249 / 253
Chapter17 - Side:Other - F
249 > 佐藤の家ー08(興奮冷めやらぬ…)☆
しおりを挟む
[Side:Other]
初めての体験だからか、佐藤の興奮が治まるのに若干時間がかかったため
「お……俺、ちょっと……」
汐見に配慮した佐藤が1人でトイレに籠った。
〝そういや、こいつ最近トイレ近かったな……って、そういうことか!〟
またしてもようやく気づくことになってしまった佐藤の事情に赤面する。
〝それにしても……〟
事が終わって、ホッとするものの汐見は新たな不安を思い出していた。
〝……やった……は、いいが……そもそも、佐藤は、その……プロポーズ……してきたよ、な……〟
不安ではあるものの、その言葉を思い出した汐見がまた新たに赤面する。
佐藤は7年片想いしていたと言っていた。それはつまり、その時間の分だけ佐藤の気持ちは重く熱いというわけだ。さらには
〝……結婚しても諦められなかったって……〟
親友だと思っていた自分と違い、佐藤は汐見の人生のパートナーとしてそばにいたいと言い募る。
その答えを今すぐ出せと言われたら
〝そ、れは……無理、だろう……〟
自分の中にある佐藤への気持ちをようやく認めることができた。
佐藤の気持ちも、かなり即物的ではあったが確認する方法としては間違ってなかったと思う。
〝……本気じゃなければ、異性愛者の男が……男相手には勃たない、だろう……〟
そう思ったから、佐藤をけしかけたのだ。
自分は佐藤には勃たない。それなら男役はできないと思ったから佐藤にその立場を譲っただけで。
〝男同士って……まぁ本来なら男役も女役もないんじゃないか? 多分……〟
その辺りの短絡的かつロジカルな思考は汐見の利点であり欠点でもあった。
その理論を聞けば佐藤は「俺以外の男に気を許したりするなよ!」と憤慨したに違いない。
だが、改めて考えてみると
〝紗妃と会う前から佐藤への気持ちはあった……と、思う……〟
なぜなら佐藤が外見のことでトラブルを抱えるたびに "女だったらよかったのに" と思っていた自分がいたからだ。女だったら、に続く言葉に「オレが……」という言葉を頭で紡ぎ出す前に、その考えは一瞬で消去されていたので。それにこうも思うのだ。
〝女だったら……きっと、こんなに打ち解けてはいなかったんだろうけどな……〟
佐藤の、モテすぎるその外見やそれを厭う気持ちは正直よくわからない。自分が外見で苦労してこなかったため、仕方ない。
だが、そこから180度反対方向に向かってここまでモテるイケメンが、男相手に、しかも強面の親友に片想いしてるなんて誰が思いつくのだという話で。
〝まぁ、だから余計に……信じられなかったんだが……〟
汐見が非常識だと思い込んで踏み出せなかった性的嗜好を乗り越えてきた佐藤が、汐見の手を取りにきた。
一方、佐藤が、非常識で普通なら受け入れてもらえないだろうと思っていることを汐見は────
「お互い、言葉が足りないな……」
思ってることの半分も言葉にできないのに、ましてや言葉にしていないものが伝わるわけがない。
実際に常日頃そう考えているのに、ちゃんと佐藤に伝えてなかったことに気づき、そして、自分もたくさんのものを伝えきれずにいることを知って。
〝たしかに……やり直す……必要がある……オレも……〟
汐見は紗妃の言葉を反芻しながら、佐藤を待っていると
「す、すまん……その……」
赤面しながらトイレから出てきた佐藤を、既に上下の服を着た汐見が寝室で迎えた。
「今夜は語り尽くそう。お互いに……」
「え……」
「まだ……全部は話せない。けど、お前がオレのそばにいたいと思うなら」
「汐見!」
〝オレとともに未来を築きたいと願うなら〟
それに応えたいと汐見は思った。
そして佐藤も
〝汐見が抱えているものを……全部じゃなくていい。俺をお前の隣にいさせてくれるだけで……〟
願う未来は、お互いの幸せ。
その形はおそらく2人とも同じものではない。
だが、重なり合う部分はきっと大きく、厚い。
〝俺を選んでくれた汐見に……〟
〝オレが好きだといったお前に……〟
初めての体験だからか、佐藤の興奮が治まるのに若干時間がかかったため
「お……俺、ちょっと……」
汐見に配慮した佐藤が1人でトイレに籠った。
〝そういや、こいつ最近トイレ近かったな……って、そういうことか!〟
またしてもようやく気づくことになってしまった佐藤の事情に赤面する。
〝それにしても……〟
事が終わって、ホッとするものの汐見は新たな不安を思い出していた。
〝……やった……は、いいが……そもそも、佐藤は、その……プロポーズ……してきたよ、な……〟
不安ではあるものの、その言葉を思い出した汐見がまた新たに赤面する。
佐藤は7年片想いしていたと言っていた。それはつまり、その時間の分だけ佐藤の気持ちは重く熱いというわけだ。さらには
〝……結婚しても諦められなかったって……〟
親友だと思っていた自分と違い、佐藤は汐見の人生のパートナーとしてそばにいたいと言い募る。
その答えを今すぐ出せと言われたら
〝そ、れは……無理、だろう……〟
自分の中にある佐藤への気持ちをようやく認めることができた。
佐藤の気持ちも、かなり即物的ではあったが確認する方法としては間違ってなかったと思う。
〝……本気じゃなければ、異性愛者の男が……男相手には勃たない、だろう……〟
そう思ったから、佐藤をけしかけたのだ。
自分は佐藤には勃たない。それなら男役はできないと思ったから佐藤にその立場を譲っただけで。
〝男同士って……まぁ本来なら男役も女役もないんじゃないか? 多分……〟
その辺りの短絡的かつロジカルな思考は汐見の利点であり欠点でもあった。
その理論を聞けば佐藤は「俺以外の男に気を許したりするなよ!」と憤慨したに違いない。
だが、改めて考えてみると
〝紗妃と会う前から佐藤への気持ちはあった……と、思う……〟
なぜなら佐藤が外見のことでトラブルを抱えるたびに "女だったらよかったのに" と思っていた自分がいたからだ。女だったら、に続く言葉に「オレが……」という言葉を頭で紡ぎ出す前に、その考えは一瞬で消去されていたので。それにこうも思うのだ。
〝女だったら……きっと、こんなに打ち解けてはいなかったんだろうけどな……〟
佐藤の、モテすぎるその外見やそれを厭う気持ちは正直よくわからない。自分が外見で苦労してこなかったため、仕方ない。
だが、そこから180度反対方向に向かってここまでモテるイケメンが、男相手に、しかも強面の親友に片想いしてるなんて誰が思いつくのだという話で。
〝まぁ、だから余計に……信じられなかったんだが……〟
汐見が非常識だと思い込んで踏み出せなかった性的嗜好を乗り越えてきた佐藤が、汐見の手を取りにきた。
一方、佐藤が、非常識で普通なら受け入れてもらえないだろうと思っていることを汐見は────
「お互い、言葉が足りないな……」
思ってることの半分も言葉にできないのに、ましてや言葉にしていないものが伝わるわけがない。
実際に常日頃そう考えているのに、ちゃんと佐藤に伝えてなかったことに気づき、そして、自分もたくさんのものを伝えきれずにいることを知って。
〝たしかに……やり直す……必要がある……オレも……〟
汐見は紗妃の言葉を反芻しながら、佐藤を待っていると
「す、すまん……その……」
赤面しながらトイレから出てきた佐藤を、既に上下の服を着た汐見が寝室で迎えた。
「今夜は語り尽くそう。お互いに……」
「え……」
「まだ……全部は話せない。けど、お前がオレのそばにいたいと思うなら」
「汐見!」
〝オレとともに未来を築きたいと願うなら〟
それに応えたいと汐見は思った。
そして佐藤も
〝汐見が抱えているものを……全部じゃなくていい。俺をお前の隣にいさせてくれるだけで……〟
願う未来は、お互いの幸せ。
その形はおそらく2人とも同じものではない。
だが、重なり合う部分はきっと大きく、厚い。
〝俺を選んでくれた汐見に……〟
〝オレが好きだといったお前に……〟
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件
水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて──
※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。
※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。
※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる