【R18】みだりに近づかないでください！

21-2

　俺には全然分からないけれど、星野という男には彼女達を引きつける良い部分が存在するんだろう。価値観は人それぞれだ。
「なんでそんなに、星野がいいの？」
「聞いちゃう？」
「セックスがめちゃくちゃ上手」
「絶倫」
「でも子どもっぽいとこあって」
「寂しがり屋なんだよね」
「光流は赤ちゃんなの」
「実は気遣いなんだけど、空回ってるんだよ」
　褒められているようには見えないが、愛されているのは分かる。ポンポンと言葉が出て、表情はにこやかだ。
　倫音さんは少し上気した頬で問いかけた。
「そうなんだ…なんか…えっと…ケンカにはならないの？」
「ケンカ？」
　女の子達は顔を見合わせから、倫音さんを見て納得したらしい。
「セックスのこと？」
「みんなでするのも楽しいよ」
「ちゃんと二人の時もあるし、それぞれかな」
「二人の時は特に甘えただよね？」
「分かるー！」
　キョドキョドしている倫音さんに、女の子が笑った。
「伴さんだって、朝丘くんとえっちするでしょ？」
　鎖骨から耳まで真っ赤になった倫音さんが、ブンブンと首を振った。
「俺と倫音さんは、ただの友達ですよ」
　そんなこと考えたこともない。倫音さんはそういう領域には存在しないのだ。
「えー？！嘘でしょ？！」
「こんなにいつも一緒にいるのに？！」
「サークルの女の子、伴さんが相手じゃ敵わないって諦めてたよ？！」
「なんで付き合ってないの？！意味わかんない！」
　女の子達の勢いにタジタジになっている倫音さんが可愛い。男相手だとツンと強気で立ち向かうけれど、灯里さん以外の女性とはこんな感じの態度なんだな。
「わ、私と日晴くんは…友達だから…」
「伴さんはそう思ってても、男はそうじゃないよ？いつでもヤルことしか考えてないよ？」
「そうだよ！大学生なんて大体ヤルことしか考えてないんだから！」
　大多数の男でカテゴライズする場合は間違ってないと思うけれど、俺に関しては別物だと認識していただきたい。
「俺は考えたことないですよ、倫音さんは大切な友達なので」
　好きだけど、俺が汚していい存在じゃないから。
「絶対ウソ！強がってるだけ」
「待って、私が伴さんだったらちょっとムカつくんだけど」
「大丈夫だよ、伴さん！私が朝丘くんだったら伴さんとめっちゃえっちしたいよ？！」
　どういうフォローの仕方なんだろうか。
　倫音さんはキャパオーバーなのか、真っ赤になったまま俯いている。
「なんでお前らがいんの？」
　渦中の男がやって来た。
「やっときたー！待ちくたびれたんだけど」
「おっそいよ」
「伴さんのところにいれば会えるでしょ」
　珍しく難しい顔をした星野が、女の子達の前に立つ。