「やはり、ここが昔と近年との違いだったか・・・」
「で、ではこの訓練の意味は――?」
「足元を見てみなさい」
「!?」
私は指摘された所を見て驚く。
無意識に右足が前に飛び出て接近していた。
反動で少しずつ位置がズレ、線から越えて的に近づいてしまう。
「「あたし・・・いつの間にか」」
「私が気になったのは許容の後について。
移動撃ちの場合から立ち回りの余りが多めに見られたわ」
「余りですか?」
「不動の時はそう易々と足が出る事がない。
弓道は元から静止より始まったもの、戦法改定から懸念していたわ。
動いて良いと自由を得れば、
女はこういう状況で本性を出してしまうもの」
「・・・・・・」
「性とは異なって初めて役割を分担できる。
常に男が先、女は三歩下がりなさい。
性質が同化したならば、差も失う。
終わりには一網打尽として敵性の思う壺になるのだから」
オオモリ司令は始めから的先への腕前を観ていなかった。
観ていたのは足元、立ち位置の方で、視線が目標に集中する方向よりも
脚の乱れが目立ち始めたと指摘。
前線より後方から援護するのが女弓道。
男にはない性質によって立ち戻れと言いたかったのだろう。
(これが経験の差か・・・)
先程のうるささ、にぎやかさが一転して静かとなる。
なぜ、飛燕と名付けられたのか今更理解しつつある。
チョウではないが、鳥類も空を飛ぶ。
地上とは異なり常に離れた所より隙を伺い、
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