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第一王子と婚約することに成功したのですが、王妃教育の予定は無いそうです。もしかして、飼い殺しルート入ってます?

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 いやまあ、すんなり婚約できたのでどこかおかしいとは思っていたんですよ。

 違和感を覚えたのは成約後に行われた二回目の会合で、王子がすっかり腑抜けていたことですね。

 聞けば腑抜け状態が通常だそうで、初対面は余所行きの態度だったそうです。

 初対面のカッコよさが100だとしたら、腑抜け状態は60ですね。

 腑抜け状態でもかっこいいんですよ、この人……。恵まれた容姿から繰り出される腑抜け。情緒がばがばになりますよ。


 それでですね。

 ある日、どうしてそんなに腑抜けているんですかと聞いたわけなんですね。

 第一王子で忙しいだろうにも関わらず私の家に入り浸りますし。

 王妃教育の予定は無いと通達されましたし。

 その割に勉強することは多々あって、それには王子も付き合ってくれますし。

 で、答えはやはりというか、予想通りというかです。


「そう。王位継承権を弟に投げたよ」


 自分は王の器ではない、と見極めてしまったらしいです。

 むしろ弟の方が統治者として有能だと判断し、両親を言いくるめて委譲させてしまったとのこと。九歳の頃に。

 ……優秀過ぎんか?


 私の思った通りのことを彼の家族も思ったそうで、宰相やら大臣やらの地位に縛り付けてきたそうです。

 それでも彼がこうして腑抜けていられるのは、やるべきことを終えているからで。

 その地位をサポートする多くの部下を教え育てて、非常事態以外の通常業務を徹底的に仕込んだのだとか。

 いやいやいやいや、化物では……?

 今度一緒に海にでも行こうと誘われましたが、うちの国は内陸ですから……それ、明らかに外交案件ですよね……?
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