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6章
68・奪い去りたい
しおりを挟む好きな女の子が自分を好きだという事実が、青い理性のリミッターを外した。
「んうっ、アレ…ク…苦しい…」
耳に響く甘い囁きは、下半身に直結する。それ程までに、アレクの体は若い。
嫌われたくないという気持ちが先行したおかげで、やっと唇を離せた。
「ごめん。」
見下ろす顔は瞳が潤み、頬は上気し吐息は弾み、艶めいた唇は濡れていた。深い襟ぐりからチラリと見えた豊満な胸の谷間に、ズクンと一部が疼く。
これを我慢しろというのは、大変酷である。
「…もう、やめちゃうの?」
苦しいと言った口が、続けろとねだる。
そういうところだぞ!と言いたかった。
「…もっとしたい?」
「…うん。」
恐ろしいくらい、素直だ。
初めてキスをした時もそうだった。びっくりしていたのに、もっとしたいと言うから、止まらなくて舌まで入れてしまった。
ー積極的なくせに、ドキドキしすぎて失神するし。
茉莉花の時も、初めては失神していた。ジャスミンほど積極的ではなかったけれど。
懐かしい気持ちと、ジャスミンへの新鮮な気持ちがぎゅーっと合わさって、余計に愛が深くなる。
半開きになったジャスミンの唇に、そろりと舌を入れると、柔らかなジャスミンの舌が迎えるように招き入れる。絡めて、解れて、また絡めて、ザラザラの部分や裏側を舌先で刺激すると、自分の下にあるジャスミンの足がもぞもぞと動いた。
堪らず、ジャスミンの足の間に膝を入れる。
これ以上は、ここでは出来ない。
でも、キスは止めたくない。
夢中になって舌を吸っていると、ジャスミンの手がアレクの背中を叩いた。
「んっ…は…どうしたの?ジャズ。」
やっとのこと唇を離すと、首まで真っ赤になったジャスミンが涙をこぼしていた。
やばい、やりすぎた!と冷や汗が垂れるが、思っていたのとは真逆の反応だった。
「アレクぅ…ぎゅってして…」
可愛すぎるおねだりに、脳天へ衝撃が走る。このままでは我慢できる自信がない。
目を閉じて深呼吸をしてから、ジャスミンを起こして抱きしめる。鼻腔へ甘い香りが抜け、ジャスミンの柔らかな膨らみが自分の胸筋に当たって潰れた。
「えへへ、アレク…好き。」
細い腕が首に回り、強く抱きつかれる。
ー無理…これは無理…
下半身に血が集まっていくのを感じた。
「…ジャズ、嫌だったら嫌って言って欲しいんだけど。」
不思議そうな表情で首を傾げる。
「なあに?」
嫌だと言われたら、止められる。それだけは絶対だ。
「このまま帰したくない、ダメかな。」
どうやら、意味は伝わったらしい。
視線がウロウロし、口が開いたり閉じたりしている。
また過呼吸寸前になったら困るので、もう一度口に出す。
「ジャズが欲しい、一つになりたい。」
「っ…!」
しばし俯いてじっとしていたが、アレクの首元に顔を埋めて、か細い声で答えた。
「…どこでするの?」
アレクの脳内は大歓喜だった。
「どこでも、ジャズが安心できるところなら。」
頼まれるなら、この丘でだって、街一番の高級ホテルだって構わない。
「じゃあ…アレクの部屋…」
頭の中で、サッと算段を立てる。
「分かった。少し距離があるから、馬車に乗ろう。」
できる限り屋敷に人がいないことを祈りつつ、アレクはジャスミンの手を引いて丘を下りた。
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