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第三部
Sky's The Limit・17-2
しおりを挟む「お姉ちゃん!?」
玄関のドアが大きな音を立てて閉まり、可愛い可愛いマイプレシャスの、今にも泣きそうな大声で目が覚めた。
そっと体を起こしてベッドに座るようにしていると、部屋のドアが空いて実音々が飛び込んできた。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
ベッドの横に膝をつき、私の手を取った。
「お姉ちゃん……プリンとかゼリーいっぱい買ってきたから」
「ありがと、私の妹は優しいねえ」
「好きなの全部食べていいから、杏仁豆腐もあるし、とろけるプリンもあるし、抹茶プリンもあるよ。ゼリーはね、桃とサイダーと、アロエとナタデココもあるし、バニラヨーグルトも買ってきたよ!あと、あとね、ポテトチップスも買ったから、交互に食べたら無限だからね!」
ガサガサとコンビニのビニール袋から取り出して、お店屋さんみたいに並べている。
「実音々も一緒に食べようね」
「うん、とろけるプリンは多めに買ってきた」
「好きだもんね」
「うん、あとアイスも買った。溶けるからしまってくる!」
広げたものをまた袋に戻して部屋を出て行った。
私はその後を追うようにして、リビングへ向かった。
体重なくなったのかな?ふわふわしてて、歩いてる感覚がないんだけど。
ぼんやりとテーブルにつけば、実音々がプリンとゼリーを並べ出す。
「ご飯どうする?プリンだけでいい?食べたいものある?」
「……唐揚げ?」
「お姉ちゃんの好きなお店の出前取るわ」
スマホを操作して一瞬で頼み終わる。
「私の妹はすごいねえ、天才だねえ」
実音々は何も言わずに、ニコッと笑った。
「ねねちゃま…どうしよう……私、どうしたらいいんだろう」
目の前の抹茶プリンの蓋を開けて、プラスチックのスプーンで掬った。ムースみたいなプリンが、ふるりと揺れる。
「プリン食べよう!お腹いっぱいにしよう!」
「うん…うん…」
「唐揚げもすぐ届くよ!熱々のやつ!辛いマヨネーズつけていっぱい食べよう!」
「うん、ありがとう」
抹茶プリンを食べて、ヨーグルトに手を出し、サイダーゼリーの蓋を開けた頃、唐揚げが届いた。
大好きな唐揚げは熱くてザックザクで、そのまま食べても美味しいし、辛いマヨネーズをいっぱいつけて食べると、さらに美味しい。
「美味しい…熱い…」
「上顎、火傷しないようにね」
「うん」
唐揚げを食べて、ポテトチップスを食べて、ゼリーを食べて、唐揚げを食べて、ポテトチップスを食べる。
「ジャンクフードすごい…太るな…」
「いいよ今日は!私が許してあげる!」
「ねねちゃまが許すなら、これは世界に許されたも同然」
「そうだよ!」
腹十二分目まで食べて、電池の切れたおもちゃみたいに動けなくなった。
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