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母が亡くなってからというもの、父上は変わってしまわれた

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「マリー、相変わらず君は美しい……」

 父上がそう言って私の髪を丁寧に櫛で梳いてくれるのですが、これにも大分うんざりしています。

 と言うのもですね、父上は私と通して亡くなった母を見ているからです。

 私の名はサリナであって、マリーではありません。

 しかし父上は母上が亡くなったショックで、まあ、そういうことです。

 酷い時には夜這われそうにもなりましたからね……使用人たちのお陰でなんとか助かりましたが。

 これ以上は家にいるのも難しいということで、私は母上の実家に避難することになります。

 父上の処遇については、後見である伯爵家が面倒を見てくれるとのことです。

 住み慣れた場所を出るのは寂しいですが、現実を認識できない父上を見捨てるのは忍びないですが、私は私の道を征かねばならぬのです……。
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