エルフだと思った? 残念! エルフじゃなくてゴブリンでした!

広畝 K

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六章「闘争」

240話

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 だが、既に詰んでいると言っても良い状況だ。

 光源のランタンは火が消された上で壊され、視界がまったくきかない。
 装備している軽鎧の魔力光は、視界を助けるほどの光量はないのである。
 一人が重傷を負ったらしく、呻き声を殺せないでいる。

 間違いなく、不意を突いた敵による遠距離攻撃。
 武器は弓矢が有力であろう。
 魔力光も音も何も感じなかったことから、暗器の類による攻撃かもしれないが、エルフが暗器を扱うなど聞いたこともない。

 この時点で男たちが考えた行動は、怪我を負った男を囲んで庇いつつ周囲に気を配ること、そして音を立てずにじっとしていることであった。

 そして最後の行動は、

「俺が大声を出して囮になる。お前たちは静かに散開し、皆にこのことを伝えろ」

 チームを即座に解散し、エルフによる襲撃を他の仲間に伝えることであった。
 男の声は、囲んでいる三人にも小さく、弱々しく聞こえた。

 男は、言う。

「俺は、ここで死ぬ」
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