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婚約者同士の間に挟まるように配置された私の席のせいでクラスの空気が最悪です。
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その婚約者たちは仲睦まじいことで有名な二人だったわけです。
美男美女で性格も良く、面倒見も良く、どちらも同性異性の友人を多く持つ貴族の中の貴族なわけです。
で、そんな二人が隣り合っている筈の、その中に、私の席が配されるという状況。
いやいや、クラスの席をくじ引きで決めるって、どういう風習なんです……?
今までそんなこと一度も無かったじゃないですか!
しかも此処、机が繋がっている講堂風の教室ですよ!?
席替えの概念が無い筈なのに、どうして皆さんは決められた位置に素直に座るんです……?
「まあまあ、たまにはそういう風習を体験することも他国の文化や思考を理解する上で大事なことだよ」
「その通りです。私と彼のことについては、気に病まれる必要などありませんわ」
ふあー……声が良い……。
じゃなくて、いや、もう、本当にマジで申し訳ないんですわ……。
クラスの他全体から突き刺さってくる視線、分かってますって。
明日から私は暫く休校手続きを取ります。授業ノートについてはよろしくお願いしますぞ。
私がそこに居なければ、二人はまた良い雰囲気を醸し出してクラスを幸せにしてくれるでしょうからね!
で、数日ほど寮の部屋で暇潰しにロマンスを文章にしていると、同居人から衝撃の事実を聞かされたわけです。
あの二人は既に婚約を破棄している中であり、今は冷戦状態にあるとかなんとか。
私が休んでいるせいでクラスの空気が冷え込んでいるから、早く復帰しろとのこと。
えぇ……そんなことってある……?
「風邪だったと聞いたけど、大丈夫? お見舞いに行きたかったけど、無理もさせたくなかったからね……」
いや、大丈夫です。はい……。
気を遣って頂いて、どうも……。
「彼が貴女の邪魔にならぬよう説得を続けるのは骨が折れましたわ。でも、快復されて本当に良かったです」
はい、ありがとうございます。はい。
なんか左の美男が貴女を睨んでる気がしますが、気の所為だということにしておきます。なんで勝ち誇ったような顔で見返してるのかは分かりませんが、分かりたくはありません。
「そうだ。快復祝いに何処か食事にでも行こうか。良いお店を知っていてね」
「あら? 残念でしたね。この子は私とケーキを食べに行く約束をしておりますの」
いや、私を間に挟んで笑顔で牽制し合うのは止めて下さい……。
う、腕を引っ張らないで……!
誰か、誰か助けて……!
あ、やっぱり助けなくて良いです! あなたたち二人には言ってませんので!
美男美女で性格も良く、面倒見も良く、どちらも同性異性の友人を多く持つ貴族の中の貴族なわけです。
で、そんな二人が隣り合っている筈の、その中に、私の席が配されるという状況。
いやいや、クラスの席をくじ引きで決めるって、どういう風習なんです……?
今までそんなこと一度も無かったじゃないですか!
しかも此処、机が繋がっている講堂風の教室ですよ!?
席替えの概念が無い筈なのに、どうして皆さんは決められた位置に素直に座るんです……?
「まあまあ、たまにはそういう風習を体験することも他国の文化や思考を理解する上で大事なことだよ」
「その通りです。私と彼のことについては、気に病まれる必要などありませんわ」
ふあー……声が良い……。
じゃなくて、いや、もう、本当にマジで申し訳ないんですわ……。
クラスの他全体から突き刺さってくる視線、分かってますって。
明日から私は暫く休校手続きを取ります。授業ノートについてはよろしくお願いしますぞ。
私がそこに居なければ、二人はまた良い雰囲気を醸し出してクラスを幸せにしてくれるでしょうからね!
で、数日ほど寮の部屋で暇潰しにロマンスを文章にしていると、同居人から衝撃の事実を聞かされたわけです。
あの二人は既に婚約を破棄している中であり、今は冷戦状態にあるとかなんとか。
私が休んでいるせいでクラスの空気が冷え込んでいるから、早く復帰しろとのこと。
えぇ……そんなことってある……?
「風邪だったと聞いたけど、大丈夫? お見舞いに行きたかったけど、無理もさせたくなかったからね……」
いや、大丈夫です。はい……。
気を遣って頂いて、どうも……。
「彼が貴女の邪魔にならぬよう説得を続けるのは骨が折れましたわ。でも、快復されて本当に良かったです」
はい、ありがとうございます。はい。
なんか左の美男が貴女を睨んでる気がしますが、気の所為だということにしておきます。なんで勝ち誇ったような顔で見返してるのかは分かりませんが、分かりたくはありません。
「そうだ。快復祝いに何処か食事にでも行こうか。良いお店を知っていてね」
「あら? 残念でしたね。この子は私とケーキを食べに行く約束をしておりますの」
いや、私を間に挟んで笑顔で牽制し合うのは止めて下さい……。
う、腕を引っ張らないで……!
誰か、誰か助けて……!
あ、やっぱり助けなくて良いです! あなたたち二人には言ってませんので!
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