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1章 オキナワ編
第5話 コード:aquae Oceani
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オキナワCN拠点 指令室
「海底基地から発信されていた?」
「はい、潜水艇Fを経由して送信されてました。
アクアファイも異常なし、無線ジャックなどされずに
いずれも正規ルートから回ってきました」
コスギは指令室に来てから謎の信号を確認しに相談される。
オペレーターのハナは再確認と繰り返して伝えた。
ただ、彼女は信号内容と回線の伝達経路がおかしいと言う。
暗号コードの発信源は外のCNによる極超長波ではなく、
海底基地からとどいたものだと示した。
「端末を操作していなかった?」
「ええ、発信先は潜水艇などではなくサーバー内部からのもの。
海底基地スタッフに連絡をとったところ、
当時は誰1人として送っていなかったと言っています」
改めて確認させたところ、元から基地内のどこかからもたらされたらしい。
ちょうどここにいたタツキの目線に代わり、関係者の線を聞く。
「コウシ先生は?」
「先生は今、カゴシマにいる。
海底基地のスタッフは工作兵だけしかいない」
といった様子で工作兵の誰も端末で送ったわけではないようだ。
水葬の使者と名乗る者が送り付けてきたと言う。
ハナがモールス信号を分かるように変換。
さらに、まだ何か暗号らしき情報が付随。
スタッフが解析すると、以下4つの記述が表示された。
―――――――――――――――――――――――――――――
Atomic weight
モースこうど6.5 X-RAY 3
モースこうど2.75 ばんそ 2
モースこうど7 2~6um 6
光合成 18
―――――――――――――――――――――――――――――
「これは?」
「物質に関する情報のようですが、詳細が不明。
共通点はまるで分かりません」
言葉と数値が書いてある。
モース硬度とは鉱物の硬さを示す尺度で、3つだけ表示してある。
自分にお呼びでない数値で理系専門用語の並列に飲み込めず、
少なくとも、ここにいる者では見つかりそうにないので
もっと詳しい担当者に聞いてみる事にした。
しばらくして、製造関係者も数人ここに来て内容を精査する。
詳細が少しずつ明らかになった。
「右の数値は原子量。モース硬度の表記からして、
金属性を表す物質だと十分考えられます」
「真ん中は何かの設計や関連する資源。
これらはおそらく鉱石関係じゃないかなあと」
2人は大まかな概要をあっさりと答える。
やはり、これらは物質に関係するもので原子量ともに明白だ。
上3つはモース硬度から金属的な何かなのは理解できた。
しかし、問題は4つ目の項目。
こちらは硬度記載がなく、金属性を示す事柄は不明。
光合成というものを観た者達は目を丸くしていた。
「??????」
理由は単純に読めなかったからだ。
字なのか、図なのかまるでヒントもつかめない。
「これ・・・なんて書いてあるんですか?」
「う、ううん・・・何だ?」
「道を表す地図かな?」
「原子量が18を意味する、フッ素か?」
最後の表示は誰も理解できない。
ちょっとしたヒントになりそうな気がしなくもなさそうだが、
どこかしらオキナワの者達にとって検索可能な答えのはず。
しかし、問題が解けてもすんなり事件が解決できるのか疑問だ。
これらを全て解明できたとしても謎が残されている。
信号の送信者は何のために教えてくれたのか分からないのだ。
「これで我々に何をしてほしいんだ?」
「聞いたところ、基地のサーバーからアクアファイを通していたと?
潜水艇を経由して送ってきたのも気になる。
極超長波なら海底からここまで届くはずなのに」
「他に何か書いてなかったか?」
「最後の行に“Reply me”とあります。
このコードを海底基地の端末に入力すれば
怪音波の正体を知らせるという内容です」
「罠じゃ?」
「罠だとしても、オキナワに関する重要な情報じゃない。
答えと思わしきコードを返信してもハッキングされる危険はないはずだ」
水葬の使者はオキナワCNに何をしてほしいのか見えてこない。
メリットとデメリット、利害の一致性すら感じられなかった。
では、何を目的で送ってきたのだろうか。
応答のやりとりの先がまるでまとまらずに膠着。
室内が静かになる。
ぐるりと一周する関連性に内側の因縁を感じた。
「海底基地・・・まさか」
「「ううっ」」 ブルブル
「?」
コスギ司令が何かを懸念する、ハナも身震いして不気味そうに下を向く。
何か覚えがある様な発言と仕草のようだが、不問。
あまり手をこまねいている猶予もなく、藁にもすがるつもりで
不安を解消していく他にない。
「・・・・・・答えを示してやろう」
「司令」
司令は話に乗ってやろうと今回は素直に応じる方針を決定。
こうして、オキナワCNは暗号解明、返信する事にした。
肝心の入力内容についてどうするか案じたところ、
1つの物質について工作兵に覚えがあると言う。
「上から2番目はもう判明しました、我々がよく用いている物です」
「アルミニウムだね、加工しやすい金属だよ」
「早いな」
話し合いの最中にすでに割り出していた。
残る3つは何なのか明らかにされていないが、1つ目の資源から
意外と近隣と関係する物ではないかと浮かび上がる。
モース硬度が表記されている2つは高めな物質のようだが、
解析班は目白推しに陸地を探せと勧めた。
「硬度の高さは質量密度の高さにも当てはまるのでエリア上部。
個人的、陸地内にあると推測します」
「オキナワ一帯にスキャナーをかけてみるんだ」
「1つ目は結果がでました。
硬度6.5に反応するエリアは柚久島」
「あそこか!」
モニター図の南東に緑マークが付く。
ヒントは自分の目的地と重なる位置と一致する。
ターゲットの1つは丁度向かう予定の場所だった。
1時間後 オキナワCN拠点 食堂
「さっそく、行き場所が決まったか!?」
「ああ、柚久島だ。
やる事がとにかく見つかった、金属資源回収も追加だ」
セリオが次のラボリを聞いておおげさに発起する。
タツキは食堂で夕食ついでにメンバー達に指令室での事を話した。
とはいっても、若者の集まりで問題の内容についてはもちろん、
例の資源について考察できるようなヒントは誰も知らない。
「カギを握る1つを見つけてこいってさ。
そこに行けば何か分かるらしいけど」
「まあ、良く分かんねえけど、現場に行けば分かる代物なんじゃねえの?
ごていねいにヒント付けてんならよ」
「・・・・・・」
4つの項目がオキナワに関するものだろうと言う。
結局、柚久島に行かなければ何もつかめないのだ。
海ぶどうをかじりながらてんやわんやに過ごしていると、
メグは浮かない顔をしている。
下を向いて一考し、奇妙な言葉を口にした。
「その信号を送ってきた人って・・・先祖返り?」
「はあ?」
「どういう意味?」
「オキナワに関する問題を解けっていうけど、
なんで、“オキナワの知識者が知らなかった事を
送り主が知っているの?“って思うでしょ?」
「・・・・・・」
場が固まってしまう。
彼女の言い分はあたかも現代と異なる相手みたいだと想像した。
まるで古代人が知識を教えにきているのと同じ。
水葬の使者という太古からの呼び声なのか。
背筋に寒気がして怖がるメンバー達(男)。
意外な疑問でなんだか余計に謎が広まった感じがした。
オキナワにとって救いなのか破滅なのか人知れず。
ともあれ、分隊の皆と共に明日の夕暮れ時に行くことが決定。
自分にとって上陸初となるラボリを開始する。
自然の空気に満たされる新たな新天地を迎えようとしていた。
「海底基地から発信されていた?」
「はい、潜水艇Fを経由して送信されてました。
アクアファイも異常なし、無線ジャックなどされずに
いずれも正規ルートから回ってきました」
コスギは指令室に来てから謎の信号を確認しに相談される。
オペレーターのハナは再確認と繰り返して伝えた。
ただ、彼女は信号内容と回線の伝達経路がおかしいと言う。
暗号コードの発信源は外のCNによる極超長波ではなく、
海底基地からとどいたものだと示した。
「端末を操作していなかった?」
「ええ、発信先は潜水艇などではなくサーバー内部からのもの。
海底基地スタッフに連絡をとったところ、
当時は誰1人として送っていなかったと言っています」
改めて確認させたところ、元から基地内のどこかからもたらされたらしい。
ちょうどここにいたタツキの目線に代わり、関係者の線を聞く。
「コウシ先生は?」
「先生は今、カゴシマにいる。
海底基地のスタッフは工作兵だけしかいない」
といった様子で工作兵の誰も端末で送ったわけではないようだ。
水葬の使者と名乗る者が送り付けてきたと言う。
ハナがモールス信号を分かるように変換。
さらに、まだ何か暗号らしき情報が付随。
スタッフが解析すると、以下4つの記述が表示された。
―――――――――――――――――――――――――――――
Atomic weight
モースこうど6.5 X-RAY 3
モースこうど2.75 ばんそ 2
モースこうど7 2~6um 6
光合成 18
―――――――――――――――――――――――――――――
「これは?」
「物質に関する情報のようですが、詳細が不明。
共通点はまるで分かりません」
言葉と数値が書いてある。
モース硬度とは鉱物の硬さを示す尺度で、3つだけ表示してある。
自分にお呼びでない数値で理系専門用語の並列に飲み込めず、
少なくとも、ここにいる者では見つかりそうにないので
もっと詳しい担当者に聞いてみる事にした。
しばらくして、製造関係者も数人ここに来て内容を精査する。
詳細が少しずつ明らかになった。
「右の数値は原子量。モース硬度の表記からして、
金属性を表す物質だと十分考えられます」
「真ん中は何かの設計や関連する資源。
これらはおそらく鉱石関係じゃないかなあと」
2人は大まかな概要をあっさりと答える。
やはり、これらは物質に関係するもので原子量ともに明白だ。
上3つはモース硬度から金属的な何かなのは理解できた。
しかし、問題は4つ目の項目。
こちらは硬度記載がなく、金属性を示す事柄は不明。
光合成というものを観た者達は目を丸くしていた。
「??????」
理由は単純に読めなかったからだ。
字なのか、図なのかまるでヒントもつかめない。
「これ・・・なんて書いてあるんですか?」
「う、ううん・・・何だ?」
「道を表す地図かな?」
「原子量が18を意味する、フッ素か?」
最後の表示は誰も理解できない。
ちょっとしたヒントになりそうな気がしなくもなさそうだが、
どこかしらオキナワの者達にとって検索可能な答えのはず。
しかし、問題が解けてもすんなり事件が解決できるのか疑問だ。
これらを全て解明できたとしても謎が残されている。
信号の送信者は何のために教えてくれたのか分からないのだ。
「これで我々に何をしてほしいんだ?」
「聞いたところ、基地のサーバーからアクアファイを通していたと?
潜水艇を経由して送ってきたのも気になる。
極超長波なら海底からここまで届くはずなのに」
「他に何か書いてなかったか?」
「最後の行に“Reply me”とあります。
このコードを海底基地の端末に入力すれば
怪音波の正体を知らせるという内容です」
「罠じゃ?」
「罠だとしても、オキナワに関する重要な情報じゃない。
答えと思わしきコードを返信してもハッキングされる危険はないはずだ」
水葬の使者はオキナワCNに何をしてほしいのか見えてこない。
メリットとデメリット、利害の一致性すら感じられなかった。
では、何を目的で送ってきたのだろうか。
応答のやりとりの先がまるでまとまらずに膠着。
室内が静かになる。
ぐるりと一周する関連性に内側の因縁を感じた。
「海底基地・・・まさか」
「「ううっ」」 ブルブル
「?」
コスギ司令が何かを懸念する、ハナも身震いして不気味そうに下を向く。
何か覚えがある様な発言と仕草のようだが、不問。
あまり手をこまねいている猶予もなく、藁にもすがるつもりで
不安を解消していく他にない。
「・・・・・・答えを示してやろう」
「司令」
司令は話に乗ってやろうと今回は素直に応じる方針を決定。
こうして、オキナワCNは暗号解明、返信する事にした。
肝心の入力内容についてどうするか案じたところ、
1つの物質について工作兵に覚えがあると言う。
「上から2番目はもう判明しました、我々がよく用いている物です」
「アルミニウムだね、加工しやすい金属だよ」
「早いな」
話し合いの最中にすでに割り出していた。
残る3つは何なのか明らかにされていないが、1つ目の資源から
意外と近隣と関係する物ではないかと浮かび上がる。
モース硬度が表記されている2つは高めな物質のようだが、
解析班は目白推しに陸地を探せと勧めた。
「硬度の高さは質量密度の高さにも当てはまるのでエリア上部。
個人的、陸地内にあると推測します」
「オキナワ一帯にスキャナーをかけてみるんだ」
「1つ目は結果がでました。
硬度6.5に反応するエリアは柚久島」
「あそこか!」
モニター図の南東に緑マークが付く。
ヒントは自分の目的地と重なる位置と一致する。
ターゲットの1つは丁度向かう予定の場所だった。
1時間後 オキナワCN拠点 食堂
「さっそく、行き場所が決まったか!?」
「ああ、柚久島だ。
やる事がとにかく見つかった、金属資源回収も追加だ」
セリオが次のラボリを聞いておおげさに発起する。
タツキは食堂で夕食ついでにメンバー達に指令室での事を話した。
とはいっても、若者の集まりで問題の内容についてはもちろん、
例の資源について考察できるようなヒントは誰も知らない。
「カギを握る1つを見つけてこいってさ。
そこに行けば何か分かるらしいけど」
「まあ、良く分かんねえけど、現場に行けば分かる代物なんじゃねえの?
ごていねいにヒント付けてんならよ」
「・・・・・・」
4つの項目がオキナワに関するものだろうと言う。
結局、柚久島に行かなければ何もつかめないのだ。
海ぶどうをかじりながらてんやわんやに過ごしていると、
メグは浮かない顔をしている。
下を向いて一考し、奇妙な言葉を口にした。
「その信号を送ってきた人って・・・先祖返り?」
「はあ?」
「どういう意味?」
「オキナワに関する問題を解けっていうけど、
なんで、“オキナワの知識者が知らなかった事を
送り主が知っているの?“って思うでしょ?」
「・・・・・・」
場が固まってしまう。
彼女の言い分はあたかも現代と異なる相手みたいだと想像した。
まるで古代人が知識を教えにきているのと同じ。
水葬の使者という太古からの呼び声なのか。
背筋に寒気がして怖がるメンバー達(男)。
意外な疑問でなんだか余計に謎が広まった感じがした。
オキナワにとって救いなのか破滅なのか人知れず。
ともあれ、分隊の皆と共に明日の夕暮れ時に行くことが決定。
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