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私が童貞もらいます! 幼馴染の男子高生

第2話

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「うぃー。」
 間の抜けた声かけなのに、変に緊張してしまって上手く返事ができなかった。
「う、ううむ。」
「眉間にしわ寄ってんぞ。」
 ポケットに手を突っ込んで、教科書以外の物でパンパンになっているリュックを背負い、ただ立っているだけなのに、なんか様になる男。
 苛だたしい!
「帰るよ!」
 腕を引っ張って、集合玄関へ向かう。
 途中で悠貴の友達に声を掛けられないように、小走りになってしまった。
「何でそんなに慌ててんの。」
「いっ、色々あるの!」
「えー?なーになーになーに?」
 変な動きでジタバタするから、ついうっかり笑ってしまう。
「ほんと、やめて、やばい人に見える。」
「やばいひとおー。」
 靴を履き替えて扉を抜け、なんとか正門を越えた。敷地外では学生の姿はまばらで、今は私達しかいない。
「で、どうしたの?何か新しい悩み?」
 察しがいい。
 普段はあんなにふざけまくっててバカの極みなのに、こういうところは誠実で人をよく見ている。
「あの…その…」
「言いにくいタイプの悩みか。」
 親指を立てて、公園へ続く道を示す。
 時間がかかるなら寄っていくか?ということだ。
「…悠貴の部屋がいい。」
「俺ん家?良いけど…今日は母ちゃんいたっけかな、パートな気がする。」
 悠貴のお母さんと私は仲が良いから、悠貴を抜きで話すこともよくある。
 しかし、今回に限っては好都合、セックスするのに親がいたら無理。
「それは大丈夫。」
「そ?ならいいや。」
 急に緊張してきた。吐き気も伴っている気がする。

 駅に着いて、ちょうど来た電車に乗り、三駅のところで降りる。
 悠貴の家は駅近だから、割とすぐそのタイミングがやってきてしまう。
「なんか、顔色悪くない?腹痛いの?」
「…気持ち悪い。」
「まじ?!変な物食べた?」
 首を振って否定する。
「とりあえず、これ飲む?」
 リュックの中から取り出したペットボトルの中身は、飲みかけのお茶だった。受け取って蓋を開け、ままよ!と飲み下す。
 その様子に、悠貴がクックッと笑った。
「喉乾いてたんだな、水分不足は体調悪くなるってサッカー部の奴が言ってた。」
 さりげない気遣いが、更に緊張を加速させる。
 悠貴がモテるのも分かる。普段はどう見てもガキって感じなのに、ふとした時に余裕がある男みたいに見えるんだ。
 女子で一番仲が良いのは私だけど、童貞をくれって言ってもらえる気がしない。
「さっきから黙ってるけど、まじで大丈夫?部屋で休みなよ。」
 いつのまにかたどり着いていた家の鍵を開け、部屋へ行くように促される。
 悠貴の部屋は三階の一番奥だ。
「お邪魔します。」
 ドアを開けると、悠貴の匂いがした。男って感じの匂い。
 あー、やばい。上手くいったら、ここでセックスするんだ。緊張で吐きそう。
「突っ立ってないで座れば。」
 昔は学習机があったけれど、今はローテーブルになっていて、クッションが置かれていたりする。洒落た部屋になったもんだ。
 床に座ってクッションを抱きしめると、少し落ち着いた。


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