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花粉症は嫌だと言われて婚約破棄された話

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「君の花粉症には心底うんざりさせられる」

 心無い婚約者の言葉に私は激怒しました。

 花粉症に罹ったことの無い者らしい、傲慢な言い分だったからです。

 私の国において、花粉症は忌まわしき病とされています。

 不特定の季節に必ず罹患する不治の病であると。

 それゆえに私は、彼の家から婚約破棄を突きつけられました。

 とはいえ、捨てる神あれば拾う神あり。

 私は花粉症に理解のある医学系の家に嫁ぎ、先進的な魔法医療によって花粉症を完治するに至ったのです。



「花粉症を馬鹿にして、申し訳なかった……」

 後年、元婚約者は重度の花粉症に悩まされ、病床から立てない身の上になっていました。

 涙と鼻水が溢れ、呼吸をするのもつらそうで、よくもまあそこまで我慢できたものだと思ったものです。

 もちろん、自慢の夫より医療魔法を伝授された私がちゃちゃっと治してあげましたとも。

 いや、治ったときの元婚約者の喜びといったら素晴らしいものがありましたね。

 その際に再び婚約を申し込まれましたが、まあ、花粉症に理解のあるお嬢さんと結ばれれば良いんじゃないですかね。
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