エルフだと思った? 残念! エルフじゃなくてゴブリンでした!

広畝 K

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六章「闘争」

229話

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 そして翌朝、日が昇る前のことだ。
 名も無き森の北端に、男たちが集まっていた。
 総勢、百二十名。
 四人一組のチームが三十組できており、進攻の合図を待っている。
 合図とは、通信による団長の一声だ。

 いずれの男たちも、身には胸当てや膝当てなどの軽鎧をつけている。
 それぞれの防具が微弱に光を発しているのは、それが魔力を帯びているためだ。
 魔力光と呼ばれるその光は、薄暗闇の中でも幻想的に淡く輝き、彼らの居場所を伝えてくれる。もし光源たる魔道具を失ったとしても、即座に魔力探知と通信とを行うことによって、すぐ次の行動を指示されるよう、すぐに次の行動に移れるようになっていた。

 エルフと戦わず、関わらないようにする、という選択肢はない。
 今はアジトで休んでいるジョネスが倒れた場所が、名も無き森の北端であることが、エルフたちの敵意が並々ならないと察せられるためだ。

 と言うのは、普段団員たちは森を歩くことに対して警戒を怠っていないという事実がある。平原を長く歩くことになろうとも、森を歩くリスクを極力減らすことに注力している。

 街道を通るのであれば、近くの町からまっすぐ北に直進し、森の木々が薄れたところで西に進めば、それほど長くない森を通ってアジトに戻ることができる。
 つまり、外から戻ってくる団員を迎える場合は、アジトの東に位置する小さな森から出てくる者を迎えることになるわけだ。
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