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1章 東北編
第7話 入り江の交錯
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イワテCN 宮新エリア
翌日、時間は9:00になっていた。
昨日のカレンからの連絡通り、俺達はイワテの巡回ラボリを任された。
場所はすぐ東部の海岸沿いで、最も侵入されやすい場所を見回る。
「今日は四陸海岸の見回りよ。
ここら辺は海産資源もいっぱいで、それらも採られやすいの」
「上から連絡がきた、俺達はこれから3ヶ所に分かれて巡回しろってよ」
隊長は上層の指示で3チームに別行動すると言う。
場所は全て海岸沿いだが、リソースの都合分けられる事となった。
A:鳥の巣断崖 B:争土ヶ浜 C:釜岩湾
担当区域はこれら3つの所で見回りするよう指示を受ける。
Aチーム デイビッド メイソン イザベル 味方モブ
Bチーム カレン マイ トモキ 味方モブ
Cチーム ロック アキラ 味方モブ
の構成で割り当てして行動する事にした。
素直な感想、イワテならイワテの兵でやれば良いだろうと思うが、
当人らは内地で市民街に割り当てるらしい。
「確か、東側はけっこう長いって聞いた、車体でか?」
「四陸は400kmも長い、車じゃ手間くっちまう。
だから、今回はヘリを用意してくれたから、それで行くぞ」
何かあった時の為に合流しやすいよう飛空機を準備された。
もちろん乗るのは初めてで、ちゃんと操縦者もいる。
いつかは自分も機械関係と接しなければならない。
CNはCNのルールがあるのを意識させられる。
こうしてミーティングも終わり、装備品のチェックを済まして
俺達は各チームに分かれて出発した。
12:00 釜岩湾
自分とアキラ達が南部海岸へ着く。
釜岩とよばれる所は初めて来るので、覚えがない。
この辺りを見回すと、高めの礒という様な死角の多い
ゴツゴツした岩場ばかりで狭くて地形がややこしい。
ロック「・・・岩(ロック)ばっかだな」
「ここらはリアス海岸になっているんだ。
リアは“ギザギザ”という意味で、波によって陸地が削られにくく、
土砂も溜まりにくかったからこんな地形になったらしい
しかも、雷岩っつって波当たりも強いから気を付けろ」
北部と違い、地形が開けていない波打ち際だ。
こんな足場じゃタンクは進みづらく、悪路の理由で
本部から自軍の無人型ライオットギアの同行を許可された。
ほんの前までは忌み嫌う塊。
仲間達を消し、排除してきた物が味方としてすぐ側にいる。
市街地に逃げてきたという選択だけでこんなにも立場が変わるとは
夢にも思っていなかった。
俺達Cチームは入り江の山間の道を進んでいく。
そんな印象の悪い機体を先導させて一行は歩き続けた。
「何もねえな」
「定時連絡、A~Bチームは異常なしのようで」
「ん、誰かがいるぞ」
アキラの発言で観ると、そこには人が倒れていた。
意識があり、大怪我を負っているようではないみたいだが、
なにやら苦しそうな顔をしている。
「おい、大丈夫か!?」
岩場で脚を怪我したのだろう、本人は歩けそうになく
アキラがとっさに人の元に駆け寄った時。
ザブーン
「うおっ!」
手前の岩場西外から波が押し寄せてきた。
細い道は塞がれて後ろ以外は道がなく、狭間はみるみる内に浸水。
怪我人を救助優先で大きく迂回しなければならなくなったと
アキラは北部へ移動しろと言う。
「ここは危険だ、Bチームと合流しろ!」
「でも、お前はどうするんだ!?」
「こっちは俺がなんとかしておく、
他の奴らをなんとかしてやってくれ!」
「分かった、気をつけろよ!」
男を任せて俺達はすぐにUターンをして引き返し、
仲間達と合流しようと争土ヶ浜へ移動。
一方、BチームのカレンはCチームの異常を聴き、釜岩湾へ移動しに向かう。
争土ヶ浜
到着、Cチームが中央の争土ヶ浜に着く。
指示を受けて加わろうと見てみたが、誰もいなかった。
確か、この辺りではカレン達が巡回していたはず。
「あいつらどこ行った?」
すれ違ってしまう。
しばらく歩いていると、味方モブがとっさに発言した。
「・・・上に敵影確認!!」
ドゴン バシュッ
突如、頂上から黒装束をまとった敵兵士達がライオットギアに
向かって発砲してきた。避けたと言っても、わざと外したようで
俺は不意に上を向いたとき、非常に見慣れた集団達がそこにいた。
「こいつらは・・・やっと現れたか」
東北を荒らしまわるテロリスト、レイヴンブリッツ。
ここで再び会いまみえることができるとは。
浜の中心にいるその男がロック達に語りかけてきた。
「我らはレイヴンブリッツ。
これ以上の行脚は拒否する。速やかに撤退せよ!」
「てめぇがリーダーか?」
「いかにも、我がレイヴンブリッツのリーダーである」
その男はヘルメットを装着しており、素顔までは確認できない。
だが、そんな事は気にしていなかった。
今の立場がCNに移ろうと、散々ひっかきまわされた敵は敵。
ここでひっぺ返して観る機会を望んでいたのだから。
「交戦は望まぬ、すぐに引き返――」
「オラァ!」
省みずに素手で向かっていく。
リーダーは冷静沈着な仕草で仲間に待ての合図を出す。
接近する寸前を見計らって素早い身のこなしで宙返りし、
自分の背後へドロップキックを繰り出した。
クルッ ゲシッ
「ぐはっ」
「ロック!」
自分は地に倒れてメンバーが応戦しようとしたが、引き留めた。
長年敵対関係にある者を相手に手を借りたくなかったのだ。
「待て、あいつは俺がやる。」
「あんただけで、どうにかなる相手か!?」
それから、右パンチを繰り出すが、
リーダーは自分の右腕の関節を絞めてまた地へと叩きつける。
相当な実力をもっているリーダーだ。
(カウンター狙いなら・・・)
あらゆる先手を読まれるから防御姿勢に変えた。
しかし、リーダーは先手で左パンチを出すと思いきや、
急に姿勢を低くしてオーバーヘッドキックした。
クルッ ゲシッ
「ぐっ」
「判断不足、かつ訓練不足だな・・・」
接近戦闘は余りにも感覚、格の違いを見せつけられる。
俺は復讐叶わずに気絶、敗北を受けた。
ほぼ同じ時刻のとき、デイビッド達は異変を察知していた。
南部から激しい砲撃音の知らせを聴いていたからだ。
「6時の方向、カレン達がいるとこだ。合流するぞ!」
「了解!」
争土ヶ浜
デイビッド達は争土ヶ浜に駆け付けた。
砂浜に足跡が多く、辿るとそこには倒れてるロックがいた。
何者かと交戦していたようだ。
「なにがあったんですか!?」
「レイヴンブリッツです、ロックが奴らに・・・」
「なんだと・・・?」
味方モブがロックの身を確保して待っていたようだ。
救援に来た頃にはすでに誰もいなかった。
本部から無線が入る。
「「鳥の巣断崖の配置が減少し過ぎています。10人戻って下さい!」」
「しまった」
配置に戻るよう連絡される。
敵の動向が気になったが、兄妹はまだここで待機すると言う。
「僕達は残ります、デイビッドさんは戻って下さい」
「北の方がここよりかは安全です、イワテは私達の方が
知り得ているので任せて下さい」
「・・・分かった」
デイビッドは応じる、争土ヶ浜の開けた土地勘ある者が優利と
再び鳥の巣断崖へ戻った。
釜岩湾
「コンタクト!」
Bチームは南部海岸へと到着した瞬間、敵と遭遇する。
外見は関東兵で東北の者ではなく、小型船で来たようだ。
カレンが岩場の上からSRで狙撃、上がらせないよう対抗した。
ズシン ベキッ
「メッキョ!?」
雷岩の隙間からくる者を待ち伏せするライオットギアで殴り返す。
ただ、1機だけで防衛できるか気を配る状況だ。
溶断を試みる兵もいて、いつまでも耐えられる保証がない。
トモキが敵数を懸念してカレンに下がるよう警告する。
「カレンさん、海岸に出過ぎるのは危険さ!
目立って狙撃されやすいさ」
「ロボットがいてくれたから大丈夫だけど、
本部はいつになったら強化してくれるの?」
「脚部の装甲は鉄鋼で補強されてる仕様だが、
関東製とあまり差がないだ。
まだ、あの銀銅は精査する時間が必要だって、
備品の1つにも使われてないさ」
「このまま固まってちゃ、マズイわ。散開しましょ!」
鳥の巣断崖
デイビッドのAチームは再び北部海岸に戻る。
ここには敵の1人も確認されてなく、場は安定。
南の情勢にしびれを切らしそうに安否を気遣う。
数分後にアキラが駆け付けた。
皆、この状況を観て焦りの色を見せている。
「隊長、無事か!」
「倒れてた人がいて無事に送り届けた。
ロックが奴らとコンタクトしたらしいが、ここじゃないのか。
・・・メイソンとイザベルは?」
「争土ヶ浜に残っている、俺が行った時は敵兵がいなかった」
「・・・そうか、一旦連絡入れる」
アキラは状況を本部に連絡し、残ったチームだけで巡回を続けた。
結局、北部には敵性勢力が訪れずに沈着。
それからしばらくして敵性勢力は制圧、全域は静まり返る。
その後のクリアリングを済まして時刻は夜を迎えてゆく。
19:00 イワテCN拠点 医務室
ロックは医務室のベッドに横たわり、安静に寝ている。
もちろん意識だけは昂ぶり、先の悔しさで唸っていた。
マイが看護してくれて側で自分の様子を見てくれるも、
事情を話すとふくれっ面に納得しない顔で俺に問答してきた。
「なんで、皆を振り切って無茶をしたさ?」
「・・・俺の仲間はあいつらに何人もやられてたんだよ。
リソースを横取りに何度も、何度も」
「仲間って、あんたどこの所属だったさ?」
「・・・・・・」
言えるわけがない、元は敵対する組織だったんだから。
加入してから身の上を一切話していない。
マイはそれ以上なにも問い詰めなかったが、一言だけを放った。
「許せないと思うのはあんただけじゃなかよ。
色々あったと思うけど、1人で勝手に動くのはやめなさい」
バタン
医務室から出ていった。
俺はわざとらしく布団の中に潜り込んでしまう。
こういった空気は相変わらず慣れない。
同時刻 市民街
街で見回りをしていたアキラはベンチで休憩していた。
今はメンバーは誰もおらずに1人だけで食事をとろうとし、
適当に屋台で売っている物を買って、側にある広場で食べる。
今日起きた出来事を回想しながら、今後の対応を案じた。
(母ちゃん司令は結局考えを通せられなかったか・・・)
サラ司令から東北はイワテによる管理体制の強化を一貫、
周囲から分の悪い割合で統制すると聞いた。
アキタ、ミヤギ、アオモリ、ヤマガタは下流的な
リソース分配を加速させる流れになると言う。
「・・・・・・」
街光で睡眠時間を忘れてゴミ箱を漁るカラスを眺める。
食事しながら散らばった光景を観るのも不衛生だが、
アキラはそんな様子をまったりとして気にしていない。
鳥は気ままで羨ましいものだ。
部隊指導者の立場である自分自身、そう思いつつふける。
(東北もまだまだ問題が山積みだわ。
そっちを優先すべきか、あるいは・・・)
翌日、時間は9:00になっていた。
昨日のカレンからの連絡通り、俺達はイワテの巡回ラボリを任された。
場所はすぐ東部の海岸沿いで、最も侵入されやすい場所を見回る。
「今日は四陸海岸の見回りよ。
ここら辺は海産資源もいっぱいで、それらも採られやすいの」
「上から連絡がきた、俺達はこれから3ヶ所に分かれて巡回しろってよ」
隊長は上層の指示で3チームに別行動すると言う。
場所は全て海岸沿いだが、リソースの都合分けられる事となった。
A:鳥の巣断崖 B:争土ヶ浜 C:釜岩湾
担当区域はこれら3つの所で見回りするよう指示を受ける。
Aチーム デイビッド メイソン イザベル 味方モブ
Bチーム カレン マイ トモキ 味方モブ
Cチーム ロック アキラ 味方モブ
の構成で割り当てして行動する事にした。
素直な感想、イワテならイワテの兵でやれば良いだろうと思うが、
当人らは内地で市民街に割り当てるらしい。
「確か、東側はけっこう長いって聞いた、車体でか?」
「四陸は400kmも長い、車じゃ手間くっちまう。
だから、今回はヘリを用意してくれたから、それで行くぞ」
何かあった時の為に合流しやすいよう飛空機を準備された。
もちろん乗るのは初めてで、ちゃんと操縦者もいる。
いつかは自分も機械関係と接しなければならない。
CNはCNのルールがあるのを意識させられる。
こうしてミーティングも終わり、装備品のチェックを済まして
俺達は各チームに分かれて出発した。
12:00 釜岩湾
自分とアキラ達が南部海岸へ着く。
釜岩とよばれる所は初めて来るので、覚えがない。
この辺りを見回すと、高めの礒という様な死角の多い
ゴツゴツした岩場ばかりで狭くて地形がややこしい。
ロック「・・・岩(ロック)ばっかだな」
「ここらはリアス海岸になっているんだ。
リアは“ギザギザ”という意味で、波によって陸地が削られにくく、
土砂も溜まりにくかったからこんな地形になったらしい
しかも、雷岩っつって波当たりも強いから気を付けろ」
北部と違い、地形が開けていない波打ち際だ。
こんな足場じゃタンクは進みづらく、悪路の理由で
本部から自軍の無人型ライオットギアの同行を許可された。
ほんの前までは忌み嫌う塊。
仲間達を消し、排除してきた物が味方としてすぐ側にいる。
市街地に逃げてきたという選択だけでこんなにも立場が変わるとは
夢にも思っていなかった。
俺達Cチームは入り江の山間の道を進んでいく。
そんな印象の悪い機体を先導させて一行は歩き続けた。
「何もねえな」
「定時連絡、A~Bチームは異常なしのようで」
「ん、誰かがいるぞ」
アキラの発言で観ると、そこには人が倒れていた。
意識があり、大怪我を負っているようではないみたいだが、
なにやら苦しそうな顔をしている。
「おい、大丈夫か!?」
岩場で脚を怪我したのだろう、本人は歩けそうになく
アキラがとっさに人の元に駆け寄った時。
ザブーン
「うおっ!」
手前の岩場西外から波が押し寄せてきた。
細い道は塞がれて後ろ以外は道がなく、狭間はみるみる内に浸水。
怪我人を救助優先で大きく迂回しなければならなくなったと
アキラは北部へ移動しろと言う。
「ここは危険だ、Bチームと合流しろ!」
「でも、お前はどうするんだ!?」
「こっちは俺がなんとかしておく、
他の奴らをなんとかしてやってくれ!」
「分かった、気をつけろよ!」
男を任せて俺達はすぐにUターンをして引き返し、
仲間達と合流しようと争土ヶ浜へ移動。
一方、BチームのカレンはCチームの異常を聴き、釜岩湾へ移動しに向かう。
争土ヶ浜
到着、Cチームが中央の争土ヶ浜に着く。
指示を受けて加わろうと見てみたが、誰もいなかった。
確か、この辺りではカレン達が巡回していたはず。
「あいつらどこ行った?」
すれ違ってしまう。
しばらく歩いていると、味方モブがとっさに発言した。
「・・・上に敵影確認!!」
ドゴン バシュッ
突如、頂上から黒装束をまとった敵兵士達がライオットギアに
向かって発砲してきた。避けたと言っても、わざと外したようで
俺は不意に上を向いたとき、非常に見慣れた集団達がそこにいた。
「こいつらは・・・やっと現れたか」
東北を荒らしまわるテロリスト、レイヴンブリッツ。
ここで再び会いまみえることができるとは。
浜の中心にいるその男がロック達に語りかけてきた。
「我らはレイヴンブリッツ。
これ以上の行脚は拒否する。速やかに撤退せよ!」
「てめぇがリーダーか?」
「いかにも、我がレイヴンブリッツのリーダーである」
その男はヘルメットを装着しており、素顔までは確認できない。
だが、そんな事は気にしていなかった。
今の立場がCNに移ろうと、散々ひっかきまわされた敵は敵。
ここでひっぺ返して観る機会を望んでいたのだから。
「交戦は望まぬ、すぐに引き返――」
「オラァ!」
省みずに素手で向かっていく。
リーダーは冷静沈着な仕草で仲間に待ての合図を出す。
接近する寸前を見計らって素早い身のこなしで宙返りし、
自分の背後へドロップキックを繰り出した。
クルッ ゲシッ
「ぐはっ」
「ロック!」
自分は地に倒れてメンバーが応戦しようとしたが、引き留めた。
長年敵対関係にある者を相手に手を借りたくなかったのだ。
「待て、あいつは俺がやる。」
「あんただけで、どうにかなる相手か!?」
それから、右パンチを繰り出すが、
リーダーは自分の右腕の関節を絞めてまた地へと叩きつける。
相当な実力をもっているリーダーだ。
(カウンター狙いなら・・・)
あらゆる先手を読まれるから防御姿勢に変えた。
しかし、リーダーは先手で左パンチを出すと思いきや、
急に姿勢を低くしてオーバーヘッドキックした。
クルッ ゲシッ
「ぐっ」
「判断不足、かつ訓練不足だな・・・」
接近戦闘は余りにも感覚、格の違いを見せつけられる。
俺は復讐叶わずに気絶、敗北を受けた。
ほぼ同じ時刻のとき、デイビッド達は異変を察知していた。
南部から激しい砲撃音の知らせを聴いていたからだ。
「6時の方向、カレン達がいるとこだ。合流するぞ!」
「了解!」
争土ヶ浜
デイビッド達は争土ヶ浜に駆け付けた。
砂浜に足跡が多く、辿るとそこには倒れてるロックがいた。
何者かと交戦していたようだ。
「なにがあったんですか!?」
「レイヴンブリッツです、ロックが奴らに・・・」
「なんだと・・・?」
味方モブがロックの身を確保して待っていたようだ。
救援に来た頃にはすでに誰もいなかった。
本部から無線が入る。
「「鳥の巣断崖の配置が減少し過ぎています。10人戻って下さい!」」
「しまった」
配置に戻るよう連絡される。
敵の動向が気になったが、兄妹はまだここで待機すると言う。
「僕達は残ります、デイビッドさんは戻って下さい」
「北の方がここよりかは安全です、イワテは私達の方が
知り得ているので任せて下さい」
「・・・分かった」
デイビッドは応じる、争土ヶ浜の開けた土地勘ある者が優利と
再び鳥の巣断崖へ戻った。
釜岩湾
「コンタクト!」
Bチームは南部海岸へと到着した瞬間、敵と遭遇する。
外見は関東兵で東北の者ではなく、小型船で来たようだ。
カレンが岩場の上からSRで狙撃、上がらせないよう対抗した。
ズシン ベキッ
「メッキョ!?」
雷岩の隙間からくる者を待ち伏せするライオットギアで殴り返す。
ただ、1機だけで防衛できるか気を配る状況だ。
溶断を試みる兵もいて、いつまでも耐えられる保証がない。
トモキが敵数を懸念してカレンに下がるよう警告する。
「カレンさん、海岸に出過ぎるのは危険さ!
目立って狙撃されやすいさ」
「ロボットがいてくれたから大丈夫だけど、
本部はいつになったら強化してくれるの?」
「脚部の装甲は鉄鋼で補強されてる仕様だが、
関東製とあまり差がないだ。
まだ、あの銀銅は精査する時間が必要だって、
備品の1つにも使われてないさ」
「このまま固まってちゃ、マズイわ。散開しましょ!」
鳥の巣断崖
デイビッドのAチームは再び北部海岸に戻る。
ここには敵の1人も確認されてなく、場は安定。
南の情勢にしびれを切らしそうに安否を気遣う。
数分後にアキラが駆け付けた。
皆、この状況を観て焦りの色を見せている。
「隊長、無事か!」
「倒れてた人がいて無事に送り届けた。
ロックが奴らとコンタクトしたらしいが、ここじゃないのか。
・・・メイソンとイザベルは?」
「争土ヶ浜に残っている、俺が行った時は敵兵がいなかった」
「・・・そうか、一旦連絡入れる」
アキラは状況を本部に連絡し、残ったチームだけで巡回を続けた。
結局、北部には敵性勢力が訪れずに沈着。
それからしばらくして敵性勢力は制圧、全域は静まり返る。
その後のクリアリングを済まして時刻は夜を迎えてゆく。
19:00 イワテCN拠点 医務室
ロックは医務室のベッドに横たわり、安静に寝ている。
もちろん意識だけは昂ぶり、先の悔しさで唸っていた。
マイが看護してくれて側で自分の様子を見てくれるも、
事情を話すとふくれっ面に納得しない顔で俺に問答してきた。
「なんで、皆を振り切って無茶をしたさ?」
「・・・俺の仲間はあいつらに何人もやられてたんだよ。
リソースを横取りに何度も、何度も」
「仲間って、あんたどこの所属だったさ?」
「・・・・・・」
言えるわけがない、元は敵対する組織だったんだから。
加入してから身の上を一切話していない。
マイはそれ以上なにも問い詰めなかったが、一言だけを放った。
「許せないと思うのはあんただけじゃなかよ。
色々あったと思うけど、1人で勝手に動くのはやめなさい」
バタン
医務室から出ていった。
俺はわざとらしく布団の中に潜り込んでしまう。
こういった空気は相変わらず慣れない。
同時刻 市民街
街で見回りをしていたアキラはベンチで休憩していた。
今はメンバーは誰もおらずに1人だけで食事をとろうとし、
適当に屋台で売っている物を買って、側にある広場で食べる。
今日起きた出来事を回想しながら、今後の対応を案じた。
(母ちゃん司令は結局考えを通せられなかったか・・・)
サラ司令から東北はイワテによる管理体制の強化を一貫、
周囲から分の悪い割合で統制すると聞いた。
アキタ、ミヤギ、アオモリ、ヤマガタは下流的な
リソース分配を加速させる流れになると言う。
「・・・・・・」
街光で睡眠時間を忘れてゴミ箱を漁るカラスを眺める。
食事しながら散らばった光景を観るのも不衛生だが、
アキラはそんな様子をまったりとして気にしていない。
鳥は気ままで羨ましいものだ。
部隊指導者の立場である自分自身、そう思いつつふける。
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