エルフだと思った? 残念! エルフじゃなくてゴブリンでした!

広畝 K

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六章「闘争」

250話

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 娘が竜巻に少し遅れて盗賊団アジトに侵入すると、既に老人は待ち構えていた。
 アジトの開けた場所に立ち、大小の瓦礫は隅に寄せてある。
 恐らく、戦いが可能となるような、軽く開けた広場を作ったのだろう。

 娘の見る限り、老人は臨戦態勢に入っている。
 その体は先と変わらず、揺蕩う銀色の魔力に包まれている。
 いつでも魔法を撃てる状態だ。

 決闘を望んでいる相手の空気を読むと、娘は敵に向かい合うようにして立つ。
 そして全身の魔力を練って巡らせると、老人は僅かに笑みを浮かべた。

「お主たちは、何者だ?」

 外見こそエルフに酷似しているが、どうも違う。
 エルフという種族は、同じ種族から派生したダークエルフと組むことはない。
 互いに憎み合っていて、顔を合わせれば即座にその場で戦闘を開始する。
 目の前の相手が死ぬまで攻撃し続けるほどに、それらの憎悪の溝は深い。

 だからこそ今回のように、エルフとダークエルフが共同して人間を襲うようなケースはまずない。
 ありえないと言って良い。

「なら、私は何者なのかな?」

「まさにそれが疑問なのだよ」
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