雷が苦手な婚約者に寄り添った話

広畝 K

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雷が苦手な婚約者に寄り添った話

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 ここ数日、激しい雨が降り続いていて外に出るのもままならない状況です。

 とは言っても、婚約者のエドガー様は相変わらず我が家に入り浸っているわけですが。

「こう降り続けると、気が滅入ってしまいますね」

 彼は揺り椅子に座って足を組み、優雅に紅茶を飲んでいます。その様からは気が滅入っているようには思えません。

 とはいえ、確かに彼の言う通りではあります。春というのに冷えますし、暖炉を点けなければなりませんし。

 あ、遂には雷が鳴り出しました。重低の叫びが、静かな空間に響いて渡ります。

 ……あれ? エドガー様の姿が揺り椅子から消えました。

 辺りを見渡せば、ベッドの上でシーツを被って丸くなって微かに震えている物体があります。

 もしや。

「雷はお嫌いですか?」

「……お恥ずかしい。どうにも、幼い頃から苦手なんです」

 シーツを捲ってみれば、顔色を青くしているエドガー様がおりました。

 聞けば昔、友人を雷で亡くされたことがあるとか。

 私は彼の冷たい頬に手を当て、その心が落ち着くまで、側に寄り添っておりました。
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