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五章「発端」
213話
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老人が入団する以前、エルフの村を一つ焼き払ったことがあると言う。
その声は自慢している風ではなく、過去の事実をありのままに述べている口調であった。それだけに、老人の驚きは大きい。自分の属している集団が、どれほどの修羅場を潜ってここまで生き延びてきているのか、どれだけの戦力をもってエルフの集団を倒すに至ったのか、興味は尽きない。
「なるほど、それは失礼しました。しかし、油断は禁物ですぞ?」
「分かっている」
ゆえに、進攻する部下たちを厳選して説明を行うという。
老人には、進攻の間における留守勢を集めて事情を説明し、アジトを守る方策を練って欲しいとのことである。アジトを留守にしている間に、どこの誰が侵入してこないとも限らないからだ。
「ふむ、分かりました」
「頼んだ。あと先生、力量を見て進攻させる奴らを選別し、すぐに集会所に集めてくれ。体内にある魔力の多寡で魔法抵抗に差が出たはずだから、そこも考慮してくれると助かる」
「では、直ちに行動しましょうかの」
老人は団長に軽く一礼すると、その場に立ち止まって杖を軽く振った。瞬間に、老人の姿はあっという間に掻き消えた。
「決行は、早い方が良いな」
準備を急ぐために、倉庫番にも声を掛けねばならない。
団長はエルフ討伐に関する戦術を幾つも思案しながら、準備に奔走した。
その声は自慢している風ではなく、過去の事実をありのままに述べている口調であった。それだけに、老人の驚きは大きい。自分の属している集団が、どれほどの修羅場を潜ってここまで生き延びてきているのか、どれだけの戦力をもってエルフの集団を倒すに至ったのか、興味は尽きない。
「なるほど、それは失礼しました。しかし、油断は禁物ですぞ?」
「分かっている」
ゆえに、進攻する部下たちを厳選して説明を行うという。
老人には、進攻の間における留守勢を集めて事情を説明し、アジトを守る方策を練って欲しいとのことである。アジトを留守にしている間に、どこの誰が侵入してこないとも限らないからだ。
「ふむ、分かりました」
「頼んだ。あと先生、力量を見て進攻させる奴らを選別し、すぐに集会所に集めてくれ。体内にある魔力の多寡で魔法抵抗に差が出たはずだから、そこも考慮してくれると助かる」
「では、直ちに行動しましょうかの」
老人は団長に軽く一礼すると、その場に立ち止まって杖を軽く振った。瞬間に、老人の姿はあっという間に掻き消えた。
「決行は、早い方が良いな」
準備を急ぐために、倉庫番にも声を掛けねばならない。
団長はエルフ討伐に関する戦術を幾つも思案しながら、準備に奔走した。
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