【R18】性癖プロデュース〜えっちな美少年からどエロ美青年に成長した、彼と私の性癖産出日記〜

はこスミレ

文字の大きさ
上 下
6 / 66
綾菜と瑞樹編

4-2仁くんの悩み(現在)

しおりを挟む



コーヒーをテイクアウトして、テラス席に座る。
休日の午後、キラキラ注ぐ日差しの下、あーにゃみたいな表情をした人達が集って歩く。
「みんな、服好きなんだね。」
「そうだね、この辺を歩いている人達はそうだと思うよ。」
同じような表情をした目の前の仁くんが笑う。
せっかく服を選んでたのに、連れ出してしまって申し訳ない気持ちだ。
「仁くんって、服屋さんでバイトしてるんでしょ?」
「そうだよ。」
「磐田さんと同じお店だって、あーにゃが言ってた。」
「あ、うんそう。楓と一緒。」
「彼女と一緒だと、休み同じにするの難しくない?」
「うん。平日は取りやすいけど、土日はたまにしか一緒にならないね。」
眉毛を下げて困り顔なきつねは、クリームがたくさん乗ったコーヒーを飲む。
とても甘そうだ。
「それじゃあ、泊まりで遊ぶの難しいな。」
「あ、そうだよね。今まで泊まりで遊んだことないから、困ったことなかった。」
知ってる。
だから、俺がこんな役目を君の彼女から頼まれてる訳で。
「ずっと一緒にいたくならないの?」
「…金沢くん、照れるようなことスッと言えてすごいね。」
既に照れているのか、口元をむぐむぐ動かしている。
そっち?
昔は恥ずかしかったこともあったけど、そういうこと言われるのが好きな子を彼女にしてるから、もう慣れた。
「ちょっと一緒にいただけで、帰したくなくなるし、常に隣にいて欲しくなるじゃん。だから同棲してるんだよね、俺。」
「…うん、分かる。一緒にいたいよね…」
困窮したきつねが、しょぼしょぼ小さくなっていく。
「仁くん、なんか悩んでんの?」
俯いていた顔が上がり、視線が左右に動いて、口をパクパクさせて閉じて、またパクパクさせて閉じる。
これ、言いたいけどどうしようって迷ってんのかな。
「俺で良いなら、聞くけど。」
「あー…その…」
周りの様子を伺っている。
そんなに周りに聞かれたくない悩みなのか。
「人の悩みを、言って回る趣味はないよ。」
明らかにホッとした顔で、甘いコーヒーを飲んだ。
仁くんは言い澱み、しばらく沈黙ののち、口を開く。
「俺……………なんだ。」
「え?」
声が小さ過ぎて聞き取れない。
言うのが辛いのか、スマホに文字を打って渡してきた。
画面に映る、全て納得してしまう四文字に、切なさと悲しみが溢れていた。
「あぁ…そっか。うん、察した。」
そっと文字を削除して、お返しする。
泣きそうな仁くんには、同情しかない。
そりゃ、言えないよ。彼女になんて一生隠しておきたい。
「俺、バイト始めたのが、手術費用を稼ぐ為でさ。そしたら、バイト先で楓に出会っちゃって…」
恋に落ちたと。
「他の男に取られるの、嫌だよね。」
「そうなんだよ!出来なくても、他の男に取られるくらいなら、俺が彼氏になりたくて…大切にしたかったし。だから、告白したんだ。」
純粋で可愛い奴だなぁ、仁くん。
俺なんて、付き合う前にしまくってたもんな。
いや、あーにゃが可愛すぎるのと俺の我慢がきかないのが、原因なんだけど。
「磐田さんてあの雰囲気だから、男が寄って行きそうだもんね。」
「正にそれ!俺が告白する前にも、何人か交際申し込まれてたらしくて。」
「で、仁くんが選ばれたんだ。」
カァッと赤くなって、小さく頷く。
「楓も、俺が気になってたみたいで。」
甘いコーヒーをガブガブと飲み込んでいる。
「もう医者には行ったの?」
「うん、手術は来月の予定。」
眉間にシワが寄っている。
「不安?」
「やっぱ、怖い。でも、それでちゃんと出来るようになるから…そしたら、泊まりで遊べるし。」
泊まりで遊びたいよね、分かるよ。
「俺、仁くんのこと応援する。俺にできることあったら言って。」
パッと明るくなった仁くんは、嬉しそうに笑った。
「ありがとう!じゃあお言葉に甘えて、初めての時ってどうしたらいいの?」
思ったより遠慮が無かった。いや、良いよ。俺、今日だけで仁くんの好感度が上がった。
「俺のなんて参考になるかなぁ。」
「そんなに長く一緒にいるんだから、仲良しなんでしょ。」
幼馴染だしねぇ。
でも、あーにゃの初めての話をするのは、いくら仁くんでもダメかな。
俺だけの大切な思い出だし。
「そうだなぁ。仲良しの秘訣なら、あるよ。」
「なに?!」
「ちゃんと、気持ちを言葉にすること。」
きつね目が、ぱちくりしている。
「言わないと分かんないじゃん。だから、俺は言えることは言うようにしてる。あーにゃのこと、手放したくないから。」
仁くんの顔が赤くなる。
「はぁ…金沢くんすごいな。」
「あと、あっちから欲しがるまで愛撫し続ける。」
「…そっちもすごいわ。あとは?」
「そうだなぁ…」
仁くんのコーヒーカップは、いつの間にか空になっていた。



「楓ちゃん、みーちゃん達戻ってくるって。」
バッと振り返って、楓ちゃんに詰め寄られる。
「何か言ってた?」
「特に何も。」
あからさまにガッカリしている。
「みーちゃんは、ダメだったらダメって言うから、大丈夫だよ。」
「その信頼関係、ちょっと羨ましい。」
眉尻を下げて切なく笑う楓ちゃんに、めーあちゃんが同意する。
「分かる。幼馴染なのもあるだろうけど、お互いの絆が強い。」
「えー、褒められてる。照れるー!でもね、楓ちゃんと仁くんもね、見ててすごく可愛いよ。」
「…ありがとう。」
めーあちゃんが無の表情になっている。
「あーあ、私も彼氏欲しい。お金持ちの。」
「明亜は理想が高すぎる。」
「めーあちゃんは、好きな人ができれば、すぐ付き合っちゃうと思うけどなぁ。」

3人でわちゃわちゃ服を見ながら話していると、お店に男性陣が入ってきた。
「お待たせ。」
みーちゃん…ドアを開けてこっちに来るだけなのに、ランウェイを歩いているみたいだよ。
「みーちゃん、かっこいい。」
「ははっ、どうも。」
サングラスをずらして、こっちを見る仕草に、子宮がキュンとする。
「バカップルは放っておいて、服見ようよ。」
「そうね。」
「俺、まだニットを選んでない!」
メンズエリアでもそもそとニットを探す仁くんに、それぞれがあらかじめ選んでおいた服を渡す。

1着目は、アーガイル模様のプレッピーなVネックセーター。バーガンディカラーが秋冬らしさを出している。中におじさんチェックのシャツを着たら、とても可愛いであろう一着。
2着目は、原色でカラフルな幾何学模様のカーディガン。丈は長めで、膝上くらい。無地のシャツと合わせたら目立って可愛いし、白黒のピンドット柄やギンガムチェックでも合う。
3着目は、水色のセーター。胸元には大きく、犬ぞりをしているおじさんのモチーフが描かれている。ハスキー犬がとても可愛い。このセーターは主役級。

「わー、全部可愛い!俺の為に選んでくれたの?」
にこにこと嬉しそうに笑う仁くんに、女子3人も嬉しくなる。
「どれも全部、仁くんに似合うと思う!」
「結構、強めの物も着こなしちゃうもんね。」
「好きなのがあったら、選べば。」
「そうだなぁ」
悩むかと思いきや、さっと手に取ったのは水色の犬ぞりセーターだった。
「ヒュー!さすがー!」
「愛の力ー!」
「やめてよ…!」
照れている楓ちゃんを囃し立てる。
「楓が選んだの?」
「まぁ…趣味知ってるし。」
厚くてぷにっとした唇を尖らせて、照れてぶっきらぼうになる楓ちゃんは、見た目とのギャップが激しい。
「仁くんの彼女、可愛すぎでは?」
「仁くん、これはやばいのでは?」
私とめーあちゃんが口々に言うから、仁くんも楓ちゃんも赤くなってしまった。
「買って来る…。」
セーターを持ってレジに向かう仁くんを、お店の外で待つことにした。

お店の入り口から少し離れた場所に立つ。
「みーちゃん、どうだったの?」
女子3人に囲まれて問い質される。
みーちゃんは、神妙に頷いてこう言った。
「磐田さん、待ってもあと2、3ヶ月ってとこだよ。これ以上は、俺の口からは言えない。どうしても知りたいなら、ちゃんと自分から話した方がいい。仁くんにとっては、大事なことだから。」
楓ちゃんも、神妙に頷いた。
「ありがとう、金沢くん。分かった、待つよ。その日が来たら、理由を聞こうと思う。てか、そもそも自分で解決しようとしてない時点でって感じだし。」
吹っ切れて納得したように見える楓ちゃんが、拳をぎゅっと握ったところで、仁くんが店から出てきた。
「お待たせー!女性陣は、自分たちの服見た?」
「ちょっとだけー!」
「じゃあ、レディースのお店回ろうか。」
「行くー!」
歩き出そうとすると、後ろから手を引っ張られた。
「わっ」
体勢を崩して、背中が何かに当たる。
振り返って見上げると、満面の笑みの彼氏様がいた。
「みーちゃん?」
舌舐めずりをするように、いやらしい顔をして、耳元で囁かれた。
「約束、守ってね。」
途端、背中がゾクゾク震えた。
「は、はい…」

みーちゃんは、性欲に忠実だ。
やると言ったら絶対にやるし、守れない約束はそもそもしない。
だからこれは、初めからみーちゃんの中で決定事項だったのだ。

たまには、ブレてもいいんだよ?


「綾菜ー!行くよ!」
少し先で、楓ちゃんに呼ばれる。
「今行くー!」
背筋のゾワゾワを誤魔化すように、みんなの元へ走った。
後ろを悠然と歩くみーちゃんは、今絶対にインキュバスだ。
見なくても分かる。

今夜、頑張ります…。


しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。

イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。 きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。 そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……? ※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。 ※他サイトにも掲載しています。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

処理中です...