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ドラゴンの肉編

16.活気のある港町

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あのあと私達は女の子と別れた後、船で港町まで戻りました。







結局、私達は魔女と会うことができませんでしたが、どうやらあの島からは魔女は去ったと後からの報告で聞きました。









入れ違いだったのでしょうか?






会いたかった気持ちが強かったために、少し残念です。









……で、ナダの町に初めて行ってから三日後。







私と娘はあの孤島に船で連れて行ってもらった男の人に招待を受け馬車で、ナダの町へ行くことにしました。







いったい何かあるのでしょうか。







期待でワクワクが止まりません。












「「わーーーー。」」







「「いらっしゃい、いらっしゃい!」」







町が見えてきたかと思うと、先日までとは比べ物にならないぐらいの活気が外まで伝わってきます。








「相変わらず元気な町ですなぁ。」





馬車を操縦している男の人が呟きます。









そして、いよいよ町の前までつきました。






「それじゃあ、楽しんできてくだせぇ。」








「はい!いつもありがとうございます。」





馬車から降りて私と娘はナダの町へとはいっていきます。














「おっ!待ってたぜ。」





私達がやってきたのを見ると、男の人はこちらにやってきます。








「どうだ?いい町だろう。」







「はい、明るく元気で素敵な町です。」







「それじゃあ改めて、ようこそナダの町へ、今日は思う存分楽しんで行ってくれ。」







そう言うと男の人は仕事へと戻っていきます。






今日の夜ご飯はお魚になりそうですね。





 
ゆっくりと見てまわりましょうか。












「おかあさん、みてみてー。」





いつの間にか娘は出店がたくさん出ている通りに行ってました。





娘にとっては夏祭りにきた時と同じ感覚なのでしょう。








私は娘の待っている店へと向かいます。










「へい!いらっしゃい!」





元気のいいおじさんが開いているお店では見たこともない魚がずらりと並んでいました。








「ドラゴンフィッシュ?ムーン貝?キングバス?」





聞いたこともない魚介類ばかりで、何がなんだか分かりません。









私は一つ『ドラゴンフィッシュ』というものを買ってみることにしてみました。







「えっと、お値段は……………。」







600…………G?







Gってなんですかね?











(……はっ。)





よくよく考えたら、外国なので日本のお金は使えないですね。






しょうがないです、私は諦めて断念することにしました。












「………好きなのを持っていきな。」







「え?」






お店のおじさんが私の事情を察してくれたのか、お魚をプレゼントするとおっしゃいました。









「でも………。」







「あんたがこの町を救ってくれたヒーローなんだろ?金なんか取れねぇよ。」







正直申し訳ない気持ちでいっぱいですが、おじさんの気持ちを無駄にするわけにもいきません。







「そしたらこの『ドラゴンフィッシュ』っていうのをいただきますね。」







「おう!毎度あり!」





そう言うとおじさんは手際よくお魚を包装していきます。








「あんた達はこの町の人達からしたら感謝してもしきれないくらいの恩人なんだ、だから今は素直にみんなのお礼の気持ちを受け取ってくれ。………はいよっ。」






そう言っておじさんは魚を私に渡します。








「ありがとうございます。」





やっぱりいつの時代も人助けというのは大事ですね。







改めて今日痛感いたしました。





 
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