学年一位の成績を取った者を婚約者にすると宣言された王子ですが、どうやらご自身が一位を取ってしまったようです。

学年一位の成績を取った者を婚約者にすると宣言された王子ですが、どうやらご自身が一位を取ってしまったようです。

　張り出された試験結果を見て、王子が身を震わせています。

　まあ、不甲斐ないと思われているのでしょうね。

　自身が一位を取ってしまうほどに、周りのレベルが低いのですから。

　しかし、それも致し方ないことだということを理解していただかなくてはなりません。

　何しろ彼は王位に座す身分の御方です。

　そんじょそこらの令嬢令息に遅れを取っては名折れというもの。

　むしろ此処は当然のものとして享受して頂いて――

「何を巫山戯たことを考えている！」

　ありゃ、バレましたか。

　毎度毎度私が一位を独占しているのも考えものかと思って、今回は辞めてみたのです。

「だからって二位になることはないだろう！　点差も僅か！　嫌みか！」

　特待生ですので、成績上位を維持しなければならないのです。

　私の目標は、王宮勤めのエリートとして悠々自適に暮らすことなので。

「次期王妃も悠々自適に暮らせるぞ」

　ご冗談を。

　仮に事実だとしても、胃が潰れるような重荷を背負うのは性に合いませんので。

「くそ……外堀を埋めていく方向に変えていくか」

　聞こえてるんですが。

　そういう間の抜けたところは嫌いじゃないですし、だからこそと言うか、部下として支えたいと思っちゃうんですよね。