【R18】性癖プロデュース〜えっちな美少年からどエロ美青年に成長した、彼と私の性癖産出日記〜

はこスミレ

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明亜と女装男子編

10-8メイクユーハッピー

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だめだ、落ち着かない。
緊張で吐きそう。吐血しそう。
朝は目覚ましの前に起きるし、化粧は失敗してやり直したし、ご飯が喉を通らなかった。
だから、ゼリー飲料を摂取した。あと豆乳。ほら、イソフラボンで肌がキレイになるかもしれないし。知らんけど。
脳内で喋り続けないと、死んでしまう。
待ち合わせ場所、早く着いてしまった。まだあと20分もある。
段々寒くなってきた秋空を見上げて、掲げた自分の指先を見つめる。
伊知地さんみたいに真っ赤なマニキュアは似合わないから、バーガンディ色を塗ってみた。こっくりした色と、青空のコントラストがキレイ。
「素敵な色ね。」
背後から、ハスキーボイスが聞こえる。
恐ろしいくらいに心臓が早鐘を打ち、体がビクリと震えた。
振り返れば、美女がいる。
ノーカラーの薄手ロングコートに、襟の詰まった綿シャツ、コーデュロイのロングスカート、靴は歩きやすいスニーカー、小さいショルダーを肩にかけて、にっこり微笑んでいた。
私には絶対に似合わないコーディネート。
自分の体型を分かってるんだなぁ。
「明亜ちゃん、今日はよろしくね。」
「こ、こちらこそ…。」
想定より声が小さくなってしまった。調節が難しい、普段どんな風に喋ってたっけ。
「ちょっと早く着いちゃったんだけど、明亜ちゃんがいてくれて嬉しかった。もうお店って開いてるのかな。」
「あっうっはい、もう開いてます。行きましょう。」
油の切れたブリキのおもちゃみたい。体の動きが不自然で、緊張してるのが丸わかりだ。
あぁ、恥ずかしい。
横からじっと見られている気がする。
「明亜ちゃん、今日も可愛い服ね。とっても似合ってる。」
良かった…みんなで会議した甲斐があった…!
赤、黄、緑、青の原色で構成された、月やハートや花、鳥などが列を作って縞模様のように並んでいる、80年代にありがちな柄のシャツ。エリと袖口は白くなっているから締まって見える。
ケミカルデニムの膝丈スカートにシャツをイン。
黄色の靴下はふくらはぎの下の長さで、赤いスニーカー。
お財布とスマホとハンカチくらいしか入らないけど、クマのぬいぐるみのリュックを背負っている。
髪の毛は、頭の上の方でカラーゴムでポニーテールにした。
自信作だ。
「ありがとうございます。えっと…今日は昔のアメリカの学園ドラマをテーマにして選んでみました。」
「えっ、素敵!いつもそんな風に考えて選んでるの?!」
「毎回ではないですけど、よくやります。」
うん、ちゃんと話せてる。
今日こそはちゃんと記憶を保持したい。
伊知地さん麗しく微笑むと、胸がバッコンバッコン音を立ててうるさい。
「明亜ちゃんが、コーデネートしてくれるなんて…本当に嬉しい。今日がすっごく楽しみだったの。」
「あ…えと…その……」
言え、言え、私!
「私も…です」
また音量調節失敗して、小さくなってしまった。
でも、伊知地さんには聞こえたみたいで、明らかに反応が違った。
綺麗過ぎてちゃんと見られないけど、微笑みが満面の笑みになっている。
喜んでもらえるって、嬉しい。
「一緒に楽しみましょうね!」
「はい…!」

 まず向かったのは、男女の商品が両方揃う大きめの店舗。
アクセサリーも服も、ここで全部買えるくらいの様々な種類が豊富に取り揃う。
「すごい…民族衣装のドレス…ランジェリーもあるのね。」
華美でエレガンスな服のエリアで立ち止まって、伊知地さんのテンションが上がっている。
そういえば、女装喫茶の時も綺麗なチャイナドレスを着ていた。そういうのが、好きなんだろうな。
「着てみたいのありますか?この辺も似合いそうですけど。」
生成りのレースがボリューミーなミニスカートのドレス。ヨーロッパ物だと思う。
「か…可愛い。でも私…こういう文字通り可愛いものって…似合うかな。」
むしろ、スレンダーで胸がないから、こういうボリューミーなのが似合う。
でも、口で言っても分からないから、試着するに限る。
「着ましょう。はい、試着室へどうぞ!」
服を押し付けて試着室のカーテンを閉める。
カーテンの向こう側でゴソゴソ音がして、ああお着替えしてらっしゃる…とときめいた。
うん、服に関してだったらちゃんと話せる。
ほっとしていたのも束の間、伊知地から声が掛かった。
「明亜ちゃあん!」
「ど、どうしました!?」
「背中のジッパーが閉められない…!」
カーテンの隙間から、顔だけ出してショボンとしている。
「手が届かないってことですか?」
「…骨格の問題かなぁ。」
ああ、そうか。胸はなくても胸囲はあるのか。
「ごめんなさい、小さめの選んじゃいましたね。」
「ううん、いいの!選んでくれたのが嬉しいから!」
またカーテンを閉めて着替えている間に、体型を考慮してドレスを見繕う。
私の服を気に入ってくれているなら、きっとこの辺も気に入ってもらえるんじゃないだろうかと、二着ほど選んだ。
「伊知地さん、カーテンちょっと開けてください。これ、違うやつ。」
「あ、ありがとう。」
カーテンからにゅっと手が出て、そこに服を渡す。
しばらくして、カーテンが開いた。
ゆったりしたシルエットのランジェリードレス。透け感があって可愛いと思う。
「肌、出すぎじゃない?」
「気になりますか?」
「肩幅とか…」
うん、さすが完璧な擬態をしているだけあって、そういうところを気にするんだなぁと感心した。
「気になるようだったら、逆に肩パット入ってるジャケット着ても可愛いですよ。」
「強調するのね。そういう着方もあるのかぁ。」
「もう一着の方も着てみてください。」
「はーい。」
次は少しカジュアルで、大きいボタンがアクセントになっている膝丈ワンピース。付属のベルトでウエストを絞って細さをだす。シルエットがキュートだけど、深いグリーンだから可愛すぎず大人っぽさも出せる。
「はぁ…伊知地さん…似合います…素敵。」
「そう?大丈夫かな?」
「私だったら、白いハイソックス履いて崩しちゃうけど、伊知地さんだったら黒の網タイツがいいと思う。セクシーさを強調したい。」
絶対良い!想像するだけでドキドキする。
鏡の前でくるりと回転している姿が、とてつもなく可愛い。
「うふふ。こういうワンピースはあんまり着ないから、新鮮。嬉しい。」
「他にも探しましょう。何がいいかな!」
二人でハンガーを掻き分け、似合うもの、可愛いものを探す。
ふわふわニットや、柄シャツ、細いプリーツのスカート、ベロアの太めパンツ、たくさん出しては着替えて、コーデネートを楽しんだ。
「どうしよう、買いたいものが多過ぎて…迷っちゃうわ。」
「伊知地さん、無理に今買わなくていいんですよ。他にもお店があるから、色々見てからまた戻って来ましょう。」
「あっ、そうよね!」
お店を出て、またすぐ近くのお店に入る。
入って一周して出るところもあれば、雑貨が可愛くて見比べるところもあり、何軒も巡った。

「ねぇ、明亜ちゃんがよく買うお店はどこ?」
伊知地さんに合わせてお店を紹介していたからか、気を使って聞いてくれたのかな。
「もう少し先に行ったところに、あるんですけど。」
「行きたいなぁ。」
うるうるした目でおねだりされて、断れる奴なんかいない。
「じゃあ、行きましょうか。」
「うん!」
きゃぴるん!と効果音が出そうな伊知地さんを見て、絶対に誰も男の人だとは思わないだろう。
それくらい、女装が板についている。歩き方も女の人なのだ。
「ここです。」
少し手狭な入り口は、可愛い女の子の絵があり、ポップでカラフル、アメリカの子ども部屋みたい。
「期待を裏切らないわねぇ。」
「私の部屋もこんな感じですよ。」
この古着屋さんが好きで、寄せているところがある。
「えー!見たーい!」
「あ、じゃあ今度良かったら。服も試着してもらっても良いですし。」
何の気なしに誘うと、伊知地さんがびっくりしていた。
「本当?!いいの?!」
「良いですよ。」
目をキラキラさせている。
「うふふ!楽しみ!」
こんなに喜んでもらえるなら、いくらでも服を出そう。クローゼットを全部開けてもいい。
「あ、これ。伊知地さんも着られるんじゃないですかね。」
ビッグサイズのシャツ。これは、アメリカのお医者さんが着ている白衣。ポップな柄だけど。
「可愛い!」
「あと、こっちも。」
紫とピンクの配色のロングトレーナー。これに、私だったらレースのスカートや、水玉のズボンを合わせるけれど、伊知地さんならデニムのショートパンツが可愛いと思う。
「こんな可愛い色、似合うかしら。いつもね、無彩色かベージュや濃いブルーばっかりなの。」
「合わせる服を濃い色や、スポーティなものにしたら、似合いますよ。上下ブリブリに可愛いやつだと、お顔がキレイ系だから合わないかもしれないけど、どこかに外しでセクシーかスポーティ入れたら大丈夫です。」
「そうなんだ…明亜ちゃんって私のこと、たくさん考えてくれるのね。嬉しい。」
瞬間、照れて顔があっつくなった。
「いえ、そんな…伊知地さんがキレイだから…」
もごもごして、ちゃんとした言葉が出てこない。
「あ、あの!疲れませんか?ちょっと休憩しましょう。」
どうしたらいいか分からなくなって、慌ててお店を出て、いつものカフェに向かうことにした。

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