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第三部
あとがきという名のエッセイ
しおりを挟む三月某日、二十年以上愛していた「心の家族」と表現している担当グループが、解散を発表した。
その時の動揺は酷く、業務中なんてことは頭の中から消え去って、ファンへの動画メッセージを見て絶望しているうちに、気づけば二時間が経過していた。リモート業務で本当に良かった。
友人からの心配メッセージが届き、話をしているうちに、この辛さを、苦しさを、絶望を、この作品に活かせるんじゃないかと、自然とそう思えた。
ありがたいことに、読者様達から何度も続編を望まれていたけれど、ドルヲタとしての自分が「結婚とかマジ無理だから、絶対させないから」と拒否をするから、この先描くことはないだろうと思っていた。
それを、圧倒的な絶望で粉々に砕いた解散宣言は、物書きの精神レベルをアップさせてくれた。(いや、全然嬉しくないですけど。なんなら嘘でしたって言ってくれてもいいですけど)
作品内での主人公の気持ちは、そのまま私自身の経験則に従って書いている。
ある一人のアイドルヲタクの絶望であり、現実の受け入れ方だ。
きっとまだ、受け入れられずに絶望し続けている人もいるだろうし、気持ちは人それぞれ。アイドルヲタクじゃない人が読めば、絶望の追体験ができること請け合いだ。
私には、小説を書くという手段があって良かった。絵も描くけれど、一枚の絵に絶望と希望と再生を描けるほどの技術はないから。
作品内では解散コンサートが行われているが、現実ではまだ先。情勢的にも開催されるのかすら、分からない。描写中は、勝手に想像して、勝手に泣いた。書き続けるのがしんどい時もあったけれど、最後まで筆を止められない性で良かった。
サンキュウ!は元から友人で仲が良く、解散をしても定期的に集まっている。それは、私のエゴで希望だ。
菜果音には、散々苦労をさせたけれど、世界で一番かっこよくて最高のアイドルを夫にするんだから、それくらいは頑張ってもらわないと、ドルヲタとして許せない。
でも、それを丸っと背負って、何でもない顔をして走って行くのが菜果音だ。責任感が強くて、愛に溢れた強い人間だから、安心して伴を任せられる。よっ!最強のプロ彼女!
▼今回のタイトルについて
『Sky's The Limit』:勝利6人組
歌詞を検索してもらうか、某動画サイトに公式MVが上がっているので、良かったら見て欲しい。
伴の心境を考えたら、これしかないと思えた。自分で自分を叱咤して、夢へ向かって直走る。爽やかでカッコよくて、でも胸が苦しくなって涙が出るような曲。
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今後は、気が向いた時に様々なプレイをする二人を書くこともあるかもしれないけれど、基本的に話は完結したので、これ以上の二人の続編はありません。
そのため、最後まで読んでくださった読者様、私の作品のファンの方へ向けて、作品内では描写しなかったネタと未来の話を以下に記します。
▼伴
舞台俳優、ミュージカル俳優として活躍。お爺さんになっても現場主義。体が動くまで俳優業を続ける。
菜果音を愛し過ぎている為、毎日めちゃくちゃ抱き潰したいけれど、子どもが出来てからは難しい。実音々に双子を預けて、たまにするデートで菜果音をメロメロにしては潰すこと(潰されることもままある)に成功している。
子育てが楽しくて、始めの頃は俳優業をセーブしていた。
▼菜果音
いつまで経っても伴一筋のサンキュウ!担。伴を愛し、精神的なサポートを献身的に行う。
▼実音々
姉夫婦を見ているから、業界人と交友関係はあっても恋愛交際はしない。誠実な一般男性を見つけて、後に結婚。
▼悠斗
少し年下のしっかりした女優と、アッサリ結婚する。おばかだけど紳士なので、お相手もなんだかんだでめちゃくちゃ悠斗が好き。
二女をもうけて、大きな犬と一緒に暮らす。
▼有現
彼女はいても結婚まではいかない。自分に結婚は向いていないと考えている。
歳を重ねて渋みが増した有現に、アプローチする女性は絶えないが、その辺はいい感じにあしらって、悠々自適の独身貴族。
▼マサオ
夢がハーレム形成のため、誠実一筋の実音々からは振られ続ける。現地妻・夫がたくさんおり、ハーレムは着実に形成されている。
▼倫音と元要
二人はすくすくと育ち、ドルヲタ倫音が親の知らぬ間に事務所へ履歴書を送ったため、元要も事務所入りしてアイドルの卵になる。
倫音は何度もスカウトを受けるが、親を見て自分には向かないと考え、全てを断っている。
悠斗のことは好きだけれど、成長する過程で結婚してしまったため失恋。あまりの美少女っぷりに男子からモテまくるが、親とその周りの顔面レベルが高すぎて、みんな芋に見えるため、一切恋愛には発展しない。
元要は、アイドルとしての仕事が楽しく、マイペースな為、周りに左右されずに生きている。もちろん女子からモテており、ちょっと付き合ってもいいかなと思っても、倫音に常日頃から諭されているせいか、手を出すことはないし、高校卒業するまで童貞だった。
世界で一番マサオの顔が好きなため、ハーレム入りもありかなと考えていたが、バリタチなせいでマサオとするのは難しいな、と諦めている。
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