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1章 九州編
第6話 懐疑
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カゴシマCN拠点 会議室
「違う、私は何も関与していない!」
コスギは九州司令官達の前で潔白を潔白を訴えている。
不知火の件で容疑をかけられていたのだ。
イイダは疑いつつも様々な点で信じられずに、
彼に真剣な眼差しで問いかけた。
「君がそんな事をする者には見えんが・・・」
「なら、無関係という潔白をしてもらいたいですね」
「それは・・・」
“やっていない”ものは普通、証明できるはずもない。
こういう場合、別の犯人を捕らえる必要がある。
イイダ嫁がケンジから届いた画像についてリョウコが聞く。
「ケンジ隊長の報告は本当ですか?」
「当たり前でしょ、ソナーやスキャンにも反応があったのよ」
「画像をだしてくれ」
イイダ嫁はズビシと示すようにタップ。
モニターに滲んだ直方体の潜水艦らしき画像が映し出される。
同様に画像を観ていたコスギも否定。
「私の所にはこんなタイプの物はない・・・」
「見るからに、ずいぶんと高性能そうだがな。
本当にオキナワで製造された型かね?」
「クマモト沿岸から500m離れた海域で発見。
以降、逃走経路がオキナワ方面に向かった報告がありました」
「「そんなバカな・・・」」
「人が管を支えた様なデザインだな。水抵抗のありそうな形だが、
表面を見る限り現存しえない技術でできているんじゃないのか?」
あくまでもオキナワ司令官は覚えがないと言う。
コスギ司令が周りから注目を浴び続けられる中で、
仕掛け人が確かにいた事実だけは判明できた。
(本当にいたんだな・・・やっぱりコレが事件の)
側ではマサキ、自分達含む各隊長も見ていた。
ようやく現れた亡霊艇の一端に戸惑い気味で注目している。
ミキは何を思って映像を見ているんだと思いながら
彼女の方に顔を向けたそのときだ。
「・・・・・・」
「!?」
ミキはモニターではなくこっちを見続けていた。
周りの隊長達ではない、明らかに自分を見ている。
顔に何かくっついてるのかと思っても、何もない。
小声で彼女に問いかけた。
「「なに見てるんだよ?」」
「・・・・・・」
何も話さない。
口を閉じて文句ありそうな真顔でジッと自分を見ている。
こんな会議中そっちのけで用があるのは自分なのか?
気味悪く追求しようとした瞬間、コスギが大声で発言をした。
「ならばオキナワを査察してもらっても構わない!
すぐにでもこちらに来てほしい!」
「いいだろう、自分と何人か向かおう。
今回はこれにて会議を終了する、解散!」
皆、指令室を後にする。
先の態度に自分はミキが何を思っているのか聞き出すべく、
積極的にまた問いただした。
「なんでなにも言わないんだ? 僕がなにかしたのか?」
3m離れていたミキは振り返り、耳に疑う様な質問をしだした。
「あんた・・・オルンに何かした?」
「なんだって?」
自分がオルンに何かをしでかしたと言うのだ。
当然ながらそんな事をしているはずがない。理由を聞き出す。
「オオイタの研究室でオルンが匂いを辿っている仕草をしていたけど、
私の犬はなにも反応しなかったの」
「・・・あ!?」
確かにあのとき、自分のオルンとミキの犬がいて、
妙な行動をしていたのはオルンだけだった。
それだけじゃなく、コウシ先生が持ってきたエリアルボードに
異様な察知で反応していたのもオルンだけだった。
なぜ、この子に限ってそんな事ばかり起こるのか。
「で、でも、なんでそうなんだって聞かれても・・・。
そんな事言われたって僕に分かるわけないだろう!」
「犬兵団は連帯、連携が大事って初期の基本。
私達の間で隠し事は無しっていうルールを忘れたの?」
ミキは疑う理由はそういう事だった。
いつの間にか自分までもが疑いにかけられていたとは。
説明できない。
言葉もろくに整理できず、やっていないとだけしか言えなかった。
「僕は・・・なにもしてない・・・なにも」
「別にないなら良いけどね・・・次の任務を聞いてくる」
ミキはそっけなくリョウコ司令の元に向かっていった。
まだ疑われているのか、態度を改めてくれないようだ。
自分はオルンを見てやりきれない思いをする。
代わりにロビー中央にある犬の銅像を見てやり過ごす。
犬に懐かれなかった頃を思い出していた。
この子を担当する時はすんなりと受け入れてくれるとは、
しみじみ感じてしまう。
「くぅ~ん」
「この銅像、お前にそっくりだな・・・ははは」
カゴシマCN 沿岸部
ケンジはライオットギア5機を引き連れて海岸沿いで待機していた。
しかし、それらの向きは四国地方や中つ国地方ではなく、
オキナワCNへと向けられていた。
部下達も何の意味かと疑問に思いつつ会話。
「どういう展開っすか?
東側じゃなく、南側を警戒するなんて初っすよ」
「オキナワに容疑がかかってるんだと。
でも、汎用四脚型がこれだけあれば怖いものなしさ!」
「人型の弱点の1つである脚部を増やして、歩行性能を上げてあるしな」
「四国には関節部をスムーズに動かす潤滑油があるから、
それも手に入れられればなー」
「イチイチ説明しなくてもいいけどよ。
こないだ、四国連合に突っ込んで行った部隊はどうなったんだ?」
「返り討ちされたと。
事前にタイミング見計らって攻めたのに、戦闘機が来てあのザマ。
俺の連れなんてダムに落とされたってよ。ヘマこきやがって」
(なんでこんな事になっちまったのかね)
ケンジ分隊はイイダ嫁がオキナワCNに査察に行っている間、
ここを警護するようにとの事だ。“外側ではなく内側に向かって”
警備するなんて前代未聞の任務である。
オオイタCN 研究室
「コウシ先生!」
「マサキ君、来てたのか」
今日は休み、自分はコウシ先生に相談しにやって来た。
ミキの件で気になる事を確かめに、オオイタに着いた。
ここで起きた現象、ボードの件について問いだしてみる。
「なるほど、その話か」
「何か知っている事があれば教えて下さい」
「この前は言いそびれたが、トルエンには犬が嫌いな刺激臭が含まれている。
芳香族性で揮発性が高く、鼻につきやすい」
「ふむふむ」
「雄犬は縄張り意識が強く、特にその物質に対して敏感なのだ。
時に過剰反応を起こしてしまう」
「初耳ですね」
「君の犬は雄だろう?
ミキ君の犬は雌だから、オルンのみが反応したのであろうな」
「そんな事があるなんて・・・」
コウシ先生の理にかなった言い分に納得できた。
だが、トイレで起きた出来事には彼も口を濁している。
「ここの出来事に関しては私もよく分からないな。
現場に来ても、なにもヒントは見つからなかった。
まさに飛ぶ鳥、後を濁さずだ」
「その時のオルンの行動については?」
「行方不明になった研究者もトルエンに似た強力な臭いを
何かしら扱っていて放っていたのかもしれんな。
そうとしか言えない」
ただ雄犬だから反応していたのか。
念のために、メンバー達の雄犬で確認しようと思ったが、
先にミキへこの事を話しておいた方が納得してくれるだろうと、
彼女の所に行こうとした。
「なにがなんだか・・・分からなくなってきた」
「何にせよ、散策も程々にしておくんだ。
九州も山岳地帯が多い、周囲から回られる危険性もある。
柘榴島で起きたという件もあるしな」
「気を付けます、それでは」
先生に最小限のお礼をして拠点を出てビークルに乗ると、
リョウコ司令から身を切ったような間で連絡が入る。
「司令、任務ですか?」
「「マサ君、いますぐカゴシマに向かって!」」
リョウコが切羽詰まった声をだしていた。
よほどの緊急事態があったのか、押しかけるように要件を聞くと。
「どうしたんですか?」
「「沿岸部に正体不明の発動機が襲ってきたのよ!
数十機の小型金属体が次々と!」
「不明の敵!?」
「違う、私は何も関与していない!」
コスギは九州司令官達の前で潔白を潔白を訴えている。
不知火の件で容疑をかけられていたのだ。
イイダは疑いつつも様々な点で信じられずに、
彼に真剣な眼差しで問いかけた。
「君がそんな事をする者には見えんが・・・」
「なら、無関係という潔白をしてもらいたいですね」
「それは・・・」
“やっていない”ものは普通、証明できるはずもない。
こういう場合、別の犯人を捕らえる必要がある。
イイダ嫁がケンジから届いた画像についてリョウコが聞く。
「ケンジ隊長の報告は本当ですか?」
「当たり前でしょ、ソナーやスキャンにも反応があったのよ」
「画像をだしてくれ」
イイダ嫁はズビシと示すようにタップ。
モニターに滲んだ直方体の潜水艦らしき画像が映し出される。
同様に画像を観ていたコスギも否定。
「私の所にはこんなタイプの物はない・・・」
「見るからに、ずいぶんと高性能そうだがな。
本当にオキナワで製造された型かね?」
「クマモト沿岸から500m離れた海域で発見。
以降、逃走経路がオキナワ方面に向かった報告がありました」
「「そんなバカな・・・」」
「人が管を支えた様なデザインだな。水抵抗のありそうな形だが、
表面を見る限り現存しえない技術でできているんじゃないのか?」
あくまでもオキナワ司令官は覚えがないと言う。
コスギ司令が周りから注目を浴び続けられる中で、
仕掛け人が確かにいた事実だけは判明できた。
(本当にいたんだな・・・やっぱりコレが事件の)
側ではマサキ、自分達含む各隊長も見ていた。
ようやく現れた亡霊艇の一端に戸惑い気味で注目している。
ミキは何を思って映像を見ているんだと思いながら
彼女の方に顔を向けたそのときだ。
「・・・・・・」
「!?」
ミキはモニターではなくこっちを見続けていた。
周りの隊長達ではない、明らかに自分を見ている。
顔に何かくっついてるのかと思っても、何もない。
小声で彼女に問いかけた。
「「なに見てるんだよ?」」
「・・・・・・」
何も話さない。
口を閉じて文句ありそうな真顔でジッと自分を見ている。
こんな会議中そっちのけで用があるのは自分なのか?
気味悪く追求しようとした瞬間、コスギが大声で発言をした。
「ならばオキナワを査察してもらっても構わない!
すぐにでもこちらに来てほしい!」
「いいだろう、自分と何人か向かおう。
今回はこれにて会議を終了する、解散!」
皆、指令室を後にする。
先の態度に自分はミキが何を思っているのか聞き出すべく、
積極的にまた問いただした。
「なんでなにも言わないんだ? 僕がなにかしたのか?」
3m離れていたミキは振り返り、耳に疑う様な質問をしだした。
「あんた・・・オルンに何かした?」
「なんだって?」
自分がオルンに何かをしでかしたと言うのだ。
当然ながらそんな事をしているはずがない。理由を聞き出す。
「オオイタの研究室でオルンが匂いを辿っている仕草をしていたけど、
私の犬はなにも反応しなかったの」
「・・・あ!?」
確かにあのとき、自分のオルンとミキの犬がいて、
妙な行動をしていたのはオルンだけだった。
それだけじゃなく、コウシ先生が持ってきたエリアルボードに
異様な察知で反応していたのもオルンだけだった。
なぜ、この子に限ってそんな事ばかり起こるのか。
「で、でも、なんでそうなんだって聞かれても・・・。
そんな事言われたって僕に分かるわけないだろう!」
「犬兵団は連帯、連携が大事って初期の基本。
私達の間で隠し事は無しっていうルールを忘れたの?」
ミキは疑う理由はそういう事だった。
いつの間にか自分までもが疑いにかけられていたとは。
説明できない。
言葉もろくに整理できず、やっていないとだけしか言えなかった。
「僕は・・・なにもしてない・・・なにも」
「別にないなら良いけどね・・・次の任務を聞いてくる」
ミキはそっけなくリョウコ司令の元に向かっていった。
まだ疑われているのか、態度を改めてくれないようだ。
自分はオルンを見てやりきれない思いをする。
代わりにロビー中央にある犬の銅像を見てやり過ごす。
犬に懐かれなかった頃を思い出していた。
この子を担当する時はすんなりと受け入れてくれるとは、
しみじみ感じてしまう。
「くぅ~ん」
「この銅像、お前にそっくりだな・・・ははは」
カゴシマCN 沿岸部
ケンジはライオットギア5機を引き連れて海岸沿いで待機していた。
しかし、それらの向きは四国地方や中つ国地方ではなく、
オキナワCNへと向けられていた。
部下達も何の意味かと疑問に思いつつ会話。
「どういう展開っすか?
東側じゃなく、南側を警戒するなんて初っすよ」
「オキナワに容疑がかかってるんだと。
でも、汎用四脚型がこれだけあれば怖いものなしさ!」
「人型の弱点の1つである脚部を増やして、歩行性能を上げてあるしな」
「四国には関節部をスムーズに動かす潤滑油があるから、
それも手に入れられればなー」
「イチイチ説明しなくてもいいけどよ。
こないだ、四国連合に突っ込んで行った部隊はどうなったんだ?」
「返り討ちされたと。
事前にタイミング見計らって攻めたのに、戦闘機が来てあのザマ。
俺の連れなんてダムに落とされたってよ。ヘマこきやがって」
(なんでこんな事になっちまったのかね)
ケンジ分隊はイイダ嫁がオキナワCNに査察に行っている間、
ここを警護するようにとの事だ。“外側ではなく内側に向かって”
警備するなんて前代未聞の任務である。
オオイタCN 研究室
「コウシ先生!」
「マサキ君、来てたのか」
今日は休み、自分はコウシ先生に相談しにやって来た。
ミキの件で気になる事を確かめに、オオイタに着いた。
ここで起きた現象、ボードの件について問いだしてみる。
「なるほど、その話か」
「何か知っている事があれば教えて下さい」
「この前は言いそびれたが、トルエンには犬が嫌いな刺激臭が含まれている。
芳香族性で揮発性が高く、鼻につきやすい」
「ふむふむ」
「雄犬は縄張り意識が強く、特にその物質に対して敏感なのだ。
時に過剰反応を起こしてしまう」
「初耳ですね」
「君の犬は雄だろう?
ミキ君の犬は雌だから、オルンのみが反応したのであろうな」
「そんな事があるなんて・・・」
コウシ先生の理にかなった言い分に納得できた。
だが、トイレで起きた出来事には彼も口を濁している。
「ここの出来事に関しては私もよく分からないな。
現場に来ても、なにもヒントは見つからなかった。
まさに飛ぶ鳥、後を濁さずだ」
「その時のオルンの行動については?」
「行方不明になった研究者もトルエンに似た強力な臭いを
何かしら扱っていて放っていたのかもしれんな。
そうとしか言えない」
ただ雄犬だから反応していたのか。
念のために、メンバー達の雄犬で確認しようと思ったが、
先にミキへこの事を話しておいた方が納得してくれるだろうと、
彼女の所に行こうとした。
「なにがなんだか・・・分からなくなってきた」
「何にせよ、散策も程々にしておくんだ。
九州も山岳地帯が多い、周囲から回られる危険性もある。
柘榴島で起きたという件もあるしな」
「気を付けます、それでは」
先生に最小限のお礼をして拠点を出てビークルに乗ると、
リョウコ司令から身を切ったような間で連絡が入る。
「司令、任務ですか?」
「「マサ君、いますぐカゴシマに向かって!」」
リョウコが切羽詰まった声をだしていた。
よほどの緊急事態があったのか、押しかけるように要件を聞くと。
「どうしたんですか?」
「「沿岸部に正体不明の発動機が襲ってきたのよ!
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