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しおりを挟む「図書館ですね、あそこもよく行きます。レポート提出前とかは特に」
「倫音さんって、本当真面目でかっこいいですね」
そういう褒められ方はあまりされないから、これまたこそばゆい。
「えっと、ありがとうございます?」
「バイト中も、常連さん達の好みをちゃんと覚えて対応してたり、初来店の方のことも気にして過ごしやすいように考えてたり、そういうところ素敵だと思います」
また首元がカァーッと熱くなる。
「ありがとう…ございます…」
「容姿を褒められるのは慣れてるのに、こういうのは照れるんですね」
図星を刺されて余計に顔が熱くなった。
「私の容姿に関しては、世の中の美醜の価値観が逆転しない限り、称賛というより、紛れもない事実を述べられてるだけですし!」
子どもの頃からずっと周囲に言われ続けているし、それが事実だから改めて言われたところで何とも思わない。
「じゃあ、倫音さんの可愛い表情を見るなら、内面を褒めればいいということですね」
そういう意味の可愛いは、言われ慣れてない。
「いや、ほんと、いいんで」
「照れてる倫音さん、可愛い」
「やめてください」
揶揄われているのに、胸の中がドキドキフワフワして変な気持ちだ。
「あっ、学食行きましょう、学食」
これ以上、この雰囲気には耐えられない。
深呼吸をして学食のある棟へと向かった。
学食は、見事に混み合っていた。
「解放してるんですねえ」
「そのようで…」
老若男女が所狭しとランチを貪っている。例に漏れず、安い美味い!の学食は人気のため、通常時でも人が絶えない。
「あっ!倫音はっけーん!!」
後ろから声がしたかと思えば、ガシッと抱きつかれた。
「…灯里」
「絶対に、ここに来るだろうことは分かっていたのさ…フフフ!」
振り返ると、灯里の後ろに斎藤もいた。静かなる巨木…
「あっ、この人がハナくん!?」
「あーうん、朝丘日晴さんです」
ニコニコと愛想よく笑い、日晴くんが挨拶をする。
「こんにちは、朝丘です。灯里さんですよね、お話はよくお聞きしてます」
日晴くんの言葉に、灯里の顔がパッと華やいだ。
「日暮灯里です!倫音の無二の友です!こっちは、私の彼氏の斎藤くんです」
紹介された斎藤は、無言でぺこりと頭を下げる。こんなに無口で、灯里とどうやってコミュニケーションを取っているのだろう。
「倫音、私に感謝したくなるよ」
ニタァっと笑う灯里に、これは後々面倒なことを言われるだろうな、と思いつつ聞き返す。
「なに?」
「席を取っておきました!ということで、買っておいで!」
「やるじゃん、灯里」
「ありがとうございます」
お言葉に甘えて食券を買い、私は牛丼大盛り、日晴くんは秋定食を選んだ。
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