27 / 42
27・ぐちゃぐちゃな心
しおりを挟む柔らかな専務の先が、濡れた割れ目を往復している。
「あっや…いや…」
欲しくて、うねっているのが分かる。入れて欲しい、ぐちゃぐちゃに抱かれてしまいたい。
でも…専務には…
胸の奥から何かがぐっと迫り上がってきて、苦しくなった。
一言、婚約者がいるんだから、私に迫るのはやめてくださいって、言えばいいだけなのに。
「僕を欲しがって、ここがひくひくしてますよ。はぁ…すごく、そそりますね。入れます。」
「やめて、ああっ!」
両手で尻を掴まれて、突き出すような姿勢になる。先端からずぶりと勢いよく差し込まれた。
「ああんっ!」
欲しかったもので体が満たされて、ぶるりと震えた。奥の奥まで届いて、コツコツとノックされると痺れるような快感で、全身の肌が粟立つ。
「やだ、やめて、あっあっ!」
「どうして、そんなに僕を嫌がるんですか。」
ゆるゆると揺すられると、甘く吐息が漏れてしまう。
「はあっ…あ…。」
「最近のあなたは、僕を受け入れ始めてくれていると、思っていたのに。」
ずん、と奥を突かれて、嬌声が上がる。
「ああっ!」
柔肉を掻き分けて、何度も擦られて、気持ちよくて、声が抑えられない。
「僕を見る瞳や、声が、優しくて、思いが伝わったんだと思ってました。」
大きく水音が立つほど、激しく押し付けられて、ガラス窓と挟まれて圧迫される。快楽から逃れられない。
「あっあっ…だめっ…あっ」
長いストロークで粘膜を擦られて、立っていられないほど気持ちが良い。足がガクガクして、力が抜けてしまいそうだ。
もっと突いてほしいと腰が上がって、専務を深く飲み込もうとする。
「僕を欲しがって、体が動いてますよ。お尻、可愛いですね。」
ストッキングの上からそろそろと撫でられて、羽毛の感触を鈍く感じる。撫でられているという行為が気持ちいい。
「やあっ、んんっふうっ!!」
目の前には青空が広がり、オフィス街を出勤する人達が眼下に見えているのに、パンパンと体が当たる音が部屋に響いている。
どこからか見えてしまうよな場所で、こんな恥ずかしい格好で…そう思ったら、膣がきゅうきゅうと専務のペニスを食い締める。
「うっうあっあっ…。」
「愛しています、楽さん。」
背中から抱きしめられて、耳元で囁かれたら、どうしてか苦しくて涙が頬を伝った。
「はあっ、あん、やっああっ。」
愉悦が募って勝手に膣が締まり出す。もうすぐ限界がやってくる。
長くて太いそれが、抉るように中を掻き出して、愛液が太ももを伝って落ちた。
「出ます…くっ。」
強く突かれ、射精のタイミングに合わせて中をぐりっと押し込まれた。
それが引き金となり、頭まで突き抜けるほどの快感が走った。
「やあああっ!」
膣が痙攣をして体の力が抜け、ガラスにしなだれ掛かった。
ずるりとペニスが引き抜かれ、専務はいつの間にか装着していた避妊具を処理している。
絨毯に座り込んでしまった私を、専務が抱き起こして服を整えた。
羽毛が頬を撫でて、涙を拭う。
深く息を吸って、ゆっくりと吐く。
「専務、私に言わなきゃいけないこと、ありませんか。」
「愛してます。」
「違う、それじゃない。」
じわりと胸が熱くなったのは、無視した。
「僕のことだけ見てください。」
「違います。」
「虎松君と出勤するのはやめてください。」
「それは、まあそうかもですけど。違います。」
「渡辺さんが世界で一番可愛いです。」
「はあ?何言ってんですか?」
カァッと顔が熱くなる。
違う、こういうこと言って欲しくて聞いてるんじゃない。
「可愛いです。ずっと僕の羽の中に隠しておきたい。誰にも見せたくない。」
「ちょっと、やめて!」
意地悪そうに瞳を細めて、嘴がカタカタと鳴る。
「言わなきゃいけないことって、渡辺さんが言ったんですよ。」
少しずつ体が近づいてくる。動けないから避けられない。
「仕事中の厳しい表情も、笑ってる時もとても可愛いけど、今みたいに怒って気持ちを外に出しているのが、一番素敵です。」
顔が熱くて、恥ずかしくて、なんだか視界がぼやけてきた。
「やめて…。」
「愛してます。」
慈しむように顔を手で包まれて、額同士を擦りあわされた。
「泣き顔も可愛いです。もっと、僕のことで困らせたい。」
「…嫌です。」
「それは残念。」
パッと手が顔から離れて、専務室のデスクからストッキングを持ってきた。
この光景、二度目。
「ストッキングを破いて申し訳ありませんでした。これ、履いてください。」
「ありがとうございます。」
素直に受け取って自分のデスクに置いた。
まだ腰が抜けていて立てそうにない。
「始業前に体力を奪ってしまってすみません。体調が戻ったら始業してもらって構いませんので。」
「はい。」
「僕はこれから行かなきゃいけないところがありまして、今日は戻れるか分かりません。電話に出られないかもしれないので、何かあったらメッセージをください。あと、セミナーは来月で大丈夫です。」
「かしこまりました。」
背を向けて専務室に戻り、バッグを持ち、私に手を振って出て行った。
自分の言いたいことばっかり言って、結局聞きたいことは言ってくれなかった。
何が、愛してるだよ。
愛してるなら、誠意を見せてよ。
私は、愛人になんて、なりたくない。
溢れた涙を指で拭って、ストッキングを履き替えにトイレへ向かった。
0
お気に入りに追加
778
あなたにおすすめの小説
遅咲きの恋の花は深い愛に溺れる
あさの紅茶
恋愛
学生のときにストーカーされたことがトラウマで恋愛に二の足を踏んでいる、橘和花(25)
仕事はできるが恋愛は下手なエリートチーム長、佐伯秀人(32)
職場で気分が悪くなった和花を助けてくれたのは、通りすがりの佐伯だった。
「あの、その、佐伯さんは覚えていらっしゃらないかもしれませんが、その節はお世話になりました」
「……とても驚きましたし心配しましたけど、元気な姿を見ることができてほっとしています」
和花と秀人、恋愛下手な二人の恋はここから始まった。
**********
このお話は他のサイトにも掲載しています
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
寡黙な彼は欲望を我慢している
山吹花月
恋愛
近頃態度がそっけない彼。
夜の触れ合いも淡白になった。
彼の態度の変化に浮気を疑うが、原因は真逆だったことを打ち明けられる。
「お前が可愛すぎて、抑えられないんだ」
すれ違い破局危機からの仲直りいちゃ甘らぶえっち。
◇ムーンライトノベルズ様へも掲載しております。
若妻シリーズ
笹椰かな
恋愛
とある事情により中年男性・飛龍(ひりゅう)の妻となった18歳の愛実(めぐみ)。
気の進まない結婚だったが、優しく接してくれる夫に愛実の気持ちは傾いていく。これはそんな二人の夜(または昼)の営みの話。
乳首責め/クリ責め/潮吹き
※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様
※使用画像/SplitShire様
優しい微笑をください~上司の誤解をとく方法
栗原さとみ
恋愛
仕事のできる上司に、誤解され嫌われている私。どうやら会長の愛人でコネ入社だと思われているらしい…。その上浮気っぽいと思われているようで。上司はイケメンだし、仕事ぶりは素敵過ぎて、片想いを拗らせていくばかり。甘々オフィスラブ、王道のほっこり系恋愛話。
シンデレラ、ではありません。
椎名さえら
恋愛
田中優実は25歳のOL。
優実には、2つ年の離れた容姿に優れた姉がいて
常に比較されながら生きてきた。
大学入学を機に、地元を離れて東京で暮らす優実。
どこか姉への屈折した思いが今もくすぶっていたが―
優実の人生が変わる2日間のお話。
______________
正真正銘、私のTL処女作です^^;
私の好きなテイストで、溺愛ものです。
現代ものとしてちゃんと機能してるか心配です💦
優しく見守ってやって下さい〜〜!
☆ほっこり・じんわり大賞に参加しています
☆本編は3万字程で完結しています
⭐︎8月中に、全年齢向けの番外編を書くつもりです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる