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27・ぐちゃぐちゃな心

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柔らかな専務の先が、濡れた割れ目を往復している。
「あっや…いや…」
欲しくて、うねっているのが分かる。入れて欲しい、ぐちゃぐちゃに抱かれてしまいたい。
でも…専務には…
胸の奥から何かがぐっと迫り上がってきて、苦しくなった。
一言、婚約者がいるんだから、私に迫るのはやめてくださいって、言えばいいだけなのに。
「僕を欲しがって、ここがひくひくしてますよ。はぁ…すごく、そそりますね。入れます。」
「やめて、ああっ!」
両手で尻を掴まれて、突き出すような姿勢になる。先端からずぶりと勢いよく差し込まれた。
「ああんっ!」
欲しかったもので体が満たされて、ぶるりと震えた。奥の奥まで届いて、コツコツとノックされると痺れるような快感で、全身の肌が粟立つ。
「やだ、やめて、あっあっ!」
「どうして、そんなに僕を嫌がるんですか。」
ゆるゆると揺すられると、甘く吐息が漏れてしまう。
「はあっ…あ…。」
「最近のあなたは、僕を受け入れ始めてくれていると、思っていたのに。」
ずん、と奥を突かれて、嬌声が上がる。
「ああっ!」
柔肉を掻き分けて、何度も擦られて、気持ちよくて、声が抑えられない。
「僕を見る瞳や、声が、優しくて、思いが伝わったんだと思ってました。」
大きく水音が立つほど、激しく押し付けられて、ガラス窓と挟まれて圧迫される。快楽から逃れられない。
「あっあっ…だめっ…あっ」
長いストロークで粘膜を擦られて、立っていられないほど気持ちが良い。足がガクガクして、力が抜けてしまいそうだ。
もっと突いてほしいと腰が上がって、専務を深く飲み込もうとする。
「僕を欲しがって、体が動いてますよ。お尻、可愛いですね。」
ストッキングの上からそろそろと撫でられて、羽毛の感触を鈍く感じる。撫でられているという行為が気持ちいい。
「やあっ、んんっふうっ!!」
目の前には青空が広がり、オフィス街を出勤する人達が眼下に見えているのに、パンパンと体が当たる音が部屋に響いている。
どこからか見えてしまうよな場所で、こんな恥ずかしい格好で…そう思ったら、膣がきゅうきゅうと専務のペニスを食い締める。
「うっうあっあっ…。」
「愛しています、楽さん。」
背中から抱きしめられて、耳元で囁かれたら、どうしてか苦しくて涙が頬を伝った。
「はあっ、あん、やっああっ。」
愉悦が募って勝手に膣が締まり出す。もうすぐ限界がやってくる。
長くて太いそれが、抉るように中を掻き出して、愛液が太ももを伝って落ちた。
「出ます…くっ。」
強く突かれ、射精のタイミングに合わせて中をぐりっと押し込まれた。
それが引き金となり、頭まで突き抜けるほどの快感が走った。
「やあああっ!」
膣が痙攣をして体の力が抜け、ガラスにしなだれ掛かった。
ずるりとペニスが引き抜かれ、専務はいつの間にか装着していた避妊具を処理している。
絨毯に座り込んでしまった私を、専務が抱き起こして服を整えた。
羽毛が頬を撫でて、涙を拭う。
深く息を吸って、ゆっくりと吐く。
「専務、私に言わなきゃいけないこと、ありませんか。」
「愛してます。」
「違う、それじゃない。」
じわりと胸が熱くなったのは、無視した。
「僕のことだけ見てください。」
「違います。」
「虎松君と出勤するのはやめてください。」
「それは、まあそうかもですけど。違います。」
「渡辺さんが世界で一番可愛いです。」
「はあ?何言ってんですか?」
カァッと顔が熱くなる。
違う、こういうこと言って欲しくて聞いてるんじゃない。
「可愛いです。ずっと僕の羽の中に隠しておきたい。誰にも見せたくない。」
「ちょっと、やめて!」
意地悪そうに瞳を細めて、嘴がカタカタと鳴る。
「言わなきゃいけないことって、渡辺さんが言ったんですよ。」
少しずつ体が近づいてくる。動けないから避けられない。
「仕事中の厳しい表情も、笑ってる時もとても可愛いけど、今みたいに怒って気持ちを外に出しているのが、一番素敵です。」
顔が熱くて、恥ずかしくて、なんだか視界がぼやけてきた。
「やめて…。」
「愛してます。」
慈しむように顔を手で包まれて、額同士を擦りあわされた。
「泣き顔も可愛いです。もっと、僕のことで困らせたい。」
「…嫌です。」
「それは残念。」
パッと手が顔から離れて、専務室のデスクからストッキングを持ってきた。
この光景、二度目。
「ストッキングを破いて申し訳ありませんでした。これ、履いてください。」
「ありがとうございます。」
素直に受け取って自分のデスクに置いた。
まだ腰が抜けていて立てそうにない。
「始業前に体力を奪ってしまってすみません。体調が戻ったら始業してもらって構いませんので。」
「はい。」
「僕はこれから行かなきゃいけないところがありまして、今日は戻れるか分かりません。電話に出られないかもしれないので、何かあったらメッセージをください。あと、セミナーは来月で大丈夫です。」
「かしこまりました。」
背を向けて専務室に戻り、バッグを持ち、私に手を振って出て行った。
自分の言いたいことばっかり言って、結局聞きたいことは言ってくれなかった。
何が、愛してるだよ。
愛してるなら、誠意を見せてよ。
私は、愛人になんて、なりたくない。
溢れた涙を指で拭って、ストッキングを履き替えにトイレへ向かった。

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