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第三部
Sky's The Limit・25-1
しおりを挟むきいくんが、アメ車を買った。
真っ赤で四角くて大きいやつ、あーこれアメ車ですねーって感じの。
送られて来た画像は、満面の笑みでアメ車とツーショット。それから、サンキュウ!の三人で写ってるやつもあった。三人で夜の首都高を抜けてドライブに行ったらしい。
なにそれ、尊過ぎる。その映像、コンサート円盤の特典でください。お願いします!
サンキュウ!は解散したとしても、三人はずっと仲間で、固い絆で結ばれてるんだと思う。それが分かってるから、辛いけど最近はちゃんと受け入れられている。
でも絶対に絶対にコンサートは号泣するし、しんどいと思う。
「ねねちゃまー?まだー?きいくん待ってるよー!」
「トイレー!」
玄関で声を掛けると、元気な声で返事がくる。その後、ドタドタと走って、超絶可愛い妹がやってきた。
「はーお待たせ」
「荷物多くない?」
「だって向こうに服とかないもん」
「まあ、確かに」
私は大きめのリュック、妹はカートを引いて、最寄りのパーキングに停めた真っ赤な車をノックした。
「おはよー!」
サングラスをしたきいくんが、窓を開けて手を振った。
「ちょっと、気軽に出ちゃダメ!ちゃんねね、はい乗って!」
「任せて!」
機敏な動きで車に乗り込み、私たち姉妹もサングラスを掛けた。うん、見えづらい。高速に乗ったらサングラスを外そう。
「じゃあ出発しまーす」
「よろしくお願いしまーす!」
「お願いしまーす」
きいくんが車を発進させた。免許は十八歳ですぐに取得し、実家の車やレンタカーなどで運転をしていたらしく、とても上手である。
今日は、林家に一泊し、翌日に伴家に行くという強行軍だ。ちなみに、伴家へは二人で行くので、実音々はいない。
実音々は「せっかくだし、二泊して帰る」と言っていた。できることなら来て欲しかったけど、何で挨拶に彼女の妹が?ってなるからダメだと思う。ああ、しんどい。
「何か、お兄ちゃん余裕?」
サングラス姿がアメリカの子どもにしか見えないラブリーリトルシスターが言う。
「いや緊張はしてるよ、コンサートより。でも、林家って絶対に楽しいんだろうなってワクワクしてる」
バックミラーに映るきいくんは、あまりにもイケ過ぎてて恐ろしさすら感じる。
「ねねちゃま、この人が家に来るってやばくない?」
「客観的に見たらやばいと思う」
「パパが倒れたらどうしよう」
「えっ、そんなに?!」
ちょっと慌てたきいくんの声が裏返る。
「パパ、ミーハーなんだよね…」
「あとイケメンが好き」
「え、俺ファンサービスした方がいい?お義父さんとして対応した方がいい?」
うーん、と姉妹二人で悩む。
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