新月神話伝 第一世代

鴉月語り部

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第二話 八咫の烏か?

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――――ようやく彼女を見つけると黒髪の男がブツブツ言いながら佩刀して佇んでいる。
あの強かった桜花が壁にめり込んでおり、神丸は男に問いかけた。

「そなた、見たところ烏のようじゃが桜花に何をした。
返答次第では責任を取らせようぞ。」

相変わらず男が何かブツブツ話しているが聞こえない。

「ええいちゃんと喋らぬか!!!
名は!状況は!桜花に何をした!」

「……某の名は坐導紅葉(ざどう くれは)
某が刺客を返り討ちにし、お食事タイムをしていたらこの女人がいきなり斬りかかってきたで候(そうろう)
某は警告したのに聞いてもらえなかったので軽く挨拶しただけである。」

「ほう、そうか
猪突猛進な桜花が悪いのであろうな。
それはそうと死んだ桜花の責任は取って黄泉へ迎えに行ってもらうぞ……

桜花……桜のように儚い女子であった。
やはりイワナガとサクヤの呪いは有効であったか。」

仮に彼女が死んでいたら黄泉の國まで迎えに行かなければならない。
その場合死者にはなるが彼女は一応生きているだろう。

「そうか。じゃないです皇子……納得しないでください。
桜花は死んでおりませぬ。

痛た……私じゃなかったら黄泉行きでしたよ。
なんですかこの無礼な武人は。」

「……無礼なのはそちらの女人であって」
「はっきり申しなさい!」

早速桜花と紅葉は一触即発だ。
紅葉は帯刀を解こうと、桜花は薙刀を構えている。

「……そちらの女人、某(それがし)の苦手なものに記載しておこう。
喰わず嫌いはいけぬが其方だけは喰う気がおきん……
では某は葦原の帝に謁見してくる故……」

紅葉はそそくさと去ってしまった。

「まあなんて不躾な妖怪なのでしょう……!
山の民の掟に従ったのに、郷に入っては郷に従えという言の葉をご存じ無いのかしら?
ああ皇子どうしましょう……桜花はあの野蛮人の妻になるのでしょうか」

桜花は泣き崩れ、皇子を抱き締めて嘆くのであった。

いきなり何を言い出すのかと思えば、これは山の民だけでなく葦原人の掟であった。
自分より強い者の伴侶になるという誓約を彼女は立ててしまったのだ。
誓約は一度立てたら必ず守らなければいけない。

「おぉよしよし桜花、怖かったであろう。
ううむ……ようは其方が勝てば良いのだ、何度でも挑戦して勝利せよ桜花!

儂も其方の無念を晴らすべく、特訓も兼ねて奴に挑もう。
儂らの戦いはこれからじゃ!」

何とも神丸くんらしいポジティブシンキングである。

「はい、皇子……
そうですわね!
何度でもかの者に挑みましょう、そして我が手に勝利を!!!」

あの……盛り上がってるところ悪いんですが、貴方達の目的は婚活や特訓ではありません。
次回、『海の巫女と神託』 (まだ続きます)
※嘘予告になりそうです

――――「で、坐導(ざどう)殿は
わけあって天上にも烏國(うこく)レイバンにも帰れず葦原に滞在してると

※正しくはレイヴァン國

春の武人は

「うむ……鳳凰が降りている間は葦原の帝に仕え、この地に骨を埋める覚悟で候(そうろう)」

「そうかゆっくりしていくと良い。
葦原は海に囲まれ自然豊かで素晴らしい土地じゃ!
よろしくな紅葉(もみじ)、いや紅葉(こうよう)か?」

「……某の名は紅葉(くれは)である。
女人の名前であるので正直あまり気に入っていない……
それにそこの春の武人とキャラが被って」

「被ってません!!!
あっ、その顔はちょっと初期パーティで属性被ったなとか思っておりまするな?
ご安心召されよ坐導殿!

私もちょっとキャラ被ったなと思っておりますが、幸い春と秋で違いますし男子と女子の違いもありまする!
後は冬と夏を探して四神目指しましょう。」

張り切る桜花と相変わらず暗い紅葉。

「今日の桜花は饒舌じゃのう……
この二人に儂の護衛任すの頼もしいような先が不安なような。」

【後書き】
構想だとこの調子でハイスピードに仲間ゲットしていかないと終わらない気がする……
この組み合わせ本当に大丈夫かな。

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