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夏の合宿編
合宿2日目ーひまわり畑にて②
しおりを挟む向日葵の咲きほこる道を私と松白君は歩いていた。
自然の溢れる、のんびりとした空間は時間がゆったりとしているようにさえも感じる。
(しかし、いざ場所を選ぶとなると難しいものだなぁ。)
そんなのんびりしている私に松白君は話しかける。
「こういうゆったりとした日も悪くないかもしれないな。」
「そうだねぇ。」
松白君も同じような気持ちなのだろうか。
少し前を歩く松白君はどこかのびのびとしているように思える。
(爽やかな松白君にはこういう景色は様になるなぁ。)
指でフレームを作り松白君の後ろ姿を収めてみる。
(ひまわりの花言葉『私はあなただけを見つめる』か……。)
ふと、その言葉を思い出した。
「写真撮らないの?」
「うわっ!」
いつの間にか後ろに吹雪が来ていた。
「いい写真撮れそうだねぇ。なんなら30分過ぎちゃっても文句言わないからね。」
それだけ言って吹雪は近くにいる星宮ちゃんと笹山君の所に合流しに行った。
「もービックリした。」
毎度まいど吹雪にはよく驚かされている気がする。
って………。
いつの間にか松白君の姿が見えなくなっていた。
(さっきまで前を歩いていたはずなのになぁ。)
私は少し大きい声で呼び掛けることにした。
「まーつーしーろーくーん。どこー?」
すると声が聞こえた。
「さくら、こっちこっち。」
声のするほうを見ると手を振る松白君が見えた。
私は松白君の元へと向かう。
松白君の元へ行ってみると、ひまわりの前で何か考え事をしていた。
「何か見つけた?」
私は話しかけた。
「いや期待されるほどの物ではないかもしれないけど、これ見てよ。」
そういわれ私は松白君が指し示す方を見た。
するとそこには向かい合う二輪の向日葵があった。
松白君は話し始める。
「向日葵ってのはさ、若いころは太陽の方を向くらしいけど、この二つの向日葵は何で向かい合ってるんだろうなって。」
「んー。」
何か難しい事考えるなぁ。
若いころ太陽の方を向く向日葵が、太陽じゃない方を向いている…………。
「……お互いにとってそれぞれが『太陽』だから?」
「ぶははっ。」
「もー、真面目に考えたのに笑わないでよ。」
「いや、ごめんごめん。」
まぁでも、真面目に考えたって割りには少しロマンチックな考え方だったかもしれない。
「そうだ。」
松白君は何か考えついたようだ。
「写真ここで撮ろうぜ。」
「お、いいね。」
決してインパクトや華やかさはないかもしれないけど、この二輪の花は何か好きだ。
その向日葵の前で写真を撮るのは良いかもしれない。
私と松白君はその向日葵の前で写真を撮る準備をする。
そしてピースサインをして待っていた私に対して松白君はある提案をする。
「俺達も向かい合ってみる?」
「え、えぇ!?」
そういわれ松白君の方を向くが……。
ダメだっ、恥ずかしい。
「ごめんごめん、やっぱ普通に撮ろうか。」
松白君にそういわれ私達は結局、普通に写真を撮った。
そして写真を撮り終えた松白君が言う。
「よし、そろそろ戻ろうか。」
「えっ、もうそんな時間だっけ?」
私はのんびりしすぎて、時間の経過をあまり気にしていなかった。
それから私と松白君は先生のいる所へと戻ることにした。
戻ってる最中、松白君は話す。
「俺さ、さっきの向日葵に対するさくらの考え方結構好きだぜ。」
「もー、馬鹿にしてるでしょ。」
「いやいや本当だって。」
(しかし『若いころの向日葵は太陽の方を向く』か………。)
もし私が向日葵なら太陽なんて眩しすぎて見れないんだろうなぁ。
今日は少しだけど自然の力強さを学んだ気がするなぁ。
そんなことを考えながら私達は先生の所へと戻った。
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