【R18】みだりに近づかないでください！

最終話-1

　玄関の呼び鈴が鳴り、元要が対応しに行く。ザワザワと話す声がした後、来訪者たちがやって来た。
「おーっす！」
　ニコニコ笑いながら手を上げた人物に、思わず突撃した。
「ゆうくーん！」
　ドンっと体当たりしても動じない体感、現役時代と寸分違わぬスレンダー体型、やはりゆうくんはかっこいい…！
「おおー！りん、元気か？！またキレイになったな！」
「ふふん、私はいつだって世界で一番キレイだから」
「りんちゃーん！」
　私と同じように突撃をしてくる、可愛い二人の女の子に圧迫された。
「毎年、力が強くなってる」
「りんちゃん、りんちゃん！」
「りんちゃーん！」
「ほら二人とも、りんちゃんが苦しんでるからやめな」
「愛実（めぐみ）さん…今日も麗しい」
　ゆうくんの奥さんである愛実さんは、それはそれは優しくて優美な女優さんである。私が言うのもなんだけど、何でゆうくんが良かったのか分からない。いや、ゆうくんには良いところしかないけど。むしろ、他にも選択肢があったのに、ゆうくんを選んだんだから称賛すべきだ。
「やだもう！りんちゃん、いつもありがとう」
「え…好き…」
「私も、りんちゃん大好き！」
　結果、西山家の女性陣にギュウギュウに抱きしめられた。
「ははは！仲が良いのはいいことだな！」
「りんは本当、女性にモテるなあ」
「ろくな男にはモテないけどな」
　後ろからやってきたのは、有現ちゃんとマーシーだった。
「あれ、全員そろってる感じ？」
「たまたま玄関先で集合したみたい」
　やっと体が自由になり、日晴くんが男性陣に囲まれているのに気付いた。
「へー、りんの彼氏」
「よくりんが落ちたな」
「きっといい奴なんだよ！な？！」
「ちょっと、娘の彼氏をいじめないでくれる？」
　大きい男性三人の前に、それより少し背が低い父が入り、後方の日晴くんも背が高いから、連れてこられた宇宙人みたいに見える。いや、言い過ぎかもしれないけど。
　日晴くんは人当たりの良い笑顔で爽やかに受け答えしている。私から見ると、よそ行きの顔だから、仕事の時はこんな風に対応しているのかもしれない。
「ほら、早く席に着いて！」
　ねねの合図に全員がビッと動く。くじに書かれた席順で座ると、私の隣は日晴くんとゆうくんだった。なんだこの神席、いやほんの少し気まずいわ。
　そろったところで父がジョッキを持った。
「じゃ、うちの双子が成人したってことで、かんぱーい！」
「かんぱーい！」
　みんな私達の誕生日にかこつけて飲みたいだけだから、挨拶が軽い。別にいいんだけど。
「りん、せっかくだから飲めば？」
　ゆうくんがコップにビールを注いでくれた。