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第1章
001 > 運命ってナンだっけ?(前編)
しおりを挟む「はぁ~……まっじぃよな~……」
おれは予備校のモシの判定結果を見てがっくりウナダれた。
「なぁ~んでおれだけ? おれだけアレなの?」
自己嫌悪で胸いっぱい腹一杯になりながら、もう何度ついたかわからないため息を出しながら、おれ・北野直次郎18才は予備校裏手の階段を降りてきた。
予備校の建物の外に出ると、クーラーの室外機の風とムアっとした空気がオソってくる。
もうすでに外は真っ暗、おれのお先もマックラ。ついでに家に帰る近道の路地裏も真っ暗。
担任に何度も言われて耳にタコだが
『直次郎はなぁ、う~~ん……文系科目がとことん弱いなぁ。このままだとちょっとマズイなぁ……センターまであと4ヶ月しかないし……どうする? 志望校変えるか?』
な~んてこんな時期に言われてもさ、良い気はしないよな?
もうちょっと受験生を気づかえや、先生よぅ~!
おれ、このままだと大学、ウかんね~ってことやで。
幼なじみの隼人が行くっつうから、じゃ、おれも。と思って志望することにした地元の国立大学はさ……思った以上にヘン差値高くてよ……
「っあ~~~!!! 夏休みなのにぃ~~!! も~~終わっちまうじゃんかよ~~~~!!!」
結局。
花の高校生活最後の夏休みだっちゅうのに何をするわけでもなく過ごしちまって、おまけに結局、アオハルの高校生なのに彼女の1人もできないまま!! 卒業するの?! しちゃうの!? おれ?!
「こんな人生ぃヤ~だ~~~!!!」
って絶叫したくなるのも仕方ないだろ? な? わかるよな? そこの受験生のみんな?? いや、受験生だったみんな??
……誰に話してんだ、おれ。
……ま、いい。とにかく、この結果を持って家に帰るのはよそう。
これ見せたら母ちゃんアンドばあちゃんにコロされる。
あぁ……なんつぅヒアイだよ、これ……。……ヒアイって漢字どう書くんだったっけな???
とぼとぼって音が聞こえそうなくらいの勢いで、ハン華街の路地裏を家に向かって歩いてる、と。
ドカっ! バキッ!!
変な音が聞こえてきた……
〝? ちょっと待て……これって……〟
立ち止まって耳を澄ます。音は止むことなく聞こえてくる。
最近は受験を控えてることもあって、おれはまぁ、ちょっとオトナシイ……くしてる。が、ケンカは好きだ……った。……んだよな~。この音は明らかにアレだ。あれあれ。
ゴキっ!
骨同士がぶつかりあってる音だが……なんか音が大きく聞こえてきた。
〝ちょっと待て! あんまりやるとやばいだろ……〟
早足で歩いてると、どんどんその音が近づいてくる。通ってる予備校の裏手階段から直で駅前まで出れる路地裏の出口はハン華街とつながってる。
近道だから、って理由だけでおれはよくこの暗い夜道を通るけど、最近はそういうヤカラに出会うこともなかったので油断してた。
あと、おれ、現役受験生だから。ケンカごハットなのよ。
急ぎ足で音のする方に向かってると、周囲が明るくなってきて、そしたら
「くっそ! お前!! なんなんだよ! お前が悪いんだろぁがぁ! こんな匂いまき散らしやがって~!」
「っせぇなぁ……」
殴り合ってる一人はあきらかに柄の悪いほっぺに傷があるニイちゃん。と、もう一人は見かけたことのない学生服、のガタイの良い男だ。
〝ほっほ~~~。高校生じゃぁないの。いやぁ、イセイがいいねぇ、イキがいいねぇ~~〟
殴り合ってる1人が学生とあって、すでに10人くらいの人だかりができてる。しかも、なんだか、囲んでる奴らの表情がおかしい……
〝??? なんだ?〟
違和感を感じるものの、殴り合ってる2人を見守る円陣ができてるのは間違いなかった。それで、おれもタカミの見物を決め込んでその輪の一部になることにした。
やくざのニイちゃんが右ストレートを学生服の顔面に向けてお見舞いする。
が、学生服は、それを寸前で避けつつ腰をひねり、反対側で握ってた拳を、長いリーチとスナップを効かせてニイちゃんの脇腹に捩じ込んだ。
ドグっ!
〝へ~~。すげえな、あいつ〟
目と反射神経が抜群だ。
目で受けた情報を瞬時に処理してそれを体の動きに反射的に変換してる。というか、相当ケンカ慣れしてる。相手のやくざのニイちゃんよりよっぽど。
〝いやぁ、久々に人のケンカ見る……オラわくわくすっぞ~~〟
受験疲れの脳みそには新鮮なシゲキでリフレッシュできちゃうなぁ……と輝く目でおれが完全に見物客を決め込んでいた時。
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