婚約者とのキスはマシュマロの味がしました

婚約者とのキスはマシュマロの味がしました

　夜の森の中で、私と婚約者の彼は小さな焚き火を見つめています。

「なんでこんなことに……」

　それはもう、マシュマロを食べるからです。

「マシュマロを食べるのにどうしてこんなところに来る必要があったの？」

　必要性は度外視です。

　では、早速食べるために焼きましょう。

　はい、まずはこちらです。


【どうやって貴女のような方がイケメン婚約者を捕まえられたのですか？】


　実家のコネによる婚約です。

　運の良さも多少はありますが、常日頃から淑女たる心がけを絶やさず努力し続けることが肝要ですよ。

「何処を向いて、何を答えてるの……？」

　マシュマロ、焼けましたよ。溶けて熱いですけど、頑張って食べて下さい。

「熱っ！　えっ、熱っ！？　あっ、でも甘い！」

　初キスの味がしますね？

「マシュマロの味がする。あ、いや嘘です。初キスの味です」

　本当ですか？

　では口移しで食べさせて証明して下さいよ。

　私は次のマシュマロを焼くので。食べさせて下さいね。