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1章 中つ国編
第7話 星は周ってやって来る
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ヤマグチCN 上関エリア
「まだ来ないのかアイツは・・・」
海に面した橋の側のコンクリートに腰掛けてぼやく。
シンジとの通信から2時間が経過したけど、いつまでも一向に来ない。
辺りは次第に暗くなり始めているというのに。
駐屯地からここまで30~40分で来れる距離のはずだが。
部下も心配して話し出す。
「シンジ隊長、どうしたんでしょうかね?」
(また腹痛でも起こしたのか?)
あいつは昔からフラフラしやすい性格で優柔不断なところもある。
でも、先の会話で緊迫したこんな時に寄り道なんてしないはずだ。
だからこそ信用して120分なんて時間を耐えてここにい座っているのに。
逆に待ちくたびれてしまい、ちょっとした屯場となってしまう。
九州 オオイタCN
「ケイどこにいるんだうおおおおおおおおおおお!?」
シンジはスカイレイダーに乗りながらケイの名前を叫ぶ。
備高竹山に置いてあった物を勝手に借りてここまで来た。
一大事で、後で言い訳しとけばいくらでも許されるだろう。
すでにヤマグチCNを追い越して九州CN圏内にまで入り込んで、
他は全員駐屯地に置いて、自分1人だけで来た。
出発時にケイの合流ポイントの確認をすっかり忘れていたのである。
(GPS、反応ねえじゃん・・・)
当然、CNの許可なく外出したからセンサーなんて使えない。
ケイも上関にいると言っていなかったから、
ヤマグチ兵と連行してここに来ていると思っていた。
だから、自軍の位置から探した方が速いとここまで飛ばしてきた。
またいつもの難癖場(オオイタ海岸)で勝てもしないのに暴れまくっている。
お決まり展開に慣れて経験してきた交戦ポイントを観ていると。
「あっ、あれはキトウさんの分隊!」
ヤマグチ兵の突撃兵隊長のチームが見えてきた。
あの人はいつも真っ先にタンクやギアで突っ込むクセがあるから、
前線がどこかすんごく分かりやすい。でも、そこを探すのはおかしい。
だからといって、ケイまで率先して前に出られるような奴じゃない。
あいつの性格からして、たいてい外回りにいるだろう。
とりあえず、近くのチームに合流しようとしたとたん。
ヒュン ガツッ ヒュンッ
「まずい、機体が!?」
弾丸が飛んできてフクオカ兵に狙撃をされてしまう。
どっかが貫通して機体が損傷してしまった。
身体が一気にぐらついてしまい、斜めになっている。
姿勢制御がとれずに次第に困難に陥って飛べなくなってくる。
「おい、マジかよ・・・操縦できねええええ!!
うわああああああああ!!!」
ミシミシベキベキベキ
「ぐひゃ、ぐひぇ、ぐひょ!?」
ビークルの慣性で手前の枝に殴打される。
どこかの山林に突っ込んでおもいっきり目的地から外れて、
次から次へと木々に体当たりして衝撃が絶えず、周りには誰もいなく
そのまま山林へと消えてしまった。
ヤマグチCN 上関エリア
「もうダメだ、帰ろう!」
相変わらず何も変わらない時だけがケイ達の場を漂わせる。
どうせ、どこかで可愛い女兵でも見つけているんだろう。
ここで長居しても、もっと状況が悪くなりそうで
もう一度駐屯地に戻ろうかと部下に指示を出そうとしたところ、
CNから突然連絡が入ってきた。
「こちらオカヤマ第5部隊、なにか・・・」
「「今すぐそこから離れなさい、敵襲だ!!」」
「コッチにですか!?」
アイ司令から戻れと警告される。
結局、外出がバレてしまったが、怒られるどころか切羽詰まった言い方。
南部の瀬戸内海から敵影反応が多く確認されたと言う。
四国CNからの兵で、数は優に80を超えていた。
「「は・・・はちじゅうの敵兵」」
本当に悪い状況になる。
立場御免になるどころか、人生御免になりそうで
まだ左遷された方がマシに思えてくる程。
自分どころじゃない、ここにいる若き後輩の命運もかかっている。
「自分らだけで対処できる数じゃありません!」
「今から引いても追いつかれる・・・」
(俺達の部隊だけじゃ・・・)
ライオットギアの影も複数見え始めていく。
敵兵は進路を変えることなくこちらにやって来る。
気がつくのがあまりにも遅すぎた。
(対処、なんとか行動しないと・・・でも、どうやって?)
声を出して部下に指示をださなければ全員巻き添えになる。
しかし、声がでない。
純粋に恐怖で何もできずに動けなかっただけだ。
多勢をかいくぐるのは到底不可能。
右手でディサルトのベルトに指が震えて触るだけで、構えきれず。
ここで人生が終わり、死を覚悟しようとした瞬間だった。
ブシュウウウ モクモクモク
「ゴホッゴホッ」
「スモーク!?」
一瞬にして辺りが煙にまみれてモクモクとたかりだした。
スモークグレネードで視界を遮られたかと思いきや、
横に逆さまの男の顔がぬぅっと現れた。
「あ、あんたらは!?」
「弟君、ちょっと辛抱してろー。ガイル、発射しろ!」
あたかも俺を知っている言い方で動かずに待機しろと指示。
すぐ後から上から何かを撃ち出す音がした。
ドゴオン ズドオン ズバボォ
「うごあふぉぉ!?」
上空の飛空艇からの砲撃で四国兵の侵攻を阻む。
急の反撃で敵兵は足を止める。
「あれは中つ国の新兵器!?」
「一旦後退しろ!」
砲撃とは裏に、いつ観ても静寂を保った振る舞いな戦艦だ。
地上にいる者は誰でも恐れて逃げ出すくらいに、押し潰す様で圧倒される。
自分達のCNの産物とは思えない外観である。
「「星団・・・」」
「相変わらず間抜けだなお前は」
次第に煙が消えていく。
ここへ急襲しにきたと思った相手は姿もなく、綺麗な足場のまま。
敵性側の音も聴こえなくなって、目の前には見覚えのある声と顔が現れた。
エイジ、自分の兄だ。
「・・・エイ兄」
「感動の再会かー?」
「いや、数日前にも会ってるよアーロンさん」
逆さまの男は宙吊りになっていながらエイジに聞く。
いや、正確にはワイヤーを反重力発動機に括り付けて浮いている。
こんな浮いてばかりの様なんて、中つ国では限られた者だけ。
碧の星団が自分達を助けてくれたのだ。
俺やメンバー達もどうすればいいのか御礼の言葉も留まる。
先日の行動はただの行き違いだったのか。
「皆が助けてくれた? やっぱり、俺は誤解して――」
「幸運が何度も続くと思うな」
ドスッ
エイジがそう言った直後、後ろから不意に拳を横腹に叩きつけられた。
よろめき、膝が地についてしまう。
「うごあ!?」
「隊長!?」
「動くなよ~、動いた瞬間爆発するぞー」
「え・・・なっ!?」
周囲にはいつの間にかワイヤーが張り巡らされていた。
それに触れた瞬間、爆発するブービートラップだ。
味方モブ達は動けずに躊躇する。
「星団曲芸師の技、ご覧いただき有難う御座います」
「くっ、なんで、こんな・・・?」
まるで遊ばれている。
助けたと思いきや、急に行動を変えて捕虜みたいな扱いをして
軍事行為をバカにした様な態度をとる。
これが中つ国の精鋭のやる事か?
場違いなやり方もいい加減にしろと叫びかけた時だ。
「ホントに相変わらず鈍いわね、アンタ」
「!?」
非常に聞き慣れた声だった。
ただ、良い意味の言葉とはいえない静かで冷たい言葉。
これは感動の再会とはよべない。
最悪とよべる再会といっても良いくらいだ。
内心、見たくないと思うけど、こんな状況で無視なんてできない。
俺はためらいながらもゆっくりと後ろを振り向いた。
「「マナミィ・・・」」
「・・・・・・」
「まだ来ないのかアイツは・・・」
海に面した橋の側のコンクリートに腰掛けてぼやく。
シンジとの通信から2時間が経過したけど、いつまでも一向に来ない。
辺りは次第に暗くなり始めているというのに。
駐屯地からここまで30~40分で来れる距離のはずだが。
部下も心配して話し出す。
「シンジ隊長、どうしたんでしょうかね?」
(また腹痛でも起こしたのか?)
あいつは昔からフラフラしやすい性格で優柔不断なところもある。
でも、先の会話で緊迫したこんな時に寄り道なんてしないはずだ。
だからこそ信用して120分なんて時間を耐えてここにい座っているのに。
逆に待ちくたびれてしまい、ちょっとした屯場となってしまう。
九州 オオイタCN
「ケイどこにいるんだうおおおおおおおおおおお!?」
シンジはスカイレイダーに乗りながらケイの名前を叫ぶ。
備高竹山に置いてあった物を勝手に借りてここまで来た。
一大事で、後で言い訳しとけばいくらでも許されるだろう。
すでにヤマグチCNを追い越して九州CN圏内にまで入り込んで、
他は全員駐屯地に置いて、自分1人だけで来た。
出発時にケイの合流ポイントの確認をすっかり忘れていたのである。
(GPS、反応ねえじゃん・・・)
当然、CNの許可なく外出したからセンサーなんて使えない。
ケイも上関にいると言っていなかったから、
ヤマグチ兵と連行してここに来ていると思っていた。
だから、自軍の位置から探した方が速いとここまで飛ばしてきた。
またいつもの難癖場(オオイタ海岸)で勝てもしないのに暴れまくっている。
お決まり展開に慣れて経験してきた交戦ポイントを観ていると。
「あっ、あれはキトウさんの分隊!」
ヤマグチ兵の突撃兵隊長のチームが見えてきた。
あの人はいつも真っ先にタンクやギアで突っ込むクセがあるから、
前線がどこかすんごく分かりやすい。でも、そこを探すのはおかしい。
だからといって、ケイまで率先して前に出られるような奴じゃない。
あいつの性格からして、たいてい外回りにいるだろう。
とりあえず、近くのチームに合流しようとしたとたん。
ヒュン ガツッ ヒュンッ
「まずい、機体が!?」
弾丸が飛んできてフクオカ兵に狙撃をされてしまう。
どっかが貫通して機体が損傷してしまった。
身体が一気にぐらついてしまい、斜めになっている。
姿勢制御がとれずに次第に困難に陥って飛べなくなってくる。
「おい、マジかよ・・・操縦できねええええ!!
うわああああああああ!!!」
ミシミシベキベキベキ
「ぐひゃ、ぐひぇ、ぐひょ!?」
ビークルの慣性で手前の枝に殴打される。
どこかの山林に突っ込んでおもいっきり目的地から外れて、
次から次へと木々に体当たりして衝撃が絶えず、周りには誰もいなく
そのまま山林へと消えてしまった。
ヤマグチCN 上関エリア
「もうダメだ、帰ろう!」
相変わらず何も変わらない時だけがケイ達の場を漂わせる。
どうせ、どこかで可愛い女兵でも見つけているんだろう。
ここで長居しても、もっと状況が悪くなりそうで
もう一度駐屯地に戻ろうかと部下に指示を出そうとしたところ、
CNから突然連絡が入ってきた。
「こちらオカヤマ第5部隊、なにか・・・」
「「今すぐそこから離れなさい、敵襲だ!!」」
「コッチにですか!?」
アイ司令から戻れと警告される。
結局、外出がバレてしまったが、怒られるどころか切羽詰まった言い方。
南部の瀬戸内海から敵影反応が多く確認されたと言う。
四国CNからの兵で、数は優に80を超えていた。
「「は・・・はちじゅうの敵兵」」
本当に悪い状況になる。
立場御免になるどころか、人生御免になりそうで
まだ左遷された方がマシに思えてくる程。
自分どころじゃない、ここにいる若き後輩の命運もかかっている。
「自分らだけで対処できる数じゃありません!」
「今から引いても追いつかれる・・・」
(俺達の部隊だけじゃ・・・)
ライオットギアの影も複数見え始めていく。
敵兵は進路を変えることなくこちらにやって来る。
気がつくのがあまりにも遅すぎた。
(対処、なんとか行動しないと・・・でも、どうやって?)
声を出して部下に指示をださなければ全員巻き添えになる。
しかし、声がでない。
純粋に恐怖で何もできずに動けなかっただけだ。
多勢をかいくぐるのは到底不可能。
右手でディサルトのベルトに指が震えて触るだけで、構えきれず。
ここで人生が終わり、死を覚悟しようとした瞬間だった。
ブシュウウウ モクモクモク
「ゴホッゴホッ」
「スモーク!?」
一瞬にして辺りが煙にまみれてモクモクとたかりだした。
スモークグレネードで視界を遮られたかと思いきや、
横に逆さまの男の顔がぬぅっと現れた。
「あ、あんたらは!?」
「弟君、ちょっと辛抱してろー。ガイル、発射しろ!」
あたかも俺を知っている言い方で動かずに待機しろと指示。
すぐ後から上から何かを撃ち出す音がした。
ドゴオン ズドオン ズバボォ
「うごあふぉぉ!?」
上空の飛空艇からの砲撃で四国兵の侵攻を阻む。
急の反撃で敵兵は足を止める。
「あれは中つ国の新兵器!?」
「一旦後退しろ!」
砲撃とは裏に、いつ観ても静寂を保った振る舞いな戦艦だ。
地上にいる者は誰でも恐れて逃げ出すくらいに、押し潰す様で圧倒される。
自分達のCNの産物とは思えない外観である。
「「星団・・・」」
「相変わらず間抜けだなお前は」
次第に煙が消えていく。
ここへ急襲しにきたと思った相手は姿もなく、綺麗な足場のまま。
敵性側の音も聴こえなくなって、目の前には見覚えのある声と顔が現れた。
エイジ、自分の兄だ。
「・・・エイ兄」
「感動の再会かー?」
「いや、数日前にも会ってるよアーロンさん」
逆さまの男は宙吊りになっていながらエイジに聞く。
いや、正確にはワイヤーを反重力発動機に括り付けて浮いている。
こんな浮いてばかりの様なんて、中つ国では限られた者だけ。
碧の星団が自分達を助けてくれたのだ。
俺やメンバー達もどうすればいいのか御礼の言葉も留まる。
先日の行動はただの行き違いだったのか。
「皆が助けてくれた? やっぱり、俺は誤解して――」
「幸運が何度も続くと思うな」
ドスッ
エイジがそう言った直後、後ろから不意に拳を横腹に叩きつけられた。
よろめき、膝が地についてしまう。
「うごあ!?」
「隊長!?」
「動くなよ~、動いた瞬間爆発するぞー」
「え・・・なっ!?」
周囲にはいつの間にかワイヤーが張り巡らされていた。
それに触れた瞬間、爆発するブービートラップだ。
味方モブ達は動けずに躊躇する。
「星団曲芸師の技、ご覧いただき有難う御座います」
「くっ、なんで、こんな・・・?」
まるで遊ばれている。
助けたと思いきや、急に行動を変えて捕虜みたいな扱いをして
軍事行為をバカにした様な態度をとる。
これが中つ国の精鋭のやる事か?
場違いなやり方もいい加減にしろと叫びかけた時だ。
「ホントに相変わらず鈍いわね、アンタ」
「!?」
非常に聞き慣れた声だった。
ただ、良い意味の言葉とはいえない静かで冷たい言葉。
これは感動の再会とはよべない。
最悪とよべる再会といっても良いくらいだ。
内心、見たくないと思うけど、こんな状況で無視なんてできない。
俺はためらいながらもゆっくりと後ろを振り向いた。
「「マナミィ・・・」」
「・・・・・・」
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