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1章 関東編
第10話 天主殻
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「トウキョウ制圧が関東最大の目標だって?」
巨大な飛行艦が飛び去った間で、その該当するCNが最大だと言う。
改めて聞き直すと、みんながしれっと言い返した。
トウキョウとよばれる所はここ関東でも強大なCNらしい。
話の雰囲気に合わない様な話し方でイメージがつきにくいが、
自分達にとって危険勢力の最高峰だと意味付けした。
「左をどうにかしねえと、いつまでも情勢が変わらねえのがそこだ。
単純にそこいらとは規模が違う、とにかく倍の倍だからな」
「あのドデカイ集まりがある限り、俺らは大群の目に怯えて
生きていかなきゃなんない。
奴らにとって、いつでも好きに圧力かけられるからな」
「そんなに強いCNなのか」
そびえ立つ防壁で四方八方に閉ざされた世界だという。
1つや2つ同盟したからといって、そう簡単に侵入など無理。
おそらく、他の関東CNもそこを目標にしているはず。
組んだら組んだでまた新たにやるべき事がある。
アレン司令の言葉の通り、枠の外に課題が生まれていく。
自分はどういった場所なのか詳しく聞き出した。
「ここチバからすぐ西部にある関東で最も強大なCNだ。
人数、兵力、技術、確認されただけでも他を凌ぐ
あらゆる戦略的優位性に優れた存在だ。
並大抵の兵力では歯が立たない」
「しかも、トウキョウCNには“未知のエネルギー源”を
所持しているという情報があるようですね」
カオリが続けて発言。
未だに知られていないエネルギーがあったとは。
自分達が利用している動力源とは違うモノなのか。胸が一瞬高まった。
「あたし達のチームも前に命懸けで偵察しに行った事があったわよ。
そこではこんな情報があったの」
「情報?」
「“人間みたいなロボットがいた”とか。
みんな見た目が同じ格好をしてて、普通の兵と交じってたって」
「俺達と同じ・・・機械?
ライオットギアとも違うのか?」
「らしいな、あんな数mの鉄骨とも違う、まんま人だ。
人が多けりゃ、出すモンも多く出て負の産物も増えるが。
人型すらエコーに気を配るようになったのかよ」
「そいつらはしばらく俺ら右側に来なかったしな。
部隊の再編成でもしてんのかな?」
外見すら自分と同じ機体の存在もあるという。
技術の格差も地方ごとに異なり、独自の生態系とばかり備えているらしい。
聞けば、ずいぶんと謎の多そうなCNだ。
自分達3つのCNですら太刀打ちできそうもないとは、
よほど強力なのだろう。
その前にグンマCNを攻略しなくてはならないが。
次の動向を伺うとクリフが切り返すように語った。
「で、グンマはどうすんだ?
俺らはもう作戦を固めてるが、イバラギはいつもどうしてんだ?」
「攻める事せず、ただ偵察してただけだわ。
といっても、おたくのチバ同然物資を拝借してただけだし。
ま、この戦力ならいけるんじゃない?」
「グンマってどういった所だ?」
「調べによると森林が非常に多くチバよりも高い山岳地帯ばかりの地形ね」
「噂によりますと“幻覚を見る山”という言い伝えがあるそうですが、
詳細は不明のようですね。データベースにも載ってないです」
「グンマの地形に詳しい者がいますね、こちらから1人分隊長を紹介します。
エリー君、こちらへ」
1人の女兵士がこちらにやって来た。
「トチギCN代表のエリーです。
え~と、衛生兵担当です。よろしくお願いしま~す!」
「ボクのマイパートナーでもあるんちゅよ、ムフフフ」
ワタルは急に幼児口調になる。
彼女はエリー・ワタナベ、トチギ兵である。
彼女は隣接するグンマCNについて何かしら覚えがあると言った。
表ではトチギ代表に見えるが、代表格というと少し変だ。
クリフがストレートに以下の発言。
「お前の主観で呼んだろ?」
「よ、よろしく頼む」
とにかくトチギの彼女も合流して役者も集う。
それから、3CNはグンマCN攻略への作戦を練る。
会議もふんだんに行い、お互いの利点不利点を伝えあう。
「大まかな兵装とリソースは分かった。
地形を考えて国境線の狭い範囲からが良い。
よって、トチギの西部にある鹿池エリアからグンマに侵入するぞ」
「敵性CNが両脇に挟まれた場所か」
「上下にある影光エリアや師野エリアはグンマ以外の
敵性CNと接触する危険性がありますね」
「西部中心の鹿池エリアの方が、抜け穴や交戦の突破口を作りやすく
より安全に行動できる良行路があるでしょう」
レッドはその周辺のマップを見渡すと、森林も多く見かける。
確かに山岳地帯ばかりの視界が悪いエリアだ。
だが、侵入にはふさわしい地形かもしれない。
スピーディーな侵入といえばケニーでの移動が有効かと思うが。
「ところでケニーって、1機しかないのか?」
「トオルが言ったと思うが、グンマの産物の1つだ。
移動で使ってるワイヤーの分析、素材が足りないから量産はできないわ」
「お前ら、それに乗ってここに来てたろ?
今度はいざという時だけにしろよ!」
「ならば、有人型で行きましょうか。
悪路の多さを機械の脚で補いましょう!」
エリーの提案で今回の出方は整う。
あのときは緊急手段としてやむおえなかったが、
今回ばかりはクリフの言い分に従った。
「私はそろそろ失礼します。ワタル君、後は頼むよ」
「私も立場上、チバ拠点に戻らなくてはならん。
クリフ、後は頼んだ・・・健闘を祈るぞ」
「了解ッ!」
一時解散となった。
今日は皆で一緒に近場の施設で泊りがけとなった。
いきなり共同で就寝するなど無防備だと思うも、
お互いにギクシャクしていた異CN同士はアッサリと承諾して
和を以てコミュニケーションを交わしてゆく。
少しずつ打ち解けていく感じなくもない。
すでに新チームを作ろうとする声も上がり始めている。
このままお互いに良い関係でいられる事がずっと続いていくのを
願うばかりだ。
22:00 イバラギCN拠点 宿泊施設
自分は施設のベランダで夜空をボーっと眺めていた。
同盟も成功し、頼もしい仲間が増えたのか安心してしまう。
ここもそうだけど、チバの皆も活動的で遠慮がないくらいだ。
後ろからカオリがやって来て話しかけてきた。
「眠れないの?」
「ああ、みんなは夜五月蠅いくらい賑やかだから」
「まあ、それがチバの特徴だし、あんまり気にしないの。
北との緊張感が解放して、あたしも今より静まると思っていたから」
「大丈夫だ、なんとか慣れていくよ」
彼女に変な慰めを受ける、自分にとって別には悪くない。
悪い方向の夜活動が薄れるだけ、まだマシに思える。
これから待ち受ける出来事の方が気を配るくらいだ。
そういえば、まだ聞いていない事があった。
天主殻は普段どこにあるのかを。
問いだしたら、カオリは上を向き始めた。
「ちょうどこの真上にやって来る時間だっけ・・・」
「真上?」
上空を指さす。
偵察兵ばりに望遠鏡を貸してもらって手に取り、
観てみると円盤状らしき物体がゆっくりと旋回している。
半径3000mはあろう巨大な円盤型要塞が高高度でうっすらと
荘厳な白金色に染まって見えた。
「アレが天主殻・・・なぜあんな所に?」
「遥か昔から存在している正体不明の物体組織だって。
全CN各地の上空を飛び回っている。
なぜあそこにあるのか、なぜMを通じて人を管理しているのか
誰一人として一切分かっていない」
上空10000m以上に位置するという支配者の所在は
思っていたよりも遠く、静かに漂っていた。
川に漂っていた自分とは別なものの、とどかない空より
確かに立ち向かえそうにない存在にある。
自分達はあんな所から見下ろされて管理されていたのか。
「あそこに行った人はいるのか?」
「いないみたい、そんな情報は聞いた事がないわ。
ヒストペディアの過去記録じゃ、円盤に挑もうと周辺まで近づいた者は
全て撃墜されていたって」
「・・・・・・」
ヒストペディア、A.Dより書かれたこの国のあらゆる情報が
CNで管理されているという。それも管理、支配するあの円盤が
根源であり、こんな鉄と火が飛び交う世界にさせていた。
あそこを抑えれば終わりになるだろう。
しかし、向かう術もない。
何もかも地上へ抑えつけられている自分達をシミュレーションする様に、
摩擦熱を生み出させている。
一週間後 イバラギCN拠点入口
「8:00だ、作戦を開始するぞ!」
「鹿池からグンマへの道は狭い、直線陣形で展開する!」
次の日、イバラギで宿泊した自分は先のグンマ進出を実行。
皆、準備を済まして隊長の号令で作戦を開始し、出発しだした。
そして、鹿池エリアを抜けてグンマCNの山岳地帯へと踏み入れた。
ずいぶんと凸凹のある地帯だ。木々だらけで視界が悪い上に、
足場もこれなので移動に手間がかかっている。
ワタルはライオットギアに乗っていて以下の通り。
「通常のライオットギア11機もあればいけるだろ。
疲れて歩けない奴から順番ずつ交代なー」
「ちょっと駆動音が鳴るが、ないよりマシだ。
っつーか、テメーもちったあ歩けよ!」
だいぶ山の上まで上がってきた感じだ。
次は当然下り坂で窪地を降りるが、下部が見えづらい。
事前の計画通り、通りやすいルートでほぼ一列に進行。
「では自称猛獣隊長のクリフ殿が特攻のお手本を
見せてくれるという事で先に行ってもらいますか」
「自称じゃねーし、しょうがねぇな・・・」
第1部隊のクリフ達が先に降りる事になった。
もちろん、自分もこちらの側だから共に行くものの、
ワタルに盾役にされている気もする。
「ずいぶんと静かな所だけど、敵影反応はないのか」
「今のところはな。なきゃあ、ないで楽なもんだ」
そういえば、クリフと共同するのは久しぶりだ。
今まで夜間でイバラギと接戦し続けてきた。
同盟からそれもなくなり、少しは荷が軽くなれたと思う。
こんな状況で考える事ではないけど、負の連鎖は和らげたかもしれない。
斜めの感覚で、つい体が下に向いてしまう。
底部までさしかかったその時、トオルが何か異変を感じ始めて話した。
「「周囲の気体検知に異常発生、何かが辺りに漂っています!」」
「そういえばなんだか息がしにくいな」
「みんな、だいじょう・・・・・が!?」
急に視界が揺らぎ、体が痺れてきた。
何かが見えるわけでもなく、ただ意識が遠のいていく。
周りのメンバー達も同様な状態をとっている。
「くそぉ、目眩がする」
「おごご、ぐほっ!」
「これがトオルが言っていた幻覚・・・なのか?」
自分達の分隊も次々と倒れていく。
目が重くなり、足が地面をついてグッタリと倒れてしまう。
息苦しくも、どうにか立ち上がろうと脚に力ばむが不動。
言葉を発する気力すらなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
これで関東編は一旦終了です。
しかし、1章はまだまだたくさんあるので続きます。
機会があれば外伝、加筆修正をするかもしれません。
では他の地方編へと移ります!
巨大な飛行艦が飛び去った間で、その該当するCNが最大だと言う。
改めて聞き直すと、みんながしれっと言い返した。
トウキョウとよばれる所はここ関東でも強大なCNらしい。
話の雰囲気に合わない様な話し方でイメージがつきにくいが、
自分達にとって危険勢力の最高峰だと意味付けした。
「左をどうにかしねえと、いつまでも情勢が変わらねえのがそこだ。
単純にそこいらとは規模が違う、とにかく倍の倍だからな」
「あのドデカイ集まりがある限り、俺らは大群の目に怯えて
生きていかなきゃなんない。
奴らにとって、いつでも好きに圧力かけられるからな」
「そんなに強いCNなのか」
そびえ立つ防壁で四方八方に閉ざされた世界だという。
1つや2つ同盟したからといって、そう簡単に侵入など無理。
おそらく、他の関東CNもそこを目標にしているはず。
組んだら組んだでまた新たにやるべき事がある。
アレン司令の言葉の通り、枠の外に課題が生まれていく。
自分はどういった場所なのか詳しく聞き出した。
「ここチバからすぐ西部にある関東で最も強大なCNだ。
人数、兵力、技術、確認されただけでも他を凌ぐ
あらゆる戦略的優位性に優れた存在だ。
並大抵の兵力では歯が立たない」
「しかも、トウキョウCNには“未知のエネルギー源”を
所持しているという情報があるようですね」
カオリが続けて発言。
未だに知られていないエネルギーがあったとは。
自分達が利用している動力源とは違うモノなのか。胸が一瞬高まった。
「あたし達のチームも前に命懸けで偵察しに行った事があったわよ。
そこではこんな情報があったの」
「情報?」
「“人間みたいなロボットがいた”とか。
みんな見た目が同じ格好をしてて、普通の兵と交じってたって」
「俺達と同じ・・・機械?
ライオットギアとも違うのか?」
「らしいな、あんな数mの鉄骨とも違う、まんま人だ。
人が多けりゃ、出すモンも多く出て負の産物も増えるが。
人型すらエコーに気を配るようになったのかよ」
「そいつらはしばらく俺ら右側に来なかったしな。
部隊の再編成でもしてんのかな?」
外見すら自分と同じ機体の存在もあるという。
技術の格差も地方ごとに異なり、独自の生態系とばかり備えているらしい。
聞けば、ずいぶんと謎の多そうなCNだ。
自分達3つのCNですら太刀打ちできそうもないとは、
よほど強力なのだろう。
その前にグンマCNを攻略しなくてはならないが。
次の動向を伺うとクリフが切り返すように語った。
「で、グンマはどうすんだ?
俺らはもう作戦を固めてるが、イバラギはいつもどうしてんだ?」
「攻める事せず、ただ偵察してただけだわ。
といっても、おたくのチバ同然物資を拝借してただけだし。
ま、この戦力ならいけるんじゃない?」
「グンマってどういった所だ?」
「調べによると森林が非常に多くチバよりも高い山岳地帯ばかりの地形ね」
「噂によりますと“幻覚を見る山”という言い伝えがあるそうですが、
詳細は不明のようですね。データベースにも載ってないです」
「グンマの地形に詳しい者がいますね、こちらから1人分隊長を紹介します。
エリー君、こちらへ」
1人の女兵士がこちらにやって来た。
「トチギCN代表のエリーです。
え~と、衛生兵担当です。よろしくお願いしま~す!」
「ボクのマイパートナーでもあるんちゅよ、ムフフフ」
ワタルは急に幼児口調になる。
彼女はエリー・ワタナベ、トチギ兵である。
彼女は隣接するグンマCNについて何かしら覚えがあると言った。
表ではトチギ代表に見えるが、代表格というと少し変だ。
クリフがストレートに以下の発言。
「お前の主観で呼んだろ?」
「よ、よろしく頼む」
とにかくトチギの彼女も合流して役者も集う。
それから、3CNはグンマCN攻略への作戦を練る。
会議もふんだんに行い、お互いの利点不利点を伝えあう。
「大まかな兵装とリソースは分かった。
地形を考えて国境線の狭い範囲からが良い。
よって、トチギの西部にある鹿池エリアからグンマに侵入するぞ」
「敵性CNが両脇に挟まれた場所か」
「上下にある影光エリアや師野エリアはグンマ以外の
敵性CNと接触する危険性がありますね」
「西部中心の鹿池エリアの方が、抜け穴や交戦の突破口を作りやすく
より安全に行動できる良行路があるでしょう」
レッドはその周辺のマップを見渡すと、森林も多く見かける。
確かに山岳地帯ばかりの視界が悪いエリアだ。
だが、侵入にはふさわしい地形かもしれない。
スピーディーな侵入といえばケニーでの移動が有効かと思うが。
「ところでケニーって、1機しかないのか?」
「トオルが言ったと思うが、グンマの産物の1つだ。
移動で使ってるワイヤーの分析、素材が足りないから量産はできないわ」
「お前ら、それに乗ってここに来てたろ?
今度はいざという時だけにしろよ!」
「ならば、有人型で行きましょうか。
悪路の多さを機械の脚で補いましょう!」
エリーの提案で今回の出方は整う。
あのときは緊急手段としてやむおえなかったが、
今回ばかりはクリフの言い分に従った。
「私はそろそろ失礼します。ワタル君、後は頼むよ」
「私も立場上、チバ拠点に戻らなくてはならん。
クリフ、後は頼んだ・・・健闘を祈るぞ」
「了解ッ!」
一時解散となった。
今日は皆で一緒に近場の施設で泊りがけとなった。
いきなり共同で就寝するなど無防備だと思うも、
お互いにギクシャクしていた異CN同士はアッサリと承諾して
和を以てコミュニケーションを交わしてゆく。
少しずつ打ち解けていく感じなくもない。
すでに新チームを作ろうとする声も上がり始めている。
このままお互いに良い関係でいられる事がずっと続いていくのを
願うばかりだ。
22:00 イバラギCN拠点 宿泊施設
自分は施設のベランダで夜空をボーっと眺めていた。
同盟も成功し、頼もしい仲間が増えたのか安心してしまう。
ここもそうだけど、チバの皆も活動的で遠慮がないくらいだ。
後ろからカオリがやって来て話しかけてきた。
「眠れないの?」
「ああ、みんなは夜五月蠅いくらい賑やかだから」
「まあ、それがチバの特徴だし、あんまり気にしないの。
北との緊張感が解放して、あたしも今より静まると思っていたから」
「大丈夫だ、なんとか慣れていくよ」
彼女に変な慰めを受ける、自分にとって別には悪くない。
悪い方向の夜活動が薄れるだけ、まだマシに思える。
これから待ち受ける出来事の方が気を配るくらいだ。
そういえば、まだ聞いていない事があった。
天主殻は普段どこにあるのかを。
問いだしたら、カオリは上を向き始めた。
「ちょうどこの真上にやって来る時間だっけ・・・」
「真上?」
上空を指さす。
偵察兵ばりに望遠鏡を貸してもらって手に取り、
観てみると円盤状らしき物体がゆっくりと旋回している。
半径3000mはあろう巨大な円盤型要塞が高高度でうっすらと
荘厳な白金色に染まって見えた。
「アレが天主殻・・・なぜあんな所に?」
「遥か昔から存在している正体不明の物体組織だって。
全CN各地の上空を飛び回っている。
なぜあそこにあるのか、なぜMを通じて人を管理しているのか
誰一人として一切分かっていない」
上空10000m以上に位置するという支配者の所在は
思っていたよりも遠く、静かに漂っていた。
川に漂っていた自分とは別なものの、とどかない空より
確かに立ち向かえそうにない存在にある。
自分達はあんな所から見下ろされて管理されていたのか。
「あそこに行った人はいるのか?」
「いないみたい、そんな情報は聞いた事がないわ。
ヒストペディアの過去記録じゃ、円盤に挑もうと周辺まで近づいた者は
全て撃墜されていたって」
「・・・・・・」
ヒストペディア、A.Dより書かれたこの国のあらゆる情報が
CNで管理されているという。それも管理、支配するあの円盤が
根源であり、こんな鉄と火が飛び交う世界にさせていた。
あそこを抑えれば終わりになるだろう。
しかし、向かう術もない。
何もかも地上へ抑えつけられている自分達をシミュレーションする様に、
摩擦熱を生み出させている。
一週間後 イバラギCN拠点入口
「8:00だ、作戦を開始するぞ!」
「鹿池からグンマへの道は狭い、直線陣形で展開する!」
次の日、イバラギで宿泊した自分は先のグンマ進出を実行。
皆、準備を済まして隊長の号令で作戦を開始し、出発しだした。
そして、鹿池エリアを抜けてグンマCNの山岳地帯へと踏み入れた。
ずいぶんと凸凹のある地帯だ。木々だらけで視界が悪い上に、
足場もこれなので移動に手間がかかっている。
ワタルはライオットギアに乗っていて以下の通り。
「通常のライオットギア11機もあればいけるだろ。
疲れて歩けない奴から順番ずつ交代なー」
「ちょっと駆動音が鳴るが、ないよりマシだ。
っつーか、テメーもちったあ歩けよ!」
だいぶ山の上まで上がってきた感じだ。
次は当然下り坂で窪地を降りるが、下部が見えづらい。
事前の計画通り、通りやすいルートでほぼ一列に進行。
「では自称猛獣隊長のクリフ殿が特攻のお手本を
見せてくれるという事で先に行ってもらいますか」
「自称じゃねーし、しょうがねぇな・・・」
第1部隊のクリフ達が先に降りる事になった。
もちろん、自分もこちらの側だから共に行くものの、
ワタルに盾役にされている気もする。
「ずいぶんと静かな所だけど、敵影反応はないのか」
「今のところはな。なきゃあ、ないで楽なもんだ」
そういえば、クリフと共同するのは久しぶりだ。
今まで夜間でイバラギと接戦し続けてきた。
同盟からそれもなくなり、少しは荷が軽くなれたと思う。
こんな状況で考える事ではないけど、負の連鎖は和らげたかもしれない。
斜めの感覚で、つい体が下に向いてしまう。
底部までさしかかったその時、トオルが何か異変を感じ始めて話した。
「「周囲の気体検知に異常発生、何かが辺りに漂っています!」」
「そういえばなんだか息がしにくいな」
「みんな、だいじょう・・・・・が!?」
急に視界が揺らぎ、体が痺れてきた。
何かが見えるわけでもなく、ただ意識が遠のいていく。
周りのメンバー達も同様な状態をとっている。
「くそぉ、目眩がする」
「おごご、ぐほっ!」
「これがトオルが言っていた幻覚・・・なのか?」
自分達の分隊も次々と倒れていく。
目が重くなり、足が地面をついてグッタリと倒れてしまう。
息苦しくも、どうにか立ち上がろうと脚に力ばむが不動。
言葉を発する気力すらなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
これで関東編は一旦終了です。
しかし、1章はまだまだたくさんあるので続きます。
機会があれば外伝、加筆修正をするかもしれません。
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