97 / 280
1章 オキナワ編
第9話 冥界の葬送棺
しおりを挟む
「第3装壁破損、浸水してきた!」
「そこはもう放棄しろ!
第2でなんとしても食い止めろ! 外側部は排水するんだ!」
「奴が第1を破って来たらもう終わりだ。
ハナァッ、援軍はまだか!?」
「「各地から要請しています、それまでに持ちこたえてください!」」
「なんで、今まで発見できなかった!?」
「ソナーに反応せずに寄ってこれたんだ。
さっき姿を見たぜ、奴は海の色とほとんど同じ」
「妙な鎖が出てきてこじ開けてきやがる・・・なんだってんだアリャ!?」
海底基地で待機していたスタッフ、兵達が応戦している。
第2防壁フロアに侵入しかける亡霊艇を破壊しようとした。
緊急作動で最外部は全てシャットアウト。
亡霊艇を基地内部に囲って破壊する策にでた。
さらに第3装壁まで接近して破り、侵入してきた。
基地のライトに照らされて外見が全て明らかとなる。
全身水色の女性を模した機体が海水もなく宙を漂いゆっくりと接近。
1人のオキナワ兵がディサルトで射撃する。
ズガガガガ スカッ
「あのヘビ、避けやがる!
知能があるのか・・・・・・・って、わ、わ、うわああぁぁ!?」
バシュッ
「うびゅっ」
ヘビの口部から光弾が発射され、被弾される。
どこの兵器なのか、今まで見たこともない。
仲間達が必死に応戦するが、弾がうまく当たらない。
空気抵抗も感じずにヌルリと迫る動きに追えきれず、慌てふためく。
「あひいっ、くるなくるなああああああ!」
ズドオン
「!?」
「こちら第2部隊、加勢に来た!」
「おおおおおおおおおおおお!」
襲われていたオキナワ兵を加勢する自分達。
劣勢だった部隊も形勢を立て直して戦闘態勢に入ると、
データベースでも載っていなかった形状が現れた。
おそらく研究者をアブダクトしていた連中の機体がこれで、
そんな亡霊艇が目の前にいる、水色の異様な光景に目を疑った。
「宙に浮いた・・・ヘビ!?」
「箱に女の造形が付いてる・・・なんなのコレ!?」
水色の筐体で、エンジン部らしい物体の機体だ。
まさに、オキナワの風習を取り入れた伝統的外装で
潜水艇とよべる代物には見えなかったが、兵器の一種だろう。
海中にはシーアーチンも設置しているはずが、ほとんど直撃せずに
入ってこれたのが疑問にかかる。
「カゴシマの報告でも数体のヘビが上陸したって。
どういう訳か、本体っぽいのはこっちにきたけど」
「ヘビっつーか、ロープっつーか。
今はそんなこと言ってられねえな、来るぞ!」
「え、遠距離武器で応戦する!」
宙に浮いたヘビの群れが一斉に飛びかかってくる。
それぞれ先端からエネルギー弾や鋏状で咬みついてきた。
壁際端でスライディングしつつ狙われないよう接近。
だが、子機の群れも50以上はあって散開している。
移動すると1つが瞬時に自分へ近づいてきた時。
シュルルッ
「なんだ!?」
ヘビは自分を相手にせず、メンバー達のみ標的にしていた。
自分を認識していないのか。
非対象に避けられる状況を味方に叫んで知らせた。
「俺だけ無視されている!?」
「なんだって、きゃっ!?」
「タツキ、お前は本体をやれ!
この状況なら、お前しかいないんだ!」
「・・・・・・」
司令が名付けたこの蛍光灯作戦。
それと自分の体と意味を重ね合わせて思い直す。
何かが自分の体に知らせている淡い感覚が満ちて、
奴までの間隔を縮めていく度に感じていく。
(俺とアイツは同じなのか?)
さり気に思い始めていた。
だが、そんな事で悩んでいる暇はない。
俺は装備していたダマスカスを強く握りしめる。
2階に駆け上がり、奴の上に飛び移れそうな場所からジャンプ。
そして、背後にある箱型のボディに飛びかかった。
ギュイイイイイイン
「ヘビはこの箱から出てくる、銃弾が効かないなら直接溶断する。
うおあああああああああああ!」
「タツキ!?」
張り付きに成功して、ダマスカスを突き立てる。
始めは横から引っ付いて亀裂を入れた。
次に上に回り込みくさびを打つように刻みつけていく。
「・・・・・・すげえ」
「あはは、ずいぶん手際が良いね」
ギュイイイイイいいいイン
たまに鈍い音がする、この武器と摩擦の競り合いが生じている。
謎の金属を相手に切断を繰り返すのは大変だが、
手順が分かれば落とす事ができるはず。うまくいけばの話だが。
「振り落とされて・・・たまるか!」
どうやって宙に浮いているのか、駆動音もなく親機らしき亡霊艇も
すぐ目の前に星が存在する様に思わせる。
中つ国にもこんな技術があると聞いた事があるけど、よく分からない。
箱の側面は突起のあるパーツもあって、足を引っ掛けて姿勢維持。
「お前は解体師か!?」
オキナワ兵の感想もなんのそのとばかり頑張って喰らい付く。
落ちたらまた2階の手すりから出直しなのでとにかく堪える。
グンッ
「おおっっと!?」
奴が振り下ろそうとする。
未知の兵器でも接近すれば反撃されない仕組みのようだ。
自分は逆さまになり、溶断を続けて切り落としていく。
ついでに自分は10分くらい逆さま状態になっても
血が頭に来にくいから平気だ。
グイイイン ブシュウウウウ
亡霊艇から異音がする。
なにかと思えば、上部から不気味な炎をゆらめき出し、
直後に紫色の煙を噴き出してきた。
「あれは・・・?」
「毒ガスよ、みんな退避して!」
まだ攻撃手段を持っていたようで密閉された室内のここでは脅威となる。
ヘビ機の頭を撃ち込み、どうにか外側まで締め出して
メンバー達は第1装壁に下がっていく。
もちろん、自分は効かないので続けて作業を行えるのだ。
敵本体はここにいる事に気付いていないのか、有利な条件で再び半回転し、
最後の1つを切りつける。そして。
バリィン
ようやく箱を真っ二つに切断。
中に動力源らしき部分が露出して、そこを突けは抑えられるはず。
さすがに今持っているマチェットでは手間がかかるから、
一度離れようとしたとたん、セリオの声がかかる。
「よくやったなタツキ、後は俺達に任せろ!」
「みんな」
「撃てえ!」
ズドオン ヒュウウウン
皆は球体にめがけてドラゴンフライを思い切り発射する。
酸素ボンベを付けて出直していた彼らは装備を整え直して、
味方モブ兵達も今機を逃さずに射撃した。
「うおおお!」
ズガガガ ズドワッショォン
加勢に来た兵達も総出で弾頭を放出。
ついに亡霊艇は地面に叩きつけられ落下する。
駆動音も消えて稼働しなくなり、ピクリとも動かない。
勝利の雄叫びをあげるオキナワ兵達。
「やったぜ!」
「みんな・・・そうか、装備を持ち直してたんだな」
「ただ、俺達が逃げてるだけだと思ったか?
なめんなっての♪」
「いや、やってくれると思ってた」
「こ、怖かった~」
「まあ、お前が一番の働きをした。究極の内職労働者ってやつ!」
「タツキさん、さすがっす!」
「お、俺も活躍したよな・・・ちょっとは」
「ははは・・・」
チームの連携でとうとう亡霊艇の排除に成功した。
基地内の内側ゲートも無事で崩壊から免れたらしい。
結局、水葬の使者だけは誰か分からなかったが、
九州CNを恐怖に陥れた脅威は抑えられたのだ。
喜びの後に場は一度静まり、薄く青い棺を凝らして観る。
何故、こんなものが海を徘徊していたのか。
本当に敵で最初から仕組まれた罠だったのか。
コード入力から襲撃を受けた理由は警告メッセージすら知らされずに、
原因一端のそれがすぐ目の前にある自分達の視線はいつまでも
海を漂っていた残塊から離れようとしなかった。
「そこはもう放棄しろ!
第2でなんとしても食い止めろ! 外側部は排水するんだ!」
「奴が第1を破って来たらもう終わりだ。
ハナァッ、援軍はまだか!?」
「「各地から要請しています、それまでに持ちこたえてください!」」
「なんで、今まで発見できなかった!?」
「ソナーに反応せずに寄ってこれたんだ。
さっき姿を見たぜ、奴は海の色とほとんど同じ」
「妙な鎖が出てきてこじ開けてきやがる・・・なんだってんだアリャ!?」
海底基地で待機していたスタッフ、兵達が応戦している。
第2防壁フロアに侵入しかける亡霊艇を破壊しようとした。
緊急作動で最外部は全てシャットアウト。
亡霊艇を基地内部に囲って破壊する策にでた。
さらに第3装壁まで接近して破り、侵入してきた。
基地のライトに照らされて外見が全て明らかとなる。
全身水色の女性を模した機体が海水もなく宙を漂いゆっくりと接近。
1人のオキナワ兵がディサルトで射撃する。
ズガガガガ スカッ
「あのヘビ、避けやがる!
知能があるのか・・・・・・・って、わ、わ、うわああぁぁ!?」
バシュッ
「うびゅっ」
ヘビの口部から光弾が発射され、被弾される。
どこの兵器なのか、今まで見たこともない。
仲間達が必死に応戦するが、弾がうまく当たらない。
空気抵抗も感じずにヌルリと迫る動きに追えきれず、慌てふためく。
「あひいっ、くるなくるなああああああ!」
ズドオン
「!?」
「こちら第2部隊、加勢に来た!」
「おおおおおおおおおおおお!」
襲われていたオキナワ兵を加勢する自分達。
劣勢だった部隊も形勢を立て直して戦闘態勢に入ると、
データベースでも載っていなかった形状が現れた。
おそらく研究者をアブダクトしていた連中の機体がこれで、
そんな亡霊艇が目の前にいる、水色の異様な光景に目を疑った。
「宙に浮いた・・・ヘビ!?」
「箱に女の造形が付いてる・・・なんなのコレ!?」
水色の筐体で、エンジン部らしい物体の機体だ。
まさに、オキナワの風習を取り入れた伝統的外装で
潜水艇とよべる代物には見えなかったが、兵器の一種だろう。
海中にはシーアーチンも設置しているはずが、ほとんど直撃せずに
入ってこれたのが疑問にかかる。
「カゴシマの報告でも数体のヘビが上陸したって。
どういう訳か、本体っぽいのはこっちにきたけど」
「ヘビっつーか、ロープっつーか。
今はそんなこと言ってられねえな、来るぞ!」
「え、遠距離武器で応戦する!」
宙に浮いたヘビの群れが一斉に飛びかかってくる。
それぞれ先端からエネルギー弾や鋏状で咬みついてきた。
壁際端でスライディングしつつ狙われないよう接近。
だが、子機の群れも50以上はあって散開している。
移動すると1つが瞬時に自分へ近づいてきた時。
シュルルッ
「なんだ!?」
ヘビは自分を相手にせず、メンバー達のみ標的にしていた。
自分を認識していないのか。
非対象に避けられる状況を味方に叫んで知らせた。
「俺だけ無視されている!?」
「なんだって、きゃっ!?」
「タツキ、お前は本体をやれ!
この状況なら、お前しかいないんだ!」
「・・・・・・」
司令が名付けたこの蛍光灯作戦。
それと自分の体と意味を重ね合わせて思い直す。
何かが自分の体に知らせている淡い感覚が満ちて、
奴までの間隔を縮めていく度に感じていく。
(俺とアイツは同じなのか?)
さり気に思い始めていた。
だが、そんな事で悩んでいる暇はない。
俺は装備していたダマスカスを強く握りしめる。
2階に駆け上がり、奴の上に飛び移れそうな場所からジャンプ。
そして、背後にある箱型のボディに飛びかかった。
ギュイイイイイイン
「ヘビはこの箱から出てくる、銃弾が効かないなら直接溶断する。
うおあああああああああああ!」
「タツキ!?」
張り付きに成功して、ダマスカスを突き立てる。
始めは横から引っ付いて亀裂を入れた。
次に上に回り込みくさびを打つように刻みつけていく。
「・・・・・・すげえ」
「あはは、ずいぶん手際が良いね」
ギュイイイイイいいいイン
たまに鈍い音がする、この武器と摩擦の競り合いが生じている。
謎の金属を相手に切断を繰り返すのは大変だが、
手順が分かれば落とす事ができるはず。うまくいけばの話だが。
「振り落とされて・・・たまるか!」
どうやって宙に浮いているのか、駆動音もなく親機らしき亡霊艇も
すぐ目の前に星が存在する様に思わせる。
中つ国にもこんな技術があると聞いた事があるけど、よく分からない。
箱の側面は突起のあるパーツもあって、足を引っ掛けて姿勢維持。
「お前は解体師か!?」
オキナワ兵の感想もなんのそのとばかり頑張って喰らい付く。
落ちたらまた2階の手すりから出直しなのでとにかく堪える。
グンッ
「おおっっと!?」
奴が振り下ろそうとする。
未知の兵器でも接近すれば反撃されない仕組みのようだ。
自分は逆さまになり、溶断を続けて切り落としていく。
ついでに自分は10分くらい逆さま状態になっても
血が頭に来にくいから平気だ。
グイイイン ブシュウウウウ
亡霊艇から異音がする。
なにかと思えば、上部から不気味な炎をゆらめき出し、
直後に紫色の煙を噴き出してきた。
「あれは・・・?」
「毒ガスよ、みんな退避して!」
まだ攻撃手段を持っていたようで密閉された室内のここでは脅威となる。
ヘビ機の頭を撃ち込み、どうにか外側まで締め出して
メンバー達は第1装壁に下がっていく。
もちろん、自分は効かないので続けて作業を行えるのだ。
敵本体はここにいる事に気付いていないのか、有利な条件で再び半回転し、
最後の1つを切りつける。そして。
バリィン
ようやく箱を真っ二つに切断。
中に動力源らしき部分が露出して、そこを突けは抑えられるはず。
さすがに今持っているマチェットでは手間がかかるから、
一度離れようとしたとたん、セリオの声がかかる。
「よくやったなタツキ、後は俺達に任せろ!」
「みんな」
「撃てえ!」
ズドオン ヒュウウウン
皆は球体にめがけてドラゴンフライを思い切り発射する。
酸素ボンベを付けて出直していた彼らは装備を整え直して、
味方モブ兵達も今機を逃さずに射撃した。
「うおおお!」
ズガガガ ズドワッショォン
加勢に来た兵達も総出で弾頭を放出。
ついに亡霊艇は地面に叩きつけられ落下する。
駆動音も消えて稼働しなくなり、ピクリとも動かない。
勝利の雄叫びをあげるオキナワ兵達。
「やったぜ!」
「みんな・・・そうか、装備を持ち直してたんだな」
「ただ、俺達が逃げてるだけだと思ったか?
なめんなっての♪」
「いや、やってくれると思ってた」
「こ、怖かった~」
「まあ、お前が一番の働きをした。究極の内職労働者ってやつ!」
「タツキさん、さすがっす!」
「お、俺も活躍したよな・・・ちょっとは」
「ははは・・・」
チームの連携でとうとう亡霊艇の排除に成功した。
基地内の内側ゲートも無事で崩壊から免れたらしい。
結局、水葬の使者だけは誰か分からなかったが、
九州CNを恐怖に陥れた脅威は抑えられたのだ。
喜びの後に場は一度静まり、薄く青い棺を凝らして観る。
何故、こんなものが海を徘徊していたのか。
本当に敵で最初から仕組まれた罠だったのか。
コード入力から襲撃を受けた理由は警告メッセージすら知らされずに、
原因一端のそれがすぐ目の前にある自分達の視線はいつまでも
海を漂っていた残塊から離れようとしなかった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる