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五章「発端」

217話

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「先の戦いでは使わなかったが、今回は魔道具も使っていく。何か質問は?」

 一人の男が挙手をして、質問を行った。内容は、魔道具の基本的な性能についてであった。魔道具の性能は低く、それならば魔力を行使する魔法の方が強い。効果の薄い魔道具を使うのであれば、エルフ攻略において荷物にならないのか、ということである。

「確かにお前の言うとおりだ。確かに魔道具の魔法効果は薄い」

 魔道具という大層な名前ではあるが、別にそう大した物ではないのである。既にある魔法を付与してあったり、魔力を練ることなく魔法を行使できたり、といったような代物でしかないのだ。当然、魔力を練って行使する魔法の方が全体的に効果は高い。

「だが、魔力を温存できるという意味では非常に大きい。特に今回は、森に入ることになる。補助魔法なしでは死にに行くようなものだから魔道具の力は必要だ」

 森に入るということ……それはつまり、持っていく魔道具はあくまで補助魔法に厳選するということである。
 なぜなら、森の中は人間が活動するに向いてない場所だからだ。
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